日本からの輸出に関する制度 調味料の輸入規制、輸入手続き

品目の定義

調査時点:2022年7月

本ページで定義する調味料のHSコード

0904
:とうがらし属またはピメンタ属の果実(乾燥し、破砕し、または粉砕したものに限る)およびこしょう属のペッパー
0905
:バニラ豆
0906
:けい皮およびシナモンツリーの花
0907
:丁子(果実、花および花梗に限る。)
0908
: 肉ずく、肉ずく花およびカルダモン類
0909
: アニス、大ういきよう、ういきよう、コリアンダー、クミンまたはカラウエイの種およびジュニパーベリー
0910
:ソース、ソース用の調製品、混合調味料、マスタード粉およびミールならびに調製したマスタード
2209
:食酢および酢酸から得た食酢代用品

※本ページでは、これらの各品目定義のうち、調味料として加工された製品のみ(乾燥加工、粉末、エキス、ソースなど)を対象とし、記述内容はその元となる植物や原材料に適用できないことがあります。

※本調査の趣旨から外れるため、卵や乳成分など動物由来の製品も対象外とします。

オーストラリアの輸入規制

1. 輸入禁止(停止)、制限品目(放射性物質規制等)

調査時点:2022年7月

なし

関連リンク

関係省庁
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根拠法等
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(検索画面にキーワードを入れて検索し、該当する条件を選択していくと、結果が表示されます。)

2. 施設登録、商品登録、輸入ライセンス等(登録に必要な書類)

調査時点:2022年7月

HSコード0904-0906、およびHSコード2103(動物由来の成分を含む場合を除く)に関してはオーストラリア農林水産省(DAFF)による輸入許可(Import Permit)を取得する必要はありません。
ただし、卵成分が乾燥重量比10%を超えるマヨネーズの場合は「卵製品」と見なされ、次項で記載する加熱調理および前述の輸入許可の申請が必要になります。

関連リンク

根拠法等
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3. 動植物検疫の有無

調査時点:2022年7月

  1. HSコード0904-0906、およびHSコード2103(動物由来の成分を含む場合を除く)に関してはオーストラリア農林水産省(DAFF)による輸入許可(Import Permit)を取得する必要がなく、かつ原則として検疫検査の対象外です。

    ただし、「卵製品」に分類される場合は、輸出国の検疫当局が発行する次の情報を記載した「健康証明書」の事前取得と提出が求められます:

    • 原料となる卵はすべて「ニワトリ種」由来のものである旨
    • 適切な加熱滅菌処理を受けた旨、および選択した滅菌方法(商業加熱処理施設において、70℃以上の最低中心温度を8.2分間以上維持する加熱処理、または同等の効果が得られる方法)

    また、調理加工や包装に関するいくつかの検疫条件を満たす必要があり、詳細は「輸入手続き」「3.輸入時に検査・検疫」の「動植物検査検疫」を参照してください。
  2. HSコード1603に関しては、オーストラリア農林水産省(DAFF)による輸入許可を取得する必要があり、具体的な申請手続きや検疫規定は含有成分に応じて「牛肉」、「水産物」を参照してください。

関連リンク

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オーストラリアでの食品関連の規制

1. 食品規格

調査時点:2022年7月

オーストラリアへの調味料類の輸入に際して、本ページの次の各章節に記載した範囲以上の関連食品規格は見当たりません。

2. 残留農薬および動物性薬品

調査時点:2022年7月

調味料は残留農薬規制の対象となります。残留許容基準は、オーストラリア・ニュージーランド食品基準コード(FSANZ)のStandard 1.4.2および、それに付属するSchedule 20、Schedule 21で定められています。Schedule 20は残留農薬基準(MRL)(食物中に存在する残留農薬対象)について100種類以上の化学物質別に、Schedule 21は外因性残留基準(ERL)について7種類の化学物質別に、それぞれ対象となる食品と各食品における化学物質の残留許容基準を設定しています。これらの基準はポジティブリスト形式で規定されており、各食品に該当する物質以外は残留禁止となっています。

調味料のうち、コショウを例に検索すると、適用される許容残留基準は次のように書かれています。

  • Schedule 20
    pepper」または「all other foods」のいずれかに関する許容残留レベルが明示されていない物質は残留禁止となります。
  • Schedule 21
    同じく「pepper」に関して残留が許容されている化学物質の残留基準が示されており、それ以外の物質は残留禁止となります。

3. 重金属および汚染物質

調査時点:2022年7月

調味料は重金属および汚染物質規制の対象となります。オーストラリア・ニュージーランド食品基準コード(FSANZ)のStandard 1.4.1および付属Schedule 19の表において許容されるものとその許容条件(対象食品、上限)をポジティブリスト形式で規定しています。表に明記されている物質以外の汚染物質また有毒物質の含有は禁止されています。

調味料の場合、原材料になる植物などには通常の食品に含まれない成分や大量摂取に向かない成分が含まれることが多く、そのため該当する許容対象物質と対象食品の組み合わせは多数あります。ここでは、リストの見方の説明としてリストごとにいくつかの例を挙げます:

S19—4(金属類)
「スズ」:缶詰食品に限り250mg/kgまで許容されています。
そのほか、調味料の種類に応じて許容残留レベルが規定されている物質があります。
※例として「食塩」の場合、「Salt」に該当する次のもの:
  • ヒ素:0.5mg/kgまで
  • カドミウム:0.5mg/kgまで
  • 鉛:2mg/kgまで
  • 水銀:0.1mg/kgまで
※ただし、水銀についてはS19-7で別途許容値が規定されており、魚醤など魚類由来成分を含む場合は、10点以上のサンプルを抽出した場合の平均値が1.0mg/kgまで、かつ最大値が1.5mg/kgまでとなります。
S19—5(非金属類)
「アクリロニトリル」:全食品に対して一律0.02mg/kgまで許容されています。
「クロロエチレン(別名:塩化ビニル)」:包装飲料水を除く全食品に対して一律0.01mg/kgまで許容されています。
そのほか、調味料の種類に応じて許容残留レベルが規定されている物質があります。
※例として「しょうゆ」の場合、「Soysauceandoystersauce」に該当する次のもの:
  • 3-クロロ-1,2-プロパンジオール(3-chloro-1,2-propanediol):0.2mg/kgまで
  • 1,3-ジクロロ-2-プロパノール(1,3-dichloro-2-propanol):0.005mg/kgまで
Schedule19-5のなかで、ポジティブリストに挙げられていない非金属化学物質は残留禁止となります。
S19—6(天然毒性を有する物質)
「エルカ酸」:マスタードオイルなどの食用油類に対して、20,000mg/kgまで
「アガリン酸」:キノコ類を含む食品に対して、100mg/kgまで
「サフロール」:ナツメッグまたはメースを含む食品に対して、15mg/kgまで

4. 食品添加物

調査時点:2022年7月

調味料は食品添加物規制の対象となります。オーストラリアでは使用される食品添加物についてポジティブリスト制を採用しており、オーストラリア・ニュージーランド食品基準コード(FSANZ)のStandard 1.3.1によって、対象食品ごとに規定されています。許容食品添加物・着色料およびその上限基準は、Standard 1.3.1に付属するSchedule 15、 Schedule 16で確認することができます。

5. 食品包装規制(食品容器の品質または基準)

調査時点:2022年7月

まず、全輸入食品共通の検疫条件として食品用の容器・包装に関しては、個々の包装は新品かつ昆虫、種子、土壌、泥、動植物の一部などの汚染物が付着していない清潔な容器で行わなければなりません。この検疫条件を満たさない場合、または包装が完全・清潔でない場合、検疫検査・検疫処置の対象となることがあります。

次に、一部食品を対象にした検疫条件として、特定食品に対する容器の種類、性状や密封性に関する規制があります。これらに関しては「輸入手続き」の「2.輸入通関手続き」および「3.輸入時の検査・検疫」の動植物検査検疫を参照してください。

最後に、食物安全・有害物質含有防止の観点からの食品包装規制として、オーストラリア・ニュージーランド食品基準コード(FSANZ)による規定とプラスチックの食品接触用途に関するオーストラリア・スタンダード(AS 2070-1999)があります。

FSANZによる規定はさらに3つのスタンダードに大別されます。

  1. 「重金属および汚染物質」で詳述したStandard 1.4.1による規制(容器との接触により、同スタンダードの規定により禁止されている物質や上限値を超えた物質を食品に含有させないことが求められます)
  2. Standard 3.2.2(食品安全に関する措置および一般要件)に含まれる食品包装に関する規定9(a)-9(c)
    1. 食品包装材料は所期の包装目的に適したもののみ使用すること。
    2. 食品に汚染を及ぼすリスクのない包装材料のみ使用すること。
    3. 包装作業の過程における食品汚染のリスクを排除すること。
  3. Standard 1.1.1の包装材の形状・性状に関する規定10(11),12
    食品の包装材や、包装に含まれる乾燥剤・酸化防止剤などは、口の中に誤って入れた場合に飲み込まれて、気道や消化管をふさいだり、ほかのかたちで人体に傷害や不快感を与えたりするような形状・性状であってはなりません。

プラスチックの食品接触用途に関するオーストラリア・スタンダード(AS 2070-1999)は、新品および再生プラスチックの食品包装への使用に関して次のとおり規定しています。

新品プラスチック
  1. 食品接触用途に使用される新品プラスチック材料は、次のいずれかの国際基準を満たすこと
    • 米国Food and Drugs Administration(FDA)によるFederal Regulations 21CFR Parts 170-199の関連規定(関連修正案などを含む)
    • 欧州委員会によるCommission Directives 89/109/EEC(Framework Directive)および 90/128/EEC(82/711/EEC および 85/572/EECなどの関連修正案などを含む)
  2. 食品接触用途に使用される新品プラスチック材料に使用される着色料は欧州理事会による Resolution AP(89) 1, Resolution on the use of colourants in plastics materials coming into contact with food(関連修正案などを含む)を満たすこと
再生プラスチック
  1. 一度一般消費者による使用、または印字を経た再生プラスチックは直接食品に接触する用途に利用しないこと
  2. 新品プラスチックを使って容器を製造する過程で発生する廃棄原材料のリサイクルによって得られ、ほかのソースからのプラスチックによる混入がなく、かつ先に述べた1、2を満たす再生プラスチックのみを直接食品に接触する用途に利用すること

6. ラベル表示

調査時点:2022年7月

オーストラリアで販売する調味料は、オーストラリア・ニュージーランド食品基準コード(FSANZ)および「原産地ラベリング情報に関する2016年基準法」により、次の項目の表示が義務付けられています。

  1. 食品名、ロット識別情報、供給業者名と所在地
  2. 原料成分表示
  3. 原産地表示
  4. 賞味期限、消費期限のいずれか(期限が2年以上の場合を除く)
  5. 使用方法および保存方法(必要に応じて)
  6. アレルギー成分などに関する警告・注意喚起・告知
  7. その他の特定含有成分
  8. 遺伝子組み換え技術による加工(該当する場合)
  9. 栄養情報パネル
  10. 食品またはその原料に対する放射線照射

7. その他

調査時点:2022年7月

食品安全・衛生規制
オーストラリアへ輸入される食品に関する安全・衛生規制はすべてオーストラリア・ニュージーランド食品基準コード(FSANZ)によって規定されています。調味料類の場合、「残留農薬」「重金属および汚染物質」「食品包装規制」に加え、、Standard 1.4.4による「禁止植物・菌類」に関する規制、Standard 1.5.2 による「遺伝子組み換え技術により生産された食品」に関する規制、Standard 1.6.1 による「微生物検出基準」が該当します。

オーストラリアの輸入手続き

1. 輸入許可、輸入ライセンス等、商品登録等(輸入者側で必要な手続き)

調査時点:2022年7月

調味料であっても「卵製品」としてオーストラリア農林水産省(DAFF)に対して輸入許可を申請する必要がある場合、積荷がオーストラリアの港または空港に到着する前に申請手続きを終える必要があります。

申請手続きはDAFFが運営するBICONウェブサイト上でアカウントを作成し、オンラインで行います。

「卵製品」に該当する場合、「輸入規制」の「3. 動植物検疫の有無」で記載の「健康証明書」の提出も必要になります。

2. 輸入通関手続き(通関に必要な書類)

調査時点:2022年7月

共通の必要書類として、次の情報を含む通関書類を提出すること。

  1. 各積送品(Consignment)を特定する情報(entry numberなど)
  2. 各積送品(Consignment)に含まれるすべての輸入製品を特定する情報(インボイス、運送状(waybill) または輸入業者の積荷目録(importer’s manifest))
  3. ほかの書類上の製品名などの記述だけでは具体的な製品・内容物が明らかでない場合、当該内容が分かるような情報(例:Product AX ⇒ Synthetic antibiotic;Comte ⇒ Cheese)

また、次の旨が分かるような記述を製品ラベル、インボイス、製造者・輸出者・提供者(輸入者)による申告のいずかれに明記する必要があります:
- HSコード0904-0910、2103に該当する植物由来の調味料類に関しては:

  • それぞれの原材料となる植物が生鮮の状態ではなく、調理料として取り扱われるための加工を受けていること。
  • 動物由来の成分を含まないこと(ただしほかの記載情報から自明の場合は不要)

- HSコード2209に該当する食酢および酢酸由来の食酢代用品に関しては:

  • 醸造に使用された原料名
  • 当該原料は高度な処理過程によって発酵・純化されたこと
  • 当該原料以外の動植物由来成分を含まないこと

3. 輸入時の検査・検疫

調査時点:2022年7月

動植物検査検疫
次の検疫条件を満たす必要があります:
  1. 動物由来の原料を含まないこと
  2. 十分に乾燥された状態で、新しく清潔なパッケージにより商業的に包装されていること
  3. 内容物および包装に次のような検疫リスク物質が混入または付着されていないこと:土壌、種子、動植物の一部、生きた昆虫、排泄物
  4. 「3.」を確認するための抜き打ち検疫の対象となる可能性がある。その際に検疫リスク物質の混入または付着が確認された場合、輸入者の負担で所定の除染方法による処理、国外返送、または廃棄をしなければならない
  5. HSコード2103のうち、ソース類またはペースト類などに関しては十分な商業的調理(塩漬け、酢漬け、アルコール漬け、砂糖シロップ漬けなど)を経て密封容器(金属缶、密封蓋つきのガラス瓶、レトルトパックや真空パックなど)で包装され、一定の品質保持期限を有すること

関連リンク

関係省庁
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根拠法等
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4. 販売許可手続き

調査時点:2022年7月

検疫条件に「人間の食用のみを目的とする輸入」なる条件が含まれたもの(原則として本ページの対象品目すべて)に関しては、動物の食用や獣医目的、肥料やバイオレメディエーションなどの環境目的に販売してはなりません。

5. その他

調査時点:2022年7月

なし

オーストラリア内の輸入関税等

1. 関税

調査時点:2022年7月

オーストラリアに輸入される日本産の調味料は、関税を免除されます。

2. その他の税

調査時点:2022年7月

GST(商品・サービス税)が付加価値税(VAT)に該当します。オーストラリア国内で消費される商品のうち、コメや生鮮食品、小麦粉など、生活を維持するために最低限必要な食糧品などの一部例外を除き、ほぼ全ての商品・サービスに課されます。
GSTはFOB価格、海上/航空運賃、関税、保険を合わせた金額に対して10%が課されます。

3. その他

調査時点:2022年7月

通関費用(豪ドル)
申請方法 Consignment Value(CIF価格) 通関費用(2016年1月1日~)
電子申請 ≦$1,000 なし
>$1,000 ~ <$10,000 $50.00
≧$10,000 $152.00
紙書類申請 >$1,000 ~ <$10,000 $90.00
≧$10,000 $192.00

その他

調査時点:2022年7月

なし