小口貨物の通関制度:インドネシア
質問
インドネシアの小口輸入通関制度について教えてください。
回答
インドネシアにおける商業用の輸入通関制度には、貨物の大口・小口という仕分けは基本的になく、小口貨物であっても、一般貨物と同様の輸入手続きをとる必要があります。
また、少額免税制度は、以下のとおり貨物の種類に応じて規定されています。
Ⅰ. 国際宅配便および国際郵便
財務大臣規定2023年第96号 (財務大臣規定2023年第111号、2025年第4号で変更)により、政府に指名された郵便事業者と宅配事業者による郵送品の輸入通関について規定されています。特に使用目的の輸入については、
- 通関価額 3 ドルまでは関税は免除され、所得税の徴収はありませんが、付加価値税(VAT)はかかります。荷物送り状(Consignment Note=CN)で輸入申告し、通関検査後、搬出許可が出されます。
- 通関価額が 3 ドル超 1,500 ドルまでは原則 7.5%の輸入関税と VAT がかかりますが、所得税はかかりません。CN で輸入申告し、通関検査の後に輸入関税・物品税・租税納付決定書(SPPBMCP)が発行されて、これが搬出許可として機能します。
- 通関価額が 1,500 ドル超の場合は、品目ごとに関税率を決定するため、荷受人が法人であれば輸入申告書(PIB)、非法人は特別輸入申告書(PIBK)を提出、通関検査後に搬出許可が発行されます。
なお、1送付あたり3USドルから1,500USドルの小口貨物でも、以下のHSコードのものは、特定関税が設定されています。
- 書籍その他の物品であって、第49.01項、第49.02項、第49.03項及び第49.04項に分類されるものについては、0%。
- 送付品で以下のものについては15%
- 化粧品又は美容製剤(第33.03項、第33.04項、第33.05項、第33.06項及び第33.07項に属するもの)
- 鉄鋼製品(第73類に属するもの)
- 腕時計(第91.01項及び第91.02項に属するもの)
- 送付品で以下のものについては25%
- バッグ、スーツケースその他これらに類する物品(第42.02項に属するもの)
- 繊維製品、衣類その他これらに類する物品(第61類、第62類及び第63類に属するもの)
- 履物、靴その他これらに類する物品(第64類に属するもの)
- 自転車、スクーターその他これらに類する物品(電動機を有するもの。完全に分解した状態を除く。)で、HS:8711.60.92、HS:8711.60.93、HS:8711.60.94、HS: 8711.60.95、HS:8711.60.99に分類されるもの。
- 非電動自転車で、HS: 87.12に分類されるもの。
Ⅱ. サンプル
以下の条件を満たした商品サンプルについては関税および物品税が免除されます(「財務大臣決定No.140/KMK.05/1997」)。
- サンプルが1つの商標・モデル・タイプにつき3個までであること
- 生産品・新製品を知るために使用されることを目的としていること
- 品質改良や研究を除き加工されず、かつ譲渡、販売および消費目的ではないこと
ちなみに、重機を含む車両はサンプルとはみなされません。
サンプル輸入品の免除を受けるには以下を同封した申請書を税関長または税関職員に提出が必要です。
- 輸入税および物品税の免除が要求される商品の数量と種類、およびその関税額の詳細。
- 関連する技術部門からの推奨事項。
Ⅲ. 旅行者の携行品
財務大臣規定規則2017年第203号(No.203/PMK.04/2017)は、運送手段の乗客・乗員の国内からの持ち出し、国内への持ち込み品の通関について規定しています。
インドネシアに入国した乗客・乗員は、パーソナルユーズ/ノンパーソナルユー ズのものについてカスタムデクラレーションの義務があります。うち、乗客が海外で取得したものは、その価額が 1 人につき 500 ドルまでは輸入関税が免除されますが、500 ドルを超えた分については輸入関税が徴収されます。また、入国した乗客は、成人 1 人につきシガレット 200 本、葉巻 25 本、タバコの葉など 100 グラム、アルコール飲料 1 リットルまでは物品税が免除されますが、これらを超える分は廃棄処分されます。
Ⅳ. 引越し貨物
引越し貨物の輸入に対する関税は免除されます(「財務大臣規定2025年第25号 PMK/25/2025)。
引っ越し荷物の免税を受けるためには、12カ月以上の就労限定滞在ビザおよび就労限定滞在許可証が必要となります。自動車、オートバイ、ボート、航空機、およびそれらの部品、移転物品として不当な量で輸入される貨物は、引っ越し荷物の免税対象から除かれます。また、引っ越し荷物は移転者が海外に居住していた国と同じ国から発送され、貨物は、所有者の到着日の前後90日以内に到着させる必要があります。
関係法令
調査時点:2015年8月
最終更新:2025年8月
記事番号: A-061106
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