原産地規則と原産地証明書:インド
質問
インドの原産地規則・原産地証明書について教えてください。
回答
原産地規則とは、産品の原産地を判定するための基準です。二国間あるいは国際的な協定に基づく特恵関税の適用を受ける場合は協定で定められた原産地規則に従い、一般特恵関税制度(Generalized System of Preference: GSP) に基づく特恵関税の適用を受ける場合には、一般特恵関税供与国が定める一般特恵関税適用のための原産地規則に従います。
I. 原産地規則
一般特恵の原産地証明書発給のための原産地規則は特恵供与国の国内法に従います。経済連携協定の原産地規則は、それぞれの協定で規定されています。
- 原産地規則の基本的な基準
基本的には以下のような基準になっていますが、付加価値の割合や関税番号変更の桁数などは、協定やGSP供与国の定めにより異なります。- 完全生産品
- 非原産材料を用いて加工した産品で、下記の基準を満たすことにより、十分な加工がなされたものとみなし、原産品とする。
- 付加価値基準
- 関税番号変更基準
- 加工工程基準
- 品目別規則
経済連携協定では、品目ごとに原産地規則が規定されています。日本インド包括的経済連携協定では協定文の附属書二(品目別規則)に付加価値基準、関税番号変更基準、加工工程基準のいずれかが規定されており、それ以外の品目には一般ルール(35%の付加価値基準、及び6桁の関税分類変更基準)が適用されます。
II. 原産地証明書
一般特恵関税による優遇税率を受ける場合は一般特恵制度原産地証明書(様式A)が、FTA/EPAによる優遇税率を受ける場合は、FTA/EPA原産地証明書が必要です。また、優遇税率の適用を受けるため以外にも、商取引上求められるもの、輸出先国の国内法により求められる原産地証明書(非特恵原産地証明書)があります。
- 輸入通関時点で必要となる原産地証明書
- 政府や国際組織がその時点で人民の健康、あるいは環境衛生に影響を与えると公表している物品を輸入する場合の原産地証明書
- 商取引上、取引先から求められる一般の原産地証明書
- 自由貿易協定や経済連携協定に基づく特恵関税率の適用を受けるための特定原産地証明書
- 原産地証明書発給機関
日本からインドへの輸出の場合の日本原産品であることの原産地証明書は日本商工会議所が発給します。インドから日本に輸出する際のインド原産品であることを証明するインド原産地証明書は商工省輸出検査審議会が発行します。
III. インドが締約している協定
- アジア太平洋貿易協定(APTA)
- 途上国間貿易特恵関税制度(GSTPA)
- インド・ネパール貿易協定
- インド・スリランカ自由貿易協定
- インド・アフガニスタン特恵貿易協定
- タイ・インド経済協力枠組み協定
- インド・シンガポール包括的経済協力協定
- 南アジア自由貿易c地域(SAFTA)
- インド・ブータン貿易協定
- インド・チリ特恵貿易協定
- インド・メルコスール特恵貿易協定
- 韓国・インド包括的経済連携協定
- ASEAN・インド包括的経済協力枠組み協定
- インド・マレーシア包括的経済連携協定
- 日本・インド包括的経済連携協定
- モーリシャス・インド包括的経済連携協定(CECPA)
- アラブ首長国連邦・インド包括的経済連携協定
- オーストラリア経済協力・貿易協定
日本とインドは日本インド包括的経済連携協定を締結しています。EPA発効にともない、インドから日本への輸入については一部を除きGSPではなくEPA税率が適用されます。EPA税率を適用する場合は日本への輸入時にGSP原産地証明書(Form A)ではなく日インド包括的経済連携協定の特恵原産地証明書が必要です。インドから日本への輸入の際に一般特恵税率が適用可能な品目は120品目あります。
関税分類番号 第02類(3品目)、第03類(4品目)、第08類(2品目)、第09類(2品目)、第12類(1212.21-310)、第15類(1515.90-410)、第16類(42品目)、第18類(5品目)、第19類(9品目)、第20類(4品目)、第21類(7品目)、第22類(9品目)、第29類(3品目)、第35類(4品目)、第41類(3品目)、第43類(5品目)、第44類(16品目)。
(一般特恵税率の適用が可能な品目(対インド)
(72KB))
関係機関
参考資料・情報
- ジェトロ:
-
海外のビジネス情報(インド)
-
日本・インド包括的経済連携協定
- 日本商工会議所:
-
EPAに基づく特定原産地証明書発給事業 利用条件の確認
調査時点:2012年9月
最終更新:2025年8月
記事番号: A-051009
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