保税蔵置場の管理方法と記帳義務:日本

質問

雑貨を米国に輸出するため、港頭地区にある保税蔵置場に搬入する予定です。保税蔵置場はどのように管理されているのでしょうか。また、管理者の記帳義務についても教えてください。

回答

保税蔵置場だけでなく保税地域はすべて税関の許可を受けて指定されますが、その管理については自主管理方式が適用され、すべての保税地域について貨物の搬出入にかかわる記帳が義務付けられています。

I. 社内管理規定の整備

倉主等管理者は保税地域の貨物管理について、以下の内容の社内管理規定を整備し、税関に提出しなければなりません。

  • 社内管理規定の目的
  • 社内管理責任体制の整備
  • 貨物管理手続体制の整備
  • 貨物保全のための体制の整備
  • 税関への通報体制の整備
  • 教育訓練についての体制の整備
  • 評価・監査制度の整備
  • その他留意事項

なお、保税地域の業務について、法の規定に違反した場合に、違反内容が点数制になっており、点数に応じた処分を受けることになっています。

II. 記帳義務

保税地域では倉主等、貨物を管理する者に記帳義務が課せられ、保税地域に搬出入される貨物について関税法施行令第29条の2に定められた事項を記帳しなければなりません。

  1. 外国貨物または輸出しようとする貨物を指定保税地域又は保税蔵置場に入れた場合
    当該貨物の記号、番号、品名及び数量、その入れた年月日並びに当該貨物が外国から本邦に到着した後当該保税蔵置場に初めて入れられたものであるときは、当該貨物を積んでいた船舶又は航空機の名称又は登録記号及び入港の年月日(当該貨物が保税運送により当該保税蔵置場に入れられたものであるときは、当該保税運送の承認書の番号を含む)
  2. 外国貨物につき関税法第40条に規定する貨物の内容の点検又は改装、仕分けその他の手入れをした場合
    当該貨物の記号、番号、品名及び数量、当該行為の種類、内容及び年月日並びに当該行為により貨物の記号、番号又は数量に変更があつたときは、その変更の内容
  3. 関税法法第43条に規定する長期蔵置(蔵入承認)を受けた場合
    当該承認の年月日及びその承認書又は指定書の番号
  4. 関税法法第67条の3に規定する輸入許可を受けた場合
    当該貨物の記号、番号、品名及び数量並びに当該許可の年月日及びその許可書の番号
  5. 関税法法第73条に規定する輸入許可前における貨物引取りの承認を受けた場合
    当該貨物の記号、番号、品名及び数量並びに当該承認の年月日及びその承認書の番号
  6. 関税法法第32条に規定する許可を受けて、保税蔵置場から外国貨物を見本として一時持ち出した場合
    当該貨物の記号、番号、品名及び数量、当該許可に係る期間及び持ち出し先並びに当該一時持ち出しの年月日
  7. 保税蔵置場から外国貨物を出した場合(前号の場合を除く)
    当該貨物の記号、番号、品名及び数量、その出した年月日、当該貨物を当該保税蔵置場から出すことにつき必要とされる許可又は承認を受けた年月日及びその許可書又は承認書の番号並びに当該貨物を外国に向けて送り出すときは、当該貨物を積み込もうとする船舶又は航空機の名称又は登録記号及び出港の年月日

また、倉主等管理者の責任において、貨物の搬入時には当該貨物と搬入に関わる書類を、搬出時には当該貨物と輸出許可書とを照合し確認することとされています。さらに重大な異常を認めたときは、直ちに所轄税関の担当職員に報告しなければなりません。
NACCS(輸出入・港湾関連処理システム)の普及につれ、保税地域においても、税関の保税部門とオンラインで結ばれるところが多くなり、税関職員もコンピュータで保税地域の貨物の搬出入状況を把握できるようになりました。一方、保税地域からも「外国貨物運送申告書」や「見本持ち出し」の申請などをオンラインで行えるようになりました。また、自社開発の貨物管理ソフトを帳簿に代えることもでき、さらにNACCSとリンクさせているところもあります。

関係機関

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関係法令

関税法(関税法基本通達―第4章保税地域へのリンク)PDFファイル(368KB)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
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調査時点:2014年10月
最終更新:2019年8月

記事番号: A-020158

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