信用状の「TT Reimbursement is acceptable」の意味:日本

質問

輸入代金決済を米ドル建て信用状で行いますが、輸出者より信用状に「TT Reimbursement is acceptable」の文言を付すよう要請がありました。この文言の意味は何でしょうか。

回答

信用状取引において当事者間では、信用状統一規則(現行はUCP600)等のICC制定の各国際ルールに従うことを決めていますが、特に銀行間の代金決済では、「ICC荷為替信用状に基づく銀行間補償に関する統一規則(ICC Uniform Rules for Bank-to-Bank Reimbursements under Documentary Credits, ICC Publication No.725: URR725)」の適用を信用状面に明記します。このURR725を適用しない場合、信用状には別途銀行間補償の取り決めを明記しなければなりません(UCP第13条)。「TT Reimbursement is acceptable」は、輸出手形の買取銀行が信用状に定められた補償銀行に資金の請求を電信で行うことを許容するという意味です。

I. テレトランスミッション(TT)

通常、輸出地における荷為替手形の買取銀行は、信用状による代金決済を行う場合、資金を補償銀行に請求します。この補償銀行に対する資金請求方法には、TT(テレトランスミッション)と、郵送があります。

補償銀行に対する補償請求をTT(テレトランスミッション)にて行うか否かについて、輸入者は信用状(L/C)の開設時に発行銀行に対して明らかにする必要があります。但し、何も書かれていない場合は、銀行間補償規則(URR725)では、TTで行うものと解釈されます。

TTを認める場合には「TT Reimbursement is acceptable」という文言(TTR許容文言と言われます)が信用状に付されます。この方法では、手形の買取と同時に補償請求がなされ、決済までの日数が短くなるので、郵送の場合と比べ、輸出者にとって利息負担が少なくなるというメリットがあります。ご質問の場合も、金利負担を避けるために、輸出者より輸入者に対してTTR許容文言を入れるように要請してきたものと思われます。

これに対し、補償請求をTTで行うと困る場合は、「TT Reimbursement is prohibited」という文言(TTR禁止文言と言われます)が入ります。この方法では、補償請求が郵便で行われるために、輸出者にとって金利負担増となります。しかし、輸入者にとっては、船積書類にディスクレ(不一致)が発見された場合でも支払いをストップさせるなどの対応を取る余裕が生じますので、より慎重に対応する必要がある取引などの場合に使われます。

II. TTRのメリット

わが国で発行される米ドル建て輸入信用状は、通常、米国所在の発行銀行支店(もしくはニューヨーク所在のマネー・センターと称される大銀行)を補償銀行として利用しますが、TTR許容文言により、輸出国の買取銀行は、TTRを実行した旨を発行銀行あてに電信で通知し、買取依頼人(=輸出者)にはTTR実行即日に手形代わり金を支払います。すなわち、輸出者は通常ならば郵便で行なわれる補償請求で金利負担(=郵便日数立替期間金利:Mail Days Interest)が発生するところ、このような金利負担がなくなるので、輸出者側のメリットとなります。

III. TTRの決済方法

信用状発行銀行は、TTR実行の受信により、信用状発行依頼人(=輸入者)と直ちに決済を行なう場合と、書類到着後に一覧払い決済または輸入ユーザンスを供与する場合があります。輸入者(信用状発行依頼人)は、TTRにより直ちに決済すれば金利負担はありません。書類入手前に代金が支払われることになりますが、万が一、到着した書類に信用状条件の不備が発見され、手形代わり金を取り戻すことになっても、手形代わり金の全額およびその間の立替金利や諸費用を買取銀行あてに請求(Compensation)する権利が認められています(UCP600第16条g項)。したがって、買取銀行が倒産するような場合を除いて、不都合はほとんどありません。なお、書類到着後の一覧払い決済(信用状付一覧払輸入手形決済相場=Acceptance Rateが適用されます。この相場は郵便日数立替期間金利が反映されています)や、輸入ユーザンス利用の場合は、TTRにより発行銀行の決済勘定が引き落とされた日からの金利を負担することになります。

参考資料・情報

ICC信用状統一規則(通称UCP600、2007年改訂版)
(ICC Uniform Customs and Practice for Documentary Credits, 2007 Revision: UCP600)
「ICC荷為替信用状に基づく銀行間補償に関する統一規則URR725」
(ICC Uniform Rules for Bank-to-Bank Reimbursements under Documentary Credits, ICC Publication No. 725: URR725)
英和対訳本は、いずれも 国際商業会議所日本委員会外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで入手可能です。

調査時点:2011年9月
最終更新:2017年9月

記事番号: A-A21248

ご質問・お問い合わせ

記載内容に関するお問い合わせ

貿易投資相談Q&Aの記載内容に関するお問い合わせは、オンラインまたはお電話でご相談を受け付けています。こちらのページをご覧ください。