タックスヘイブン対策税制:日本

軽課税国であるバハマに現地子会社を設立する計画ですが、日本の親会社に対しタックスへイブン対策税制の適用可能性があると言われました。 日本のタックスへイブン対策税制の概要を教えてください。

タックスへイブン対策税制は、タックスへイブン(軽課税国)を利用して租税回避を図る行為を排除する制度で、日本では1978年度改正租税特別措置法で規定されています。
タックスへイブンで得た所得は、源泉地国の法律で無税か名目的課税措置のみ行われるので、利益を配当として社外流出しなければ、そのまま再投資・運用できます。
上記の行為に対処するため、その源泉国での税負担が日本の法人税負担に比べて著しく低い外国子会社等の留保所得を、一定の要件の下、株式の直接・間接所有割合に応じて日本の株主の所得とみなし、それら株主の所得に合算した上で、日本で課税します。この制度が、タックスヘイブン対策税制です。
現在は、法人所得税が存在しない国・地域、および税額が20%以下の国または地域を対象としています。本税制の詳細は以下のとおりです。


I. 税制適用の条件
特定外国子会社等(以下1.の会社等)の留保所得が、以下2.の条件に該当する場合、直接・間接の株式(利益配当請求権のない株式を除く)の所有割合に応じて、当該株主の所得と合算して日本で課税されます。
1. 日本の居住者または内国法人が直接または間接にその株式の50%超(議決権のない株式・利益配当請求権のない株式を除外して行う判定も併用する)を保有する外国子会社等で、次のいずれかに該当する会社であること。

  1. 法人所得税がない国・地域に本店等を有する外国子会社等
  2. 法人所得税率が20%以下の外国子会社等


2. 外国子会社等の留保所得につき、日本で合算課税の適用を受ける国内株主は、単独または同族株主グループ全体で当該外国子会社等の株式(利益配当請求権のない株式を除く)を直接・間接に10%以上保有する内国法人または居住者であること。
つまり、タックスへイブンに本店があり、同族で10%以上株式を所有する会社で、その資本の50%超が日本資本である法人が該当します。


II. 適用除外

特定外国子会社等と判定されないための適用除外基準:

  1. 事業基準:主な事業が株式等または債券の保有、工業所有権等または著作権の提供、船舶または航空機の貸付けなどの事業ではないこと。
  2. 実体基準:(対象子会社の)本店所在地国に、主な事業を行うために必要な事務所、店舗、工場などの固定施設を有していること。
  3. 管理支配基準:特定外国子会社等がその本店所在地国で事業の管理、支配、運営を自ら行っていること。
  4. 非関連者基準または所在地国基準
    1. 非関連者基準:(卸売業、銀行業、信託業、証券業、保険業、水運業または航空運送業の7業種の場合)取引の50%超を非関連者と行っていること。
    2. (上記7業種以外の業種の場合)所在国基準:主に本店所在地国で事業を行っていること。


特定外国子会社等が上記4つの適用除外基準から見て独立企業としての実体を備え、かつ、その地の操業に十分な合理性があると認められる場合は除外されます。適用除外を受けるためには必要書類等の保存が必要です。実務上は例えば、工場があり、産業活動が実際に行われている場合は当税制の適用対象にはならず、ペーパー・カンパニー等をつくって所得を移転しているような場合に適用されます。

III. 資産性所得合算課税制度
特定外国子会社等のうち、適用除外基準を満たす者であっても、次に掲げる所得(以下「資産性所得」)を有する場合、当該資産性所得については、内国法人等がかかわる株式等の保有割合に応じて内国法人等の所得に合算して課税されます。

  1. 株式等の配当(株式保有割合10%未満)等にかかわる所得または譲渡(取引所または店頭での株式等の譲渡に限る)による所得
  2. 債券の利子にかかわる所得、償還差益、譲渡(取引所または店頭での株式等の譲渡に限る)による所得
  3. 工業所有権および著作権(出版権および著作隣接権を含む)の提供による所得(特定外国子会社等が開発したもの等から生じる所得を除く)
  4. 船舶または航空機の貸付けによる所得


IV. 資産性所得合算課税制度の適用除外規定

  1. デミニマス基準(小額所得除外基準)
    1. 資産性所得の収入金額が1,000万円以下の場合
    2. 資産性所得が特定外国子会社等の税引前所得の5%相当額以下の場合

  1. 所得事業基準

    特定外国子会社等が行う事業(事業基準に掲げる事業を除く)の性質上、基本的かつ重要で欠くことのできない事業(例:金融業等)から生じる上記III.-1.と2.の所得

    V. 二重課税の調整
    二重課税を調整するため、内国法人等が外国法人から配当等を受ける場合、その金額のうち、内国法人等の配当等を受ける日を含む事業年度、および当該事業年度開始日の前2年以内に開始した各事業年度における、次のいずれか少ない金額に達するまでの金額は、益金として算入しません(措法66の8-8)。

    1. 当該外国法人が、他の外国法人(合算対象金額を有する者に限る)から受けた配当等の額のうち、当該内国法人等が、当該外国法人を通じて間接に有する株式等の相当額の合計額
    2. 他の外国法人の合算対象額のうち、当該内国法人等が当該外国法人を通じて間接に有する株式等金額の合計額


    関係機関
    財務省主税局参事官室(TEL 03-3581-4111)


    関係法令
    租税特別措置法
    法人税法


    参考資料・情報
    財務省:
    外国子会社合算税制(タックスヘイブン対策税制)の意義と機能
    平成22年度税制改正9ページ
    平成22年度税制改正の解説490ページ〜 国際課税関係の改正「一.特定外国子会社等に係わる所得の課税の特例等の改正」
    「国際租税法」本庄資著 (財)大蔵財務協会発行


    調査時点:2012/08

      記事番号: A-010814

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