肥料の現地輸入規則および留意点:中国向け輸出

質問

中国向けに肥料を輸出する際の現地規則および留意点について教えてください。

回答

中国では、肥料製品に関して、農業農村部が定める「肥料登記管理制度」が適用されます。この制度は、2022年に改正された「肥料登記管理弁法」に基づいて運用されており、肥料の種類に応じて「登記(登録)」または「備案(届出)」の手続きが義務付けられています。未登記の肥料製品は輸入・販売・使用・広告が禁止されています。なお、肥料の登録・備案状況は、「農業農村部種植業管理司(農薬管理司)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」サイトにて確認可能です。

Ⅰ. 肥料の分類と定義

「肥料登记管理办法》第三条」によれば、肥料は以下の4種類に分類されます:

  1. 無機肥料(例:尿素、リン酸アンモニウム)
    化学肥料(化学合成品)と天然鉱物由来品の両方が含まれます。「化学肥料」は法令上の正式分類ではありませんが、実務上は無機肥料のうち化学合成された製品を指す用語として広く使用されています。
  2. 有機肥料(例:堆肥、腐植酸肥料)
    動植物残渣、畜糞、腐植酸などを原料とする肥料です。
  3. 微生物肥料(例:菌剤、生物有機肥料)
    特定の有効菌種に配合剤(担体、栄養源など)を加えて製品化された肥料です。
  4. 混合肥料(上記の複合製品)
    混合肥料は、有機・無機・微生物成分を複合的に含む肥料です。

Ⅱ. 肥料輸入の規制および手続き

  1. 肥料登記証の取得

    国外の生産者は、中国国内の代理機関に委託して農業部指定機関に申請することができます。申請に際して、「肥料登記資料要求」に基づき製品の化学成分、肥料効用、安全性、ラベル等の資料と代表的な肥料サンプルを提供しなれければなりません。通常、農業農村部認定の試験機関が圃場(ほじょう)試験または圃場(ほじょう)モデル試験を行いますが、国家標準あるいは業界標準に適合し、または肥料登記審査評価委員会が答申し、農業部が認定した製品は、試験の免除が受けられます。
    肥料正式登記証の有効期限は5年で、農業部の許可を得て、登録の更新を行うことができます。

    備案申請では、国家標準または業界標準への適合性を示す品質検査報告書とラベル・説明書の提出が必要です。例外として、尿素、硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、塩化カリウム、過リン酸石灰など、農地で長期使用され、かつ国家標準または業界標準が制定されている17品目の肥料については、登記申請が免除されます。ただし、これらの製品であっても、初回輸入時や製造工程の変更がある場合には、品質検査報告書または標準適合証明書の提出が求められることがあります。
    輸入時には、登記証または備案番号を税関に提示し、品質検査報告書を添付する必要があります。特に初回輸入時には、税関が追加検査を行う可能性があります。

  2. 関税割当管理
    「化学肥料輸入関税割当管理暫定弁法」に基づき、中国政府は一部の化学肥料について関税割当管理を実施しています。関税割当とは、年度内に、国が関税割当管理実施の化学肥料品種と年度市場参入数量を確定し、確定した数量内の輸入は関税割当内税率を適用し、当該数量を超えた輸入は関税割当外税率を適用します。
    関税割当管理を実施する化学肥料は主に「尿素、但し水溶液であるか否かを問わない」(HSコード: 31021000)、「三つの肥料効用要素である窒素、リン、カリウムを含む鉱物性肥料または化学肥料」(HSコード: 31052000)、リン酸水素二アンモニウム(HSコード: 31053000)です。
  3. 国営貿易管理
    「原油、製品油、化学肥料国営貿易輸入経営管理試行弁法」に基づき、中国政府は化学肥料について国営貿易管理を行っています。大部分の化学肥料は国が特別に許可した国営貿易企業が輸入し、非国営貿易企業は一部数量を輸入することができます。
  4. 製品表示
    「肥料登記管理弁法」に基づき、肥料製品の梱包にはラベル、説明書と製品品質検査合格証を備えなければなりません。ラベルと取扱説明書は中国語を使用しかつ以下の要求に適合しなければなりません。
    1. 製品名称、生産企業名称と所在地を明記すること。
    2. 肥料登記証書番号、製品標準番号、有効成分名称と含有量、ネット重量、製造日および品質保証期限を明記すること。
    3. 製品名称と適用推薦作物、区域は登記批准内容と一致すること。

Ⅲ. 留意点

中国市場参入のポイント
化学肥料は農業にとって重要な生産資材であるため、中国におけるその輸入は国営貿易や化学肥料登記等で厳しく規制されています。そのため、海外の輸出業者は、中国の関連政策を研究した上で、中国の協力パートナーを選択しておく必要があります。

関係機関

関係法令

中国農業農村部:
肥料登記管理弁法(農業農村部令2022年第1号、2022年1月7日施行)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
肥料登記資料要求 (農業部公告第161号、2001年5月25日実施)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
肥料登記服務指南(項目編集番号:17003-3、2019年10月14日実施)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
農業部弁公室 農業部肥料登録審査委員会決定事項の通知(2010年2月10日)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
中国税関総署:
化学肥料輸入関税割当管理暫定弁法(旧国家経済貿易委員会、税関総署令第27号、2002年2月1日施行)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
中国商務部:
原油、製品油、化学肥料国営貿易輸入経営管理試行弁法」(旧対外貿易経済合作部2002年第27号令、2002年8月18日施行)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
北京市人民政府:
弁事指南 肥料登記(国家級権限)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

調査時点:2015年9月
最終更新:2025年8月

記事番号: A-051112

ご質問・お問い合わせ

記載内容に関するお問い合わせ

貿易投資相談Q&Aの記載内容に関するお問い合わせは、オンラインまたはお電話でご相談を受け付けています。こちらのページをご覧ください。