日本からの輸出に関する制度

牛肉の輸入規制、輸入手続き

品目の定義

本ページで定義する水産物のHSコード

0201:牛の肉(生鮮のものおよび冷蔵したもの)
0202:牛の肉(冷凍したもの)

関連リンク

サウジアラビアの輸入規制

1. 輸入禁止(停止)、制限品目(放射性物質規制等)

調査時点:2024年12月

サウジアラビア政府は、2017年11月に東京電力福島第一原子力発電所事故の発生に伴う日本産食品の輸入規制を撤廃しています。

2. 施設登録、輸出事業者登録、輸出に必要な書類等(輸出者側で必要な手続き)

調査時点:2024年12月

施設登録

施設登録の方法

次は農林水産省の「サウジアラビア向け輸出牛肉の取扱要綱」からの引用です。あわせて関連リンクの「サウジアラビア向け輸出牛肉の取扱要綱」を確認してください。

申請
設置者は、サウジアラビア政府に登録されたハラールと畜証明書発行機関からハラール認証を受けることができることを証する書類を添付したうえで、と畜場などを管轄する都道府県知事などに対し、別紙様式1「と畜場及び食肉処理施設設置者等申請様式」により、関係書類を添付して申請すること。
都道府県などによる審査
申請書を受け付けた都道府県知事などは、と畜場などの施設、設備などが農林水産省「サウジアラビア向け輸出牛肉の取扱要綱」3.サウジアラビアに輸出可能な牛肉の要件(1)食肉衛生関係、および4.認定と畜場等の要件に掲げる要件に適合することを審査し、支障がないと認めたときは、別紙様式2「都道府県知事等報告様式」により当該と畜場などの検査体制に関する資料を添えて厚生労働省宛てに提出すること。
サウジアラビアに輸出可能な牛肉の要件
食肉衛生関係
  • と畜検査に合格した牛に由来し、ヒトの食用に適すると判断されたものであること。
  • 認定と畜場などにおいて、と畜、解体、分割および細切(以下「と畜など」という。)が一貫して処理されたものであること。
  • Gulf Cooperation Council Standardization Organization(GSO)規則における残留物質などに関する基準に適合していること。
  • 疾病管理のためにと畜した牛由来ではないこと。
  • 日本で生まれ、飼育された牛由来であること。
  • GSO815およびGSO323に従って保管および輸送されていること。
  • 遺伝子操作を行っていない牛由来であること。
認定と畜場などの要件
認定と畜場などの要件
  1. と畜場など関係
    • と畜場法(昭和28年法律第144号)に基づく設置の許可または食品衛生法(昭和22年法律第233号)に基づく食肉処理業の営業許可を有し、かつ、と畜場法、食品衛生法などの関係法規を遵守していること。
    • 食肉処理施設はと畜場に併設され、と畜などが一貫して行われていること。
    • 別添1「施設の構造設備および衛生管理等に関する基準」(※1)に適合していること。
    • HACCPに基づく衛生管理を実施していること。
  2. 食肉検査関係
    • 都道府県などのと畜検査員により、認定と畜場などでと畜および解体されるすべての牛について、と畜検査が実施されていること。
    • と畜検査員または食品衛生監視員の監視指導により、別添1「施設の構造設備及び衛生管理等に関する基準」に基づくと畜場などの衛生管理等の適正な実施が担保されていること。
    • 都道府県等のと畜検査員または食品衛生監視員により、認定と畜場などのHACCPに基づく衛生管理が適正に実施されていることが検証されていること。なお、と畜場にあっては、「と畜検査員及び食鳥検査員による外部検証の実施について」(生食発0528第1号)で示す外部検証が実施されていること。
    • 別添2「不正防止の基準」(※2)に基づく不正防止が実施されていること。
    • 都道府県などにおける食品衛生監視指導計画などに基づく残留物質検査の結果が、GSO規則における基準にも適合していることを確認すること。なお、GSO規則に基づく基準は別添3(※3)を参照すること。
施設の構造設備および衛生管理などに関する基準 (※1)
  1. 枝肉および部分肉など(部分肉および部分肉を細切したものをいう。以下同じ。)の洗浄には、使用水(水道水および飲用に適する水をいう。)のみを使用し、食塩や食品添加物(次亜塩素酸および酢酸を含む。)を用いないこと。
  2. 冷蔵の枝肉および部分肉などの温度は1±0.5℃となるように保管すること。
  3. 冷凍肉は、速やかに-18℃になるまで-40℃で急速に冷凍し、-18℃を超えないように保管すること。
  4. 枝肉および部分肉などを冷蔵室で保管する場合、冷蔵室の温度を-0.5±1℃で管理すること。
  5. 冷蔵室および冷凍室には室外から温度を読み取ることができる温度計を設置し、温度記録を保管すること。
  6. 冷蔵室および冷凍室には湿度計を設置すること。
  7. 施設の出入り口は、自動閉鎖式であること。
  8. 消毒剤など(消毒剤、洗浄剤、殺虫剤、殺鼠剤、農薬など)は、保管場所を定め、適切に保管すること。
  9. 加工、輸送および保管の各段階において、サウジアラビア向けのものとサウジアラビア向けでないものが接触しないよう、ロット区分などの管理を行い、取り扱われていること。
  10. 枝肉や部分肉などの微生物試験を行う場合は次の基準に適合すること。 検体1g(または1平方センチメートル)当たり、ア. 一般生菌数が106CFU 以下であること。また、5検体中105CFUを超えるものが2検体以下であること。イ. サルモネラ属菌が検出されないこと。ウ. 腸管出血性大腸菌O157が検出されないこと。
不正防止の基準 (※2)
  • 食肉衛生検査所などは、包装された製品に不正が行われることを防止するため、次の事項を行うこと。
    • 製品に直接触れる容器包装またはそれらをまとめる容器包装(透明のビニル袋など)に、検査済証(別記様式1)を貼付などすること。
    • 製品の梱包(カートンなど)には、検査済証を貼付などするとともに、施設番号を印字したシール(別記様式2)により、開梱時に破られるような方法で封印を施すこと。
  • 食肉衛生検査所などは、前項を行ううえでの管理方法および管理記録に関する書類を作成すること。
GSO規則における残留物質の基準 (※3)
次の法令を参照のうえ、最新のGSO規則を確認してください。
  • GSO 2481/2021(Maximum Residues Limits (Mrls) of Veterinary Drugs In Food)
  • SFDA.FD 382/2018(MAXIMUM LIMITS OF PESTICIDE RESIDUES IN AGRICULTURAL AND FOOD PRODUCTS)
  • GSO CAC 193:2021 CODEX STAN 193:1995(General Standard for contaminants & toxins in food)
別紙様式2「都道府県知事等報告様式」に記載する事項 (※4)
  • と畜場および食肉処理施設の名称、所在地および施設番号(法人にあっては法人番号)(日本語・英語併記)
  • 設置者および営業者の氏名および住所(法人の場合はその名称および所在地)
  • 添付書類
    • 食肉衛生検査所などの検査体制についての資料
      • 食肉衛生検査所などの概要(組織図も含む。)
      • 農林水産省発表の「サウジアラビア向け輸出牛肉の取扱要綱」4(2)および 6(1)(3)に関する資料
    • 申請書(添付書類を含む。)の写し
サウジアラビア政府への通知
厚生労働省は、申請書などについて確認し、問題がないと判断された場合は、当該と畜場などについて、サウジアラビア政府に通知すること。
と畜場などの認定
厚生労働省は、サウジアラビア側の手続きが終了したことを確認した後、都道府県知事などに対して、当該と畜場などがサウジアラビア向け輸出牛肉取扱施設として認定が可能となった旨を連絡すること。都道府県知事などは、厚生労働省からの連絡を受けた後、当該と畜場などをサウジアラビア向け輸出牛肉取扱施設として認定するとともに、その旨、厚生労働省に報告すること。

輸出事業者登録

サウジアラビアに輸出される牛肉を取り扱うと畜場および食肉処理場は、ハラールと畜証明書発行機関により承認され、SFDA(Saudi Food and Drug Authority:サウジアラビア食品医薬品庁)から牛肉輸出施設として登録された後、都道府県知事または保健所設置市市長に農林水産省発表の「サウジアラビア向け輸出牛肉の取扱要綱」にある「と畜場及び食肉処理施設設置者等申請様式)の」申請が必要です。

輸出に必要な書類

サウジアラビアへの牛肉輸出において輸出者側で用意すべき書類は次のとおりです。

  • 船荷証券(Bill of Lading: B/L)および保険証明書(CIFの場合)
  • インボイス
  • パッキングリスト(英語またはアラビア語)
  • 原産地証明書
  • 消費期限証明書
  • 輸出検疫証明書(動物検疫証明書)
  • 放射性物質検査証明書(該当する場合)
  • 衛生証明書(当該牛肉処理を行った認定と畜場などを管轄する食肉衛生検査所、もしくはと畜検査を実施している保健所よりSFDAまたはGSOのフォーマットに適合する食肉衛生証明書を取得する必要があります。)
  • ハラール証明書

SFDAまたはGSOのフォーマットに適合する食肉衛生証明書は、農林水産省発表の「サウジアラビア向け輸出牛肉の取扱要綱」にある別紙様式5-2 食肉衛生証明書様式を参照してください。

3. 動植物検疫の有無

調査時点:2024年12月

サウジアラビアに日本から牛肉を輸出する場合は、食肉衛生証明書と輸出国動物検疫機関が発行する輸出検疫証明書の発給を受ける必要があります。食肉衛生証明書は、証明しようとする牛肉が、認定と畜場などで適切に処理され、対サウジアラビア輸出が可能なものであることと、ハラールと畜証明書発行機関による証明がなされたものであること(SFDA.FD/GSO 2055-1、SFDA.FD/GSO 993に適合していること)を確認するものです。
当該牛肉処理を行った認定と畜場などを管轄する食肉衛生検査所(設置されていない場合はと畜検査を実施している保健所)が発行します。

その他

調査時点:2024年12月

サウジアラビアでは、ハラール規制は原則GSOが制定によるハラール基準に準拠 (SFDA.FD/GSO 2055-1、SFDA.FD/GSO 993)しており、牛肉・牛肉派生品や鶏肉などの食肉および肉関連製品はハラール認証の取得が必要となります。特に牛肉・牛肉派生品はSFDAに登録された認定食肉処理場で加工されたものでなければ輸入ができません。また、輸入の際にはハラール証明書が牛肉輸入時の許可条件の必要書類となっています。ハラール証明書の発行団体は2024年12月時点では、宗教法人日本イスラーム文化センター(Japan Islamic Trust)が該当します。サウジアラビア向け輸出に対応している国内のと畜場・食肉処理施設については、関連リンクのサウジアラビア向け輸出牛肉取扱施設リストを参照してください。