中古資本財の現地輸入規則および留意点:インドネシア向け輸出
質問
インドネシア向けに中古の機械設備を輸出したいと考えています。現地の輸入通関手続きで留意すべき事項があれば教えてください。
回答
インドネシアでの中古機械設備の輸入は、2025年6月30日付商業大臣規則2025年第24号の付表にて、輸入可能品目、経過年数、事業者などが制限されています。
なお、輸入の際には輸入承認が必要となります。承認は1~12月の期間で最長1年間有効です。
Ⅰ. 輸入可能品目
商業大臣規則2025年第24号付表の輸入可能品目リスト(HSコード8桁)に掲載されている中古資本財としては、
- 自ら使用するために直接輸入できるもの、
- 修理(Reconditioning)会社が輸入できるもの、
- 再製造(Remanufacturing)会社(事業分類コード(KBLI)28240)が輸入できるもの、
- 特定の目的のための中古資本財、
- 中古リチウム電池、
- 産業原料としての非 B3 廃棄物(危険及び有害な物質)
が挙げられています。
さらに、
- (1)直接使用会社が輸入できる中古資本財は以下のように分けられています。
- 分類A:製造から5年まで(HSコード8518.11.00のみ)、同10年まで(同8479、8543、9030、9031)、同15年まで(同ex 9030.20.00のみ)、同20年まで(同84類、85類、90類)、鉱業会社向け同20年まで(同8704、8705、8716)
- 分類B:航空機(同88類)、ゴム製タイヤ(同4012)、機械類(同8407、8409、8411)
- 分類C:船舶(同89類):
- (2)修理会社が輸入できる中古資本財も、以下のように分けられています。
- 分類A:製造から5年まで(HSコード84類、85類、但し、保税地区対象)、同20年まで(同84類、85類)
- 分類B:同20年まで(同8511)
- (3)再製造会社が輸入できる中古資本財は、HSコード84類および87類の製造から20年までのものに限定されています。
- (4)特定目的のための中古資本財は、以下のように分けられています。
- 分類A : 産業移転(工場移転)
- 分類B : 直接利用企業の為の製造から20年までの分類Aの除外適用
- 分類C: 直接利用企業の為の分類Cの除外適用
また、HSコード84類、85類、87類、89類、90類の一部品目については、インドネシア工業省の技術基準を満たしていることを輸入の条件としています。これらの基準は、2016年2月23日付工業大臣規則2016年第14号(No.14/M-IND/PER/2/2016)の付表に、品目ごとに記載されています。
Ⅱ. 輸入できる事業者と輸入承認
輸入者はいずれも、製造業者向けの輸入業者登録番号(API-P)として有効な事業基本番号(NIB)を有している必要があり、輸入前に商業省から輸入承認を取得しなければなりません。輸入承認は事前に商品収支に基づき発行されますが、商品収支が未決定の間は、事業許認可、輸入した中古資本財を少なくとも年齢制限の間は売買したりスクラップにしたりしない旨の誓約書、事業がまだ開発段階である旨の表明書、販売国当局からのカリブレーション証明(該当すれば、外国語の場合はインドネシア語への宣誓翻訳要)などに基づき発行されることになっています。このほか、航空機の場合は運輸省が発行する航空機調達承認書や航空機搬入許可推薦状、船舶の場合は船籍証明や重量証明をはじめとした法定証明に対する運輸省の審査結果、および売手と買手との間の覚書(MoU)も必要です。また、修理会社と再製造会社の場合は、会社の能力検査結果報告書と工場の占有証明も必要。さらに修理会社は修理活動報告、再製造会社は商標権を有する会社からの指名書も求められます。
なお、工業大臣規則2016年第14号では、HSコード8511, 8704, 8705, 8716番台は工業省金属・機械・輸送機器・電気工業総局が発行する技術見解の添付を義務付けられており、輸入できるのは製造から15年以内に限定されています。その他の4012, 8407, 8409, 8411,8802, 8803, 8805番台については、運輸省が管轄しています。
Ⅲ. 船積前検査
航空機と船舶をのぞく中古資本財を輸出する際には、輸出対象品がまだ使用できることやスクラップではないことなどを証明する船積前検査が必要となります。この船積前検査は、政府系検査会社であるKerja Sama Operasi Sucofindo-Surveyor Indonesia(KSO SCISI)が担当しています。日本では、下記の関係機関にあげる検査機関がKSO SCISIの代行検査機関として関わっています。
船積前検査の手配は中古資本財を輸入しようとする事業者が行い、検査費用も輸入者の負担となります。
なお、たとえ海外子会社向け輸出であっても、当該中古機械設備が輸出貿易管理令の対象となる機器・技術であるかどうかを確認する必要があります。
関係機関
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KSO Sucofindo-Surveyor Indonesia (SCISI)
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SGSジャパン株式会社(SGS)
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コテクナ・インスペクション・ジャパン株式会社(COTECNA)
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ビューローベリタス ジャパン株式会社(BUREAU VERITAS)
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インターテックテスティングサーヴィセスジャパン株式会社(INTERTEK)
※上記機関は、本記事作成にあたり収集した情報にもとづき例示したものですが、ジェトロが利用を推奨するものではありません。各機関にはお客様から直接ご連絡をお願いします。
参考資料・情報
- インドネシア商業省:
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商業大臣規則2025年第24号
調査時点:2024年2月
最終更新:2025年8月
記事番号: A-000A01
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