環境規制:EU

EUの環境規制の概要について教えてください。

欧州では、以前から資源の有効利用や環境保護への取組みが進められています。主な規制としては、ELV指令、包装廃棄物指令、RoHS指令、WEEE指令、EuP指令およびREACH規則があります。これらの概要は以下のとおりです。


I. ELV (End-of Life Vehicles)指令(欧州議会・理事会指令 2000/53/EC)
1990年の欧州理事会決議で、使用済み自動車についてECレベルで処理すべき廃棄物であることが確認され、2000年10月に発効しました。使用済み自動車の解体、リサイクル率、回収ネットワークや環境負荷物質 [注]に関する規制、自動車排ガス規制などが定められています。
[注]原則として、鉛、水銀、カドミウムおよび六価クロムの使用を禁止。
欧州委員会は2011年3月、ELV指令(2000/53/EC)の附属書II(適用除外リスト)を改正する委員会指令(2011/37/EC)を官報で公布しました。


II. 包装廃棄物指令 (Directive on Packaging and Packaging Waste)(欧州議会・理事会指令 94/62/EC)
1994年12月に採択された指令で、包装廃棄物による環境汚染の防止と抑制を目指し、EU加盟国に使用済み包装廃棄物の再利用、リカバリー、リサイクルの目標レベルを設定したものです。EU域内市場に流通するすべての包装物と、使用・廃棄される場所やその素材にかかわらず、すべての包装廃棄物に対して適用されます。改正指令により、リサイクル率などの達成目標値等が順次、設定されています。
欧州委員会は2013年2月、包装廃棄物指令(94/62/EC)の附属書Iを改正し、「包装」の定義の明確化のための具体例を示す委員会指令(2013/2/EU)を官報で公布しました。


III. RoHS指令(Directive on the Restriction of the use of certain Hazardous Substances in electrical equipment)
1. 改正前RoHS指令(欧州議会・理事会指令 2002/95/EC)
電気電子機器に関する特定有害物質の使用制限に関する指令で、2003年2月に公布されました。2006年7月1日以降、EU市場に上市(put-on-the-market)された電気電子製品に鉛、水銀、カドミウム、六価クロム、ポリ臭化ビフェニール(PBB)、ポリ臭化ジフェニルエーテル(PBDE)の6物質の使用が原則禁止されており、規制対象はAC1000V/DC1500V以下の低格電圧をもつ大型家電、小型家電、情報技術(IT)および電気通信機器、民生用電子機器、照明器具、電気電子工具(据付型大型産業用工具を除く)、玩具・レジャーおよびスポーツ用品、自動販売機の8分類の電気電子機器です。


2. 改正RoHS指令(欧州議会・理事会指令 2011/65/EU)
2011年6月8日付け欧州議会・理事会指令2011/65/EUで改正されました。EU加盟各国は、2013年1月2日までに国内法の制定が義務付けられました。改正のポイントは以下のとおりです。


A. 対象製品
改正前RoHS指令の8分類に医療機器、産業用を含む監視および制御機器、その他の電気電子機器が追加され、11分類のすべての電機電子機器が対象になりました。ただし、一部の製品については、2019年7月までに段階的に規制の対象となります。


B. 適用除外用途
現在の科学・技術では、特定有害物質を使用する以外に代替手段がない場合は、申請により適用除外用途とされます。改正RoHS指令は製品群と用途の除外項目がセットになり、従来の用途除外項目付属書に加え、医療機器と監視制御機器専用の用途除外項目付属書が追加で設定されました。


C. 適合宣言
CEマーキング制度が適用され、上市する前にCEマークを貼付します。適合宣言書や技術文書および販売記録は10年保管となります。


D. 生産者の義務
生産者の義務は、RoHS指令への適合性評価の実施、技術文書の作成、自己宣言、手順書による生産や設計変更の適合性の対応ですが、上市後不適合があればリコールのうえ加盟国の所轄当局への速やかな通知が要求されます。


RoHS指令は、統一市場の構築を目的とするEU 運営条約114 条(旧EC 条約95 条)を根拠に策定されているため、国内法制化に当たって各国の裁量は認められていません。このため、輸出者はEU各国のRoHS法に対して一律に対応することができます。ただし、罰則規定や税関での検査の有無などは各国で状況が異なっていますので、注意が必要です。


IV. WEEE指令(Directive on Waste Electrical and Electronic Equipment)
1. 改正前WEEE指令(欧州議会・理事会指令 2002/96/EC)
EUにおける電気電子機器廃棄物の回収・リサイクルに関する指令で、2005年8月13日から施行され、同時期に告示された電気電子機器への特定有害物質の使用制限に関する指令である改正前RoHS指令と密接に関係しています。家電・電子企業は自社製品の適切な廃棄・回収処理と費用負担が義務付けられています。EU域内各国では、廃棄物回収システムに相違があるので、各国の国内法では国別の相違が見られます。


2. 改正WEEE指令(欧州議会・理事会指令 2012/19/EU)
2012年7月24日に官報で告示され、8月13日に指令が発効しました。加盟各国は2014年2月14日までに国内法の法制化を義務付けられました。改正WEEE指令は以下のとおり段階的に適用されます。 


A. 適用範囲
2018年8月14日まで附属書Iに記載された10カテゴリーの製品が適用対象となります。附属書IIにはそれぞれのカテゴリーに属する製品を例示しています。また、カテゴリー4に太陽光パネルが追加されました。適用除外製品は軍事目的機器など3つあります。

B. 2018年8月15日以降の適用対象
適用範囲は全ての電気電子機器に拡大し、附属書IIIでは移行期間の10カテゴリーから6カテゴリーに集約されています。附属書IVには適用除外製品として宇宙用機器など6品目が追加されています。 リサイクル率は3段階で適用されます。


V.EuP指令 (Directive on Eco-design of Energy-using Products)(欧州議会・理事会指令 2005/32/EU)およびErP指令(Directive on Energy related Products)(欧州議会・理事会指令 2009/125/EC)


1. EuP指令は、エネルギー使用製品の環境配慮設計に関する「枠組み」指令で、2005年8月に発効され、規制対象は、輸送機器を除くエネルギー使用機器のうち、年間販売台数がEU域内で20万台以上、環境に影響があり、大きなコスト負担なしで環境負荷の改善が可能などの条件があります。地球温暖化防止対策の1つとなっています。また、本指令に適合することは、CEマーキング取得の条件にもなっています。対象製品は個々に基準が定められており、本指令は、RoHS指令やWEEE指令等を補完するものといわれています。また、その後、対象製品がEuPからErP (Energy related Products、エネルギーの消費に間接的に影響を与えるもの)に拡大され、「エネルギー関連製品のエコデザイン指令」(ErP指令)として、2009年11月20日に発効しています。 規制内容には一般的エコデザイン要求、特定エコデザイン要求があり、EC適合宣言、CEマーキングが必須になります。適合製品には、エコラベルの貼付が義務付けられます。


2. 実施措置
EuP指令発効後、第一次Working Plan着手に先行して、2005年から2008年の間に24のプロダクツ・グループが実施措置採択を目標として策定され、このうち13のプロダクツ・グループの実施措置が施行済みとなっています。

A. 第一次Working Plan
EuP指令に基づき、2009年から2011年の期間に実現すべき実施措置として10製品グループの策定が発表されています。

B. 第二次Working Plan
ErP指令に基づき、2012年から2014年の期間に実現すべき実施措置として12製品グループの策定が発表されました。


VI. REACH規則 (the Registration, Evaluation, Authorization and Restriction of Chemicals)(欧州議会・理事会規則 (EC) No 1907/2006)
2007年6月1日に発効した「化学物質の登録・評価・認可・制限に関する規則」で、運用を担当する機関は、欧州化学品庁(European Chemicals Agency:ECHA)です。


2008年6月1日以降、製造者または輸入者は1企業当たり年間1トン以上EU域内で化学物質を製造または輸入する場合は、既存化学物質と新規化学物質の区別なく、ECHAに登録をしなければならなくなりました。欧州既存商業化化学物質リスト(EINECS)などの段階的導入物質については、経過的措置として、予備登録(Pre-registration)を行うことによって、登録期限に猶予が与えられました。その後、当該物質関係は登録段階に入っています。
また、当該物質の製造者および輸入者は、「CLP規則(EC)No1272/2008」に沿って化学物質の分類、表示、包装を義務付けられました。


VII. EU ETS (European Union Emission Trading Scheme、欧州連合域内排出量取引制度)
EU域内の気候変動に対する政策の柱として2005年1月から導入されている、域内での二酸化炭素 (CO2)排出量取引制度です。京都議定書の排出削減目標を達成するための取組みで、フェーズ別に目標値を定めています。EU全域で約1万2,000の施設が対象になっており、主に発電、石油精製、鉄鋼、セメント、化学製品、大型ボイラー等、エネルギー集約部門多消費施設が対象です。
欧州委員会は2006年にEU域内を離着陸する航空機を対象に温室効果ガスの排出規制を導入することを決めました。EU域内の路線を飛ぶ航空機(EU域内の国内線および国際線)は2011年から、EU域内の空港を発着してEU域外と結ぶ全ての国際線の航空機には2012年から適用されることになりました。新規制は、現在欧州連合内で行われている他産業での温室効果ガス排出量削減のための「排出量取引制度」に航空を含めるかたちとなり、航空会社に2004〜2006年の二酸化炭素(CO2)排出量の平均値を基準とした排出枠を割り当てるものです。適用年度以降は排出量がこれを超えた航空会社はEU取引市場で排出権を買い取り、排出超過分を補う必要があります。
しかし、欧州委員会は2012年11月、2012年1月に導入した域内を発着して、EU域外と結ぶ全ての国際線の航空機を対象とした温暖化ガス排出規制について一時凍結すると発表しました。割当てを超える温暖化ガスを排出する航空会社は、EUの排出枠取引制度の中で排出枠を購入しなければならず、航空会社にとって負担になるとの見方があり、米国や中国などから強い反対意見が出ていました。


以上のとおり、EUの環境規制には多くの種類があり、規制対象は幅広い業種に及んでいます。規制内容などの詳細については、随時見直しや修正が行われていますので、常に動向に注意することが肝要です。


関係法令
EVL指令(欧州議会・理事会指令 2000/53/EC)  
ELV指令の附属書II(適用除外リスト)改正(欧州委員会指令 2011/37/EU)
包装廃棄物指令(欧州議会・理事会指令 94/62/EC)
RoHS指令(欧州議会・理事会指令 2002/95/EC)
改正RoHS指令(欧州議会・理事会指令 2011/65/EU)
改正前WEEE指令(欧州議会・理事会指令 2002/96/EC)
改正WEEE指令(欧州議会・理事会指令 2012/19/EU)
EuP指令(欧州議会・理事会指令 2005/32/EU)  
ErP指令(欧州議会・理事会指令 2009/125/EC)
REACH規則(欧州議会・理事会規則(EC)No 1907/2006)
CLP規則(欧州議会・理事会規則(EC)No 1272/2008


参考情報・資料
欧州委員会:
EuP指令およびErP指令の実施措置  
EU ETS (欧州連合域内排出量取引制度)  
欧州委員会環境部会  


調査時点:2015/02

記事番号: A-081201

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