製品表示ラベルの要求:中国向け輸出

質問

中国へ商品を輸出する際の製品表⽰ラベルの要求について教えてください。

回答

中国における輸⼊商品のラベル記載内容は、「製品品質法」等の規定に基づき、以下の内容が求められます。化粧品や薬品、食品といった特定の製品カテゴリーのラベルには更に細かい要求があるのでご留意下さい。

Ⅰ. 各製品に共通の表示項目

  1. 中国語表記の製品名称:

    製品またはその包装上の名称は、真実でなければなりません。これは、製品の実際の内容と名称が一致し、消費者に誤解を与えないよう定めるものです。他社の登録商標を侵害しないよう、中華人民共和国商標法等の関連法規にも従う必要があります。

  2. 中国国内責任者(輸入業者・販売業者・代理業者)の名称および所在地:

    中国国内で当該製品の輸入、販売、またはその品質責任を負う企業の正式名称(中国語)およびその中国国内での登録住所を明確に表示する必要があります。その根拠は以下の通りです。:

    製品品質法第27条には、製造工場名と工場住所の記載義務が規定されていますが、これは中国国内で生産される製品に主眼を置いた一般的な規定です。輸入品に関して、中国国内責任者情報の記載が必須となる理由は、中国の関連法規が輸入品の品質責任を中国国内の輸入者・販売者に負わせているためです。

    同法第29条では、「販売者が製品の品質上の欠陥によって他人の人身または財産に損害を与えた場合、その損害賠償責任を負わなければならない」と定めています。また、「製品の欠陥が製造者または供給者の責任である場合、販売者は賠償後、製造者または供給者に求償する権利を有する」と続きます。これにより、販売者、特に輸入者は、中国国内における最終的な品質責任者としての役割を担うことになります。

    また、消費者権益保護法39条では、「消費者権益が侵害された場合、消費者は販売者に賠償を請求できる」と規定しており、輸入製品の場合、中国国内の販売者がこの賠償責任を負う対象となります。

  3. 原産国または地域名
  4. 海外製造者(生産者)の名称および所在地:

    製品品質法第27条第2号では、「製造工場名と工場住所があること」と規定されていますが、これは中国国内で生産される製品に対する一般的な規定です。

    輸入製品については、原則として上記の中国国内責任者の情報と原産国名の記載がされていれば、海外製造者(工場)の名称および所在地の記載は、別途義務付けられていない限り、一律に必須ではありません。

    しかし、食品や化粧品、薬品など特定の製品カテゴリーでは、トレーサビリティ確保や消費者保護の観点から、個別の強制性国家標準(GB規格)や行政管理規定により、海外の製造者(生産者)の名称および所在地(工場住所)の表示が義務付けられています。

    具体的に海外製造者情報の記載が義務付けられている製品の例は、「特定の製品カテゴリーに関する詳細な要求」で後述します。 これらの製品以外では、海外製造者情報の表示は推奨されますが、必須とは限りません。

  5. 製品品質検査合格証明:

    製品の品質検査合格証明は、製品が国家標準等への適合により特定の品質基準を満たしていることを示す重要なものです。合格証明の具体的な表示方法は、製品の種類や業界、企業の運用によって異なりますが、一般的には以下の方法がとられます。

    1. スタンプまたはシール
      製品自体や包装に直接「合格」などの文字を記載したスタンプを押したり、シールを貼付したりするのが最も一般的です。ご認識の通り、通常は単なる合格等と記載したスタンプを押すことが多いです。
    2. ラベルやタグ
      製品情報の一部として、合格した旨が記載されたラベルやタグが取り付けられることもあります。
    3. 電子的な情報
      QRコードなどを利用し、合格証明の詳細情報を電子的に提供するケースも増えています。
  6. 強制性国家標準(GB)への適合表示:

    該当する強制性国家標準が存在する場合、当該標準に合致している旨をラベルに明記する必要があります。

Ⅱ. 製品の特性に応じた表示項目

製品の特性により、通常以下の内容も表示する必要があります。これらの詳細な要求は、各製品カテゴリーの具体的な国家標準や管理規定に定められています。

  1. 製造日、品質保証期間、または有効期限:

    「製造日と安全使用期間」の両方を表示する方法と、「有効期限」のみを表示する方法があります。

  2. 規格、等級、数量、正味容量、主要成分:

    製品の特徴や使用要求に基づき、これらの情報を表示します。

  3. 警告表示または説明:

    不適切な使用が製品自体の損傷や、人身・財産の安全を脅かす可能性がある製品には、警告マークまたは中国語での警告説明が必要です。

  4. 据付、メンテナンス、使用方法の説明:

    構造が複雑で、据付や使用が容易でない製品には、具体的な説明が必要です。

  5. 製品認証マーク:

    「強制製品認証実施製品目録」に記載されている製品には、CCC認証マークなどの関連する認証マークの表示が求められます。

  6. 電気電子製品の表示要件:

    電気電子製品については、「電気電子製品有害物質使用制限管理弁法に基づき、以下の表示が追加で義務付けられています。

    環境保護使用期限(EPUP)マーク: 製品に含まれる有害物質が、指定された期間(通常は年数)内であれば人や環境に害を及ぼさないことを示すマークです。通常、円形の矢印で囲まれた数字(年数)で表示されます。

    有害物質含有表示: 製品中の有害物質の有無を示す表示です。これは、製品全体または均質材料レベルでの有害物質の含有状況を、表形式などで明確に示す必要があります。 詳細は、貿易・投資相談Q&A「中国版RoHSに関する留意点」をご覧ください。

Ⅲ. 特殊な製品の表示項目

特殊な製品の表示項目ついては、次のような要求があります。

  1. 化粧品のラベルには製品名称、製造企業名称、製造国、製造企業所在地、容量、ロット番号、使⽤期限、使⽤上の注意事項、輸⼊特殊用途化粧品衛⽣許可証番号または輸入非特殊用途化粧品届出番号、中国で責任のある業者(輸⼊業者または販売業者)名称および所在地などを表⽰することが求められます。詳細は、化粧品の現地輸入規則および留意点:中国向け輸出をご覧ください。
  2. 薬品のラベルは、薬品に直接接触する「内部ラベル」と、それ以外の「外部ラベル」に分けられます。

    内部ラベルには、少なくとも薬品の通用名称、規格、ロット番号、有効期限を表示します。もしスペースが余っていれば、上記項目の内容のほかに、適応症または主な効能、用法用量、製造日、製造企業(海外の製造元)なども記載します。

    外部ラベルには、薬品の通用名称、成分、性状、適応症または主な効能、規格、用法用量、不良反応、禁忌事項、注意事項、貯蔵条件、製造日、ロット番号、有効期間、許可証番号、製造企業(海外の製造元)などの内容を表示します。

    輸入医薬品については、中国国内の責任のある業者(法人)の名称・住所・連絡先の表示が義務付けられています。

  3. ⾷品ラベルには⾷品名称、海外の製造者の名称、住所、原産地および代理業者、輸⼊業者、販売業者のいずれかが登記登録した名称・所在地、製造⽇、品質保証期間、保存条件、正味容量、規格、成分または配合表、添加剤の国家標準における通⽤名称、アレルゲン表示、法規または⾷品安全基準にて定められている表⽰すべきその他事項などを含むことが求められます。
  4. ⽣産許可証制度を実施する⼯業製品(詳細は「⽣産許可証制度を実施する⼯業製品⽬録」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますをご参照ください)について、委託⽅式を採⽤して加⼯⽣産する場合、企業は製品またはその包装、説明書において委託企業の名称、住所、および受託企業の名称、住所、⽣産許可証標識と番号を表⽰しなければなりません。もし委託企業が委託加⼯を⾏う製品の⽣産許可証を具備している場合、委託企業の⽣産許可証標識と番号も表⽰しなければなりません。ただし、「工業製品生産許可証(IPPL)」は主に中国国内の製造企業が対象とする制度であり、その「生産許可の識別マーク」を海外製造の輸入製品のラベルに表示する義務は、原則としてありません。

上記表⽰は中国語(簡体字)で作成する必要があり、中国語ピンイン(中国語の読みをアルファベット表記したもの)または外国語を併記することもできますが、中国語ピンインおよび外国語は中国語より⼩さく表⽰します。製品表⽰で使⽤する漢字、数字およびアルファベットのフォントの大きさは1.8ミリ以上です。輸⼊製品によってラベルの表⽰要求は異なります。実際に取り扱う際には、現地の政府主管部⾨に事前に確認するようお勧めします。

関係機関

関係法令

中国国家知的財産権局:
中国製品品質法(2018年12月19日改正施行)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
国家市場監督管理総局:
中国食品安全法(2021年4月29日改正)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
中国国家薬品監督管理局:
化粧品ラベル管理弁法(公告2021年第77号、2021年6月3日施行)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
薬品説明書及びラベル管理規定(国家食品薬品監督管理局令第24号、2006年6月1日施行) 外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

調査時間:2015年8月
最終更新:2025年10月

記事番号: C-130306

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