フランスの貿易と投資(世界貿易投資動向シリーズ)

要旨・ポイント

  • 2022年の実質GDP成長率は2.5%と前年から鈍化。
  • 貿易は鉱物性燃料を中心に輸入が大幅増、貿易赤字が前年から約803億ユーロ拡大。
  • 対内直接投資は前年から約85億ユーロ増加。戦略産業保護を目的に外資審査制度の強化措置が延長。
  • 日本からの直接投資および対日直接投資は流入超過を計上。

公開日:2023年10月5日

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マクロ経済 
2022年は第3四半期から景気減速が鮮明に

2022年の実質GDP成長率は2.5%と前年の6.4%から鈍化した。財貨・サービスの輸出は前年比7.3%増、輸入は8.8%増と、前年のそれぞれ10.9%増、9.2%増から減速した。輸入の伸びが輸出の伸びを上回り、純輸出はGDP成長率を0.6ポイント押し下げた。内需(在庫調整を除く)の寄与度は2.4ポイントと前年の6.7ポイントから減少した。家計最終消費支出は前年の5.1%増から2.1%増、国内総固定資本形成は前年の10.2%増から2.3%増と、伸びは大きく鈍化した。

2022年第1四半期の実質GDP成長率は、新型コロナウイルスのオミクロン株の拡大と、ワクチンパスによる制限措置の影響などから、マイナス0.1%と急減速した。しかし第2四半期は規制緩和を受けて0.5%の伸びを取り戻した。第3四半期はロシアによるウクライナ侵攻を背景にエネルギー危機が深刻化し、0.2%に減速した。第4四半期は外需を軸に0.1%と小幅ながらプラスの伸びを維持した。

エマニュエル・マクロン大統領は2021年10月、2020年9月に発表した経済復興策の後継策として、国家投資計画「フランス2030」を発表した。2022年からの5年間に原子力、再生可能および低炭素水素、製造業・モビリティの脱炭素化、バイオ医薬品、半導体・電子部品、デジタル技術などの戦略分野に総額540億ユーロを投資する計画だ。2022年11月までの1年間に小型モジュール炉(SMR)の開発、水電解装置やリチウムイオン電池の工場建設を含む1,752件のプロジェクトに総額84億ユーロの資金が拠出された。

2023年は年初に年金改革を巡るストライキが続いたが、第1四半期の実質GDP成長率は0.1%とプラス成長を確保した。第2四半期は輸出の持ち直しを受け0.5%(速報値)と予想を上回る成長率を達成した。内需(在庫調整を除く)の寄与度は2四半期ともにマイナス0.1ポイントだった。

フランス銀行(中央銀行)は6月20日に発表したマクロ経済予測の中で、2023年の実質GDP成長率を0.7%と予測した。消費者物価指数(CPI)上昇率(インフレ率)は、2023年2月に前年同月比で7.3%のピークに達した後、エネルギー価格や食品価格の値下がりを受けて年平均で5.6%と2022年の5.9%から低下すると見通した。2024年は2.4%まで低下し、2025年に1.9%で安定すると予測した。

失業率は2023年に7.1%まで低下した後、景気減速に伴う雇用創出数の減少を受けて2024年は7.4%、2025年は7.6%に上昇するとした。財政赤字のGDP比は2023年に5%を超え(2022年は4.7%)、2025年まで4%を超える高い水準で推移する見込み。公的債務残高は、2025年まで同比110%を超える水準にとどまると予測した。

表1 フランスの需要項目別実質GDP成長率(単位:%)(△はマイナス値)
項目 2021年 2022年 2023年
年間 Q1 Q2 Q3 Q4 Q1 Q2
実質GDP成長率 6.4 2.5 △ 0.1 0.5 0.2 0.1 0.1 0.5
階層レベル2の項目家計最終消費支出 5.1 2.1 △ 1.4 0.7 0.5 △ 0.8 0.0 △ 0.4
階層レベル2の項目政府最終消費支出 6.5 2.6 0.4 △ 0.5 0.3 0.7 △ 0.2 0.0
階層レベル2の項目国内総固定資本形成 10.2 2.3 0.3 0.7 2.3 0.3 △ 0.4 0.1
階層レベル2の項目財貨・サービスの輸出 10.9 7.3 2.0 0.2 0.5 1.1 △ 0.8 2.6
階層レベル2の項目財貨・サービスの輸入 9.2 8.8 1.8 0.9 3.2 △ 0.5 △ 2.0 0.4

〔注〕四半期の伸び率は前期比。
〔出所〕フランス国立統計経済研究所(INSEE)

貿易 
貿易赤字が拡大、電力輸出が数量ベースで45.5%減

フランスの2022年の貿易は、輸出が前年比19.5%増の5,767億6,900万ユーロ、輸入は29.2%増の7,713億5,200万ユーロと輸出入の双方で増加した。貿易収支は1,945億8,300万ユーロの赤字となった。輸出以上に輸入の増加幅が大きかったため、貿易赤字は前年から803億2,600万ユーロ拡大した。

航空機・宇宙飛行体、飲料・アルコール・食酢、精油・調整香料・化粧品類、穀物などの品目で黒字額が前年から増加した。特に穀物の黒字額は101億ユーロと前年を65.1%上回った。穀物は、ロシアによるウクライナ侵攻の影響を受けた国際的な価格上昇により輸出額が増加しただけでなく、小麦を中心に数量ベースでも15.8%増の伸びを示した。最大の赤字品目である鉱物性燃料は、原油、ガス、電力価格の高騰を背景に赤字額が1,170億5,300万ユーロと前年から706億4,100万ユーロ拡大した。

輸出を品目別にみると、最大のシェアを占める原子炉・ボイラー・機械類(構成比10.6%)が前年比14.8%増、鉄道用または軌道用を除く自動車(8.2%)は10.1%増、電気機器(7.7%)は17.0%増と増加した。鉱物性燃料は価格高騰を受けて石油、ガスを中心に前年からほぼ倍増した。ただし、電力輸出は金額ベースでは前年から42.3%増えたが、国内の原発施設のメンテナンスやストライキなどに伴う発電量の低下を背景に数量ベースでは45.5%減少した。

航空機・宇宙飛行体(5.4%)は20.0%増の伸びを示した。エアバス航空機は206億4,000万ユーロ(引き渡し機数236機)と前年(177億9,600万ユーロ、225機)を上回ったが、航空機需要の回復に下請け企業の生産体制が追い付かず、新型コロナ危機前の2019年(320億1,500万ユーロ、358機)のほぼ6割の水準にとどまった。最大輸出相手のアジア向けが79億8,500万ユーロと前年から6.3%縮小したが、欧州が51.1%増、米州が85.7%増と大幅に増加し、これを相殺した。

エネルギー価格の上昇は化学品、金属などエネルギー集約型製品の輸出額を押し上げた。精油・調整香料・化粧品類(3.8%)が17.0%増、鉄鋼(3.2%)が16.5%増、有機化学品(2.5%)が18.7%増となった。

国・地域別では、輸出全体の56.2%を占めるEUが前年比21.9%増となった。最大輸出相手国のドイツ(構成比13.9%)が16.7%増となったほか、主要相手国のイタリア(9.4%)、ベルギー(7.9%)がそれぞれ38.3%増、22.5%増の大幅増だった。

EU域外で最大輸出相手国の米国(8.1%)は33.6%増の伸びとなった。2022年は特に輸送機器の輸出増が顕著で、航空機・宇宙飛行体のほか、船舶も造船シャンティエ・サンナゼールによる米ロイヤル・カリビアン・クルーズラインへの大型客船の引き渡しを受けて急増した。中国(香港を含む)(5.0%)は同国のコロナ規制の影響などから1.2%減と後退した。ロシア(0.5%)は52.1%減となった。ウクライナ侵攻に伴うEUの対ロシア制裁措置を受けて、主要輸出品目において医薬品を除く全品目で減少した。

表2 フランスの品目別輸出入(単位:100万ユーロ、%)
品目 輸出(FOB) 輸入(CIF)
2021年 2022年 2021年 2022年
金額 金額 構成比 伸び率 金額 金額 構成比 伸び率
原子炉・ボイラー・機械類 53,347 61,263 10.6 14.8 71,607 80,867 10.5 12.9
自動車(鉄道用または軌道用除く) 43,038 47,397 8.2 10.1 64,491 69,508 9.0 7.8
電気機器 38,047 44,525 7.7 17.0 54,464 63,138 8.2 15.9
医療用品 33,052 35,776 6.2 8.2 28,756 30,735 4.0 6.9
鉱物性燃料 16,094 32,374 5.6 101.2 62,506 149,427 19.4 139.1
航空機・宇宙飛行体 26,092 31,316 5.4 20.0 9,621 12,132 1.6 26.1
プラスチック 21,664 23,916 4.1 10.4 24,695 28,732 3.7 16.3
精油・調整香料・化粧品類 18,610 21,778 3.8 17.0 5,753 6,664 0.9 15.8
飲料・アルコール・食酢 18,888 21,021 3.6 11.3 4,476 5,613 0.7 25.4
鉄鋼 15,627 18,208 3.2 16.5 12,916 16,303 2.1 26.2
光学機器・写真用機器・映画用機器 14,689 15,817 2.7 7.7 19,733 21,429 2.8 8.6
有機化学品 11,983 14,229 2.5 18.7 13,991 17,877 2.3 27.8
各種化学工業製品 12,680 14,187 2.5 11.9 9,884 12,716 1.6 28.7
革製品・旅行用具・ハンドバッグ 10,062 12,169 2.1 20.9 4,329 5,272 0.7 21.8
穀物 7,045 11,261 2.0 59.8 919 1,148 0.1 24.9
真珠・貴石・貴金属 7,579 9,929 1.7 31.0 6,502 8,784 1.1 35.1
鉄鋼製品 6,917 8,280 1.4 19.7 12,188 14,015 1.8 15.0
酪農品・鳥卵・天然はちみつ 6,767 7,792 1.4 15.1 4,220 5,947 0.8 40.9
衣類・衣類付属品(メリヤス編み除く) 5,911 7,355 1.3 24.4 10,135 12,428 1.6 22.6
紙および板紙・製紙用パルプ 5,842 7,300 1.3 25.0 7,873 10,544 1.4 33.9
アルミニウム 5,239 6,596 1.1 25.9 7,018 9,179 1.2 30.8
ゴム 5,529 6,237 1.1 12.8 6,979 7,594 1.0 8.8
衣類・衣類付属品(メリヤス編み含む) 4,661 5,840 1.0 25.3 10,366 13,283 1.7 28.1
合計(その他を含む) 482,657 576,769 100.0 19.5 596,914 771,352 100.0 29.2

〔注〕EU域外貿易は通関ベース、EU域内貿易は各企業のインボイス報告などに基づく。
〔出所〕フランス税関

表3 フランスの主要国・地域別輸出入[再輸出を含む総額ベース](単位:100万ユーロ、%)(△はマイナス値)
国・地域 輸出(FOB) 輸入(CIF)
2021年 2022年 2021年 2022年
金額 金額 構成比 伸び率 金額 金額 構成比 伸び率
EU 265,792 323,897 56.2 21.9 327,089 394,542 51.1 20.6
階層レベル2の項目ユーロ圏 229,889 282,864 49.0 23.0 285,362 346,256 44.9 21.3
階層レベル3の項目ドイツ 68,749 80,221 13.9 16.7 81,532 92,464 12.0 13.4
階層レベル3の項目イタリア 39,125 54,113 9.4 38.3 46,142 52,772 6.8 14.4
階層レベル3の項目ベルギー 37,130 45,475 7.9 22.5 46,361 68,474 8.9 47.7
階層レベル3の項目スペイン 37,113 44,370 7.7 19.6 42,130 52,774 6.8 25.3
階層レベル3の項目オランダ 19,819 24,285 4.2 22.5 27,867 32,321 4.2 16.0
階層レベル2の項目非ユーロ圏 35,903 41,033 7.1 14.3 41,727 48,286 6.3 15.7
階層レベル3の項目ポーランド 11,974 13,781 2.4 15.1 13,579 15,751 2.0 16.0
階層レベル3の項目チェコ 4,971 5,870 1.0 18.1 7,659 8,552 1.1 11.7
階層レベル3の項目ルーマニア 4,190 4,874 0.8 16.3 4,476 5,760 0.7 28.7
階層レベル3の項目ハンガリー 3,873 4,385 0.8 13.2 4,805 5,638 0.7 17.3
英国 28,282 33,468 5.8 18.3 21,714 28,723 3.7 32.3
スイス 17,070 20,708 3.6 21.3 14,706 17,886 2.3 21.6
トルコ 7,338 9,246 1.6 26.0 9,141 10,468 1.4 14.5
ロシア 6,424 3,076 0.5 △ 52.1 10,121 15,509 2.0 53.2
アジア大洋州 64,093 68,455 11.9 6.8 109,908 135,510 17.6 23.3
階層レベル2の項目中国(香港含む) 29,108 28,773 5.0 △ 1.2 64,983 78,683 10.2 21.1
階層レベル2の項目ASEAN 12,453 14,709 2.6 18.1 18,013 22,875 3.0 27.0
階層レベル3の項目シンガポール 7,160 8,872 1.5 23.9 2,105 2,450 0.3 16.4
階層レベル3の項目タイ 1,386 1,433 0.2 3.4 3,156 3,740 0.5 18.5
階層レベル3の項目マレーシア 751 1,262 0.2 68.0 3,001 4,113 0.5 37.1
階層レベル3の項目ベトナム 1,245 1,163 0.2 △ 6.6 5,510 6,916 0.9 25.5
階層レベル2の項目日本 6,508 6,375 1.1 △ 2.1 9,406 9,329 1.2 △ 0.8
階層レベル2の項目インド 5,886 5,938 1.0 0.9 6,714 9,109 1.2 35.7
階層レベル2の項目韓国 4,782 5,873 1.0 22.8 5,656 7,526 1.0 33.1
階層レベル2の項目オーストラリア 2,922 3,357 0.6 14.9 968 2,321 0.3 139.8
北米(USMCA) 41,663 54,337 9.4 30.4 40,435 68,196 8.8 68.7
階層レベル2の項目米国 34,909 46,629 8.1 33.6 34,029 61,317 7.9 80.2
アフリカ 23,192 27,822 4.8 20.0 25,780 38,836 5.0 50.6
階層レベル2の項目モロッコ 4,533 6,320 1.1 39.4 6,189 6,959 0.9 12.4
階層レベル2の項目アルジェリア 3,706 4,495 0.8 21.3 4,359 6,653 0.9 52.6
階層レベル2の項目チュニジア 3,054 3,763 0.7 23.2 4,264 5,084 0.7 19.2
階層レベル2の項目ナイジェリア 612 573 0.1 △ 6.4 2,914 4,776 0.6 63.9
中東 11,383 14,276 2.5 25.4 8,430 18,414 2.4 118.4
階層レベル2の項目湾岸協力会議(GCC) 8,559 10,528 1.8 23.0 6,136 15,246 2.0 148.5
中南米 7,751 9,518 1.7 22.8 7,358 10,180 1.3 38.4
階層レベル2の項目ブラジル 3,223 4,037 0.7 25.3 2,898 4,268 0.6 47.3
合計(その他含む) 482,657 576,769 100.0 19.5 596,914 771,352 100.0 29.2

〔注1〕アジア大洋州はASEAN+6(ASEAN、日本、中国、韓国、オーストラリア、ニュージーランド、インド)に台湾を加えた合計値。
GCCは、アラブ首長国連邦、バーレーン、クウェート、オマーン、カタール、サウジアラビアの6カ国の合計値。
USMCAは、米国、カナダ、メキシコの3カ国の合計値。このため、中南米にメキシコは含まず。
〔注2〕軍需品は除く。
〔注3〕EU域外貿易は通関ベース、EU域内貿易は各企業のインボイス報告などに基づく。
〔出所〕フランス税関

エネルギー価格の上昇などを受け鉱物性燃料の輸入が大幅増

輸入を品目別にみると、鉱物性燃料(構成比19.4%)は2.4倍と大幅増を記録した。石油ガスが3.3倍、石油が66.5%増となったが、これはロシアのウクライナ侵攻に伴うエネルギー価格の上昇とユーロ安・ドル高が輸入額を押し上げたもので、輸入量をみると、石油ガスは4.4%減の305万トン、石油は11.7%減の3,221万トンと減少した。電力輸入は、国内原発の発電量低下を補填するため、金額ベースで4.7倍、数量ベースで2.2倍と膨らんだ。フランスは初めて電力の純輸入国に転じた。

主要輸入品目で増加を示したのは、原子炉・ボイラー・機械類(構成比10.5%)が前年比12.9%増、これに続く鉄道用または軌道用を除く自動車(9.0%)が7.8%増、電気機器(8.2%)は15.9%増だった。

エネルギー多消費分野での輸入増が顕著で、有機化学品(2.3%)は27.8%増、各種化学工業製品(1.6%)は28.7%増、鉄鋼(2.1%)は26.2%増、アルミニウム(1.2%)は30.8%増の増加を示した。

国・地域別にみると、主要国・地域からの輸入は軒並み増加した。全体の51.1%を占めるEUが前年比20.6%増となり、ドイツ(構成比12.0%)、ベルギー(8.9%)がけん引した。

EU域外では、アジア大洋州(構成比17.6%)が23.3%増となった。携帯電話、集積回路などの電気機器を中心に中国(香港を含む)(10.2%)は21.1%増、ASEAN(3.0%)は27.0%増と伸びが加速した。米国(7.9%)は石油ガスなど鉱物性燃料が急増し、全体で80.2%増の大幅増となった。

鉱物性燃料を主力とする中東(2.4%)からの輸入は、主に原油、石油ガスの輸入増を受けて2.2倍に拡大した。ロシア(2.0%)からの輸入は53.2%増の伸びを示したが、これは輸入の約9割を占める鉱物性燃料の価格上昇(金額ベースで66.4%増)によるもので、数量ベースでは原油、石油ガス、石炭など全品目で減少した。

対内・対外直接投資 
対内直接投資は外資規制の対象投資件数が前年と横並び

フランス銀行によると、2022年の対内直接投資額(国際収支ベース、ネット、フロー)は345億7,900万ユーロと前年の261億1,300万ユーロを大きく上回った。企業買収や工場建設など株式に関わる直接投資額は前年比45.5%増を記録した。再投資収益は66億ユーロと前年から約3億6,000万ユーロ縮小した。海外の親会社からフランス子会社への貸付といった「その他の直接投資額」は前年に引き続き157億5,100万ユーロの引き揚げ超過となった。

業種別にみると、製造業は45億5,200万ユーロ引き揚げ超過を計上した。製造業の内訳をみると、食品が18億500万ユーロとなる一方、自動車が前年の118億3,900万ユーロから10億5,800万ユーロの引き揚げ超過に転じた。航空機・宇宙は前年に引き続き47億4,200万ユーロの引き揚げ超過を計上した。医薬、ゴム・プラスチック、化学も前年に引き続き、それぞれ4億8,200万ユーロ、7億6,100万ユーロ、8億5,800万ユーロの引き揚げ超過となった。

非製造業では金融・保険が156億6,300万ユーロと前年から倍増し、運送・倉庫業は前年の引き揚げ超過から70億5,300万ユーロの流入超過に転じた。情報・通信は60億2,000万ユーロと前年から18億ユーロ縮小した。

国・地域別にみると、EUが前年比9.5%増の324億500万ユーロで、ユーロ圏は前年からほぼ横ばいの315億3,600万ユーロだった。オランダからの投資額が78.3%減となる一方、首位のドイツ、2位のルクセンブルク、前年は引き揚げ超過を計上したイタリアからの投資額の増加などが貢献した。

ドイツのグリーン・モビリティ・ホールディング(独フォルクスワーゲンを中心としたコンソーシアム)は2022年7月、ヨーロッパカー・モビリティ・グループの株式をスクイーズアウト(強制買い取り)の手法を用いて取得し、上場を廃止したと発表した。買収額は23億9,000万ユーロだった。イタリアの投資持ち株会社エクソールは7月、バイオ医薬のアンスティチュ・メリューに8億3,300万ユーロを投資し、事業拡大に向けた長期的な協力関係を結んだと発表した。

EU域外では最大の英国が52億3,900万ユーロと前年の引き揚げ超過からプラスに転じた。米国は9億6,900万ユーロ、カナダは9億7,700万ユーロと、ともに前年から大幅に投資額が縮小した。中国(香港を含む)は前年に引き続き、1,900万ユーロの引き揚げ超過となったが、前年(8億8,200万ユーロ)より引き揚げ額は大幅に縮小した。

フランス政府は戦略産業保護の観点からの外資規制の強化策として、2022年12月、事前認可の対象となる欧州経済領域(EEA)外の企業が所有するフランスの上場企業の議決権の比率を25%超から10%超に引き下げる特例措置を、2023年12月まで継続すると発表した。経済・財務・復興省財務総局の2023年5月の発表によれば、2022年に事前認可の審査対象となった投資件数は325件と前年の328件とほぼ同数となった。審査の結果、131件が認可されたが、このうち53%は条件付きでの認可となった。

表4 フランスの業種別対内・対外直接投資[国際収支ベース、ネット、フロー](単位:100万ユーロ、%)(△はマイナス値)
業種 対内直接投資 対外直接投資
2021年 2022年 2021年 2022年
金額 金額 伸び率 金額 金額 伸び率
金融・保険 6,952 15,663 125.3 7,953 10,854 36.5
運送・倉庫業 △ 1,031 7,053 1,712 1,739 1.6
情報・通信 7,829 6,020 △ 23.1 △ 31,060 4,430
階層レベル2の項目情報関連サービス 5,130 806 △ 84.3 1,194 31 △ 97.4
階層レベル2の項目テレコム 2,445 2,454 0.4 △ 2,056 1,401
専門的な知識・技術を必要とする法人向けサービス(法務・監査,コンサルタントなど) 5,028 2,431 △ 51.7 3,307 △ 408
商業・修理業 △ 643 1,073 4,718 1,547 △ 67.2
不動産 1,747 540 △ 69.1 3,840 94 △ 97.6
水・廃水処理、廃棄物処理、汚染浄化 △ 75 14 1,058 △ 2,133
ホテル・レストラン 428 △ 1 △ 1,073 △ 292
鉱業 142 △ 16 △ 752 △ 3,716
建設 3,545 △ 1,095 4,664 713 △ 84.7
電力・ガス・蒸気・空調 △ 62 △ 1,121 4,742 4,333 △ 8.6
製造業 2,045 △ 4,552 33,335 △ 2,060
階層レベル2の項目食品 △ 3,777 1,805 241 1,391 477.2
階層レベル2の項目木材、製紙 △ 429 776 △ 159 181
階層レベル2の項目金属製品 2,778 548 △ 80.3 428 999 133.4
階層レベル2の項目情報・電子・光学機器 472 459 △ 2.8 △ 835 867
階層レベル2の項目精油 △ 109 448 177 805 354.8
階層レベル2の項目設備機械 583 △ 152 539 △ 328
階層レベル2の項目医薬 △ 1,061 △ 482 2,138 923 △ 56.8
階層レベル2の項目衣類、繊維 1,259 △ 502 △ 1,734 △ 5,883
階層レベル2の項目ゴム・プラスチック △ 391 △ 761 327 1,104 237.6
階層レベル2の項目化学 △ 9,345 △ 858 △ 321 167
階層レベル2の項目自動車 11,839 △ 1,058 3,109 1,635 △ 47.4
階層レベル2の項目航空機・宇宙 △ 2,832 △ 4,742 1,369 △ 1,376
合計(その他含む) 26,113 34,579 32.4 37,770 45,607 20.7

〔出所〕フランス銀行

表5 フランスの国・地域別対内・対外直接投資[国際収支ベース、ネット、フロー](単位:100万ユーロ、%)(△はマイナス値)
国・地域名 対内直接投資 対外直接投資
2021年 2022年 2021年 2022年
金額 金額 伸び率 金額 金額 伸び率
欧州 18,918 32,297 70.7 32,736 9,866 △ 69.9
階層レベル2の項目EU 29,595 32,405 9.5 16,327 20,405 25.0
階層レベル3の項目ユーロ圏 31,163 31,536 1.2 13,685 20,485 49.7
階層レベル4の項目ドイツ 4,859 11,872 144.3 7,014 6,665 △ 5.0
階層レベル4の項目ルクセンブルク 8,477 10,865 28.2 1,378 4,309 212.7
階層レベル4の項目オランダ 16,456 3,569 △ 78.3 △ 9,126 △ 3,745
階層レベル4の項目ベルギー 168 2,624 1,461.9 1,374 △ 74
階層レベル4の項目スペイン 5,005 1,746 △ 65.1 8,043 496 △ 93.8
階層レベル4の項目イタリア △ 2,498 1,112 4,752 2,772 △ 41.7
階層レベル4の項目アイルランド 425 397 △ 6.6 △ 102 9,487
階層レベル3の項目非ユーロ圏 △ 1,568 869 2,642 △ 80
階層レベル4の項目ルーマニア 1 △ 2 725 140 △ 80.7
階層レベル4の項目ポーランド 89 △ 123 274 18 △ 93.4
階層レベル4の項目チェコ 52 △ 175 333 △ 370
階層レベル2の項目英国 △ 3,437 5,239 7,094 △ 267
階層レベル2の項目スイス △ 7,218 △ 5,370 10,741 △ 7,643
階層レベル2の項目ロシア △ 249 60 1,184 △ 690
階層レベル2の項目トルコ △ 29 285 157 △ 44.9
米州 7,350 2,192 △ 70.2 164 33,432 20,285.4
階層レベル2の項目米国 3,520 969 △ 72.5 △ 4,685 14,776
階層レベル2の項目カナダ 3,133 977 △ 68.8 1,413 1,133 △ 19.8
階層レベル2の項目ブラジル 154 466 202.6 808 7,000 766.3
中近東 765 △ 1,638 1,242 △ 977
アフリカ 256 383 49.6 6,712 98 △ 98.5
アジア △ 205 △ 130 595 3,195 437.0
階層レベル2の項目日本 △ 280 601 799 454 △ 43.2
階層レベル2の項目シンガポール 20 283 1,315.0 △ 5,655 10,283
階層レベル2の項目中国(香港含む) △ 882 △ 19 2,697 △ 5,653
階層レベル2の項目インド 0 △ 66 144 141 △ 2.1
階層レベル2の項目韓国 944 △ 359 0 94
合計(その他含む) 26,113 34,579 32.4 37,770 45,607 20.7

〔出所〕 フランス銀行

対外直接投資がユーロ圏向けを軸に20.7%増

フランス銀行によると、2022年の対外直接投資額は456億700万ユーロと前年から20.7%増加した。株式資本に関わる直接投資額は338億1,200万ユーロと前年の53億2,900万ユーロから大幅に増加した。再投資収益は295億ユーロと前年の333億400万ユーロからほぼ38億ユーロ減少した。フランスの親会社から海外子会社への貸付といった「その他の直接投資」は前年に引き続き177億500万ユーロの引き揚げ超過だった。

業種別にみると、製造業が前年の333億3,500万ユーロから20億6,000万ユーロの引き揚げ超過に転じた。製造業の内訳をみると、食品が13億9,100万ユーロ、ゴム・プラスチックが11億400万ユーロ、金属製品が9億9,900万ユーロ、情報・電子・光学機器が8億6,700万ユーロと増加する一方、前年は好調だった自動車、医薬がそれぞれ47.4%減、56.8%減となり、航空機・宇宙は13億7,600万ユーロの引き揚げ超過に転じた。非製造業では金融・保険が108億5,400万ユーロの流入超過となり、前年から36.5%増加した。

国・地域別にみると、EUが204億500万ユーロと前年から25%増加した。ユーロ圏は49.7%増の204億8,500万ユーロだった。アイルランドが前年の引き揚げ超過から94億8,700万ユーロの大幅増を計上したほか、ルクセンブルクが43億900万ユーロと前年の3倍強に膨らんだ。EU域外では、前年引き揚げ超過だった米国とシンガポールがそれぞれ147億7,600万ユーロ、102億8,300億ユーロとプラスに転じた。

表6-1 フランスの主な対内直接投資案件(2022年)[M&A以外]
業種 企業名 国籍 時期 投資額 概要
化学 イーストマン・ケミカル 米国 2022年1月 10億ドル イーストマン・ケミカルは1月、プラスチック廃棄物のリサイクル工場およびイノベーション・センターをフランスに建設すると発表した。新工場はイーストマン・ケミカルのポリエステル再生技術を利用し、リサイクル困難なプラスチック廃棄物を年間最大16万トン、リサイクルする。2025年に稼働予定。
エネルギー オクトパスエナジー 英国 2022年3月 10億ユーロ オクトパスエナジーは3月、フランスのグリーン・エネルギー市場に2年間で10億ユーロを投資すると発表した。パリにテクノロジー・ハブを設立する。
化学 ソルベイ ベルギー 2022年2月 3億ユーロ ソルベイは2月、3億ユーロを投じて仏タヴォー工場のリチウムイオン電池向けPVDF(ポリフッ化ビニリデン)の生産能力を増強すると発表した。PVDFの年間生産量を3万5,000トンに引き上げ、欧州最大の製造拠点にする。
鉄鋼 アルセロール・ミタル ルクセンブルク 2022年3月 3億ユーロ超 アルセロール・ミタルは3月、仏マルディク工場に3億ユーロ超を投じて年産20万トンの電磁鋼板工場を新設すると発表した。新工場は南仏サン・シェリー・ダプシェの電磁鋼板拠点を補完し、特に電気自動車(EV)向けに供給する。
デジタルインフラ整備 エクイニクス 米国 2022年1月 1億6,300万ドル エクイ二クスは1月、パリに10件目となる新たなデータセンターを開設すると発表した。

〔出所〕 各社発表および報道などから作成

表6-2 フランスの主な対内直接投資案件(2022年)[M&A]
被買収企業(事業) 買収企業 時期 投資額 概要
業種 企業名 企業名 国籍
モビリティサービス、
レンタカー
ヨーロッパカー・モビリティ・グループ グリーン・モビリティ・ホールディング ドイツ 2022年7月 23億9,000万ユーロ グリーン・モビリティ・ホールディング(独フォルクスワーゲンを中心としたコンソーシアム)は7月、ヨーロッパカー・モビリティ・グループの株式をスクイーズアウト(強制買い取り)の手法を用いて1株あたり0.51ユーロで取得し、後者の上場を廃止したと発表した。買収により柔軟でイノベーティブなモビリティ・サービスを提供するモビリティ・プロバイダーのリーダーへの変革を目指す。
ヘルスケア製品 HRAファーマ ペリゴ アイルランド 2022年4月 18億ユーロ ペリゴは5月、HRAファーマの買収を4月末に完了したと発表した。一般消費者向けヘルスケア製品の世界的リーダーとしてのポジションを強化する。
自動車部品販売 パーツ・ホールディング・ヨーロッパ(PHE) ディエトラン・グループ ベルギー 2022年8月 17億ユーロ ディエトラン・グループは8月、西欧における自動車部品販売のリーダーであるPHEの買収を完了したと発表した。
バイオ(医薬・公衆衛生) アンスティチュ・メリュー エクソール イタリア 2022年7月 8億3,300万ユーロ 投資持ち株会社エクソールは7月、アンスティチュ・メリューに8億3,300万ユーロを投資し、事業拡大に向けた長期的な協力関係を結んだと発表した。
建築材料 エタンコ・グループ シンプソン・ストロング・タイ 米国 2022年4月 7億2,500万ユーロ シンプソン・ストロング・タイは4月、同業であるエタンコ・グループの買収を完了したと発表した。

〔出所〕 各社発表および報道などから作成

表7-1 フランスの主な対外直接投資案件(2022年)[M&A以外]
業種 企業名 投資国 時期 投資額 概要
エネルギー トタルエナジーズ 英国 2022年1月 40億ポンド トタルエナジーズは1月、英グリーン・インベストメント・グループ(GIG)および英RIDGと設立した合弁企業(トタルエナジーズ出資率38.25%)が、英スコットランド北部オークニー諸島の西側沿岸に位置する洋上風力発電開発プロジェクトに関する海域リース権益を落札したと発表した。2030年までに発電容量2ギガワット(GW)の洋上ウィンドファームを稼働させる。
エネルギー トタルエナジーズ インド 2022年6月 50億ドル トタルエナジーズは6月、インド複合企業のアダニ・グループと、インドでグリーン水素を製造・販売するプラットフォーム「アダニ・ニュー・インダストリーズ・リミティッド(ANIL)」の株式25%を取得する契約を締結したと発表した。ANILは2030年までに年間100万トンのグリーン水素の生産を目指し、再生可能エネルギーを利用した2GWの水電解装置を建設する。
産業ガス エア・リキード 台湾 2022年10月 5億ユーロ エア・リキードは10月、台湾の半導体産業向けに総額5億ユーロを投じ、3つのガスプラントを建設すると発表した。最初の設備は2024年に稼働する予定。
半導体 ソイテック シンガポール 2022年12月 11億ユーロ ソイテックは12月、シンガポール工場の拡張工事に着工したと発表した。300ミリのSOI(シリコン・オン・インシュレータ)ウエハーの年産能力を約200万枚に倍増する。同工場の拡張事業は、2021年から2026年の5年間に11億ユーロを投じ、同社の年産能力を約450万枚に引き上げる計画の一環となる。
産業ガス エア・リキード 日本 2022年3月 3億ユーロ エア・リキードは3月、エレクトロニクス分野における主要なマーケット・リーダー2社と超高純度キャリアガスの長期供給契約を締結した。同契約の履行に向け総額3億ユーロを投じて4つの最新鋭のガスプラントを建設し、毎年15億ノルマルリューベ(Nm3)を超える窒素や高純度ガスを生産する計画を発表した。

〔出所〕 各社発表および報道などから作成

表7-2 フランスの主な対外直接投資案件(2022年)[M&A]
買収企業 被買収企業(事業) 時期 投資額 概要
企業名 業種 企業名 国籍
ブイグ 建設・通信
エネルギーサービス
エクアンス オーストリア 2022年10月 61億ユーロ ブイグは10月、エネルギーサービス事業大手エクアンスの買収を完了した発表した。同買収によりブイグ・グループは約20万人の従業員を擁する巨大複合企業となった。
アルケマ 化学 アシュランド 米国 2022年2月 16億5,000万ドル アルケマは2月、特殊化学アッシュランドの高機能接着剤事業の買収を完了したと発表した。同買収により接着剤ソリューション部門を強化する。
サノフィ 医薬 アム二ックス・ファーマシューティカルズ 米国 2022年2月 12億2,500万ドル サノフィは2月、米国の同業アム二ックス・ファーマシューティカルズの買収を完了したと発表。同買収によりサノフィはがんの免疫療法におけるT細胞エンゲージャーおよびサイトカイン療法の開発パイプラインを取得した。
バンシ・エアポート 空港運営 OMA メキシコ 2022年12月 11億7,000万ドル バンシ・エアポートは12月、メキシコの空港運営事業会社OMAの株式29.99%の取得を完了したと発表した。同社はメキシコの13の空港を運営するOMAの筆頭株主となった。
サンゴバン 建築資材 ケイカン カナダ 2022年8月 9億2,800万ドル サンゴバンは8月、同業ケイカンの買収を完了したと発表した。サンゴバンは北米におけるサステナブル建築向け製品を拡充する。

〔出所〕 各社発表および報道などから作成

対日関係 
対日貿易は輸出入ともに減少、輸入は自動車が大幅減

2022年の対日貿易は、輸出が前年比2.1%減の63億7,500万ユーロ、輸入は0.8%減の93億2,900万ユーロとなった。対日貿易赤字は29億5,400万ユーロと前年から5,600万ユーロ拡大した。フランスの貿易全体に占める日本の構成比は、輸出は1.1%、輸入が1.2%で、輸出は前年から0.3ポイント、輸入は0.4ポイント減少した。

対日輸出は前年に倍増した航空機および宇宙飛行体(構成比8.3%)が64.6%減少した一方、飲料・アルコール・食酢(12.6%)は21.2%増と2年連続で増加し、最大輸出品目となった。主要輸出品目である原子炉・ボイラー・機械類(7.5%)と医療用品(7.1%)は、それぞれ11.5%増、13.9%増の力強い伸びを示した。メリヤス編みを除く衣類・衣類付属品(5.2%)は76.7%増、精油・調整香料・化粧品類(5.1%)は17.5%増と前年に続き増加した。

日本からの輸入は原子炉・ボイラー・機械類(構成比27.2%)、電気機器(16.5%)、鉄道用または軌道用を除く自動車(14.3%)、光学機器・写真用機器・映画用機器(7.4%)、医療用品(5.0%)の上位5品目が全体の70.4%を占めた。原子炉・ボイラー・機械類が7.2%増、電気機器が10.1%増、光学機器・写真用機器・映画用機器は14.8%増とプラスの伸びが続いたが、鉄道用または軌道用を除く自動車は37.9%減と大きく縮小し、医療用品も0.8%増と伸び悩んだ。

表8-1 フランスの対日主要品目別輸出(FOB) [通関ベース](単位:100万ユーロ、%)(△はマイナス値)
品目 2021年 2022年
金額 金額 構成比 伸び率
飲料・アルコール・食酢 661 801 12.6 21.2
航空機および宇宙飛行体 1,503 531 8.3 △ 64.7
原子炉・ボイラー・機械類 427 476 7.5 11.5
医療用品 397 452 7.1 13.9
衣類・衣類付属品(メリヤス編み除く) 189 334 5.2 76.7
精油・調整香料・化粧品類 274 322 5.1 17.5
革製品・旅行用具・ハンドバッグ 299 311 4.9 4.0
自動車(鉄道用または軌道用除く) 225 254 4.0 12.9
無機化学品 87 248 3.9 185.1
光学機器・写真用機器・映画用機器 220 220 3.5 0.0
電気機器 218 209 3.3 △ 4.1
有機化学品 166 198 3.1 19.3
真珠・貴石・貴金属 133 175 2.7 31.6
プラスチック 157 165 2.6 5.1
各種化学工業品 163 135 2.1 △ 17.2
合計(その他含む) 6,508 6,375 100.0 △ 2.0

〔出所〕フランス税関

表8-2 フランスの対日主要品目別輸入(CIF) [通関ベース](単位:100万ユーロ、%)(△はマイナス値)
品目 2021年 2022年
金額 金額 構成比 伸び率
原子炉・ボイラー・機械類 2,370 2,541 27.2 7.2
電気機器 1,399 1,540 16.5 10.1
自動車(鉄道用または軌道用除く) 2,155 1,338 14.3 △ 37.9
光学機器・写真用機器・映画用機器 603 692 7.4 14.8
医療用品 465 468 5.0 0.6
各種化学工業品 290 340 3.6 17.2
プラスチック 214 270 2.9 26.2
有機化学品 233 256 2.7 9.9
がん具、遊戯用具及び運動用具 219 236 2.5 7.8
染料、顔料その他の着色料 171 182 2.0 6.4
写真用又は映画用の材料 158 175 1.9 10.8
雑品 113 128 1.4 13.3
ゴム 128 102 1.1 △ 20.3
鉄鋼製品 93 90 1.0 △ 3.2
無機化学品 58 71 0.8 22.4
合計(その他含む) 9,406 9,329 100.0 △ 0.8

〔出所〕フランス税関

日本からの直接投資は流入超過を計上

フランス銀行の国際収支統計によれば、2022年のフランスにおける日本からの直接投資受入額は6億100万ユーロだった。株式資本に関わる直接投資額は1億2,100万ユーロと前年の2,500万ユーロからほぼ5倍に膨らんだ。再投資収益は9,800万ユーロと前年の5億8,100万ユーロから大幅に減少した。前年に引き揚げ超過を計上したその他の直接投資は3億8,200万ユーロとなった。

三井物産は2022年4月、欧州で再生可能エネルギーを利用し、製造過程で二酸化炭素(CO2)を出さないグリーン水素を製造するライフの転換社債1,000万ユーロを引き受けたと発表した。地産地消モデルでグリーン水素製造に取り組むライフへの参画を通じて、欧州水素市場への参入を進め、既存の水素関連事業との相乗効果や新たな顧客開拓により同社の企業価値向上につなげる。

堀場製作所は2022年5月、同社のグループ会社で科学事業製品の開発、製造、販売を手掛けるホリバ・フランスが、パリ郊外ロンジュモー市にあったカスタムグレーティング(注)の生産拠点をパリ郊外サクレー市に併設する「HORIBA Europe Research Center」内に移転し、生産機能を集約すると発表した。グレーティングの需要が高まり、顧客ニーズが多様化する中、グレーティングの研究・生産拠点をサクレー市に集約し、生産能力の倍増を図る。

メルカリは2022年10月、フランスおよびベルギーにてベビー・キッズ用品専用のフリマアプリの企画・開発・運営を行うビーブズへ、シリーズAラウンドにおいて140万ユーロの出資(マイノリティ出資)を実行したと発表した。

伊藤忠商事は2022年11月、先進的な太陽光パネルリサイクル技術を開発・保有するロシと、太陽光パネルリサイクルのビジネス推進・拡大に向けて、同社が実施する第三者割当増資を引受け、資本業務提携契約を締結したと発表した。ロシとは、国内外において、太陽光発電ビジネスにおける新たなエコシステムや循環型リサイクルビジネスの共同開発・事業展開を行う。

アシックスは2022年11月、欧州を中心にレース登録プラットフォームサービスを提供するニューコの発行済み株式の全てを取得し、同社を子会社化すると発表した。欧州におけるランナーとの接点拡大およびランナー向けサービスのさらなる強化を図るほか、北米、欧州、日本、オセアニアにおいてレース登録プラットフォーム企業としての地位を築くことを目指すとした。

2022年の対日直接投資額は、4億5,400万ユーロと前年の7億9,900万ユーロから大幅に減少した。再投資収益は4億7,700万ユーロと前年から半減した。その他の直接投資額は前年に引き続き2,300万ユーロの引き揚げ超過となった。

動物用医薬品ベトキノールは2016年に日本全薬工業との合弁会社として、ベトキノール・ゼノアックを設立していたが、2022年1月、福島県郡山市の日本全薬工業の施設内にあった事業所を東京都港区の事務所に移転し、ベトキノールの完全子会社となるベトキノールジャパンを立ち上げた。

フィンテック企業のセザムは2022年2月に東京都にセザム・ジャパンを設立した。日本の高度な金融システムを背景に、オルタナティブデータ(従来の投資情報とは異なる情報源から生成されるテキストデータ)と人工知能に特化した同社のシステムを通じて、よりスマートで倫理的な投資判断を可能にすることを目指すとしている。

(注)回折格子(グレーティング)とは、光を波長ごとに分散させる光学素子。分析機器やレーザーシステムなどの重要なコンポーネントとして利用されている。

基礎的経済指標

人口
6,813万人 (2023年7月)
面積
63万2,702平方キロメートル(2020年)
1人当たりGDP
4万2, 409米ドル (2022年)
(△はマイナス値)
項目 単位 2020年 2021年 2022年
実質GDP成長率 (%) △ 7.5 6.4 2.5
消費者物価上昇率 (%) 0.5 1.6 5.2
失業率 (%) 8.1 7.4 7.1
貿易収支 (億ユーロ) △ 816 △ 1,143 △ 1,946
経常収支 (億ユーロ) △ 375 90 △ 539
外貨準備高(グロス) (100万米ドル,期末値) 76,114 101,703 100,429
対外債務残高(グロス) (100万ユーロ,期末値) 6,147,867 6,485,748 6,486,111
為替レート (1米ドルにつき、ユーロ、期中平均) 0.8755 0.8455 0.9496

注:
失業率:フランス本土のみ、各年第4四半期の数値
経常収支:国際収支ベース
出所:
人口、面積、実質GDP成長率、消費者物価上昇率、失業率:フランス国立統計経済研究所(INSEE)
1人当たりGDP、外貨準備高(グロス)、為替レート:IMF
貿易収支:フランス税関
経常収支、対外債務残高(グロス):フランス中央銀行