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輸出における代金回収等留意点:日本

開発途上国向けに機械を輸出します。代金回収に関する留意点について教えてください。

I. 機械の輸出については、中小企業で取り扱われる事が多い小型・小口案件を念頭に記述します。
開発途上国向けとしての輸出取引を進めるに当たっては、常に相手国のカントリーリスクや取引先の信用リスクを念頭に置き、代金回収が確実に行えるよう考慮すべきです。すなわち、取引のプロセスのおおよそは、a. 相手先の情報収集・営業活動、b. 支払条件の決定、c. 売買契約書の締結、d. 輸出貨物の船積・積出、e. 貨物代金の回収、となります。最終目的の代金回収を円滑に行なうために、各プロセスでリスクを排除する工夫が必要となります。

II. 支払条件の決定
決済方法を回収リスクの少ない順に記すと、次のようになります。       

1. 代金の前受(Cash in advance)
全額前受け(T/T送金等)による場合には、回収リスクはありません。ただし、買い手が難色を示すことも考えられます。また、時には「前受金(相手からは、前払い金)返還保証状(リファンドメント・ボンド)」の差し入れを求められることもあります。一部でも前受けすることで、回収リスクの軽減となります。

2. 銀行発行の信用状取引
国際商業会議所(ICC)制定の信用状統一規則(現行は、UCP600)に準拠した信用状での取引では、発行銀行の支払確約があり、書類が信用状条件を充足する限り代金回収は確実です。ただし、開発途上国では発行銀行の信用不安等もあり得ますから、欧米の一流銀行による信用状の「確認(Confirmation)」付加を検討すべきです。また、大手の銀行のサービスにはサイレント・コンファメーション(Silent Confirmation)があり、買取銀行と輸出者との間で特約とすることも可能です。

3. 信用状なしD/P・D/A手形取引
信用状を開設する費用や手間を避けたい買主(バイヤー)の場合、代金取立て手形の支払い渡し条件(D/P)、または代金取立て手形の引き受け渡し条件(D/A)で行います。ただし、手形期日に不払いもあり得ますので、買取銀行が貿易保険の「輸出手形保険」を付保することも選択肢の一つです。この際、銀行にD/P・D/A手形を買い取ってもらう必要があります。
また、貿易保険の代わりに、国際ファクタリング(輸出ファクタリング)を利用することも検討すべきですが、取扱い対象の国に制限がありますので、ファクタリング会社に個別にご相談をお願いします。その他、損害保険会社が引き受けしている「輸出取引用・取引信用保険」もありますので、各損保会社へお問い合わせください。なお、貿易保険は、信用状取引の場合でも利用可能です。

4. 代金の後受け
商品発送後、輸出代金を輸入者から送金を受ける「後受け」とする場合は、上記の方法に比し回収リスクが高まりますので、信用が確認されている企業以外は原則避けるべきです。合渉上受けざるを得ない場合のリスク軽減の対策として、取引相手から契約履行保証等の銀行保証状あるいはスタンドバイL/Cを提供させる方法もあります。
また、後払い送金の場合に、「輸出債権買取サービス(インボイス・ディスカウント)」を取り扱う銀行もありますので、利用も選択肢の一方法です。

5. その他の方法
輸出貨物代金の回収を確実にする方法は、フォーフェイティング等のノン・リコース(買取銀行で買戻し請求権を放棄)取引もありますが、小額の輸出代金では不適です。また、不幸にして、貨物代金の不払い等が生じた場合、貿易保険では、保険代位があり、サービサーに回収業務が引き継がれますが、輸出者に回収義務がなくなるわけではありません。輸出ファクタリングの場合は、ファクタリング会社が回収をしますので、輸出者には回収義務はなくなります。それぞれの場面で、最適な方法を選択する必要があります。

III. 売買契約書の締結
相手国によっては、契約自体は、申込み(オファー:Offer)と受諾(Acceptance)によって口頭でも成立しますが、トラブルが発生したときに「言った・言わない」の争いになりやすいので、リスク管理のため、書面にて明確に記載し、双方がサイン(署名)をするのが望ましいと言えます。売買契約書には、最低限盛り込むべき条項については、網羅しておくことが必要です。

1. 売買契約を書面で交換することの意義

  1. 言った、言わないと言う蒸し返しを防ぐことができる。
  2. 内容が明確になり、正確に理解することができる。
  3. 契約交渉に参加した担当者以外でも、合意内容が把握できる。
  4. 紛争や訴訟になった場合の証拠とすることができる。
  5. 法律により、契約書の作成が契約成立の要件となっている場合がある(英米法の詐欺防止法)。

2. 契約書の書式
契約書の書式は、当事者間の裁量により形式は自由ですが、例えば、ICC(国際商業会議所)のModel Form (ICC Model International Sale Contract、ICC Publication No.556) 等も参考になります。

IV. 貨物代金の回収
貨物代金の回収等、輸出代金の債権保全方法は、日本国内と違い、種々の困難を伴いますので、最終的には、現地の事情に通じた弁護士事務所等のアドバイスを必要としますが、例えば、次のような方法があります。

  1. 所有権移転留保(Retention of Title)を、売買契約書で明記する。
  2. 現地銀行発行のPerformance BondやStand-by Creditを、支払保証(または、契約履行保証)として、相手企業経営者の人的担保や物的担保の代わりに取りうける。
  3. 国際ファクタリング会社の海外債権回収・買取サービスを利用する。ただし、取扱い対象の国に制限がある場合があります。

関係機関
独立行政法人 日本貿易保険(Nippon Export and Investment Insurance: NEXI)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

参考資料・情報
経済産業省:
平成18 年度「海外との取引リスクに関する調査」報告書(平成18 年度経済産業省委託事業)
ジェトロ:
中国における債権回収のポイントPDFファイル(597KB)
    貿易・投資相談Q&A 「 輸出を始める際に取引相手先の内容や財務状況を把握する方法
ジェトロ「貿易ハンドブック」2011年版
「海外取引の与信管理と債権回収の実務」日本実業出版社

調査時点:2011/11

記事番号: A-000955

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