ポーランドの貿易投資年報

要旨・ポイント

  • 2024年の実質GDP成長率は2.9%と、前年から2.7ポイント増。
  • 貿易収支は2年連続で黒字も、輸出入とも最大品目の機械・輸送用機器が影響し、黒字額は前年比93.1%減。
  • 対内・対外直接投資ともに前年比約5割減。対内直接投資では通信、物流、航空機、半導体関連が目立った。
  • 日本企業は幅広い分野で投資を拡大、エネルギー関連も活発。

公開日:2025年8月19日

マクロ経済 
実質GDPはプラス成長を維持、今後も堅調に推移する見込み

ポーランドの2024年の実質GDP成長率は2.9%と、プラス成長を維持し、前年の0.2%から2.7ポイント増となった。成長率を需要項目別にみると、民間最終消費支出は前年のマイナスから回復して3.1%増、政府最終消費支出は6.7%増(2.7ポイント増)と堅調な伸びを見せた一方、国内総固定資本形成は1.5%増(11.1ポイント減)に落ち着いた。産業別に前年比でみると、不動産(6.4%増)、運輸・倉庫(4.3%増)、宿泊・飲食(3.5%増)、金融・保険(3.0%増)、流通・自動車修理(2.3%増)、情報・通信(1.6%増)、製造業(1.0%増)は軒並み伸びた一方、建設(6.7%減)は振るわなかった。

表1 ポーランドの需要項目別実質GDP成長率(単位:%)(△はマイナス値)
項目 2022年 2023年 2024年
年間 Q1 Q2 Q3 Q4
実質GDP成長率 5.3 0.2 2.9 0.8 1.4 0.1 1.3
階層レベル2の項目民間最終消費支出 5.0 △ 0.3 3.1 2.0 0.5 △ 0.4 1.4
階層レベル2の項目政府最終消費支出 0.6 4.0 6.7 2.3 1.5 0.6 0.9
階層レベル2の項目国内総固定資本形成 1.7 12.6 1.5 △ 2.3 1.3 △ 0.6 1.0
階層レベル2の項目財・サービスの輸出 7.4 3.7 1.2 △ 0.4 △ 0.2 △ 0.3 1.8
階層レベル2の項目財・サービスの輸入 6.8 △ 1.5 3.3 0.9 1.5 0.2 0.0

〔注〕四半期の伸び率は前期比(季節調整済み)。
〔出所〕ポーランド中央統計局(GUS)

ポーランド国立銀行(中央銀行、NBP)による2025年3月時点での発表では、2025年の実質GDP成長率は3.7%、2026年は2.9%、2027年は2.3%と予測している。

貿易 
貿易収支は2年連続で黒字も、黒字額は大幅に減少

2024年の輸出は前年比0.8%減の3,504億1,900万ユーロに対し、輸入が1.9%増の3,497億4,500万ユーロとなったため、貿易収支は6億7,400万ユーロと、2年連続で黒字を維持したものの、黒字額は前年比93.1%減となった。

輸出を主要品目別にみると、最大品目である機械・輸送用機器(全体構成比37.2%)は前年比3.4%減となり、中でも電気機械・同部品(8.8%)の13.6%減が影響した。構成比で3番目の原料別製品(16.4%)は2.3%減で、鉄鋼(1.7%)の12.9%減が影響した。また鉱物性燃料・潤滑油(電力を含む、2.6%)は15.8%減で、石炭・コークスおよび練炭(0.8%)の23.8%減および電力(0.6%)の26.4%減が影響した。一方、構成比で2番目の雑製品(17.6%)は4.7%増で、衣類および衣類付属品(3.8%)の14.2%増が牽引した。4番目の食料品および動物(12.4%)も3.5%増と輸出を下支えした。

表2 ポーランドの主要品目別輸出入(単位:100 万ユーロ、%)(△はマイナス値)
項目 輸出(FOB) 輸入(CIF)
2023年 2024年 2023年 2024年
金額 金額 構成比 伸び率 金額 金額 構成比 伸び率
機械・輸送用機器 134,965 130,431 37.2 △ 3.4 120,586 123,190 35.2 2.2
雑製品 58,781 61,572 17.6 4.7 46,570 52,186 14.9 12.1
原料別製品 58,739 57,395 16.4 △ 2.3 51,495 50,822 14.5 △ 1.3
食料品および動物 42,105 43,571 12.4 3.5 26,057 28,127 8.0 7.9
化学工業製品 32,043 32,516 9.3 1.5 47,841 48,874 14.0 2.2
鉱物性燃料・潤滑油 10,782 9,074 2.6 △ 15.8 30,570 26,570 7.6 △ 13.1
飲料およびたばこ 6,868 7,136 2.0 3.9 3,029 3,190 0.9 5.3
食用に適さない原材料 6,763 6,778 1.9 0.2 8,719 9,054 2.6 3.8
動植物性油脂およびろう 1,141 1,028 0.3 △ 9.9 1,808 1,762 0.5 △ 2.5
合計(その他含む) 353,079 350,419 100.0 △ 0.8 343,316 349,745 100.0 1.9

〔注〕 EU 域外貿易は通関ベース、EU 域内貿易は各企業のインボイス報告などに基づく。
〔出所〕 ポーランド中央統計局(GUS)

輸出を国・地域別にみると、全体の7割強を占めるEU(全体構成比73.9%)は前年比1.9%減でやや落ち込んだ。そのうち、ユーロ圏(58.4%)は2.3%減となった。最大の輸出先であるドイツ(27.1%)は3.9%減で、同国向けの最大輸出品目である機械・輸送用機器(対ドイツ構成比37.2%)の8.2%減が影響した。機械・輸送用機器の内訳をみると、電気機械・同部品(10.3%)は20.5%減と大きく落ち込んだ。

その他ユーロ圏では、オランダ(4.6%)が1.2%増、スペイン(2.9%)が4.3%増と堅調な伸びを見せた。一方、フランス(6.1%)が1.7%減、イタリア(4.5%)が1.8%減と落ち込んだ。EUのうち、非ユーロ圏(15.5%)は0.3%減少した。ドイツに次ぐ主要な輸出先であるチェコ(6.1%)およびスウェーデン(2.4%)はともに4.0%減となった。一方、ハンガリー(2.5%)は3.9%増と比較的好調だった。

EU域外で最大の輸出先である英国(5.3%)は前年比5.5%増となった。それに続くウクライナ(3.7%)は15.8%増で、内訳をみると雑製品(対ウクライナ構成比27.8%)の50.1%増、機械・輸送用機器(24.9%)の19.5%増、鉱物性燃料・潤滑油(17.4%)の6.8%増が牽引した。一方で、昨年28.3%増の伸びを見せた化学工業製品(10.6%)は6.3%減となった。米国(3.3%)は6.1%増で、機械・輸送用機器(対米国構成比55.4%)の10.5%増、原料別製品(12.3%)の12.0%増が牽引した。中国(0.9%)は8.0%増で、機械・輸送用機器(対中国構成比38.6%)は0.7%増でほぼ横ばいだったが、雑製品(15.0%)は68.7%増と大きく寄与した。ロシア(0.8%)は、化学工業製品(対ロシア構成比34.3%)が18.6%減、機械・輸送用機器(12.4%)が55.7%減、原料別製品(13.9%)が27.7%減と全体的に落ち込み、25.3%減となった。

表3 ポーランドの主要国・地域別輸出入(単位:100 万ユーロ、%)(△はマイナス値)
国・地域 輸出(FOB) 輸入(CIF)
2023年 2024年 構成比 伸び率 2023年 2024年 構成比 伸び率
EU 263,924 258,954 73.9 △ 1.9 183,029 182,093 52.1 △ 0.5
階層レベル2の項目ユーロ圏 209,352 204,548 58.4 △ 2.3 148,574 147,432 42.2 △ 0.8
階層レベル3の項目ドイツ 98,638 94,816 27.1 △ 3.9 68,319 67,207 19.2 △ 1.6
階層レベル3の項目フランス 21,669 21,311 6.1 △ 1.7 11,282 12,132 3.5 7.5
階層レベル3の項目オランダ 15,972 16,172 4.6 1.2 13,914 13,486 3.9 △ 3.1
階層レベル3の項目イタリア 16,222 15,930 4.5 △ 1.8 16,833 16,387 4.7 △ 2.6
階層レベル3の項目スペイン 9,730 10,153 2.9 4.3 7,298 7,848 2.2 7.5
階層レベル2の項目非ユーロ圏 54,572 54,407 15.5 △ 0.3 34,455 34,661 9.9 0.6
階層レベル3の項目チェコ 22,268 21,368 6.1 △ 4.0 11,130 11,293 3.2 1.5
階層レベル3の項目ハンガリー 8,438 8,767 2.5 3.9 5,400 5,381 1.5 △ 0.3
階層レベル3の項目スウェーデン 8,728 8,382 2.4 △ 4.0 6,427 5,914 1.7 △ 8.0
アジア大洋州 9,886 10,184 2.9 3.0 81,343 85,719 24.5 5.4
階層レベル3の項目中国 3,058 3,304 0.9 8.0 47,632 50,731 14.5 6.5
階層レベル3の項目ASEAN 1,688 2,086 0.6 23.6 11,283 12,610 3.6 11.8
階層レベル3の項目インド 1,624 1,335 0.4 △ 17.8 3,671 4,006 1.1 9.1
階層レベル3の項目オーストラリア 971 953 0.3 △ 1.8 563 164 0.0 △ 70.9
階層レベル3の項目日本 826 841 0.2 1.8 5,763 5,076 1.5 △ 11.9
階層レベル3の項目韓国 898 799 0.2 △ 11.0 9,634 10,091 2.9 4.7
英国 17,528 18,498 5.3 5.5 6,138 6,002 1.7 △ 2.2
ウクライナ 11,331 13,123 3.7 15.8 4,433 4,755 1.4 7.3
米国 10,941 11,605 3.3 6.1 14,986 17,519 5.0 16.9
トルコ 4,675 4,859 1.4 3.9 7,565 7,504 2.1 △ 0.8
ノルウェー 3,066 2,929 0.8 △ 4.5 8,312 7,703 2.2 △ 7.3
ロシア 3,650 2,727 0.8 △ 25.3 2,472 1,744 0.5 △ 29.4
ブラジル 663 875 0.2 32.0 2,782 3,041 0.9 9.3
サウジアラビア 846 743 0.2 △ 12.2 7,056 7,868 2.2 11.5
南アフリカ共和国 900 692 0.2 △ 23.1 809 623 0.2 △ 23.0
合計(その他含む) 353,079 350,419 100.0 △ 0.8 343,316 349,745 100.0 1.9

〔注1〕 EU 域外貿易は通関ベース、EU 域内貿易は各企業のインボイス報告などに基づく。
〔注2〕 アジア大洋州は、ASEAN+6(日本、中国、韓国、オーストラリア、ニュージーランド、インド)に香港および台湾を加えた合計値。
〔出所〕 ポーランド中央統計局(GUS)

輸入を品目別にみると、最大品目である機械・輸送用機器(構成比35.2%)は前年比2.2%増と堅調で、道路走行車両(10.0%)の8.6%増が牽引した。また、2番目の雑製品(14.9%)は12.1%増と好調で、そのうち衣類および衣類付属品(4.5%)の17.4%増が寄与した。一方、鉱物性燃料・潤滑油(7.6%)は13.1%減となり、石炭・コークスおよび練炭(0.4%)が61.7%減と大きく落ち込んだことが影響した。

輸入を国・地域別にみると、全体の5割強を占めるEU(構成比52.1%)が前年比0.5%減となり、そのうち、最大の輸入元であるドイツ(19.2%)が1.6%減、2位のイタリア(4.7%)も2.6%減となった。

EU域外では、国別でドイツに次ぐ輸入相手国である中国(構成比14.5%)が前年比6.5%増と堅調だった。最大輸入品目の機械・輸送用機器(対中国構成比53.8%)の4.5%増、雑製品(27.8%)の13.8%増、原料別製品(11.6%)の16.4%増などが牽引した。米国(5.0%)は16.9%増と好調で、最大輸入品目の機械・輸送用機器(対米国構成比39.1%)の21.6%増、鉱物性燃料・潤滑油(18.1%)の83.0%増が寄与した。韓国(2.9%)は4.7%増で、雑製品(対韓国構成比23.8%)の132.3%増が大きく寄与した一方、機械・輸送用機器(36.5%)は13.8%減、化学工業製品(29.8%)は6.6%減と落ち込んだ。ウクライナ(1.4%)は7.3%増と堅調な伸びを見せた。

対内・対外直接投資 
対内・対外直接投資ともに大きく減少

NBPによると、2024年の対内直接投資(国際収支ベース、ネット、フロー)は前年比46.5%減の169億6,800万ユーロとなり、2年連続で減少した。

表4 ポーランドの対内・対外直接投資[国際収支ベース、ネット、フロー](単位:100万ユーロ)
項目 2020年 2021年 2022年 2023年 2024年
対内直接投資額 17,476 31,695 39,251 31,723 16,968
対外直接投資額 4,190 8,626 12,010 13,664 7,202

〔出所〕ポーランド国立銀行(NBP)

2024年の主な対内直接投資案件を見ると、通信、物流、航空機、半導体関連の投資が目立った。オランダのスウィッチ・データセンターズ(Switch Datacenters)は首都ワルシャワに約5万平方メートルのデータセンター用地を取得した。米国のアマゾン(Amazon.com)はポーランド南部ゴジチュキに物流センターを新設した。ポーランドで11棟目となり、新たに1,000人の雇用を生む見込みだ。米国のボーイング(Boeing)は6月、ポーランド3都市(首都ワルシャワ、北部グダニスク、南東部ジェシュフ)にそれぞれ既存拠点を拡張するエンジニアリング拠点の新設を発表した。新拠点では民間航空機や防衛システムの製造のほか、研究開発プロジェクトが行われ、新たに数百人の雇用を計画する。韓国の半導体製造大手SKハイニックス(SK Hynix)は10月、北部グダニスクに研究開発センターを新設すると発表した。同施設ではNAND型フラッシュメモリの開発に注力するとしている。2025年に入ってからは、2月に米国のマイクロソフト(Microsoft)が、ハイパースケール(大規模)クラウドと人工知能(AI)インフラをポーランドで拡大するため、2026年6月までに28億ズロチを投じるとともに、ポーランド国防省と協力して国家のサイバーセキュリティーを強化する枠組みを構築する意向であることを発表した。

表5-1 ポーランドの主な対内直接投資案件(2024年)[M&A以外]
業種 企業名 国籍 時期 投資額 概要
金属 エレメンタル・グループ(Elemental Group) ルクセンブルク 2024年6月 6億ズロチ グリーンメタルを製造するエレメンタル・グループ傘下のエレメンタル・ストラテジック・メタル(Elemental Strategic Metals)は、ポーランド南部のザヴィエルチェに工場を開設した。この工場では、電気自動車のリチウムイオン電池から重要な貴金属を回収でき、150人の新規雇用を見込む。
紙、包装 モンディ・グループ(Mondi Group) 英国 2024年11月 9,000万ユーロ モンディ・グループは、ワルシャワ近郊のムシュチョヌフ工場に9,000万ユーロを投資し、包装関連製品の生産能力が倍増した。
この工場の改修は、同社が中東欧で行う段ボール包装事業への2億8,000万ユーロの投資の一部となる。
通信 スウィッチデータセンターズ(Switch Datacenters) オランダ 2024年10月 非公開 スウィッチデータセンターズはポーランド首都のワルシャワに約5万平方メートルのデータセンター用地を取得した。
eコマース アマゾン(Amazon.com) 米国 2024年9月 非公開 アマゾンは、ポーランドでのビジネスを開始して10周年となる2024年に、ポーランド南部のゴジチュキに新しく物流センターを立ち上げた。ポーランドで11棟目の工場となる。新たに1,000人の雇用を生む見込み。

〔出所〕 各社発表および報道などから作成

表5-2 ポーランドの主な対内直接投資案件(2024年)[M&A]
被買収企業(事業) 買収企業 時期 投資額 概要
業種 企業名 企業名 国籍
電気製品卸 ティム(TIM) FEGA&シュミット・エレクトログロッスハンドル(FEGA & Schmitt Elektrogroßhandel) ドイツ 2024年1月 非公表 ドイツのファスナー・組立材料メーカーのヴュルト・グループ(Würth Group)の子会社で、電気製品卸売業を営むFEGA&シュミット・エレクトログロッスハンドルは、ポーランドの電気製品卸のティムの株式公開買付けを実施。2024年1月時点で約96.3%相当の株式を取得した。
銀行 ベロバンク(VeloBank) プロモントリア・ホールディング 418(Promontoria Holding 418) オランダ 2024年8月 6億8,700万ズロチ 金融投資を行う米国のサーベラス・キャピタル・マネジメント(Cerberus Capital Management)、欧州復興開発銀行(European Bank for Reconstruction and Development、EBRD)、国際金融公社(International Finance Corporation、IFC)が所有するプロモントリア・ホールディングス418はポーランドの銀行ベロバンクの株式100%の買収を完了した。
靴、eコマース エオブビエ (eobuwie.pl) A&Rインベストメンツ(A&R Investments) マルタ 2024年9月 5億ズロチ マルタの投資会社のA&Rインベストメンツは、ポーランドで靴やバッグのオンライン販売を行うエオブビエの株式を10%取得した
食品 ミロパシュ(Miropas) ダーリン・イングリディエンツ(Darling Ingredients) 米国 2024年1月 1億1,000万ユーロ 米国で食品廃棄物を飼料やグリーンエネルギーへ転換するレンダリング事業を行うダーリン・イングリディエンツは、同業のミロパシュを買収した。ミロパシュは、ポーランド南東部で鶏肉レンダリング工場3カ所、従業員225人を抱え、年間約25万トンの鶏肉の副産物を処理している。

〔出所〕 各社発表および報道などから作成

ポーランド投資・貿易庁(PAIH)が支援し実現した2024年の対内直接投資案件は53件(ポーランド企業からの24件を含む)で、投資予定額は合計23億6,672万ユーロとなった。国別では、スウェーデンが5件、米国4件、英国4件、中国3件の順に多かった。また、日本1件も含まれていた。分野別では、ビジネスサービスセクター21件(IT 18件、シェアードサービスセンター 2件、その他1件)、自動車6件(うち電気自動車5件)、食品5件、研究開発4件などが多かった。なお、2023年にベラルーシからの投資案件数を下支えした「ポーランド・ビジネスハーバー」プロジェクト(注)は、ビザの不正発給に繋がっていると指摘され、2024年1月から現時点(2025年6月)まで一時停止されている。

(注)
2020年9月に開始した、情報通信技術(ICT)の専門技術者や企業を対象にポーランドへの移転をサポートする政府プロジェクト。当初、対象国はベラルーシのみだったが、のちにジョージア、ウクライナ、モルドバ、アルメニアにも拡大した。

2024年の対外直接投資は前年比47.3%減の72億200万ユーロで、4年ぶりの減少となった。主な対外直接投資案件をみると、グリーン水素とアンモニアの技術統合・システム設計などを手掛けるヒンフラ(Hynfra)はエジプトの投資・フリーゾーン庁(GAFI)と提携し、エジプトにグリーンアンモニア工場を建設する計画を発表した。中東および欧州市場への供給を目的として16億ドルの初期投資を行う。第1段階の建設を2030年までに完了し、年間10万トンまで生産能力を増強する。将来的には、生産能力年間100万トンを目指す。ポーランドの衣料品販売大手LPPの傘下で、調達・配送業務を行うLPPロジスティクス(LPP Logistics)は、南東欧市場で増大するeコマースの需要に応えるため、ルーマニアに約4万平方メートルの新たな倉庫を開設すると発表した。1日当たり最大40万件の追加注文が処理可能となり、最大1,500人の新規雇用を見込む。

表6-1 ポーランドの主な対外直接投資案件(2024年)[M&A以外]
業種 企業名 投資先国 時期 投資額 概要
エネルギー ヒンフラ(Hynfra) エジプト 2024年11月 16億ドル グリーン水素とアンモニアの技術統合・システム設計などを手掛けるヒンフラは、エジプトの投資・フリーゾーン庁(GAFI)と提携し、エジプトにグリーンアンモニア工場を建設する計画を発表した。中東および欧州市場への供給を目的として16億ドルの初期投資を行う。第1段階の建設を2030年までに完了し、年間10万トンまで生産能力を増強する。将来的には、生産能力年間100万トンを目指す。
衣類、eコマース LPPロジスティクス(LPP Logistics) ルーマニア 2024年7月 4億5,000万ズロチ ポーランドの衣類メーカーLPPの調達・配送業務を行うLPPロジスティクスは、南東欧市場で増大するeコマースの需要に応えるため、ルーマニアに約4万平方メートルの新たな倉庫を開設する。同社は2025年末までに調達・流通ネットワークの整備に4億5,000万ズロチを投じる予定で、その一環として行われる。1日当たり最大40万件の追加注文が処理可能となる。最大1,500人の新規雇用を見込む。
食品加工・卸 フィーラム(Feerum) エジプト 2024年7月 1億3,000万ズロチ フィーラムは、ポーランド投資・貿易庁の支援の下、エジプトにおける穀物サイロの建設と、運営に必要な部品製造工場設立に係る投資契約を締結した。工場の建設予定地は、スエズ運河経済特区の一部であるイースト・ポート・サイド工業団地。
重工業 セコ/ワーウィック・グループ(SECO/WARWICK Group) 米国 2024年8月 非公開 セコ/ワーウィック・グループは、北米の顧客へのサービス向上のため、製造の一部と真空炉の金属工学研究所をポーランドの本社からクロフォード郡に移転し、ペンシルベニア州での製造能力を拡大することを決定した。

〔出所〕 各社発表および報道などから作成

表6-2 ポーランドの主な対外直接投資案件(2024年)[M&A]
買収企業 被買収企業(事業) 時期 投資額 概要
企業名 業種 企業名 国籍
クルク(Kruk) 金融 カイシャバンク(Caixabank) スペイン 2024年6月 3億6,300万ユーロ 債務管理企業のクルクは、スペインで金融業を営むカイシャバンクから、総額約3億6,300万ユーロの無担保小売債務案件ポートフォリオを取得する契約を締結した。
クラウドテクノロジーズ(Cloud Technologies) 広告、宣伝 ノルディックデータリソース(Nordic Data Resources) ノルウェー 2024年7月 1,910万ノルウェークローネ データ分析・モニタリング事業を手掛けるクラウドテクノロジーズは、ノルウェーでメディア広告事業を営むノルディックデータリソースの株式100%を買収する契約を締結した。
オルレン(ORLEN) 石油、ガス ドップラーエナジー(Doppler Energie) オーストリア 2024年1月 非公開 ポーランドのエネルギー大手オルレンは、オーストリア全土で267のガソリンスタンドを運営するドップラーエナジーの買収を完了し、同社の株式100%を取得した。
マスペックス・ワドヴィツェ(Maspex Wadowice) 飲料 ヤン・ベヘル・カルロヴァルスカ・ベヘロフカ(Jan Becher Karlovarsk Becherovka) チェコ 2024年4月 非公開 アルコール飲料メーカーのマスペックスは、チェコで200年以上の歴史を持つハーブリキュールブランドであるヤン・ベヘル・カルロヴァルスカ・ベヘロフカを買収した。

〔出所〕 各社発表および報道などから作成

対日関係 
対日貿易は赤字が縮小

2024年の対日貿易は、輸出は前年比1.8%増の 8 億4,100万ユーロと堅調だった一方、輸入は11.9%減の50億7,600万ユーロにとどまった。貿易赤字は前年の49億3,700万ユーロから42億3,500万ユーロに縮小した。

対日輸出を品目別にみると、飲料およびたばこ(構成比5.4%)は前年比で約3.6倍に増え、前年に続き好調だった。そのほか、原料別製品(11.6%)は9.0%増、食料品および動物(9.1%)は7.5%増、化学工業製品(6.7%)は14.9%増、食用に適さない原材料(3.9%)は20.0%増となった。一方、最大の輸出品目である機械類・輸送用機器(52.5%)は7.2%減、雑製品(10.7%)は7.9%減となった。

対日輸入を品目別にみると、最大の輸入品目である機械・輸送用機器(構成比62.6%)は前年比1.7%減、化学工業製品(13.4%)は40.4%減、雑製品(12.6%)は17.1%減、原料別製品(8.8%)は5.1%減と、全体的に落ち込んだ。

表7 ポーランドの対日主要品目別輸出入 [通関ベース](単位:100 万ユーロ、%)(△はマイナス値)
品目 輸出(FOB) 輸入(CIF)
2023年 2024年 2023年 2024年
金額 金額 構成比 伸び率 金額 金額 構成比 伸び率
機械類・輸送用機器 476 441 52.5 △7.2 3,233 3,177 62.6 △1.7
原料別製品 89 97 11.6 9.0 471 447 8.8 △5.1
雑製品 97 90 10.7 △7.9 773 641 12.6 △17.1
食料品および動物 71 77 9.1 7.5 7 9 0.2 36.7
化学工業製品 49 56 6.7 14.9 1,137 678 13.4 △40.4
飲料およびたばこ 13 46 5.4 257.4 4 5 0.1 23.3
食用に適さない原材料 27 32 3.9 20.0 113 103 2.0 △9.3
合計(その他含む) 826 841 100.0 1.8 5,763 5,076 100.0 △11.9

〔出所〕 ポーランド中央統計局(GUS)

日本企業は前年に続き幅広い分野で投資、エネルギー関連も活発

2024年の日本からの主な投資案件をみると、パナソニックの食品システム部門であるパナソニック・コールドチェーンソリューションズは7月、冷凍機の製造を行うポーランドのエリアクーリングソリューションズ(Area Cooling Solutions)の全株式取得について、同社の親会社と合意した。環境負荷軽減に配慮した冷凍機の開発・現地生産・欧州市場での普及を目指す。三井物産は8月、ポーランド南部のスカルビミエシュに電磁鋼板加工会社を設立することを発表した。再生可能エネルギー発電所などの新設に伴う変圧器および電動車への需要増に対応する。三菱倉庫の欧州現地法人の欧州三菱倉庫は、ポーランド支店を12月に開設した。同社が東欧に拠点を置くのは初めてで、東欧などのエリアで物流機能を高める。エイチ・アイ・エスは12月、ポーランドのスタートアップ企業であるサウレ・テクノロジーズ(Saule Technologies)およびローソンと協業し、フィルム型ペロブスカイト太陽電池を用いた実証実験を開始した。同電池は次世代太陽電池で、室内照明などからも発電できる高い発電効率を持ち、サウレ・テクノロジーズが開発を進めている。ローソンは日本国内の一部店舗で同電池を用いた発電パネルを設置した。2025年に入ってからは、生体認証サービスなどの開発を行うロココが4月、ポーランドが国際的に優秀なIT人材を多く輩出している点に注目し、ポーランド中部ウッチに研究開発センターを開所した。日本たばこ産業(JT)の国際部門JTインターナショナルは5月、ウッチ近郊の工場内に建設を進めていた太陽光発電所が稼働を開始したと発表した。投資額は4,000万ズロチに上る。

基礎的経済指標

(△はマイナス値)
項目 単位 2022年 2023年 2024年
実質GDP成長率 (%) 5.3 0.2 2.9
1人当たりGDP (米ドル) 18,860 22,031 24,810
消費者物価上昇率 (%) 14.4 11.4 3.6
失業率 (%) 5.2 5.1 5.1
貿易収支 (100万米ドル) △ 23,193 5,130 △ 6,904
経常収支 (100万米ドル) △ 15,822 14,535 1,789
外貨準備高(グロス) (100万米ドル) 153,340 169,999 185,515
対外債務残高(グロス) (100万米ドル) 375,190 428,666 459,375
為替レート (1米ドルにつき、ポーランド・ズロチ、期中平均) 4.46 4.20 3.98


貿易収支:国際収支ベース(財のみ)
出所
実質GDP成長率、消費者物価上昇率、失業率:ポーランド中央統計局(GUS)
1人当たりGDP、外貨準備高(グロス)、為替レート:IMF
貿易収支、経常収支、対外債務残高(グロス):ポーランド国立銀行(NBP)