衣料品の現地輸入規則および留意点:米国向け輸出

米国向けに日本から衣料品を輸出する際の現地輸入規制および留意点について教えてください。

米国は数量割当制度(クォータ制度)がありますが、2005年1月のWTO繊維衣類協定で加盟国については廃止されましたので、WTO加盟国である日本からの輸出に際して輸入規制はありません。衣料品の販売規制も特にありません。ラベル表示などの留意点について説明します。

I. ラベル表示

  1. 原産国表示
    米国関税法により、外国で生産され輸入される繊維製品については、「消費者が製品を見てすぐわかる場所に原産国の英語名を明確に表示したラベルを固定すること」と規定されています。
  2. 繊維製品ラベリング
    米国に輸入される繊維製品はすべて連邦取引委員会(Federal Trade Commission: FTC)の管理下にあり、繊維製品識別法(Textile Fiber Products Identification Act)により、「一定の情報」を刻印、タグ、ラベル(織りネーム)その他の方法で表示することが義務付けられています。「一定の情報」とは、当該製品の一般名称(商標名ではない)、5%以上の構成物となっている繊維の重量割合を大きいもの順に並べ、5%未満の繊維の合計を「その他繊維」としてその重量割合を最後に並べた重量比率情報(fiber content)、製造者名または当該製品の販売者または取扱者の氏名(またはFTCから受けた登録番号)および製品の原産国名などです。
  3. 羊毛製品ラベリング
    米国に輸入され加工された毛織物を含む製品は、「1939年羊毛製品表示法(Wool Products Labeling Act)」により「WOOL 90%、NYLON 10%」のように製品の全重量に占める各繊維名別重量比率、製品の全重量の中で非繊維材が占める最大重量比率、輸入業者名または登録番号および製品の原産国名を刻印、タグ、ラベルその他の方法で表示することが義務付けられています。
  4. 毛皮製品ラベリング
    米国に輸入された毛皮製品は、「毛皮製品表示法(Fur Products Labeling Act)」により毛皮製品の製造業者あるいは輸入者の名前、毛皮の生産に使われた動物名、漂白・染色など人工的に染めている場合にはその内容、毛皮製品に組み込まれた毛皮の原産国名などについてラベル表示することを義務付けています。
  5. 扱い方指示ラベル
    FTCは、米国の輸入業者に対し繊維製品に扱い方(care instructions)を示すケアラベル(care label)をつけなければならないと規定しています。ケアラベルは洗濯の方法(洗濯、乾燥、アイロンかけ、漂白および警告事項について説明する)やドライクリーニングの方法(一般的な手順と警告事項について説明する)を含むもので、その内容には信頼できる根拠(検査、技術資料)が必要とされています。繊維製品に対するケアラベル規定は連邦規則16 CFR Part 423.6 Textile wearing apparelに規定されています。ケアラベルは通関前に取り付ける必要はありませんが、販売前に取り付けなければいけません。

II. 防炎規制

米国には防炎織物法(Flammable Fabric Act)があり、この規定に適合する難燃処理済み製品を提供する必要があります。一般衣料品、とりわけ子供の寝間着(ラウンジウェアを含む)は防炎織物法の厳しい規制を受けます。防炎織物法の管轄官庁は、消費者製品安全委員会(Consumer Product Safety Commission: CPSC)です。CPSCと税関国境保護局(Customs and Border Protection: CBP)の間で2010年に交わされた協定に基づき、CPSCはCBPが持つ到着前の貨物データにアクセスし、安全基準を満たしていない恐れがあり検査が必要な貨物を特定します。該当するCPSC製品安全基準に準拠していないと判明した製品は留め置かれます。

III. 中古衣料品(used clothing)の輸入

中古衣料品が販売目的で米国に輸入される場合、新品の衣料品と同様にラベル表示等の規制を受けます。関税は中古衣料品の価額に基づいて課せられます。蚤の市や古物商で入手した中古衣料品の場合は、領収書を輸入申告時に使用することもできますし、寄付されたものは同一品の現地市場価額と同等の価格を申告者が設定し、それに基づいて関税が課せられます。米国の個人、会社、慈善団体に寄付するために輸入される中古衣料品も同様の規制を受けます。なお、米国関税率表6309項の使い古し衣類(worn clothing)には関税は課せられず、数量規制やラベル表示等の規制もないのですが、使い古したものであることが外観から明らかで、ばら積みまたはベール、サックなどの包装で持ち込まれ、主に雑巾や非衣料目的に使用されるものとされます。

IV. 繊維製品輸入通関時の書類へのMIDの記載について

米国の輸入通関で義務付けられていた繊維品申告書の提出は2005年10月に廃止され、輸入業者が提出する様式7501(Entry Summary)や様式3461(Entry/Immediate Delivery)、その他書類に製造業者のMID(Manufacturer Identification Code)を記載することが義務付けられています。これに伴い、インボイス上に当該MIDを記載することを輸入業者から要求される場合があります。このMIDは、商品の製造者とその所在地をコードにより識別するものです。コードの構成方法については下記URL(CBP Form 7501 Instructions)のAppendix 2:Rules for Constructing The Manufacturer Identification Codeをご参照ください。

関係法令

連邦取引委員会(FTC):
ラベル関係法規(繊維製品、羊毛製品、毛皮製品、ケアマーク等)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

米国消費者製品安全委員会(CPSC):
防炎織物法(Flammable Fabrics Act)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

参考資料・情報

連邦取引委員会(FTC):
ケアラベルの説明資料外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

米国税関国境保護局(CBP):
中古衣料品(used clothing)の輸入について外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
CBP FORM 7501 INSTRUCTIONS(P.30)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(112KB)

調査時点:2016/12

記事番号: A-031108

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