機械輸出における技術指導料の取り扱い:日本

質問

プラスチック加工機械の輸出商談をしています。試運転までは技術指導の必要があるのですが、契約において機械代金と技術指導料はどのように取り扱うべきでしょうか。

回答

技術指導料は据付・試運転指導の技術者派遣費が大半ですが、これを機械代金に含めておき、契約上は無償提供とする場合と、機械代金と分けて合意し、別建てで技術指導料として明記して契約する場合とがあります。どちらを選択するかは以下を考慮して買主と交渉することをお勧めします。

I. 技術指導料の算出

技術指導料はabsence fee(派遣社員の不在補償料)、日当、航空運賃、現地宿泊費、現地交通費、(場合によっては通訳代や買主の技術者の教育・訓練費用も含む)などからなり、これに派遣人数・派遣期間を乗じた金額になります。現地宿泊費、現地通貨払いによる日当(金額明記)などを、買主が負担する場合は、それらの内訳を明記します。

II. 契約内容別技術使用料の取り扱い

  1. 技術指導を契約書上無償とする場合
    為替管理の厳しい開発途上国の中には、技術指導料の別建て支払いを簡単には認めない国もあるので、そのような仕向け国の場合、以下のような方法で技術指導料を機械代金に含めておくことで技術指導料回収のリスクと手間を省くことができます。
    1. 技術指導料をあらかじめ見積りの段階から機械代金に含めておけば買主が技術指導料を払わないリスクを回避することができます。
    2. 契約書には無償で技術指導者を派遣する旨を明記しますが、買主が負担する費用項目・金額があれば契約書に明記します。
  2. 技術指導を有償とする場合
    買主が負担してくれる費用がある場合は上記と同様、契約書に買主が負担する費用項目、金額を明記します。
    1. 当該プラスチック加工機械が、自社の知的財産権使用に対するロイヤルティー支払いを伴う場合、あるいは数種の機械の組み合わせで構成されるプラント的要素を持つ場合には、派遣する技術者数も増え、派遣期間も長くなります。場合によっては買主の技術者を事前に類似の機械設備のある場所で訓練する必要もあり、技術指導料も高額になります。買主と交渉の上、合意した技術指導料を機械代金とは別に明記します。この場合、必要に応じて各費用の単価および技術指導者の派遣人数・派遣期間とともに、技術指導料の総額も明記しておきます。
    2. 決済条件は送金または信用状(L/C)とし、月1回の出来高払い、または技術指導終了後一括払いとするのが一般的です。L/C決済の場合は船荷証券の代わりに、当該機械の検収書または技術指導完了証明書などの客観的に判断できるものを利用して、その旨契約書に明記し、それに沿ったL/Cを開設してもらうことになります。
      技術指導料は源泉徴収(Withholding Tax:10%から20%程度)される場合が多く、買主が技術指導料支払いに先立って、売主名で買主の国の税務当局に納税し、税引き後の金額の送金と同時に納税証明書を売主に送ります。この支払い済み税金は、売主が本邦で法人税を確定申告する際、ある程度外国税額控除の対象になるので税理士または税務署にご相談ください。

参考資料・情報

財務省:外国税額控除制度の概要
国際的な二重課税排除方式に関する資料外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

ジェトロ:貿易・投資相談Q&A
源泉徴収税(Withholding Tax)

調査時点:2015年1月
最終更新:2018年11月

記事番号: A-010730

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