原産地認定基準の「実質的変更を加える製造・加工」:日本

質問

原産地認定基準の「実質的変更を加える製造・加工」とは、具体的にどういうことを指すのか教えてください。

回答

特恵関税は特恵受益国等を原産地とする物品のみに適用され、原産品であるかどうかを認定するために、一定の基準が定められています。

原産地認定基準のうち、一般的なものとして、a. 農産物などの天然産品などに適用される「完全生産品」としての基準、b. 生産・加工過程で2つ以上の国(地域)の材料を使用した場合、最終的に「実質的な変更を加える加工または製造」を行った国(地域)を原産国とする「実質加工」基準、があります。

「実質的な変更を加える加工または製造」とは、原則として、関税定率法別表(関税率表)の「項」(4桁の番号)、すなわち、HS番号の4桁の変更を伴う加工または製造とされています。たとえばA国のとうがらしの果実(0904)を原料にしてB国で香辛(0910)に加工、製造されれば「実質的な変更を加える加工、製造」とみなされます。

輸送または保存のための乾燥、冷凍、塩水漬けその他それに類する操作、単なる切断、選別、瓶、箱その他これらに類する包装容器に詰めること、改装、仕分け、製品またはラベルその他の表示を貼り付けもしくは添付すること、非原産品の単なる混合、単なる部分品の組み立て及びセットにすること並びにこれらからなるような微少な加工は、これには該当しません。

しかし、暫定措置法施行規則別表(平成23年3月31日に最終改正)に掲げる繊維製品については、上記4桁の原則にかかわらず、同表に掲げる加工、製造の条件をもって、実質的な変更を加える加工または製造とみなしています。 主に食料品、化学製品、木工製品、繊維製品や靴などにこの条件が付けられています。

たとえば、今回の改正では繊維製品(関税率表第50類から第63類まで)の特恵原産地に関わる改正が行われた。具体的には

  1. ニット製品(関税率表第61類)の製造に関し非原産地品の原材料を用いた場合、これまで非原産品の糸の原繊維から製造する(製糸、生地製造、裁縫の3工程を経る)場合のみ原産品と認められていたが、非原産品の糸から製造する(2工程のみを経る)場合についても原産品と認められることとした。
  2. 非原産品の原材料を用いた場合、当該非原産品の総重量が産品総重量の10%以内であれば、原産品と認めることとした。また関税率表に第61〜63類までに使用される繊維製品以外の非原産品(ボタン等)は原産品の認定に当たって考慮しない事とした。「製造しようとする物品と異なる関税定率法別表(平成19年7月1日に最終改正)の項(第64.06項を除く)に属する物品からの製造」と記載されています。
    なお原産地を偽った表示等がされている貨物についての規制は、関税法第71条にあります。同条では、「1.原産地について直接若しくは間接に偽った表示または誤認を生じさせる表示がある外国貨物は輸入を許可しない。2.税関長は、前項の外国貨物については、その原産地について偽った表示または誤認を生じさせる表示がある旨を輸入申告した者に、直ちに通知し、期間を指定して、その者の選択により、その表示を消させ、若しくは訂正させ、または当該貨物を積もどさせなければならない。」となっています。

関係機関

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関係法令

(特恵関税等) 関税暫定措置法 第8条
(原産地の意義) 関税暫定措置法施行令 第50条
(実質的な変更を加える加工または製造の指定)関税暫定措置法施行規則第9条および別表(第9条関係)
(原産地を偽った表示等がされている貨物についての規制の概要) 関税法 第71条

法令データ提供システム(e-Gov):
関税暫定措置法施行規則の一部を改正する省令(最終改正 平成23年3月31日 財務省令第47号)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

調査時点:2011年8月
最終更新:2021年3月

記事番号: A-011216

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