CIF契約輸入におけるTHC費用配分とその留意点:日本

質問

CIF契約で輸入しています。揚げ地でのターミナル・ハンドリング・チャージは輸入者、輸出者のどちらが負担すべきですか。これは海上運賃とみなされますか。

回答

CIF契約の場合、売主は、物品の船積みまでの費用と物品を指定仕向港へ輸送するために必要な運賃や費用を負担するものとされています。積み地でのターミナル・ハンドリング・チャージは当然売主の負担となりますが、揚げ地でのターミナル・ハンドリング・チャージ運送契約に含まれている場合に限り、売主の負担となります。

I. ターミナル・ハンドリング・チャージ(Terminal Handling Charges: THC)

THCはターミナル内で発生するコンテナの取り扱い費用についての追加料金(Surcharge)で、コンテナ・ハンドリング・チャージ(Container Handling Charges: CHC)とも呼ばれます。貨物を運送する船会社(Carrier)は通常コンテナ満載(Full Container Load: FCL)貨物であればコンテナ・ヤード(CY)まで、またコンテナ1つに満たない混載(Less Than Container Load: LCL)貨物であればコンテナ・フレート・ステーション(Container Freight Station: CFS)まで運送します。

LCL貨物であっても、ほとんどがコンテナ輸送となります。THCは原則として、積み地と揚げ地の双方で船会社から徴収されますが、地域により、また船会社により、徴収されないケースや金額に相違があることがあります。

コンテナ輸送が導入されてから発生するようになったこのTHCは、本来運賃の一部を構成すると考えられますが、船会社は運賃自体を自由に値上げをすることが困難なために、運賃とは別にサーチャージという名目で徴収するようになりました。 日本で輸入貨物を申告する場合、課税価格は原則CIF価格となりますが、THCの金額が運賃と区別できる場合には課税価格に含める必要はありません。

II. インコタームズ

インコタームズでは取引条件をCFR、CIFとした場合はそのあとに指定仕向港(named port of destination)を記し、CPT、CIPとした場合はそのあとに指定仕向地(named place of destination)を記すことになっています。これにより、インコタームズが示す運送費用の範囲は、CIFであれば指定仕向港まで、CIPであれば、指定仕向地までとなります。また、2010インコタームズ改正では、伝統的取引条件(FOB、CFR、CIF)の危険の移転時点が本船のレールを越える時から、船上に置く時に変わりました。

揚げ地でのTHCが運送契約に含まれていない場合は、結果的に物品を引き取る買主の負担となる場合がほとんどです。したがって、当事者間のトラブルを避けるために、売主または買主のいずれが負担すべきかを売買契約で事前に明確に規定する必要があります。

調査時点:2011/09
最終更新:2018/02

記事番号: A-000A48

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