輸出時の原産地証明書の使用方法および輸入者のメリット
質問
輸出をする際に要求される原産地証明書の現地の取扱い、輸入者のメリットを教えてください。
回答
原産地証明書はすべての輸出取引で要求されるものではありません。
原産地証明書には大きく分けて2種類あります。
Ⅰ. 原産地証明書(非特恵)
ワシントン条約該当物品、輸入国の法律・規則に基づく要請、契約や信用状で指定がある場合など、あらゆる用途で貨物の原産地を証明するために発行されます。日本では、1923年ジュネーブ条約および商工会議所法第9条により、全国各地の商工会議所が発行機関となっています。この原産地証明書を発行するための原産地判定基準は、関税法施行令、関税法施行規則、関税法基本通達に定められた原産地認定基準が用いられ、原則として、最終的にHSコード4桁レベル(項)の変更をもたらした加工を行った国・地域を原産地とする関税分類変更基準が採用されています。
Ⅱ. 特定原産地証明書
輸入国における一般関税率(MFN税率)よりも低率なEPA、またはFTAの特恵関税率適用を目的としたもので、輸入者が輸入申告の際に他の船積書類と共に税関に提示し、特恵関税率の適用を要求します。日本で発給されるものは、「特定原産地証明書」と呼ばれるもので、経済連携協定に基づく特定原産地証明書の発給等に関する法律(原産地証明法)により、日本商工会議所が指定発給機関となっており、この日本商工会議所から発給される特定原産地証明書のことを「第一種特定原産地証明書」といいます。一方、同じ経済連携協定(EPA)でも、日シンガポールEPAについては各地の商工会議所が発給します。また協定によっては(2025年9月現在では、日スイスEPA、日ペルーEPA、日メキシコEPA、RCEPの4協定)、経済産業大臣の認定を受けた輸出者自らが第二種特定原産地証明書を作成できる認定輸出者制度が導入されています。この認定輸出者が作成する特定原産地証明のことを「第二種特定原産地証明書」といいます。 これら、経済連携協定(EPA)による原産地証明書は、協定ごとおよび品目ごとに異なる原産地規則(品目別原産地規則)に照らし合わせ、それぞれの協定に基づく様式で発給または作成されます。
一部の国では協定発効前後にMFN税率が下がり、EPA特恵税率よりもMFN税率の方が低い場合があります。その場合、特定原産地証明書は不要です。
現在、以下の国・地域と特定原産地証明書を要求される経済連携協定(EPA)を締結しています。なお、特定原産地証明書の発給には、通常の非特恵の原産地証明書の発行とは別に新たに企業登録する必要があります。
- シンガポール
- メキシコ
- マレーシア
- タイ
- チリ
- インドネシア
- ブルネイ
- ASEAN
- フィリピン
- スイス
- ベトナム
- インド
- ペルー
- オーストラリア(同協定については自己申告制度との併用)
- モンゴル
Ⅲ. 自己申告制度に基づく原産地申告(原産地証明)
日オーストラリアEPA(第三者証明制度も利用可)、CPTPP、日EU・EPA、日英EPA、日米FTA*、およびRCEPの一部の輸出対象国(オーストラリア、ニュージーランド、韓国)への原産地証明は、第三者機関を経ずに輸出者・生産者が自ら原産地に関する申告文を作成、又は輸入者がその知識に基づいて輸入申告時に必要情報を提供する「自己申告制度」が採用されています。
*日米FTAではCPTPP、日EU・EPAなど異なり、輸出者又は生産者には、原産地証明書や原産地に関する申告文の作成は求められておらず、輸入者が自らの知識、又は産品が原産品であるとの情報に基づき、 「産品が原産品である」との輸入申告を行う自己申告が採用されています
関係機関
参考資料・情報
- 日本商工会議所:
-
経済連携協定(EPA)に基づく特定原産地証明書の発給手続きについて
- 税関:
-
「自己申告制度」利用の手引きー日豪EPAー
(964KB)
-
「自己申告制度」利用の手引きーCPTPPー
(1.1MB)
-
日EU・EPA自己申告及び確認の手引き
(577KB)
-
日米貿易協定にかかる原産品申告書の作成の手引き
(1.1MB)
-
日英EPA自己申告及び確認の手引き
(704KB)
-
「自己申告制度」利用の手引きーRCEP協定ー
(1.5MB)
調査時点:2012年7月
最終更新:2025年9月
記事番号: A-000969
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