コンテナ輸送の場合の貨物の包装・荷印:日本

質問

コンテナ輸送の場合、貨物の包装や荷印はどのようにすればよいのでしょうか。

回答

在来船積み・コンテナ積みを問わず、包装や荷印の基本は同じです。

I. 包装(packaging)

JIS規格では包装を「物品の輸送、保管、取引、使用などに当たって、その価値および状態を維持するために適切な材料、容器などを用いて保護する技術および保護した状態をいい、これを個装、内装および外装の三種に大別する」と定義しています(JIS Z 0111)。
ここでは外装(outer packaging)について説明します。

  1. 外装とは「包装貨物の外部の包装で、物品又は包装物品を箱、袋、たる、缶などの容器などに入れ、もしくは無容器のまま結束し、記号、荷印などを施す技術、または施した状態」と定義されています(JIS Z 0108)。
    在来船積みとは異なり、コンテナ積の場合、頑強な梱包は不要ですが、国際輸送に耐える耐航性(seaworthiness)が要求されます。包装材料には、物品を保護する機能はもちろん、衛生的で、環境への負荷が小さく、安価であるという要素が求められます。近年、包装材料に新たに規制を導入する国が多く、木材利用の場合は消毒処理を義務付けられる場合があります。多くの国は、国際基準(ISPM No.15)を採用していますが、独自の基準を設けている国もあります。輸出相手国側の規制を調査して、それに沿った処理をした木材梱包材を使用する必要があります。
  2. コンテナ輸送運賃にボックスレートがよく利用されるようになりました。この場合、コンテナに空きスペースを残さず、最も効率良く積載できるサイズの梱包にする必要があります。これにより運賃を始めとする単位当たりの諸経費が節約できます。

II. 荷印(shipping mark)

荷印の目的は次のとおりです。

  1. 目的地への確実な到着(目的地を明確に記載し、経由地があれば記載します)。
  2. 即座に認識できる(荷受人マークなどによって貨物の認識できます)。
  3. 取扱の注意喚起ができる(必要に応じ、破損注意(FRAGILE)や天地指定(THIS SIDE UP)などケアマーク(Care Mark)を記載することにより貨物の損傷を防ぐことができます)。

客先の要請や輸出相手国側のルールに対応して、荷受人マーク、原産国、取扱注意マークなどを記載します。

(参考)米国カリフォルニア州 Oakland港で陸揚げし、Stocktonまで内陸輸送の荷印の例

FRAGILE: 破損注意−商品により必要な場合
ABC: 荷受人マーク(Consignee's Mark, Main Mark)
NO.1-up:梱包番号(Package No.) (注1)
STOCKTON:最終目的地(Final Destination)
VIA:経由(Through−もしあれば記載)
OAKLAND:陸揚港(Discharging Port) (注2)
MADE IN JAPAN:原産国(Country of Origin)

(注1)梱包番号(Package No.)のことです。梱包の数分、NO.1、 NO.2、NO.3と昇順に番号を付けます。梱包の総数が10個あり、その1番目、2番目の場合、NO.1/10、 NO.2/10と番号を付けるときもあります。
(注2)Oaklandが最終目的地ならSTOCKTON VIA は不要です。

III. Van Mark

買手までFCL一貫輸送(door to door)の増加に伴い、買手より個別梱包にシッピングマークをしないよう要求されることがあります。この場合、個別梱包にはシッピングマークを貼付せず、代わりにコンテナにVan Mark(コンテナに貼るシッピングマーク)を貼付します。インボイスやパッキングリストの Marks & Nos.;には Van Markと記載します。買手との事前合意が必要で、かつ相手国側の輸入規制に反しないことが条件です。

貼付する場所は、コンテナのドアの内側です。ただし、バルクカーゴの場合は例外的に外側に貼付されます。外側に添付することにより、コンテナ荷役作業時や航海中にはがれる可能性があります。また商品の特性上盗難の危険性が高い場合、Van Markからコンテナの中身を推測されないようにするため、内側に添付します。買手と充分打ち合わせをすることが必要です。

参考資料・情報

(社)国際フレイトフォワーダーズ協会「フォワーディング業務の入門手引書」2021年3月発行(第5版)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

調査時点:2011年8月
最終更新:2022年12月

記事番号: A-A10829

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