化学品の現地輸入規制および留意点:オーストラリア向け輸出

質問

オーストラリアへ化学品を輸出します。現地での輸入規則を教えてください。

回答

オーストラリアへ工業化学品または工業化学品を含む製品を輸入する際には、人の健康及び環境を守るためにオーストラリア工業化学品導入スキーム(Australian Industrial Chemicals Introduction Scheme: AICIS)に従った手続きが必要です。

I. 導入者登録

2020年7月1日にオーストラリア工業化学品導入スキーム(Australian Industrial Chemicals Introduction Scheme: AICIS)が施行されました。旧法(1989年工業化学法)では、NICNAS(National Industrial Chemicals Notification and Assessment Scheme)が工業化学品を管轄していましたが、新法によりAICISが管轄当局になりました。工業化学品および工業化学品を含む製品を導入(輸入)する前に企業登録が必要です。工業化学品には、インク、プラスチック、接着剤、塗料、糊、溶剤、化粧品、せっけん等を含みますが、農業用、動物用、人間の治療用、食品用に使用される化学品は別の法令及び管轄機関(Biosecurity、Australian Pesticides and Veterinary Medicines Authority、Therapeutic Goods Administration、Food Standards Australia New Zealand)によって規制されていますので、AICISの対象ではありません。また、個人使用(Personal use)、天然に存在する化学品(naturally occurring chemicals)や偶発的に導入された化学品(Incidentally-introduced chemical)もAICISの規制対象外です。

AICISに登録するのは、工業化学品の導入者(生産者、輸入品の場合は輸入者)です。登録料は、前年度に生産・輸入した工業化学品の価額によります。毎年8月31日までに更新が必要で、登録企業はウェブサイト上で公表されます。海外の輸出者が直接オーストラリアの顧客に販売する場合(輸入者がいない場合)は、海外の輸出者が工業化学品の導入者(Introducer)になります。AICISに登録した導入者は、毎年宣誓書(annual declaration)を提出し、報告及び記録の保管が義務付けられます。

II. 工業化学品の登録

企業登録とともに導入する工業化学品についてもAICISに登録します。登録にあたり、輸入する工業化学品のカテゴリーを確認します。カテゴリーは、下記の5つに分類されます。

  1. Listed-既存化学品インベントリー(Australian Inventory of Industrial Chemicals)に収載されている
  2. Exempted-免除導入(インベントリーには収載されないが、非常に低リスクと考えられている)
  3. Reported-報告導入(インベントリーには収載されないが、低リスクと考えられている)
  4. Assessed-評価導入(中から高リスクと考えられ、審査後にインベントリーに収載される)
  5. Commercial Evaluation-商業評価導入(商業化を評価し、インベントリーに収載される。)

カテゴリー1のオーストラリア既存化学品インベントリー外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますに収載されている化学品で特段の義務がない場合(chemical is on the Inventory without any regulatory obligations)は、既にオーストラリアに導入されているものとして事前許可なく輸入することができます。オーストラリア既存化学品インベントリーに収載されていても義務が課されている場合、カテゴリー2(Exempted)及び3(Reported)の場合は、義務及び条件をご確認ください。カテゴリー4(Assessed)は、導入前に評価証明書が必要、カテゴリー5(Commercial Evaluation Authorisation)の場合は、人類及び環境へのリスクがないことのテストの後、インベントリーへの収載を申請し、商業化が承認されれば輸入可能です。

III. ラベリング及び包装

オーストラリア競争消費者協議会(Australian Competition and Consumer Commission: ACCC)による化粧品の表示規定がありますが、工業化学品に関するラベリング及び包装に関する規定はAICISにはありません。
ただし、労働安全法に基づき、人の健康や環境に危険をもたらす工業用化学品を含む製品を製造・輸入する場合は、危険を示すラベルを表示する必要があります。また、危険な工業化学品を扱う場合には安全データシート(Safety Data Sheets: SDS)を作業場所に保管する必要があり、輸入時にSDSを求められる場合があります。

法令

参考

AICIS:外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
How to register?外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
Search the industrial chemicals inventory外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
Foreign companies and chemical data providers外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
Banned or restricted chemicals外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
Introductions that don't require categorisation and registration外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
Guide to categorising your chemical importation and manufacture外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
Decision tools to help you categorise your chemical importation or manufacture外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
Australian Competition and Consumer Commission(ACCC):
Cosmetics ingredients labelling外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
Safe Work Australia:
Labelling hazardous chemicals外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
Preparing safety data sheets外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

調査時点:2016年09月
最終更新:2025年2月

記事番号: A-011054

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