医療機器の現地輸入規則および留意点:中国向け輸出

質問

中国向けに医療機器を輸出する際の現地輸入規則と留意点について教えてください。

回答

I. 医療機器の定義

「医療機器監督管理条例」(以下、「条例」)では「医療機器」を定義しています。この主旨は国際的な定義、ISO13485の定義とほぼ同じです。

II. 医療機器の分類

中国で⽣産、販売(取扱い)および使⽤される医療機器は、上記「条例」により、その安全性や有効性に対する管理の程度によって、次の3種類に分類されます。これをベースに、国家薬品監督管理局(NMPA)または省級・区を設けている市級食品薬品監督管理部⾨への届出を経ていなければ(下記の第I類医療機器)、または審査を経て、「医療機器登録証」を取得しなければ(下記の第II類、第III類医療機器)、⽣産、販売および使⽤はできません。

第I類:低リスク、通常の管理によって、その安全性、有効性を保証できる医療機器
第II類:中リスク、その安全性、有効性を保証するためには厳格な管理が必要とされる医療機器
第III類:高リスク、その安全性、有効性を保証するために特別な措置を通じて厳格な管理が必要とされる医療機器

III. 輸入医療機器の届出・登録

初めて輸⼊される医療機器は、種類を問わず、届出⼈および登録申請者(中国国内の代理⼈)が医療機器の製品リスク分析資料、製品技術要求、製品検査報告、臨床評価資料、製品取扱説明書およびラベルのサンプル、製品の研究製造、⽣産に関する品質管理体系⽂書などの関連資料を提出し、NMPA に届出あるいは登録を申請します(条例による)。届出書および「医療機器登録証」を取得した後、輸⼊港の税関に輸⼊⼿続きを申請します。「医療機器登録証」の有効期限は5年です。有効期間が満了するまでの6カ⽉以内に再登録の申請が必要です。
なお、登録手続き代理人以外の中国企業も輸入者となることが可能であり、輸入通関時には税関に対し登録証原本を提示することとなります。これに対し輸出側は、登録されたメーカー以外、輸出者となることはできません。
輸⼊医療機器には、中国語の取扱説明書と中国語のラベルを必ず貼付します。また、中国国外の医療機器⽣産企業は品質管理体系において、中国国内で販売、使⽤する医療機器が「医療機器説明書およびラベル管理規定」に適合することを保証する管理⼿続きを確⽴する必要があります。
なお、中国国外の⽣産企業は、輸⼊医療機器の登録⼿続きにあたっては、中国国内の機関を代理⼈に指定する必要があります。また、医療機器のアフターサービスを中国国内で相応の資格を持つ法⼈機関に委託する、もしくは現地⼦会社など中国国内機関に委託しなければなりません。輸⼊医療機器の登録を申請する際、輸⼊医療機器の種類と関連⽬録によっては、⾃主検査報告書(第I類医療機器)あるいは指定された医療機器検査・測定機関による検査報告書(第II類、第III類医療機器)および臨床試験報告書(第II類、第III類医療機器)が必要となります。

IV. 強制性認証(CCC)について

「強制製品認証実施製品⽬録」に該当する製品を輸⼊する場合、当該製品の輸⼊者またはその代理⼈は「強制製品認証管理規定」に基づき、CCC認証を取得する必要があります。⽇本の認証申請代理機関がCCC認証取得の申請代⾏を⾏っています。
ただし、2013年4⽉26⽇の中国国家品質監督検査検疫総局、国家⾷品薬品監督管理総局、国家認証認可監督管理委員会の連名公告(2013年第52号)が公布され、現在、CCC認証を必要とする医療機器はありません。なお、2020年4月21日、国家市場監督管理総局より公布され、同日発効の新たな「強制製品認証実施製品⽬録」にも、医療機器はCCC認証の対象外と規定されています。

V. 機電製品輸入許可の取得

HS9018、9022に属する中古の医療機器は輸⼊禁⽌です(「機電製品輸⼊管理弁法」商務部、税関総署、国家品質監督検査検疫総局令2008年第7号、および「輸⼊禁⽌貨物⽬録(第⼆期)」)。また、「自動輸入許可管理貨物目録」に記載のある⼀部の医療機器は、商務部または地⽅、関係機関の機電製品輸出輸⼊弁公室に「⾃動輸⼊許可」の申請・取得が必要です。

VI.オーダーメイド医療機器

「オーダーメイド医療機器監督管理規則(試行版)」は、2020年1月1日から施行されました。オーダーメイド医療機器とは、指定患者の希少で、特殊な傷病状況を満足させるために、医療機器メーカーが医療機関の特殊な臨床需要に基づいて設計し、生産される医療機器です。当該規定の施行によって、従来の標準規格に従って量産される医療機器以外に、海外医療機器メーカーが中国にオーダーメイド医療機器を輸出することができるようになりました。当該規定によると、オーダーメイド医療機器生産企業は、同じ種類の標準規格に基づいて量産される「医療機器登録証」および相応の生産許可証を持つ必要があります。(国外生産企業は、登録地もしくは生産地にある国または地域の医療機器主管部門が発行する企業資格証明書を持つ必要があります)。オーダーメイド医療機器については、登録する必要がなく、届出制度を実行し、輸入製品代理人が所在地の省、自治区、直轄市の薬品監督管理部門に届出をします。また、オーダーメイド医療機器が発売された後も、⽣産に関する品質管理体系、医療機器ラベル説明書、不良事件有害事象監視、製品のトレーサビリティなどの要求を遵守する必要があります。

VII.輸入医療機器の中国国内企業による生産

これまでは、輸入医療機器の国産化生産を実現するためには、国外登録者が製品と技術許可を国内企業に譲渡した後、国内企業によりもう一度関連製品を届出または登録を申請しなければなりませんでした。第I類医療機器および一部の臨床試験が免除される製品を除き、登録検査、臨床評価、資料申請のすべての手続きを行う必要があります。これにより、登録者は同じ製品の登録について重複して資料を準備しなければならないため、一部の医療機器の国産化を遅らせ、制約することになります。輸入医療機器の中国での現地生産を促進するため、2020年9月18日、国家薬品監督管理局は「輸入医療機器の中国国内企業による生産に関する公告」を公布しました。当該規定により、輸入医療機器登録証を取得した第II類医療機器、第III類医療機器の輸入医療機器および体外診断用医薬品の海外登録者は、中国国内に設立された外商投資企業(相応の生産許可証が必要)を通じて国内登録者として同じ製品に対して国内医療機器登録申請を提出することができます。また、登録プロセスを速めるために、国内登録者は薬監局に申請資料を提出する時、一部の申請資料を輸入医療機器の元の登録申請資料で代替し、提出することができます。当該規定の施行によって、企業にとっては、サプライチェーン最適化および生産コスト低減が実現する可能性があります。

VIII.その他の留意点

  1. 国家品質監督検査検疫総局によって、2007年6⽉に「輸⼊医療機器検査監督管理弁法」が公布されました。しかし、同管理弁法の施⾏予定⽇前⽇の同年11⽉30⽇に、国家品質監督検査検疫総局によって、管理弁法の施⾏を⾒合わせる公告が発表されました。同管理弁法は現在、施⾏⾒合わせの状態にあり、今後の動向に注意が必要です。
  2. 医療機器を日本から輸出する際の留意点
    ⽇本国内で流通している製品をそのまま輸出するのではなく、中国現地向け仕様に変更したもの(国内流通品の容器・外箱のデザインや表⽰語を現地向けに変更したものも含む)を輸出する場合、「輸出⽤医療機器製造・輸⼊届書」を厚⽣労働⼤⾂(届出窓⼝は独⽴⾏政法⼈医薬品医療機器総合機構)に提出し(提出数︓正本1、副本2、うち副本1通は返却される)、輸出通関の際には輸出通関書類にそのコピーを添付します。また、医療機器も安全保障貿易管理上のキャッチオール規制対象品であるため、輸出通関の際、安全保障貿易管理規制品に該当しないことを⾃⼰判定した該⾮判定書を提出する必要があります。⾃⼰判定の結果、安全保障貿易管理規制の対象になると思われる場合は、経済産業⼤⾂の輸出許可が必要です。
  3. 物品を中国へ輸入する際、税関では、中国の法律法規に基づく輸入許可が必要な物品について、関連行政許可書などを取得しているかを確認します。なお、ここでご留意いただきたいのは、すべての物品が「輸入許可を取得できなければ輸入できない」というわけではない、という点です。すなわち、輸入許可は中国の法律法規に定められた一部の医療機器についてのみ、取得を要するとされています。このため、同じ医療機器であっても、日常生活で一般的に利用され、電気製品に属さず、人体に大きな影響を及ぼす可能性の低いコンタクトレンズについては、「輸入に際し許可を取得せよ」との規制は設けられていないため、税関による抜き取り検査で不備などを指摘されなければ、問題なく通関できることとなります。もっとも、輸入時において税関は全ての輸入製品に対しサンプリング検査をする権限を有しておりますので、この点はご留意ください。なお、同じ医療機器でも超音波診断装置については、「6OA」という監督管理条件が付せられています。この条件の意味するところは、6:中古電気製品輸入禁止、O:自動輸入許可書、A:貨物通関書類ですので、輸入許可の取得が必要となります。
    医療機器ごとの監督管理条件を調べる方法は、中国へ輸入する都度、通関業者もしくは以下の税関総署のページなどを使って、輸入物品のHSコードと、税関に物品の監督管理条件を確認することとなります。具体的には、中国税関総署HP外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますにて「貨品名称」の欄に商品名を入力しますと、該当するHSコードが表示されます。
    よく利用される確認方法は、(1)税関の問い合わせ電話12360へ直接電話する。(2)「中華人民共和国税関輸出入税則」を確認する、の2つになります。

関係機関

国家市場監督管理総局外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
中国商務部外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
中国税関総署外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
独立行政法人医薬品医療機器総合機構外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

関係法令

中国国務院
医療機器監督管理条例(最新改正日2017年5月4日、2020年12月21日に新改正草案が公布され、実施日不明)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
旧中国国家⾷品薬品監督管理総局(現国家市場監督管理総局)︓
医療機器分類⽬録(国家食品薬品监督管理総局公告2017年第104号、2017年8月31日施行)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
「医療機器分類⽬録」に関する一部の内容を調整する公告(2020年12月18日公布、同日発効)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
第I類医療機器製品⽬録を公布することに関する通告(国家⾷品薬品監督管理総局通告2014年第8号、2014年5⽉30⽇施⾏)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
医療機器登録管理弁法(国家⾷品薬品監督管理総局令第4号、2014年10⽉1⽇施⾏)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
医療機器説明書およびラベル管理規定(国家⾷品薬品監督管理総局令第6号、2014年10⽉1⽇施⾏)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
国家食品薬品監督管理総局が輸入医療機器の登録申請者と届出者名称における中国語の使用に関する公告(2017年10月31日施行)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
国家医薬品監督管理局輸入医療機器の中国国内企業による生産に関する公告(2020年9月18日公布、施行)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
国家品質監督検査検疫総局:
強制製品認証管理規定(国家品質監督検査検疫総局令第117号令、2009年9⽉1⽇施⾏外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
機電製品輸⼊管理弁法(商務部、税関総署、国家品質監督検査検疫総局令2008年第7号、2008年5⽉1⽇施⾏、商務部令2018年第7号により一部改正)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
輸⼊医療機器検査監督管理弁法(国家品質監督検査検疫総局令第95号、未施⾏)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
「輸⼊医療機器検査監督管理弁法」の施⾏をしばらく⾒合わせることに関する公告(国家品質監督検査検疫総局公告2007年第172号、2007年11⽉30⽇施⾏)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
⼀部医療機器製品に対する強制的な製品認証管理を廃⽌する公告(中国国家品質監督検査検疫総局、国家⾷品薬品監督管理総局、国家認証認可監督管理委員会の連合公告2013年第52号、2013年4⽉26⽇施⾏)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
中国国家認証認可監督管理委員会(現国家市場監督管理総局):
強制製品認証実施製品⽬録(国家品質監督検査検疫総局、国家認証認可監督管理委員会公告2020年第18号、2020年4⽉28⽇施⾏)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

調査時点:2014年10月
最終更新:2023年7月

記事番号: A-051123

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