自動車部品の現地輸入規則および留意点:フィリピン向け輸出

質問

フィリピンに自動車部品を輸出します。現地での輸入規制および輸出者として留意すべき事項があれば教えてください。

回答

I. 輸入時の規制と手続き

  1. 規制の有無、法令根拠
    2014年5月22日付でフィリピン関税局(BOC)が発行した関税局通達(CMO)第11-2014に基づき、継続的に業として輸入を行うすべての輸入業者は、フィリピン歳入庁(BIR)に対し、輸入業者証明(Importer Clearance Certificate: ICC)発給のための申請を行い、認定を受けた後、関税局(BOC)に対して必要書類を提出し、輸入者登録を行う必要があります。また、フィリピンでは、中央銀行規則No.1389附則1-Dおよび貿易産業省(DTI)の規則に基づいて、輸入が規制・禁止されている品目があります。自動車部品は輸入規制品目に該当し、 輸入に際して貿易産業省(DTI)および投資委員会(BOI)の許可が必要となります。なお、投資委員会(BOI)の事前認証および証明を要する商業車開発プログラムは、1カ国以上から自動車の加工のために輸入される部分品や部品、装飾品や、フィリピン基準商品コード(PSCC)グループ781の自動車分類における車体および車体関連部品、バイクのサドルやその他の部品などを規制品目として定めています。
  2. 環境規制
    特段の規制はありません。
  3. 安全・品質基準
    安全のために一定の基準を満たすことが必要とされるシートベルトや制御装置など、貿易工業省製品標準局(BPS)が定めたフィリピン国家規格(Philippine National Standards)に該当する品目は、輸入商品許可証(Import Commodity Clearance)の発給を受ける必要があります。輸入商品許可証は、フィリピン国家規格またはBPSが認める国際・外国規格に合致していることを証明するものです。 この場合、2002年施行のDTI行政命令No.2に基づき所定の手続きを経た後、ICC、PS(Philippine Standard)などの安全マークを商品に貼付する必要があります。

II. 販売時の規制と手続き

  1. 輸出者として用意しなければならない書類、輸入業者が輸出者から得ておくべき情報
    輸入に際し、コンテナ積み荷物については、船積み前検査等は特段必要とされていません。バルクカーゴやコンテナに納めない荷物については、出荷国での検査が必要です。中古品を輸入する際、関税局通達2008年21号により、2008年5月1日、原産国駐在の領事の認証を提出することが義務付けられましたが、実務上は領事査証がなくとも輸入できているとの情報もあり、あらかじめ現地輸入者に確認してください。
  2. 通関、輸入時の必要書類、手続き
    通関に当たっては、中央銀行の引き渡し許可書(Release Certificate)が必要(関税などの納付後に公認外為銀行が発行)です。
    通関時には以下の書類を関税局に提出します。
    1. 輸入・内国歳入税申告様式(関税局様式236)
    2. 船荷証券または航空運送状(Bill of LadingもしくはAir Waybill)
    3. 商業インボイス
    4. パッキングリスト
    5. 原産地証明書(必要な場合)
    6. その他関税局が義務付ける追加書類
  3. 販売時の許可、手続き
    1. 販売に当たっての許可、必要書類
      フィリピン国内での販売には基本的に規制はなく、自由に行えます。自動車部品の国内流通については大きく2つに分けられます。1つは自動車の製造や組み立てに使用されるもの、2つめは補修用のアフターマーケット市場に卸売業者や小売業者を通して販売されるもので、修理工場やオートパーツショップで販売されています。
    2. ラベル、表示規制
      フィリピン国内での自動車部品の販売および流通については、消費者保護法(フィリピン共和国法No.7394)が適用され、この中で、必要な製品保証、商品への法定表示、梱包、価格表記、宣伝や販売促進についての諸規定が定められています。

III. 関税、その他諸税

自動車部品の輸入関税は、フィリピン税関関税コード(TCC、上6桁はHSコード)によって税率が定められており、関税行政令(CAO)第4-2004号に従い、原則として、CIF価格を基に計算されます。輸入品の課税価格は、一定の優先順位に基づき決定されます。また、輸入関税のほか、12%の付加価値税(VAT)が課されます。

IV. その他輸出者として留意すべき事項

2008年12月11日に、日本フィリピン経済連携協定(JPEPA)が発効し、2014年2月13日公布の大統領令第157(s.2014)では、大統領令第767号の自動車の構成品、部分品および付属品の関税引き下げスケジュールが改正されました。JPEPA税率の適用にあたっては、日本の輸出者より適正な特定原産地証明書(Certificate of Origin: CO)の提出が義務付けられています。譲許スケジュール、品目別規則は文末のURLを参照してください。すべてHSコードごとに決められています。

関係機関

貿易産業省(Department of Trade and Industry: DTI)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
貿易工業省製品標準局(BPS)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
フィリピン関税委員会(Tariff Commission)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
フィリピン自動車部品製造業者協会(PPMA)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
在日フィリピン大使館外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

関係法令

外務省:
日本フィリピン経済連携協定 譲許スケジュールPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(2.6MB)(英語)
同品目別規則PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(198KB)(英語)
ジェトロ:
フィリピンの課税基準

調査時点:2015年12月
最終更新:2019年11月

記事番号: A-031102

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