原産地規則と原産地証明書:タイ

質問

タイの原産地規則と原産地証明書について教えてください。

回答

原産地規則とは、産品の原産地を判定するための基準です。二国間あるいは国際的な協定に基づく特恵関税の適用を受ける場合は協定で定められた原産地規則に従い、一般特恵関税制度(Generalized System of Preference: GSP) に基づく特恵関税の適用を受ける場合には一般特恵関税供与国が定める一般特恵関税適用のための原産地規則に従います。

Ⅰ. 原産地規則

一般特恵関税適用のための原産地証明書発給に係る原産地規則は、一般特恵関税供与国の国内法に従います。自由貿易協定(FTA)や経済連携協定(EPA)の原産地規則は、それぞれの協定で規定されています。

  1. 原産地規則の基本的な基準
    基本的には以下のような基準になっていますが、付加価値の割合や関税番号変更の桁数などは、協定やGSP供与国の定めにより異なります。
    1. 完全生産品
    2. 原産材料のみから加工された産品(我が国のGSPにはこの規定はない)
    3. 非原産材料を用いて加工した産品で、下記の基準を満たすことにより、実質的な変更がなされたものとみなし、原産品とする。
      1. 付加価値基準
      2. 関税番号変更基準
      3. 加工工程基準
  2. 品目別規則
    経済連携協定では、品目ごとに原産地規則が規定されています。付加価値基準、関税番号変更基準、加工工程基準のいずれかが規定されているもの、2種類以上の基準のいずれかを選択するもの、2種類以上の基準を同時に満たさなければならないと規定するものなどがあります。

Ⅱ. 原産地証明書

一般特恵関税による優遇税率を受ける場合は一般特恵制度原産地証明書(Foam A)が、FTA/EPAによる優遇税率を受ける場合はFTA/EPA原産地証明書が必要です。また、優遇税率の適用を受けるため以外にも、商取引上求められるもの、輸出先国の国内法により求められる原産地証明書(非特恵原産地証明書)があります。
輸入通関時点で必要となる原産地証明書

  1. 輸入国政府がその時点で国民の健康、あるいは環境衛生に影響を与えると公表している物品を輸入する場合の原産地証明書
  2. 商取引上、取引先から求められる一般の原産地証明書
  3. FTAやEPAに基づく優遇税率の適用を受けるためのFTA/EPA原産地証明書

III. 原産地証明書発給機関

日本からタイへの輸出の場合で、タイとのEPA協定に基づく日本原産品であることの原産地証明書は日本商工会議所が発給します。経済連携協定(FTA/EPA)の特恵関税適用を受けるための特恵(特定)原産地証明書はタイ商務省外国貿易局(DFT)が発給します。非特恵原産地証明書は、DFTに加えタイ商業会議所(TCC)及びタイ工業連盟(FTI)でも発給可能です。
商務省・外国貿易局コンタクト先:+66-2-547-4771(Bureau of Foreign Trade)
タイ商業会議所コンタクト先:+66-2-018-6888
タイ工業連盟コンタクト先: +66-2-345-1000

Ⅳ. タイが締約している協定

  1. タイ・ラオス特恵貿易協定)
  2. ASEAN物品貿易協定(ATIGA)
  3. タイ・インド経済協力枠組み協定
  4. タイ・オーストラリア自由貿易協定
  5. タイ・ニュージーランド経済緊密化協定
  6. ASEAN・中国自由貿易協定(ACFTA))
  7. 韓国・ASEAN自由貿易協定
  8. 日本・タイ経済連携協定
  9. 日本・ASEAN包括的経済連携協定(AJCEP)
  10. ASEAN・インド包括的経済協力枠組み協定
  11. ASEAN・オーストラリア・ニュージーランド自由貿易協定
  12. タイ・ペルー経済緊密化パートナーシップに関する枠組み協定
  13. チリ・タイ自由貿易協定
  14. 香港・ASEAN自由貿易協定
  15. 地域的な包括的経済連携(RCEP)協定

日本とタイは8.日タイEPA(JTEPA)および9.日ASEAN包括的経済連携協定(AJCEP)、15.地域的な包括的経済連携(RCEP)協定を締結しています。EPA発効にともない、タイから日本への輸入についてはGSPではなくEPA税率が適用されます。EPA税率を適用する場合は日本への輸入時にForm TJ(JTEPA)Form AJ(AJCEP)、Form RCEPが必要です。

関係機関

参考資料・情報

ジェトロ:
海外のビジネス情報(タイ)
日本・タイ経済連携協定(JTEPA)
日本・ASEAN包括的経済連携協定(AJCEP)
地域的な包括的経済連携協定(RCEP)
ASEANの締約するFTA活用マニュアル
日本商工会議所:
EPAに基づく特定原産地証明書発給事業 利用条件の確認外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

調査時点:2017年2月
最終更新:2025年8月

記事番号: A-051005

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