外商投資企業の進出形態比較:中国

質問

外国企業が中国で設立する子会社、支店、および駐在員事務所の違いをご教示ください。

回答

3つの形態は多くの点で違いがあります。事業目的や運営コストなどの要素を総合的に考慮した上で、最も適した拠点形態を選択するとよいでしょう。ただし、中国法上、外国企業が中国国内に支店を設立することは、銀行、保険、海運など特定業種を除き認められていません。特定業種以外の事業活動を行う場合は、子会社または駐在員事務所を選択します。

Ⅰ.各形態の性質/法人資格

  1. 子会社
    中国企業で、独立した法人資格を有します。自己の名義で提訴、応訴し、独立して対外的に責任を負うことができます。
  2. 支店
    中国企業外国企業の分支機構で、独立した法人資格はありません。設立は原則不可ですが、銀行、保険、海運などの特定業種では、業法に基づき所轄部門の許可を得て設立することができます。自己の名義で提訴、応訴することができますが、通常、独立して対外的に責任を負うことはできません。通常、本社が責任を負うことになります。
  3. 駐在員事務所(以下、代表処と言う。)
    外国企業の分支機構で、独立した法人資格はありません。通常、自己の名義で提訴、応訴することができず、独立して対外的に責任を負うこともできません(外国企業が責任を負う)。

Ⅱ.経営範囲

  1. 子会社
    子会社は独立法人のため、その経営範囲は営業許可証に記載されている内容によります。
  2. 支店
    許可された業務範囲内で営利活動を行うことができます。
  3. 代表処
    外国企業の製品または役務に関連する市場調査、展示、宣伝活動、および外国企業製品の販売、役務提供、国内仕入、国内投資に関する連絡活動を取り扱うことができます。通常、営利活動を行うことができません(法律・行政法規で特段の規定がある一部業種の代表処は除く)。代表処が営利活動に従事した場合、違法所得の没収、営利活動の従事を目的として使用された財物の没収、過料、登記証取上げなどの行政処罰に処される可能性があります。

Ⅲ.設立と運営

  1. 運営資金
    1. 子会社
      2024年7月に改正施行された中国「会社法」では最低資本金の規制はありませんが、一部の業種では、法令上の登録資本金や払込済資本金の最低金額が規定されています。また、実務上登録資本金と経営規模の均衡が求められる場合もあります。また、2014年の中国「会社法」の改正により、資本金の払込期限は定款により定める方式とされましたが、現行の会社法では一定期間内(通常5年以内)の払い込みが求められます。
    2. 支店
      所轄部門の許可に基づき、必要な資金を外国企業から送金します。
    3. 代表処
      運営資金は外国企業から送金します。
  2. 行政手続き
    1. 子会社
      「外商投資参入特別管理措置(ネガティブリスト)」掲載業務は、所轄部門の許可や安全審査の手続きが必要になります。同リストにない業種は、直接、市場監督管理部門での登記を経て営業許可証を取得します。この登記により、外商投資情報報告はシステム連携により自動的に完了し、税務、社会保険、統計などの基本情報も「五証合一」制度に基づき自動的に所轄部門へ連携されます。企業年度報告の公示が必要です。
    2. 支店
      所轄部門による事前審査許可後に、市場監督管理部門での登記を経て、営業許可証を取得します。この登記により、税務、社会保険、統計、外商投資情報報告などの基本情報は「五証合一」制度に基づき自動的に所轄部門へ連携されます。企業年度報告の公示が必要です。
    3. 代表処
      法令で規定された一部の業種を除き、所轄部門の事前審査許可は不要です。市場監督管理部門での登記を経て、外国企業代表処登記証を取得します。この登記により、税務、社会保険、統計などの基本情報は「五証合一」制度に基づき自動的に所轄部門へ連携されます。登記機関への年度報告提出が必要です。
  3. 執務/営業場所の賃借
    子会社、支店および代表処は自己の名義で執務/営業場所を賃借することができます。
  4. 銀行口座の開設
    子会社、支店および代表処は自己の名義で銀行口座を開設することができます。
  5. 従業員雇用
    子会社および支店は従業員を直接雇用でき(労働契約の締結)、労務派遣機関を通じて雇用することもできます。代表処は労務派遣機関を通した従業員雇用のみ可能です。
  6. 納税(予測される主な税目および納付方法)
    1. 子会社
      企業所得税、流通税(増値税、消費税など)、関税などが課税されます。独立採算と個別納税申告を行います。法定条件を満たせば、税収優遇政策を受けられる場合もあります。
    2. 分公司
      外国企業が中国国内で銀行などの支店を設立した場合、その課税・納税の仕組みは、中国企業の分公司とは異なり、支店自体が独立した納税主体として扱われます。これは、外国企業の支店が中国における恒久的施設(PE)と見なされるためです。
      企業所得税については、支店は中国国内で発生した所得、ならびにその支店と実質的に関連する国外所得に対して課税されます。税率は原則として25%で、国内企業と同一です。
    3. なお、中国では支店利益に対する追加の「支店送金税(Branch Profits Tax)」は課されませんが、支店利益を本国に送金する際には、外貨管理上の手続きが必要です。自己の名義で通関申告を行い、関税を納付します。
    4. 代表処
      企業所得税、流通税(増値税、消費税など)、関税などが課税されます。企業所得税は税務部門で査定された納税方式で納付します(通常、事実に基づき申告納税する、経費の支出に基づき収入を換算してから徴収する、収入総額に基づき課税所得額を査定する、という3つの課税方式がある)。自己の名義で通関申告を行い、関税を納付します。

関係機関

関係法令

調査時点:2014年10月
最終更新:2025年9月

記事番号: C-130308

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