過払いの関税および消費税の還付手続き:日本

質問

手違いにより、輸入申告価格が実際に申告すべき価格よりも高かった場合、過払いとなった関税および消費税の還付方法を教えてください。

回答

輸入申告価格を過大に記載したなど、何らかの理由で関税および消費税を払い過ぎていたことが輸入許可後に判明した場合には、以下の手続きにより還付を受けることができます。

I. 申告納税方式(納付する関税額等が納税義務者の申告により確定する方式)の場合

納税申告は、インボイスの契約金額などをもとにCIF(運賃保険料込み)金額で申告をします。その申告の税額等の計算が関税に関する法律の規定に従っていなかったため、あるいはその計算に誤りがあったため、納付した関税額が本来納付すべき額よりも過大であった場合には、税関長に対し「更正の請求」を行うことにより、関税額(および消費税額)の還付を請求することができます(関税法7条の15)。

  1. 更正の請求は、輸入許可の日(特例輸入貨物の場合は特例申告書の提出期限=輸入許可の日の属する月の翌月末日)から5年以内(輸入の許可前の貨物の引き取り承認を受けた場合には、その承認日の翌日から起算して5年を経過する日と輸入の許可日とのいずれか遅い日までの間)に限り認められます。この期間中に、「関税更正請求書」2通および、請求の理由の基礎となる事実を証明する書類がある時はこれを輸入申告書(写し)に添付して、納税申告をした税関長に提出します。納税申告をした輸入者本人のほか、通関業者による代理請求も認められています(関税法施行令4条の17)。
  2. 更正の請求(減額更正)が認められた場合には、「関税更正通知書」、また更正が認められない場合には、更正をすべき理由がないことの通知が、税関から輸入者(代理人)などに送られます。「関税更正通知書」が送られると、納付すべき関税があるときはまずその関税に充当され、その残余が納め過ぎた関税として、消費税・還付加算金(利息)を含めて金銭で直接還付されます。なお、「関税更正請求書」に指定支払銀行などを記載しておけば、送金による還付を受けられます。

II. 賦課課税方式(納付すべき税額が専ら税関長により確定する方式。例えば、携帯品・別送品、課税価格が20万円以下の郵便物)の場合

税関長が決定した納付すべき金額が過大であったことを知って、税関長が税額変更の決定をする場合以外は、納税義務者側からは還付の請求を行うことはできません。その場合は「不服申し立て」(行政府の処分等により、権利または利益の侵害を受けた者が行政の長に対して、再調査または審査請求を行う、あるいは、裁判所へ訴訟を提起する)によって返還を求めます。税額の訂正請求が認められると、最終的に、税関長による再賦課決定を経て、訂正後の税額が通知されます(関税法第8条第3項)。

不服申し立ての手続きは、税関長の処分(税額の確定)があったことを知った日の翌日から起算して3カ月以内に、再調査の請求または審査請求・その後の訴訟へと進みます(関税法第89条、第90条)。なお、関税の還付請求権は5年で消滅時効となります(関税法第14条の3)。

詳しくは、税関など関係機関へお問い合わせください。

関係機関

各地税関外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

関係法令

法令データ提供システム(e-Gov):
関税法外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
行政不服審査法外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

参考資料・情報

税関カスタムスアンサー:
9301 税関相談官の問合せ先一覧外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
9401 税関の処分に不服があるときの不服申立手続外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

調査時点:2013年8月
最終更新:2017年9月

記事番号: A-011227

ご質問・お問い合わせ

記載内容に関するお問い合わせ

貿易投資相談Q&Aの記載内容に関するお問い合わせは、オンラインまたはお電話でご相談を受け付けています。こちらのページをご覧ください。