ポーランドの貿易投資年報

要旨・ポイント

  • 2025年の実質GDP成長率は3.6%と内需主導で回復基調を維持。
  • 貿易収支は前年の黒字から赤字へ転落。内需拡大に伴う輸入増が主因。
  • 対内直接投資では自動車、物流、航空機関連が目立った。
  • 日本企業は、ポーランドを欧州ハブと捉え、インフラ・物流、食品分野など幅広い分野へ投資。

公開日:2026年9月10日

マクロ経済

内需主導で景気は回復基調

ポーランドの2025年の実質GDP成長率は3.6%とプラス成長を維持し、前年の3.2%から0.4ポイント増となった。成長率を需要項目別に見ると、民間最終消費支出(構成比56.1%)は3.7%増(0.8ポイント増)と引き続き拡大し、国内総固定資本形成(17.3%)は4.4%増(4.0ポイント増)と回復した。また、財・サービスの輸出は5.5%増(3.6ポイント増)と伸びが加速し、財・サービスの輸入も6.8%増(2.2ポイント増)となった。政府最終消費支出は5.3%増(3.4ポイント減)と伸びが鈍化した。

産業別に前年比で見ると、GDPの約2割を占める工業は3.0%増と着実に拡大した。さらに、流通・自動車修理(構成比12.5%)は4.2%増、運送・倉庫(6.6%)も4.2%増と堅調に推移した。このほか、建設(6.2%)は1.7%増、情報・通信(4.4%)は0.7%増と横ばいであった。金融・保険(4.5%)のみ、3.2%減と落ち込んだ。

表1 ポーランドの需要項目別実質GDP成長率(単位:%)(△はマイナス値)〔注〕四半期の伸び率は前期比(季節調整済み)。
項目 2023年 2024年 2025年
年間 Q1 Q2 Q3 Q4
実質GDP成長率 0.2 3.2 3.6 0.7 0.9 1.2 1.1
民間最終消費支出 △ 0.3 2.9 3.7 1.0 1.6 0.0 1.6
政府最終消費支出 4.5 8.7 5.3 0.7 1.5 2.1 1.3
国内総固定資本形成 12.7 0.4 4.4 2.7 △ 0.2 2.8 0.9
財・サービスの輸出 3.7 1.9 5.5 2.9 1.4 1.4 2.2
財・サービスの輸入 △ 1.5 4.6 6.8 3.0 2.2 0.9 2.2

〔注〕四半期の伸び率は前期比(季節調整済み)。

〔出所〕ポーランド中央統計局(GUS)

貿易

内需拡大を背景に貿易収支は赤字へ転落

2025年の輸出は前年比3.7%増の3,661億9,400万ユーロ、輸入は6.1%増の3,739億2,000万ユーロとなった。この結果、前年は黒字を記録した貿易収支は77億2,600万ユーロの赤字となった。

輸出を主要品目別に見ると、最大品目である機械・輸送用機器(構成比37.1%)は前年比3.1%増と回復し、中でも事務機器・コンピュータ(2.6%)の18.3%増や発電用機械設備(4.4%)の7.4%増が牽引した。2番目の雑製品(17.9%)は5.8%増と堅調に拡大し、中でも衣類および衣類付属品(4.3%)の19.7%増が大きく寄与した。4番目の食料品および動物(13.2%)も10.4%増と大きく伸び、特に肉類および肉調製品(3.5%)の18.1%増が目立った。一方、3番目の原料別製品(16.0%)は1.4%増にとどまり、伸びは限定的であった。さらに、鉱物性燃料・潤滑油(2.1%)は15.9%減と大幅に減少し、中でも石炭・コークスおよび練炭(0.6%)の19.1%減が影響した。また、食用に適さない原材料(1.8%)は3.8%減、動植物性油脂およびろう(0.3%)も7.7%減となった。

表2 ポーランドの主要品目別輸出入(単位:100万ユーロ、%)(△はマイナス値)〔注〕EU 域外貿易は通関ベース、EU 域内貿易は各企業のインボイス報告などに基づく。
品目 輸出(FOB) 輸入(CIF)
2024年 2025年 2024年 2025年
金額 金額 構成比 伸び率 金額 金額 構成比 伸び率
機械・輸送用機器 131,841 135,892 37.1 3.1 124,972 132,579 35.5 6.1
雑製品 61,865 65,453 17.9 5.8 52,676 58,877 15.7 11.8
原料別製品 57,773 58,587 16.0 1.4 51,243 53,644 14.3 4.7
食料品および動物 43,797 48,342 13.2 10.4 28,306 30,938 8.3 9.3
化学工業製品 32,664 34,059 9.3 4.3 48,678 50,473 13.5 3.7
鉱物性燃料・潤滑油 9,047 7,610 2.1 △ 15.9 26,594 23,531 6.3 △ 11.5
飲料およびたばこ 7,163 7,347 2.0 2.6 3,191 3,280 0.9 2.8
食用に適さない原材料 6,866 6,604 1.8 △ 3.8 9,091 10,870 2.9 19.6
動植物性油脂およびろう 1,034 954 0.3 △ 7.7 1,754 1,787 0.5 1.9
合計(その他含む) 353,002 366,194 100.0 3.7 352,478 373,920 100.0 6.1

〔注〕EU 域外貿易は通関ベース、EU 域内貿易は各企業のインボイス報告などに基づく。

〔出所〕ポーランド中央統計局(GUS)

輸出を国・地域別に見ると、全体の74.7%を占めるEUは前年比4.6%増と拡大した。そのうち、ユーロ圏(構成比58.7%)も4.1%増となった。最大の相手国であるドイツ(26.9%)は2.9%増と回復した。同国向けの最大品目である機械・輸送用機器(対ドイツ構成比36.4%)は0.02%増とほぼ横ばいにとどまったものの、雑製品(22.3%)が9.3%増と伸びたことなどが全体を押し上げた。その他ユーロ圏では、オランダ(4.6%)が3.8%増、スペイン(3.0%)が7.9%増と堅調な伸びを示したほか、フランス(6.1%)も4.0%増と回復した。一方、イタリア(4.5%)は1.6%増と伸びは限定的であった。

EUのうち、非ユーロ圏(構成比16.0%)は前年比6.6%増と拡大し、ドイツに次ぐ主要相手国であるチェコ(6.2%)は5.5%増となったほか、スウェーデン(2.6%)は13.8%増と大きく伸びた。また、ハンガリー(2.5%)も4.8%増と比較的堅調に推移した。

EU域外で最大の相手国である英国(構成比5.1%)は前年比1.2%増と小幅な伸びにとどまった。それに続くウクライナ(3.7%)は2.4%増となった。その内訳を見ると、機械・輸送用機器(対ウクライナ構成比30.1%)が23.7%増、食料品および動物(7.4%)が24.2%増と大きく伸び、化学工業製品(11.3%)も8.6%増を記録した。一方で、雑製品(19.2%)は29.2%減と大きく落ち込んだほか、原料別製品(10.6%)も3.0%減となった。その他の国では、米国(3.2%)は0.1%減とほぼ横ばいとなった。ロシア(0.6%)は20.5%減と引き続き大きく落ち込んだ。

アジア大洋州では、中国(構成比0.8%)が前年比6.0%減となった。内訳を見ると、最大品目である機械・輸送用機器(42.1%)は2.5%増と底堅かったものの、原料別製品(24.7%)が17.5%減、雑製品(14.5%)が8.8%減となるなど幅広い品目で減少がみられた。ASEAN(0.7%)は23.4%増と大きく伸びたほか、韓国(0.2%)も12.3%増と増加した。韓国向けでは、特に機械・輸送用機器(対韓国構成比44.5%)が27.2%増と大きく伸びた。

表3 ポーランドの主要国・地域別輸出入(単位:100 万ユーロ、%)(△はマイナス値)〔注1〕EU 域外貿易は通関ベース、EU 域内貿易は各企業のインボイス報告などに基づく。 〔注2〕アジア大洋州は、ASEAN+6(日本、中国、韓国、オーストラリア、ニュージーランド、インド)に香港および台湾を加えた合計値。
国・地域 輸出 (FOB) 輸入(CIF)
2024年 2025年 構成比 伸び率 2024年 2025年 構成比 伸び率
EU 261,579 273,590 74.7 4.6 184,096 192,158 51.4 4.4
ユーロ圏 206,536 214,913 58.7 4.1 148,927 155,557 41.6 4.5
ドイツ 95,845 98,654 26.9 2.9 67,845 70,908 19.0 4.5
フランス 21,426 22,283 6.1 4.0 12,323 12,542 3.4 1.8
オランダ 16,319 16,940 4.6 3.8 13,571 14,390 3.8 6.0
イタリア 16,188 16,446 4.5 1.6 16,732 17,273 4.6 3.2
スペイン 10,152 10,952 3.0 7.9 7,780 8,071 2.2 3.7
非ユーロ圏 55,043 58,677 16.0 6.6 35,170 36,601 9.8 4.1
チェコ 21,687 22,885 6.2 5.5 11,499 12,278 3.3 6.8
スウェーデン 8,498 9,675 2.6 13.8 6,004 6,460 1.7 7.6
ハンガリー 8,860 9,283 2.5 4.8 5,480 5,483 1.5 0.1
アジア大洋州 10,181 10,535 2.9 3.5 86,229 96,147 25.7 11.5
中国 3,302 3,105 0.8 △ 6.0 51,080 57,876 15.5 13.3
ASEAN 2,086 2,575 0.7 23.4 12,662 15,104 4.0 19.3
インド 1,334 1,366 0.4 2.4 4,020 4,315 1.2 7.3
オーストラリア 953 919 0.3 △ 3.5 165 152 0.0 △ 8.1
韓国 799 897 0.2 12.3 10,138 10,172 2.7 0.3
日本 841 838 0.2 △ 0.3 5,105 5,198 1.4 1.8
英国 18,493 18,722 5.1 1.2 6,006 7,654 2.0 27.4
ウクライナ 13,118 13,428 3.7 2.4 4,759 4,647 1.2 △ 2.3
米国 11,599 11,584 3.2 △ 0.1 17,563 17,697 4.7 0.8
トルコ 4,852 4,794 1.3 △ 1.2 7,533 7,875 2.1 4.5
ノルウェー 2,929 3,501 1.0 19.6 7,722 7,461 2.0 △ 3.4
ロシア 2,726 2,167 0.6 △ 20.5 1,758 1,358 0.4 △ 22.8
ブラジル 875 870 0.2 △ 0.5 3,043 3,077 0.8 1.1
サウジアラビア 743 839 0.2 12.9 7,870 6,080 1.6 △ 22.7
南アフリカ共和国 690 727 0.2 5.4 624 721 0.2 15.7
合計(その他含む) 353,002 366,194 100.0 3.7 352,478 373,920 100.0 6.1

〔注1〕EU 域外貿易は通関ベース、EU 域内貿易は各企業のインボイス報告などに基づく。
〔注2〕アジア大洋州は、ASEAN+6(日本、中国、韓国、オーストラリア、ニュージーランド、インド)に香港および台湾を加えた合計値。

〔出所〕ポーランド中央統計局(GUS)

輸入を品目別に見ると、最大品目である機械・輸送用機器(構成比35.5%)は前年比6.1%増と堅調であった。内訳を見ると、道路走行車両(9.8%)が3.7%増、電気機械・同部品(7.7%)が7.4%増と伸びを示した。2番目の雑製品(15.7%)は11.8%増と好調に推移し、中でも衣類および衣類付属品(4.8%)が15.0%増と大きく伸びたほか、その他の雑製品(5.4%)も17.1%増となり、全体を押し上げた。原料別製品(14.3%)も4.7%増となった。また、食料品および動物(8.3%)も9.3%増と伸びを示し、中でもコーヒー、茶、ココアおよび香辛料(1.6%)が28.4%増と大きく伸びた。一方、鉱物性燃料・潤滑油(6.3%)は11.5%減と落ち込み、中でも石油および石油製品(5.3%)が13.0%減となったことが影響し、輸入の押し下げ要因となった。特に、主要調達先であるサウジアラビアからの鉱物性燃料(対サウジ構成比94.2%)が23.8%減と大きく落ち込んだことが影響している。

輸入を国・地域別に見ると、全体の5割強を占めるEU(構成比51.4%)は前年比4.4%増となり、そのうち、最大の相手国であるドイツ(19.0%)は4.5%増、2位のイタリア(4.6%)も3.2%増といずれも増加した。

EU域外では、国別で最大の相手国である中国(構成比15.5%)が前年比13.3%増と大きく伸びた。内訳を見ると、最大品目である機械・輸送用機器(対中国構成比53.3%)が12.0%増を記録したほか、雑製品(28.5%)も16.4%増と大きく伸び、これらが全体の増加を牽引した。米国(4.7%)は0.8%増と小幅な増加にとどまった。英国(2.0%)は27.4%増と大きく伸びた。食用に適さない原材料(対英国構成比21.1%)が14.7倍と急増したことが影響している。

アジア大洋州ではASEAN(構成比4.0%)が前年比19.3%増と高い伸びを示したほか、インド(1.2%)も7.3%増となった。一方、韓国(2.7%)は0.3%増とほぼ横ばいであった。その内訳は、雑製品(35.2%)が49.3%増と大幅に伸びた一方、主力の機械・輸送用機器(33.4%)や化学工業製品(22.1%)がそれぞれ減少し、結果として全体では伸び悩んだ。

対内・対外直接投資

欧州物流のハブ、有望な消費市場としての投資が継続

ポーランド国立銀行(NBP)によると、2025年の対内直接投資(国際収支ベース、ネット、フロー)は前年比4.2%減の181億9,100万ユーロとなり、3年連続で減少した。ロシアのウクライナ侵攻後、地政学リスクを軽減するために企業がサプライチェーンを再配置したことにより、対内直接投資は2022年に一時的に急増したが、2021~2022年にかけて行われた、親会社からの資金供与を通じたグループ内融資の返済が対内直接投資の押し下げ要因となった。加えて、労働コストの上昇や地政学・通商環境の不確実性を背景に、新規グリーンフィールド投資に慎重な姿勢が見られたことも影響した。

表4 ポーランドの対内・対外直接投資〔国際収支ベース、ネット、フロー〕(単位:100万ユーロ)
項目 2021年 2022年 2023年 2024年 2025年
対内直接投資額 31,695 39,251 32,965 18,995 18,191
対外直接投資額 8,626 12,010 11,365 9,313 7,336

〔出所〕ポーランド国立銀行(NBP)

2025年の主な対内直接投資案件を見ると、自動車、物流、航空機関連の投資が目立った。 米国のアセンド・エレメンツ(Ascend Elements)はリチウムイオン電池材料の工場建設を予定しており、2025年5月にポーランド政府は同社に最大3億2,000万ドルの補助金を提示した。EUの脱炭素政策を後押しする目的で提供される。その他、自動車関連では、政府発表によるとドイツのメルセデス・ベンツが車両生産の一部をベルリンからポーランドへ移転する予定だ。2027年末までに300人の新規雇用を見込み、15億2,800万ズロチ以上の投資を予定している。このほか、中国発祥のファストファッション大手のシーインは2025年12月、ポーランド南西部のヴロツワフに欧州最大級の物流拠点を開設し、5,000人以上の雇用を創出した。同社の欧州物流の中核拠点として、1億人以上の顧客への配送を担う。

表5-1 ポーランドの主な対内直接投資案件(2025年)〔M&A以外〕
業種 企業名 国籍 時期 投資額 概要
EVバッテリー アセンド・エレメンツ(Ascend Elements) 米国 2025年5月 3億2,000万ドル ポーランド政府は、アセンド・エレメンツに対し最大3億2,000万ドルの補助金を提示し、リチウムイオン電池材料工場の建設を支援。EV向け材料生産を通じてサプライチェーン強化と脱炭素化を進め、欧州事業拡大と地域経済発展を図る。
ファッション・繊維(越境EC) シーイン (Shein) 中国 2025年12月 非公開 シーインはポーランド・ヴロツワフに欧州最大級の物流拠点を開設し、5,000人以上の雇用を創出した。最先端の自動化技術を備え、シーインの欧州物流の中核拠点として、1億人以上の顧客への配送を担う。
自動車 メルセデス・ベンツ(Mercedes-Benz) ドイツ 2025年9月 15億2,800万ズロチ メルセデス・ベンツは、中国との競争激化やドイツ国内の高コストを背景に、車両生産の一部をベルリンからポーランドへ移転する計画を進めている。2019年からエンジンやハイブリッド車用バッテリーの生産が行われている、ポーランド南西部ヤヴォルに新工場を建設予定。2027年までに少なくとも300人の新規雇用を見込む。
航空 ライアンエアー(RYANAIR) アイルランド 2025年7月 約4億ドル 欧州最大の航空会社であるライアンエアーとワルシャワ・モドリン空港は、2030年までに旅客数を現在の約150万人から500万人以上へと3倍以上に拡大する計画を発表した。配備機材を4機から8機へ増やし、最大25の新路線を開設予定。直接雇用約200人(パイロット、客室乗務員、エンジニア)が創出される見込み。
物流 LXパントス(LX Pantos) 韓国 2026年2月 非公開 LXパントスは約2,160億ウォンを投じ、延床面積10万9,000平方メートルの物流拠点をポーランド・カトビツェに取得。欧州の物流ハブとして東欧市場を強化し、韓国企業の進出や、自動車部品、消費財、家電分野のサプライチェーン構築を支援。さらにウクライナ復興需要にも対応する狙い。

〔出所〕各社発表および報道などから作成

表5-2 ポーランドの主な対内直接投資案件(2025年)〔M&A〕
被買収企業(事業) 買収企業 時期 投資額 概要
業種 企業名 企業名 国籍
銀行 サンタンデール銀行
(Santander Bank Polska)
エルステ・グループ(Erste Group) オーストリア 2025年5月 70億ユーロ オーストリアのエルステ・グループは、サンタンデール銀行の株式49%および、サンタンデール銀行の資産運用会社(TFI)の50%を取得した。取得価格は総額約70億ユーロの現金取引となった。これをもって、エルステは、サンタンデール銀行の筆頭株主となり、「エルステ・バンク・ポルスカ(Erste Bank Polska)」へブランド名を変更した。
エネルギー ポルスカ・グルーパ・ビオガゾヴァ
(Polska Grupa Biogazowa)
ハイテック・ビジョン(HitecVision) ノルウェー 2025年9月 非公開 ノルウェーの投資ファンドであるハイテック・ビジョンは、ポーランドのバイオガス企業ポルスカ・グルーパ・ビオガゾヴァ(PGB)の株式50%を取得し、同社は両社による50:50のジョイントベンチャーとなった。
ソフトウエア アセコ・ポーランド
(Asseco Poland)
ユコン・ニェビェスキ・カピタル
(Yukon Niebieski Kapital)
オランダ 2025年2月 17億5,260万ズロチ ヨーロッパを代表するITグループ、トータル・スペシフィック・ソリューションズ(Total Specific Solutions)グループが、オランダの投資会社ユコン・ニェビェスキ・カピタルを通じて、アセコ・ポーランドの株式を24.84%取得した。
レジャー、娯楽 シティフィット・ホールディングス
(CityFit Holdings)
ABCメディカバー
(ABC Medicover Holdings)
オランダ 2025年4月 非公開 ABCメディカバーは、シティフィットグループの16事業を買収した。競争消費者保護庁(UOKiK)は、メディカバーがビェルスコ・ビャワとグリヴィツェの各都市で1店舗を売却する条件付きで、本買収を承認した。
金属、採鉱 フェライト・リソーシーズ・ポルスカ
(Ferrite Resources Polska)
サリデン・マイニング(Sulliden Mining Capital) カナダ 2025年6月 6万2,500ユーロ サリデン・マイニングは、ポーランドの資源会社フェライト・リソーシーズの株式取得により、ニッケルなどの探査プロジェクトの48%の権益を取得した。
ポーランドのシュクラリおよびダンブロフカ鉱区の探査プロジェクトに参画し、ニッケル・亜鉛・鉛資源の探索に期待を寄せる。

〔出所〕各社発表および報道などから作成

ポーランド投資・貿易庁(PAIH)が支援し、実現した2025年の対内直接投資案件は64件(ポーランド企業からの15件を含む)で、投資予定額は合計40億487万ユーロとなった。国・地域別では、米国が15件、中国5件、スペイン、スウェーデン、イタリア各3件の順に多かった。また、日本2件も含まれていた。分野別では、ビジネスサポート分野8件、建築資材6件、自動車6件、電器5件、食品4件などが多かった。

2025年の対外直接投資は前年比21.2%減の73億3,600万ユーロで、こちらも3年連続減少した。近年のポーランド国内における防衛・インフラ分野への投資拡大やEU資金の流入により対内直接投資の魅力が高まっていることに加え、地政学的不確実性の高まりを受け、ポーランド企業が対外直接投資に慎重な姿勢を取っている可能性が考えられる。主な対外直接投資案件を見ると、グリーン水素とアンモニアの技術統合・システム設計などを手掛けるヒンフラ(Hynfra)は、インド南部のアンドラ・プラデシュ(AP)州に約40億ドル規模の投資を行い、グリーン水素とアンモニアの生産拠点を開発する。再生可能エネルギーを活用した水素製造を通じて、年間最大100万トン規模のグリーン燃料供給を目指すものとされる。また、ポーランドの国営開発銀行BGKグループ傘下のヴィンチは、フィンランドのアイサイ(Iceye)への出資を通じて、ポーランドの宇宙防衛・安全保障強化を狙う。

表6-1 ポーランドの主な対外直接投資案件(2025年)〔M&A以外〕〔注〕2つの特別行政区(香港、マカオ)と、広東省の特定9都市(広州、深セン、珠海、仏山、中山、東莞、恵州、江門、肇慶)で構成する地域を指す。
業種 企業名 投資先国 時期 投資額 概要
エネルギー ヒンフラ(Hynfra) インド 2025年7月 40億ドル グリーン水素とアンモニアの技術統合・システム設計などを手掛けるヒンフラは、インドのJK・スリバスタバ・グループ(JK Srivastava Group)と、インド南部のアンドラ・プラデシュ(AP)州に40億ドル規模のグリーン水素・アンモニア拠点を建設する。年間最大100万トンのグリーンアンモニア生産と、3ギガワット(GW)の再生可能エネルギー容量の導入を目指し、操業開始は2029年初頭が予定されている。
生産されたグリーンアンモニアの大部分は日本、韓国、台湾へ輸出され、石炭との混焼による発電の脱炭素化に貢献する。
通信・ゲーム CDプロジェクトレッド(CD Projekt Red) 米国 2025年3月 非公開 ポーランドのゲーム会社CDプロジェクトレッドが、米国マサチューセッツ州ウォルサムにある拠点の従業員を4倍以上に増やす。ウォルサムの拠点は、ワルシャワ本社に並ぶ第2の重要拠点として機能する予定。
法律事務所 KKGリーガル(KKG Legal) 中国 2025年8月 非公開 ポーランド大手法律事務所KKGリーガルが広東省深セン市の経済開発特区の前海地区に事務所を設立した。大湾区(注)企業に対する国際的な法律サービスの選択肢を拡大し、また中国企業が中・東欧市場へ進出する際の法的支援を促進する。
宇宙・防衛 EUモーターズ(EU Motors) 米国 2026年2月 非公開 モーター製造を手掛けるEUモーターズは、米国フロリダ州ハランデールビーチに新たな製造拠点「EUモーターズUSA」を開設した。米国連邦通信委員会(FCC)が公表した通知で、FCCの機体認証を取得するドローンメーカーは、米国内で製造された電動モーターの使用が義務付けられたことに対応した。
eコマース(EC) アレグロ(Allegro) ベルギー 2025年1月 非公開 大手EC企業のアレグロは、ブリュッセルに新オフィスを開設した。欧州各地で市場展開を進める中で、EU政策決定の中心地に拠点を設置した。

〔注〕2つの特別行政区(香港、マカオ)と、広東省の特定9都市(広州、深セン、珠海、仏山、中山、東莞、恵州、江門、肇慶)で構成する地域を指す。

〔出所〕各社発表および報道などから作成

表6-2 ポーランドの主な対外直接投資案件(2025年)〔M&A〕
買収企業 被買収企業(事業) 時期 投資額 概要
企業名 業種 企業名 国籍
マスペックス・ルーマニア
(Maspex Romania)
食品 プルカリ・ワイナリーズ(Purcari Wineries) モルドバ 2025年7月 1億6,450万ユーロ ポーランド大手食品会社マスペックスグループに属するマスペックス・ルーマニアは、プルカリ・ワイナリーズの株式の任意公開買付を完了し、2025年7月時点で、72%以上の株式を取得した。地域拡大戦略およびアルコール飲料分野を強化する方針に基づき、中・東欧におけるプレミアムワインの主要ブランドである同社を買収した。
ヴィンチ(Vinci) 航空宇宙 アイサイ
(Iceye)
フィンランド 2025年8月 4,000万ズロチ ポーランドの国営開発銀行BGKグループが所有する投資ファンドのヴィンチは、レーダーによる地球観測で世界的な企業であるアイサイに4,000万ズロチ以上を出資し、今後も追加投資を検討している。アイサイの衛星データは農業や災害対応、防衛のために使われる。
ピージーエヌアイジー・アップストリーム・ノルウェー
(PGNiG Upstream Norway)
石油、ガス DNO ノルウェー 2025年12月 非公開 ポーランドのエネルギー会社オルレングループ(Orlen Group)のピージーエヌアイジー・アップストリーム・ノルウェーは、DNOから北海のアルブスケル油田およびヴェスト・エコフィスク油田の各7.6%の権益を取得した。
モンテレイル
(Monterail)
ソフトウエア レイクビュー・ラボズ
(Lakeview Labs)
米国 2025年10月 非公開 ソフトウエア開発に特化したテクノロジーソリューション企業であるモンテレイルは、シカゴを拠点とするモバイルアプリ開発会社レイクビュー・ラボズを、非公開の金額で買収した。モバイル製品開発能力を強化し、市場でのプレゼンスを拡大する。
ビゴ・フォトニクス
(Vigo Photonics)
半導体 インフラレッド・アソシエーツ
(InfraRed Associates.)
米国 2025年3月 非公開 ポーランドの半導体材料メーカーであるビゴ・フォトニクスは、赤外線検出器の製造を専門とする米国企業インフラレッド・アソシエーツを買収した。米国市場での収益拡大のみならず、米国内に製造拠点を持つことで、米国防衛産業に求められる供給条件を満たすことができる。

〔出所〕各社発表および報道などから作成

対日関係

輸出は横ばいも、輸入増で赤字が拡大

2025年の対日貿易は、輸出が前年比0.3%減の8億3,800万ユーロとほぼ横ばいであった一方、輸入は1.8%増の51億9,800万ユーロとなった。この結果、貿易赤字は前年より拡大した。

対日輸出を品目別に見ると、最大品目である機械類・輸送用機器(構成比55.3%)は5.0%増となったほか、原料別製品(13.5%)は16.5%増、雑製品(11.3%)も5.6%増と堅調に伸びた。一方、食料品および動物(8.2%)は9.8%減、化学工業製品(6.3%)は5.5%減、飲料およびたばこ(1.1%)は80.3%減と大きく落ち込み、全体の伸びを抑制した。

対日輸入を品目別に見ると、最大品目である機械類・輸送用機器(構成比62.3%)は1.1%増と小幅ながら増加した。雑製品(14.0%)は13.4%増と拡大した。食料品および動物(0.3%)は58.0%増となり、特にコーヒー、茶、ココアおよび香辛料(0.1%)が2.2倍と大幅に増加したが、構成比が小さいことから全体への影響は限定的であった。また、食用に適さない原材料(3.2%)も61.0%増と大きく伸びた。一方、化学工業製品(11.8%)は9.8%減、原料別製品(8.2%)は6.1%減となった。

表7 ポーランドの対日主要品目別輸出入〔通関ベース〕(単位:100 万ユーロ、%)(△はマイナス値)
品目 輸出(FOB) 輸入(CIF)
2024 2025 2024 2025
金額 金額 構成比 伸び率 金額 金額 構成比 伸び率
機械類・輸送用機器 441 464 55.3 5.0 3,200 3,237 62.3 1.1
原料別製品 97 113 13.5 16.5 451 424 8.2 △6.1
雑製品 90 95 11.3 5.6 643 729 14.0 13.4
食料品および動物 77 69 8.2 △9.8 9 15 0.3 58.0
化学工業製品 56 53 6.3 △5.5 678 612 11.8 △9.8
飲料およびたばこ 46 9 1.1 △80.3 5 6 0.1 19.4
食用に適さない原材料 32 34 4.0 3.6 103 166 3.2 61.0
合計(その他含む) 841 838 100.0 △0.3 5,105 5,198 100.0 1.8

〔出所〕ポーランド中央統計局(GUS)

前年に続きインフラ・物流、食品など幅広い分野に投資

日本の外務省の海外進出日系企業拠点数調査によると、2024年10月時点のポーランド進出日系企業の拠点数は390件で、前年から23件増加した。欧州地域全体ではスペインに次ぐ7番目の進出先となった。その要因として、ポーランドは、EU市場への優れた地理的アクセスに加え、港湾・鉄道・空港を含む物流インフラ整備の進展を背景に、中・東欧地域を結ぶ物流・輸送ハブとしての地位を高めていることが挙げられる。また、将来のウクライナ復興需要への対応拠点としての重要性も高まっており、中・東欧市場への事業展開や地域統括機能を担う戦略的拠点として注目を集めていることも影響している。

2025年の日本からの主な投資案件を見ると、国際協力銀行(JBIC)は6月、商船三井がポーランドで実施するFSRU〔浮体式LNG(液化天然ガス)貯蔵・再ガス化設備〕用船事業に対して2億5,200万ドル(約362億円)を融資すると発表した。JBICは2026年3月末にワルシャワに駐在員事務所を開設済みで、今後中・東欧諸国におけるプロジェクトを支援していく。

アステラス製薬は6月、ポーランド、インド、メキシコにバックオフィス業務を中心に行うグローバル・ケイパビリティセンターを設置すると発表した。優秀なIT分野の高度専門人材の豊富さと他国より比較的低い人件費が投資背景にあると考えられる。

名港海運は12月、ポーランドに本社を置く連結子会社が新たに倉庫を建設すると発表した。ポーランド国内の同社の倉庫は3棟目となる。堅調な経済成長が続いているポーランドには、工業製品など物流需要の成長が期待できるという。建設などに約26億円を投じ、2027年5月の竣工を見込む。

2026年に入ってからは、フードサービスチェーン経営などを手がけるゼンショーホールディングスが3月、ポーランドを中心に寿司をはじめとするアジア系食品の製造・卸売事業を運営するスシ&フードファクター(Sushi&Food Factor)を買収すると発表した。欧州の大手小売りチェーンなどを顧客に持ち、国内最大級のパック寿司製造工場を持つ同社を傘下に収めることで、拡大する消費市場を取り組む動きとみられる。

国内クレーン業大手DENZAIは5月、ポーランドに100%子会社を設立したと発表した。欧州での拠点は昨年5月に現地子会社を設立したウクライナに次いで2カ国目である。洋上風力発電などが盛んなEU加盟国で事業拡大につなげていく。

日立レール(日立製作所鉄道部門の欧州グローバル拠点)は6月、ポーランド鉄道車両メーカー大手のPESAと戦略的パートナーシップの締結を発表した。高速鉄道向け車両などの開発・製造、技術移転を柱とする内容だ。両社は最高時速320キロ級の高速列車(ETR1000)を巡る鉄道運行会社PKPインターシティ(PKP Intercity)の入札にも共同で参加し、将来的にはポーランド国内での生産拡大を目指す。

基礎的経済指標

(△はマイナス値) 〔注〕 貿易収支:国際収支ベース(財のみ)
項目 単位 2023年 2024年 2025年
実質GDP成長率 (%) 0.2 3.0 3.6
1人当たりGDP (米ドル) 22,119 25,057 28,374
消費者物価上昇率 (%) 11.4 3.6 3.6
失業率 (%) 5.1 5.1 5.7
貿易収支 (100万米ドル) 5,130 △ 6,694 △ 15,274
経常収支 (100万米ドル) 12,486 2,795 △ 9,053
外貨準備高(グロス) (100万米ドル) 169,999 185,515 194,539
対外債務残高(グロス) (100万米ドル) 432,074 461,407 544,216
為替レート (1米ドルにつき、ポーランド・ズロチ、期中平均) 4.20 3.98 3.76

〔注〕
貿易収支:国際収支ベース(財のみ)

〔出所〕
実質GDP成長率、消費者物価上昇率、失業率:ポーランド中央統計局(GUS)
1人当たりGDP、外貨準備高(グロス)、為替レート:IMF
貿易収支、経常収支、対外債務残高(グロス):ポーランド国立銀行(NBP)