危険物国際輸送における留意点:日本
質問
危険物の国際輸送を行う場合の注意すべき点を教えてください。
回答
危険物輸送には国内外の法規や条約に従う必要がありますが、統一的なガイドラインとして国際連合が「危険物輸送に関する勧告」(通称オレンジブック)を定めました。危険物の輸送における安全性を確保するために国連は危険物・危険品に番号をつけ、その物品が何であるか、どのような危険性があるか、またどのように取り扱うべきかをルール化しています。
Ⅰ. 国際連合の「危険物輸送に関する勧告」
国際連合の「危険物輸送に関する勧告」で、「危険物の運送で使用すべき品名・国連番号(UN番号)」、「クラスごとに表示すべきラベル(標札)」、「国連分類」、「輸送用容器(包装・梱包方法)に関する要件」が取り決められています。また同一の危険物でも船便と航空便とでは積載の有無、規制内容についても異なるケースがありますので、確認が必要です。
Ⅱ. 国連分類による危険物クラス(Hazard Class)
国連番号はUNに4ケタの数字で構成されます。また、危険物を便宜上1~9の種類に分け、その危険が数字だけで大まかな種類がわかるようになっています。
例えば、アルコール類(引火性かつ毒性のもの)は、国連番号1986(UN1986)、英語ではALCOHOLS, FLAMMABLE, TOXIC, N.O.S.と表示し、クラス区分は3(引火性液体類)に分類されます。
クラス区分
- 火薬類(Explosives)
- ガス類(Gases)
- 引火性液体類(Flammable liquids)
- 可燃性物質類(Flammable solids; substance liable to spontaneous combustion; substances which, on contact with water, emit flammable gases)
- 酸化性物質類(Oxidizing substances and organic peroxides)
- 毒物類(Toxic & infectious substances)
- 放射性物質類(Radioactive material)
- 腐食性物質(Corrosive substances)
- その他の有害性物質(Miscellaneous dangerous goods substances and articles, including environmental hazardous substances)
Ⅲ. 容器等級(包装・梱包方法)
貨物の危険性によって3種類の等級(Packing Group: PG)に分類されており、容器の種類や材質も定められています(表示例:PGⅠ、 PGⅡ、 PGⅢ)。
- 容器等級
- 高い危険性を有するもの:容器等級Ⅰ
- 中程度の危険性を有するもの:容器等級Ⅱ
- 低い危険性を有するもの:容器等級Ⅲ
- 容器コード
容器コードは種類・材質・仕様によって付けられたアルファベットと数字からなる記号で、危険品の梱包の際にどのような容器に入れるべきかを指定する際によく使われます。 例えば、小型容器・高圧容器でドラム(1)、アルミニウム(B) 天板固着式のもの(B1)は、1B1と表示します。
Ⅳ. UNマーク
危険物を船舶で輸送および貯蔵する場合、容器及び包装について国土交通省が定めた技術基準に適合しているものであることを検査し、これに合格した「UN検査証(unマーク)」を表示しなければなりません。この検査は、国土交通省の登録検査機関である一般社団法人日本舶用品検定協会が実施します。「unマーク」を表示した危険物容器は国際的に認められておりますので、この容器に収納した危険物の輸送は、世界の船舶・航空・陸上の全ての輸送で通用します。
一般財団法人 日本舶用品検定協会
Ⅴ. 貨物の性質やUN番号などの確認
貨物の性質やUN番号などが不明の場合は、化学物質等に関する「安全データシート(Safety Data Sheet: SDS)」を製造業者から入手することで確認できます。また、独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)の「化学物質総合情報提供システム(CHRIP)」でも国連番号等を確認することができます。
「NITE:化学物質総合情報提供システム(CHRIP)」
関係機関
関係法令
調査時点:2014年12月
最終更新:2024年11月
記事番号: A-010148
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