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委託加工貿易契約を行う際の注意点:中国

質問

中国と委託加⼯貿易契約を⾏う際の留意点について教えてください。

回答

日本から中国の生産委託者に原材料などを支給し、その加工品を輸入することを委託加工貿易といいます。委託加工には中国の企業が国外から無償提供された原材料を加工して輸出する「来料加工」と国外から有償提供された原材料を加工して輸出する「進料加工」の2つのケースがあります。いずれの場合も契約締結に当たっては⽣産委託者(外国企業)と生産受託者(中国企業)の間で義務と責任の範囲を明確にする必要があります。

I. 関連の法規制・税制

委託加工契約の締結に先⽴ち、中国側での当該契約に関連する税制、法規制等を確認します。

  1. 輸出加⼯区企業の企業所得税の特恵措置
    1. 東部沿岸地区の輸出加⼯区では、加工貿易の業種として付加価値の少ない、あるいは労働集約型の企業の⼊区を新たに許可せず、内陸部の中⻄部地区でこれらの産業を積極的に受け⼊れています(商務部発令の「輸出加工区加工貿易管理暫定弁法」、輸出加工区の規制)。
    2. 輸出加⼯区内では、エネルギーの消費が⼤きい業種や環境汚染をもたらす業種は禁⽌されています。なお、軽減税率や特恵税率の段階的措置などが設けられていますが(改定所得税法、2008年1⽉1⽇施⾏)、現在の基本的な企業所得税率は外資および国内企業ともに25%です。加工区企業が従来受けていた企業所得税の特恵措置などは、徐々に基本的な企業所得税率に移⾏されています。
    3. 現在、沿海地区に集中している加⼯貿易産業の⻄部地区への移転を促進するため、⻄部地区に設立された奨励類産業企業は2020年12⽉31日までは、15%の企業所得税特恵税率が適⽤されます。
  2. 加工貿易実⾏可能性の可否判断
    輸⼊原材料および完成品の輸⼊、または輸出が、中国政府によって制限もしくは禁⽌されている商品ではないかを確認します。加工貿易制限類および禁⽌類品⽬⽬録は、加工貿易制限類目録および加工貿易禁止類商品目録(リンク)を参照ください。
    加⼯貿易の分類品⽬⽬録は頻繁に変更されますので、必ず最新情報を確認してください。
  3. 対外貿易経営権の有無確認
    中国企業が直接貿易を行うには、「対外貿易経営権」を取得している必要があります。⽣産受諾企業が対外貿易経営権を取得していない場合には、所轄の商務(対外貿易経済)部⾨に登記申請して取得します。

II. 義務と責任の範囲

⽣産委託者(日本側)と⽣産受諾者(中国側)の義務と責任を明確にします。

  1. 双⽅の義務と責任の明確化
    ⽣産を委託する上で想定される以下の内容を含むあらゆる事項について、両当事者で討議した上で、⽣産委託契約書に条項として合意事項を盛り込みます。
    1. 現地調達部材の特定と品質管理
    2. 中間検査と最終検査要領
    3. 生産品の仕様および合格品と不合格品の処理
    4. 包装および梱包仕様
    5. 加工および生産上の歩留まり率
    6. 立ち入り検査
    7. 合格品の納期
    8. 日本側での品質検査と保証
    9. 生産対価とその範囲および決済⽅法
    10. 加工や⽣産上の技術指導などにかかわる対価と費用
    11. その移転技術や加工と⽣産上のノウハウの守秘義務
    12. 工業所有権
    13. 契約期間
    14. 輸出許可
    15. 契約解除
    16. 紛争処理
    17. 仲裁条項
    18. 準拠法
    19. その他特記事項など
  2. ⽣産委託者の主導性の明確化
    ⽣産委託契約では、⽣産委託者側の主導性を明確にします。例えば、委託生産品の仕様変更、守秘義務等について、以の内容を生産委託契約書に記載します。
    1. 委託⽣産品の仕様変更
      1. 日本側の事前承認をとる
      2. 生産品の原材料のうち現地調達されるものは、日本側が承認した品質基準や仕様に従い、中国側の自己責任と費用で第三者から調達する。⽇本側の事前の承認なしに変更しない
      3. 契約先が下請⼯場を利⽤する場合も、日本側の同意を得る  など
    2. 第三者への販売の禁止
    3. 契約に基づき⽣産された商品や類似商品を、日本側の了承なく第三者に販売しない
    4. 提供した技術や⽣産上のノウハウおよび契約内容などが、第三者に洩れないよう守秘義務を守る
    5. 商標ラベルを作成する場合、⽇本が加⼯を委託した製品以外に日本の商標を使⽤しない など
  3. ⽣産受諾者の管理責任の明確化
    中国で⽣産委託者が原材料などを⽣産受諾者に⽀給し、その加⼯品を輸⼊(⽇本でいう「委託加⼯貿易」)するケースは以下の2つに分けられます。

    「来料加⼯」︓ 中国で国外から無償⽀給された原材料を使⽤した加⼯品を輸出する
    「進料加⼯」︓ 中国で国外から有償⽀給されたものを⽤いた加⼯品を輸出する

    いずれのケースでも、以下の事項について、⽣産委託契約書に⽣産受諾者の管理責任を明確にする必要があります。
    1. 原材料・製品の管理責任
      1. ⽀給原材料の特定、引渡し、保管
      2. 危険負担
      3. 所有権留保
      4. 原材料の残余物(端材)
      5. 加⼯や⽣産⼯程上の失敗材料の処置および半製品や完成品の管理
    2. ⽣産受諾者による関税と増値税の免税・還付⼿続きの実⾏
      中国に物品を輸⼊する場合、⼀般的に関税と増値税が課されますが、来料加⼯および進料加⼯では、⽣産受諾者が以下の⼿続き等を整備した上で加⼯品を輸出することにより、関税・増値税の免除もしくは還付を受けることができます。⽣産受諾者が⼀連の⼿続きの実⾏を確約する条項を織り込む必要があります。
      1. 所轄の商務(対外貿易経済)部⾨の認可を受ける
      2. 所轄税関へ登録登記する
      3. 加工⼿冊(⼿帳)を取得する
      4. 規定された輸⼊原材料やその加⼯品を管理する
      5. 税関への報告
      6. 銀行保証⾦台帳を整備する  など

        詳細はジェトロ貿易・投資Q&A「増値税の納税義務者︓中国外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を参照ください。

III. その他⽣産委託契約書に明⽰する事項

  1. 中国側への設備品貸与
    中国側に加工機械、冶⼯具やその他設備品などを貸与する場合には、随時別途契約書を交わすか、本契約書に追加条項を設けることが必要です。両当事者間で将来何らかのトラブルが⽣じるような場合に、中国側によってそれら物品に留置権などを⾏使されない⼿段および⽅法を講じておくことが重要です。
  2. 技術指導
    ⽣産開始時期の遅れなどを回避するため、中国側に対する技術指導について、日本側の提案した技術習得スケジュールを 厳守させること、また、その技術指導の範囲、対価および費⽤についての両当事者の合意も必要です。他⽅、生産する商品の種類や使⽤部材によって、日本の法律(例、電気⽤品安全法)で規制されるものがあるため、中国側にその技術基準なども指導する必要があります。さらに、商品によっては、中国側に⽇本の国内法(例、家庭⽤品品質表⽰法)に基づく対応を求める必要もあります。
  3. 代⾦決済
    信⽤状の場合、船積書類の到着が製品の到着より遅くなることが往々にしてありますので、電信送⾦による決済など代金決済の方法を検討する必要があります。

関係機関

中国国家税務総局外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
中国財政部外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
中国商務部外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
中国税関総署外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
中国駐日⼤使館外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

関係法令

中国税関総署︓
加⼯貿易貨物の税関による監督管理弁法(税関総署令第219号、2014年3⽉12⽇施⾏、更に2018年11月23日、税関総署令第243号により一部改正) 外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

中国人民政府︓
増値税暫定条例(国務院令第691号、2017年11⽉19⽇施⾏)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
加⼯貿易制限類政策の調整に関する公告(商務部・税関総署公告2008年第97号、2008年12⽉1⽇施⾏)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

中国商務部︓
加⼯貿易制限類⽬録(商務部、税関総署公告2008年第120号、2009年2⽉1⽇施⾏)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
加⼯貿易禁止類商品⽬録(商務部、税関総署広告2014年第90号、2015年1⽉1⽇施⾏)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
輸出加工区加工貿易管理暫定弁法(商務部2005第27号令、2006年1⽉1⽇施⾏)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
対外貿易経営者違法⾏為公告規則(商務部令2005年第17号、2005年9⽉1⽇施⾏)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
対外貿易経営者届出登記弁法(商務部令2004年第14号、2004年7⽉1⽇施⾏、商務部令2016年第2号により一部改正)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
加工貿易禁止類⽬録(商務部、税関総署公告2014年第90号、2015年1⽉1⽇施⾏)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

中国税関弁護⼠網︓
「加工貿易審査許可管理暫定弁法」を印刷発⾏することについての通知(外経貿管発 [1999]第314号、1999年6⽉1⽇施⾏)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

参考資料・情報

ジェトロ:
対外貿易法(主席令第15号、2004年7⽉1⽇施⾏、2016年11月7日に、主席令第57号により改正)PDFファイル(93KB)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

調査時点:2008年1月
最終更新:2019年3月

記事番号: A-000959

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