水産物の輸入規制、輸入手続き

日本からサウジアラビアに輸出される食用の水産動物およびそれらの加工品で、次のHSコードに該当するもの。

0302：魚、生鮮または冷蔵したもので、第0304項の魚のフィレおよびその他の魚肉を除く
0303：魚、冷凍のもので、第0304項の魚のフィレその他の魚肉を除く
0304：魚のフィレおよびその他の魚肉（細かく切り刻んであるかないかを問わない）、生鮮、冷蔵または冷凍のもの。
0305：魚の干物、塩漬け、塩水漬け、魚の燻製（燻製前または燻製中に調理されたか否かを問わない）。
0306：甲殻類（殻付きであるか否かを問わず、生きたまま、生鮮、冷蔵、冷凍、乾燥、塩漬けまたは塩水漬けのもの）、甲殻類の燻製（殻付きであるか否かを問わず、燻製前または燻製中に調理されたか否かを問わない）、甲殻類（殻付きであるか否かを問わず、蒸し調理または水煮調理されたもので、冷蔵、冷凍、乾燥、塩漬けまたは塩水漬けのもの）。
0307：軟体動物（殻付き、殻なしを問わず）、生きているもの、新鮮なもの、冷蔵、冷凍、乾燥したもの、塩漬け、塩水漬けのもの、軟体動物の燻製（殻付き、殻なしを問わず）、燻製前または燻製中に調理したか否かを問わない。
0308：甲殻類・軟体動物以外の水生無脊椎動物で、生きているもの、新鮮なもの、冷蔵、冷凍、乾燥、塩漬け、塩水漬けのもの、甲殻類・軟体動物以外の水生無脊椎動物を燻製したもの。
0309：魚類、甲殻類、軟体動物、その他の水生無脊椎動物の粉、ミール、ペレットで、食用に適するもの。
1504：魚類または海洋哺乳類の油脂およびその分別物（精製されているか否かを問わないが、化学的な変性加工されていないもの）。
1516：動物性油脂、植物性油脂または微生物性油脂およびその分別物で、その一部または全部が水素添加、インターエステル化し、リエステル化しまたはエライジン化されたもので、精製されているか否かを問わず、さらに調製されていないもの。
1518：動物性油脂、植物性油脂または微生物性油脂およびその分別物であって、ボイル油化、酸化、脱水、硫化、吹き込み、真空または不活性ガス下での加熱重合、その他の化学的な変性加工をしたもので、第1516項のものを除く）
1603：肉、魚または甲殻類、軟体動物もしくはその他の水棲無脊椎動物のエキスおよびジュース
1604：調製または保存された魚、魚卵から調製されたキャビアおよび代用キャビア。
1605：甲殻類、軟体動物、その他の水生無脊椎動物で、調製または保存されたもの。
2106：調製食料品（他の項に該当するものを除く）

サウジアラビア政府は、2017年11月東京電力福島第一原子力発電所事故の発生に伴う日本産食品の輸入規制を撤廃しています。

なし

サウジアラビアに水産物を輸出する際は、輸出する商品の製造・加工施設、ならびに輸出する全商品登録が必要となっています。 SFDA（Saudi Food and Drug Authority：サウジアラビア食品医薬品庁）の認定機関である一般社団法人日本食品認定機構に申請し、SFDA認定施設としての認証を受ける必要があります。SFDA認定の水産加工施設は、SFDAおよび農林水産省のウェブサイトにて公開されています。

サウジアラビアに水産物を輸出する際に、日本側での輸出事業者登録は必要ありません。

サウジアラビアへの輸入通関に関し、輸出者側で用意すべき書類は次のとおりです。

なお、ハラール証明書は食肉や動物由来食品のみに必要なため、水産物の場合は原則不要です。
※全食品は輸入段階で審査・検査を受け、ハラール性が認められた場合のみ、サウジアラビア国内での流通が可能となります。
※公的証明書などの詳細は、農林水産省サウジアラビア向け輸出水産食品の取扱要綱を参照してください。

日本からサウジアラビア向けに水産物を輸出する場合、動物および植物検疫証明書なしで輸出できます。

HSコード0302、0303、0304、0305、0306、0307、0308、1504、1516、1518、1603、1604、1605、2106に記載されているHSコードに該当し「サウジアラビア向け輸出⽔産⾷品認定施設」に掲載されている輸出品目は、衛生証明書の発行対象となります。 なお、養殖由来の輸出品目がある場合、BAP（Best Aquaculture Practices）認証を取得している施設が対象になります。

サウジアラビアは、湾岸協力会議（GCC）の標準化機構であるGSO（Gulf Cooperation Council Standardization Organization：湾岸協力会議標準化機構）が発行する規格（技術規則）を採用しています。GSO規格は、関連リンクの「GSO湾岸協力会議標準化機構」のウェブサイトで確認することができます。

サウジアラビアではGSO規則を採用し、「GSO FD 382:2021農産物および食品中の農薬の最大残留許容量（Maximum Limits of Pesticide Residues in Agricultural and Food Product）」および「GSO 2532:2016 SFDA 農産物の残留農薬について」が適用されています。 最大残留基準値について、次のとおり規定しています。

水産物は、重金属規制などの対象となります。サウジアラビアでは、汚染物質と毒素に関する基準としてGSO規則を採用し、「GSO FD 382:2018農産物および食品中の農薬の最大残留許容量」「GSO 2481:2019 食品中の動物用医薬品の最大残留基準値（Mrls）」に準拠しています。 最大許容量もGCCの標準化機構であるGSOの規格で定められています。最大残留基準値については、SFDAが農産物および食品中の残留農薬の最大限度を規定しています。規格は、SFDAのウェブサイトで確認することができます。食品の微生物学的基準はGSO1016に準拠し、魚介類とその製品について、微生物の許容制限の規定があります。 サウジアラビアでは汚染物質と毒素に関する基準としてコーデックス規格、および「GSO1016:2015微生物の規制について」の各項目を基準とします。具体的な基準値については、GSO1016で確認することができます。

GSOが発行する各種規格（技術規則）によって規定されています。GSOに記載されていないものはFAO（国際連合食糧農業機関）のCODEX STAN 193が基準となっています。規則はSFDAのウェブサイトより確認することができます。また、甘味料は、GSO840:1997「食品に使用が許可されている甘味料の測定法」の基準を参照してください。

サウジアラビアでは、水産物を包む食品用の容器・包装に関する規制は「GSO 839:2021食品包装‐パート1：一般的要件（Food packages-Part 1: General requirements）」と、サウジアラビア標準化公団（SASO：Saudi Standards, Metrology and Quality Organization）が発行している食品の包装・ラベルに関する基準に準じます。

その他、プラスチックを使用する場合は次の規格も適用されます。
・「GSO1863:2021 食品の包装に使用されるプラスチックパッケージの要件と仕様」

日本から輸入する水産物は、GSO規格である「GSO9:2022 包装食品のラベル表示（Labeling of prepackaged food stuffs）」により次の項目を英語またはアラビア語で表示することが求められます。

このうち、栄養成分については次の項目の表示が必要です。

SFDAから栄養状態の維持・改善に関係する栄養素、またその量の申告を求められることがあります。
パッケージ上で特定の栄養素または健康効果を表示する場合、栄養素の量を表示しなければなりません。特定の栄養または健康強調表示を適用する場合、国内法または国内食品要求事項が要求する「良好な栄養状態の維持に関連するその他の栄養素の量の宣言」は必須となります。
飽和脂肪酸、一価不飽和脂肪酸、多価不飽和脂肪酸、コレステロールおよびトランス脂肪酸の量および／また種類は、「SFDA FD2233」内の要求事項に従って申告をするものとします。

製造国または輸出元国の定めにより、ビタミン・ミネラルの含有量を記載が義務付けられている場合は、サウジアラビア向けにも記載することは可能です。ただし、NRV（栄養素摂取目安量）が5%未満の場合、表示することができません。

また、アレルゲン表示の対象として次の項目が指定されています。

なし

調査時点：2024年12月

日本から水産物を輸出するにあたって、サウジアラビア側の輸入者は商品登録／輸入事業者登録が必要です。

【輸入業者登録制度】

サウジアラビアで食品を輸入しようとするものは、SFDAのE-Service（FRCS）への登録、およびサウジアラビアでの法人格を有している必要があります。

【商品登録制度】

SFDAのE-Service（FRCS）で輸入業者登録完了後、輸入前に商品登録をする必要あります。商品は輸入者単位で登録されるため、業者Aが登録した商品を業者Bが輸入する際は、同じ商品でも新規登録をする必要があります。

【登録項目例】

製品名、バーコード、トレードマーク、ブランド名、HSコード、実重量など
裏面ラベルは事前審査があるため、SFDA.FD/GSO9:2022の規制に従ったラベル情報を登録する必要があります。また水産物に関しては認定施設番号を記載する必要があります。製品の処方やラベルに変更があった場合、輸入業者は再登録を行う必要があるため注意が必要です。
輸入者はSFDAの業務部門から認可を受けた倉庫と有効な倉庫管理者を持つ必要があります。そのため、保管倉庫の住所、SFDAとコミュニケーション可能なスタッフの氏名（アラビア語での対応が必要）のほか、各サウジアラビア入港地で契約している通関業者の登録も必要です。

日本から水産物を輸入するにあたっては、次の書類が必要になります。

サウジアラビアに輸入される貨物には次の検査が実施されます。

サウジアラビアでの事業展開には次の手段が検討されます。

なし

調査時点：2024年12月

日本から輸入される水産物（品目名）には5％の関税が課されます。

サウジアラビアの関税は、GCC統一関税同盟法により、食品を含む多くの品目の関税は5%（GCC諸国からの輸入品は免税）と定められていますが、一部例外もあります。品目別（HSコード）の関税率は、ザカート・税・関税庁のウェブサイトから検索できます。

2018年1月1日からすべての食品（飲料を含む）に一律5％の付加価値税（VAT）が導入されています。2020年7月には、付加価値税（VAT）が従来の5％から15％に引き上げられました（食品などの軽減税率なし）。

なし

ハラール認証

ハラール認証は、動物および家禽類由来の肉派生品（現状は、牛肉および牛肉派生品に限る）を対象にしており、水産物は対象ではありません。