自動車部品の現地輸入規則および留意点:インドネシア向け輸出
質問
インドネシア向けに自動車部品を輸出する際の現地規制と留意点について教えてください。
回答
インドネシアで、輸入を行うことができるのは原則、輸入業者認証番号(API)を有する輸入業者のみです。一般輸入業者認定番号(API-U)あるいは製造輸入業者認定番号(API-P)の取得が必要です。このほか、インドネシア国家規格(Indonesian National Standard: SNI)にも注意が必要です。
Ⅰ. 輸入規制
- インドネシア商業省は、2025年6月30日付商業大臣規則2025年第16号で輸入の一般規定を定めています。
ポイントは以下のとおりです:- その事業活動のために輸入を行う業者には、輸入業者認証番号(API)として有効な事業基本番号(NIB)を取得する義務があります(事業活動のためではない輸入はこの限りではありません)。APIには次の2種類があり、会社はどちらかのAPIしか持てません。
- 一般輸入業者認証番号(API-U):販売を目的とする特定物品を輸入する業者が取得
- 製造輸入業者認証番号(API-P):資本財、原材料、補助材料、生産プロセスを支援する材料として自らが使用するための物品を輸入する業者が取得。輸入した物品は 他者へ販売または譲渡できない
- 輸入品は新品であることが原則です。ただし、法令規定や大臣権限、他の政府機関からの提案や技術的見解に基づき、大臣が中古状態で輸入出来る品目を定めることがあります。
商業大臣規則2025年第24号は、輸入が出来る中古品と廃棄物と輸入条件について定めています。
- 法令規定によって輸入が禁止されているものを除き、政府がその輸入を管理する特定の品目の輸入については、以下の事業許認可の取得が義務付けられています:
- 製造輸入業者としての認定(IP、自己使用のために輸入する場合)
- 登録輸入業者としての指定(IT、他者への販売/譲渡のために輸入する場合)
- 輸入承認(PI)
これらは輸入通関前までに取得しておきます。
通関のポータルサイトのインドネシア・ナショナル・シングル・ウィンドウ・システム(SINSW)を通じて申請し、商業省のポータルサイトINATRADE
を通じて発行されます。
- 中古資本財のほか、安全、衛生、環境を脅かす可能性のある物品や基本的必需品などの輸入には別途、船積み前検査が義務付けられ、検査結果をまとめたサーベイヤーリポート(LS)を通関時に提出することが求められています。
- 特定品目の輸入には、搬入地が定められることがあります。
- ポストボーダー検査が適用される品目もあります。
- 輸入分野の事業許認可および/あるいはサーベイヤーリポートを取得した輸入業者には、商業大臣へ輸入実績報告を電子提出することが義務付けられます。
- 一時輸入や、輸出した物品の再輸入の場合は、輸入管理の規則は適用されません。
- その事業活動のために輸入を行う業者には、輸入業者認証番号(API)として有効な事業基本番号(NIB)を取得する義務があります(事業活動のためではない輸入はこの限りではありません)。APIには次の2種類があり、会社はどちらかのAPIしか持てません。
- インドネシア国家規格(Indonesian National Standard: SNI)制度
工業省により、消費者保護等の観点から、SNI制度が強化されています。この制度は、輸入される消費者関連製品について、一定水準の品質と安全性を満たすことを義務付けています(業者の任意による管理品目含む)。SNIの基準順守の対象製品については、国内製造だけでなく、輸入業者にもSNI マーク使用製品証明(SPPT-SNI)の取得が義務付けられています。SPPT-SNI は、インドネシア国家認証委員会(KAN)が認証した製品認証機関(LSPro)が、テストや監査を通じて発行しているものです。SNI 基準順守の対象品目には、タイヤ、自動車用安全ガラス、鋼材、ケーブル等があり、これら順守品目に該当するHS番号の製品を輸入する場合には、十分に留意する必要があります。
以下は、参考資料「強制取得のインドネシア国家規格一覧表 (2025年1月版)」(2.6 MB)の一部です。
- タイヤ
- 自動車タイヤ SNI 6700:2012 ( HS ex.4013.10.11;4013.10.21;4013.90.20 )
- 乗用車用タイヤ SNI 98:2019 (HS ex.4011.10.00 ; 8708.70.22)
- トラック、バス用タイヤSNI 99:2019 (HS ex.4011.20.11;4011.20.12; 4011.20.13;4011.20.19; 4011.20.90; 8708.70.23)
- 軽トラック用タイヤ SNI 100.2019 (HS ex.4011.20.11;4011.20.12; 4011.20.13; 4011.20.19;8708.70.23)
- 自動車用安全ガラス
- 自動車用強化安全ガラス SNI 15-0048-2005 (HS7007.11.10)
- 自動車用ラミネートガラス SNI 15-1326-2005 (HS7007.21.10)
- 自動車用ホイール
- 自動車用ホイール(L類) SNI 4658 : 2015 (HS ex 8714.10.50; 8714.10.90)
- 自動車用ホイール(M,N,O類) SNI 1896:2008
- M1類 (HS ex.8708.70.32; 8708.70.39; 8708.70.22; 8708.70.29)
- N1・N3類 (HS ex.8708.70.34; 8708.70.39; 8708.70.23; 8708.70.29)
- M2/M3/N2類 (HS ex.8708.70.23;8708.70.29;8708.70.34; 8708.70.39)
- O類 (HS ex.8708.70.31; 8708.70.21; 8716.90.19)
- ケーブル
- SNI 04-6629.3-2006 (HS ex.8544.11.20;8544.11.30;8544.11.40; 8544.11.90;8544.42.32;8544.42.33;8544.42.34;8544.42.39;8544.42.94; 8544.42.95;8544.42.96;8544.42.99;8544.49.41; 8544.49.42; 8544.49.49)
- SNI 04-6629.4-2006 (HS ex.8544.11.20; 8544.11.30; 8544.11.40; 8544.11.90;8544.42.32;8544.42.33;8544.42.34; 8544.42.39;8544.42.94; 8544.42.95;8544.42.96;8544.42.99;8544.49.32;8544.49.33;8544.49.39; 8544.49.41; 8544.49.42; 8544.49.49)
- SNI 04-6629.5-2006 (同上)
- タイヤ
- SNI合格マーク制度
SNIに合格した部品は、それら部品自体に、あるいはそれらの包装材にSNI合格製品であることを証するマーク(Tanda SNI)を刷り込むか、マーク入りのラベルを貼らなければなりません。
Ⅱ. 輸出者として留意すべき事項
- ATIGA(ASEAN Trade in Goods Agreement)適用で、無関税を享受できるASEAN域内有力自動車部品輸出国との価格競争を視野にいれておく必要があります。
- 日・インドネシア経済連携協定(IJEPA)、東アジア経済連携協定(RCEP)、日アセアン経済連携協定(AJCEP)、等の経済連携協定(EPA)に基づき、低い関税率が適用される可能性があります。但し、MFN税率の方が経済連携協定(EPA)に基づく税率より低い品目もあり得ます。MFN税率とEPA税率を比較し、いずれのEPAを適用するか、或いは、MFN税率を適用するかの検討が必要です。
- 商業大臣規則2021年第26号にて、SNIの基準順守が求められている商品をインドネシア国内で流通させる場合は、商業省品質管理標準化局に登録し、製品登録番号を取得することが義務付けられています。輸入品の場合はインドネシアへの輸入前に登録し、NPBと呼ばれる登録番号を取得します。
- 商業大臣規則2021年第25号では、自動車部品を含む国内で売買される商品にインドネシア語のラベル表示をするよう義務付けています。自動車部品は、同規則付表Cに掲載されています。部品毎に、本体とパッケージにインドネシア語で印字したラベルやタグで表記すべき、商品名、ブランド名、メーカー名または輸入業者名とその住所、内容量、製造日、警告、生産国などを確認できます。インドネシア関税地域に入荷した段階でラベル表示が必要です。
参考資料・情報
- ジェトロ:
- インドネシア国家規格(SNI)に関するQ&A(2020年3月)
- Badan Standardisasi Nasional:
-
強制取得のインドネシア国家規格一覧表 (2025年1月版)
(459KB)
関連法令
調査時点:2017年3月
最終更新:2025年8月
記事番号: A-031209
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