スイスの貿易投資年報

要旨・ポイント

  • 消費者物価指数(CPI)の低下に対処し、政策金利の引き下げが続く。
  • 輸出は1988年以降で最高額となり、貿易黒字も過去最高額を記録。
  • 進行するスイス・フラン高・円安を背景に、対日輸入は過去最高額を更新。

公開日:2025年9月5日

マクロ経済 
2024年は投資と輸出がマイナス成長、個人消費が経済を牽引

2024年のスイス経済は、実質GDP成長率が1.0%だった。2010年の欧州債務危機以降では、新型コロナウイルス感染拡大の影響でマイナス2.2%まで落ち込んだ2020年を除くと、2012年の0.8%に次いで2番目に低い経済成長率となった。需要項目別にみると、民間最終消費支出は前期比1.8%増と成長に寄与したが、投資(国内総固定資本形成)や輸出がマイナス成長となり、振るわなかった。産業別にみると、健康・社会福祉活動が成長に最も寄与し、化学品・医薬品部門が好調な製造業、行政、電気・ガス・蒸気・空調の供給が続いた。

2025年第1四半期(1~3月)の実質GDP成長率は前期比0.8%で、2024年第4四半期の0.6%に続き、高い成長率を示した。特に、サービス部門が広範な成長をもたらしたほか、化学品・医薬品産業が医薬品輸出の急増に牽引され、7.5%増と加速した。需要項目別にみると、財の輸出が前期比5.0%増となり、GDP成長率を押し上げた。特に、米国向け輸出が急増し、米国の通商政策に伴い、輸出が前倒しされた可能性が指摘されている。産業別にみると、製造業は医薬品の輸出急増などにより、前期比2.1%増の力強い伸びを示した。卸売・小売業、自動車・オートバイ修理は、卸売・小売業の伸び(0.5%増)に支えられ2.1%増と、全産業の平均を上回る伸びを示した。

スイス国立銀行(SNB)は、2025年のGDP成長率を1.0~1.5%、2026年についても同様に1.0~1.5%と予測している。スイス経済の見通しは依然として不透明で、国際情勢が引き続き主要なリスクと分析している。また、SNBは2024年3月に9年ぶりに政策金利を引き下げて1.5%とし、続く6月、9月、12月の会合でも連続して利下げを行い0.5%とした。2025年に入っても、3月の会合で0.25%まで引き下げた。SNBは金融政策の大幅な緩和により、消費者物価指数(CPI)上昇率(インフレ率)の低下を早期に打ち消してきたが、2025年3月の利下げ以降も、インフレ率が2月の0.3%から、5月にはマイナス0.1%となり、下振れリスクが顕在化したため、同年6月の会合では政策金利を0%まで引き下げた。インフレ率がマイナスに転じたのは2021年3月以来初めてで、マイナス金利の可能性が視野に入ってきた。

表1 スイスの需要項目別実質GDP成長率(単位:%)(△はマイナス値)
項目 2022年 2023年 2024年
年間 Q1 Q2 Q3 Q4
実質GDP成長率 2.9 1.2 1.0 0.1 0.4 0.3 0.6
階層レベル2の項目民間最終消費支出 4.3 1.5 1.8 0.5 0.5 0.5 0.5
階層レベル2の項目政府最終消費支出 △ 1.2 1.7 0.5 △ 0.6 △ 0.1 0.3 0.6
階層レベル2の項目国内総固定資本形成 △ 0.1 0.1 △ 0.8 0.5 △ 0.4 △ 0.5 1.3
階層レベル2の項目財・サービスの輸出 6.4 1.5 △ 1.2 0.4 △ 4.4 △ 2.0 5.0
階層レベル2の項目財・サービスの輸入 5.9 2.9 0.0 5.6 △ 7.8 △ 0.3 3.3

〔注〕四半期の伸び率は前期比(季節・スポーツイベント調整値)。財の輸出は、非貨幣金、貴重品、トランジット貿易品を含む。財の輸入は、非貨幣金、貴重品を含む。
〔出所〕スイス連邦経済省経済事務局

貿易 
輸出は過去最高を記録、輸入は2年連続で減少

2024年の貿易(通関ベース)は、輸出が前年比3.2%増の2,830億600万スイス・フラン(CHF)、輸入が1.5%減の2,225億6,600万CHF(注1)となった。輸出はデータが入手可能な1988年以降で最高額となり、輸入は1988年以降で3番目の水準に留まった。その結果、貿易収支は604億4,000万CHFの黒字で過去最高額を記録した。

(注1)
輸出入額は貴金属・宝石、芸術品、骨董品を除いた合計値。スイス連邦財務省税関・国境警備局は、金額の変動が大きく、貿易推移の把握を困難にするとして、それらの取引量・金額を一般的な貿易統計から除外している。

輸出を品目別にみると、構成比の5割超(構成比52.7%)を占める最大品目の化学品・医薬品が前年比10.0%増となり、輸出の増加を牽引した。中でも医薬品(40.5%)が、最大の輸出先である米国向け(全体の27.7%)で13.3%増、2番目に輸出額が多いスロベニア向け(15.1%)が倍増したことにより、8.6%増となった。また、有機原料・基礎材料(8.0%)も26.3%増と大きく伸びた。最大の輸出先であるスロベニア向け(37.6%)が29.3%増、続くイタリア(28.4%)が36.7%増、ドイツ(7.8%)が2.1倍と、上位国向けの輸出の増加が寄与した。構成比の約2割(19.6%)を占める精密機械・時計・宝飾品は2.9%減と振るわず、時計(9.2%)、精密機械(6.1%)、宝飾品・貴金属製品(4.3%)が、それぞれ2.8%減、2.0%減、4.1%減と軒並み減少した。中でも時計は2番目に輸出額が大きい中国向け(7.9%)が25.8%減、4番目の香港(7.4%)が18.7%減となり、時計輸出の減速要因となった。香港は前年の3位から、日本に抜かれて順位を1つ落とした。時計の最大の輸出先である米国向けは5.0%増、3位の日本向け(7.6%)は7.8%増だったが、中国、香港の減少分を補いきれなかった。また、輸出全体に占める割合は小さいものの、燃料・エネルギー(1.7%)のうち、特に電力(1.4%)が15.3%減だった。電力輸出の5割弱(47.3%)を占めるイタリア向けが24.8%減となったことが影響した。もっとも、同国向けの電力輸出は前年の43.5%減より減少幅が縮まった。

国・地域別にみると、EU(構成比51.0%)は前年比4.7%増と大きく増加した。EUの中で最大の輸出相手国であるドイツ(14.7%)は2.3%減となり、2021年以降減少傾向にある。続くスロベニア(9.3%)は68.3%増と大きく伸長した。スロベニアはスイス大手物流の製薬向けグローバル物流センターが設置された2018年以降、急速に輸出が増え、2017年比で50倍の輸出規模まで拡大しており、医薬品と有機原料・基礎材料が同国向け輸出の99.2%を占める。2024年には新型コロナ禍以降増加傾向にあったイタリアを抜いて、EU域内2位の輸出先となった。また、最大の輸出相手国である米国(18.6%)は7.9%増となり、輸出増加に貢献した。同国向け輸出の60.2%を占める医薬品の13.3%増や、時計(8.3%)の5.0%増、医療機器(5.4%)の5.5%増などによる。

輸入を品目別にみると、最大品目の化学品・医薬品(構成比33.8%)は前年比8.4%増と好調だった。特に医薬品(27.5%)は11.2%増で輸入増加への寄与度が最も大きく、9年連続で増加を続けており、直近3年間は2桁台の伸びを示している 。また、食品・飲料・たばこ(6.0%)は、最大の輸入元であるイタリア(16.4%)、ドイツ(15.5%)からの輸入がそれぞれ2.5%増、5.4%増と安定しており、5位のオランダ(6.5%)、7位のブラジル(3.3%)、8位のポーランド(2.3%)からがそれぞれ25.3%増、17.9%増、52.2%増と好調で、全体で5.8%増を記録した。その他の品目は前年比で軒並み減少となり、22.0%減となった燃料・エネルギー(4.6%)のうち、特に電力(1.0%)とガス(0.6%)がそれぞれ38.5%減、31.4%減だった。記録的な高水準となった2022年から徐々に減少してきている。

国・地域別にみると、最大の輸入元であるEU(構成比70.8%)は前年比0.4%減となった。最大の輸入相手国であるドイツ(24.2%)が4.2%減と振るわなかったことによる。ドイツからの主要輸入品目のうち、医薬品(18.6%)は5.3%増と好調だったが、機械および電気・電子機器(17.2%)と輸送用機器(13.0%)がそれぞれ6.1%減、4.3%減となったことが影響した。一方、スロベニア(8.1%)は同国からの輸入の97.1%を占める医薬品が53.3%増と高い伸びとなったことにより、全体で48.0%増を記録した。また、ルーマニア(0.7%)は、輸入全体の4割弱を占める医薬品(36.1%)が8.3倍と急増したことで、47.8%増と拡大した。ロシア(0.01%)は対ロ制裁の影響もあり、2023年に大幅に減少していたが、2024年は非鉄金属(23.9%)が59.2%減になるなど、輸入全体で45.2%減となり、過去最低額を更新した。ロシアがクリミア侵攻した2014年比では96.3%減となった。

表2 スイスの主要品目別輸出入[通関ベース](単位:100万CHF、%)(△はマイナス値)
項目 輸出(FOB) 輸入(CIF)
2023年 2024年 2023年 2024年
金額 金額 構成比 伸び率 金額 金額 構成比 伸び率
化学品・医薬品 135,503 149,058 52.7 10.0 69,379 75,205 33.8 8.4
階層レベル2の項目医薬品 105,481 114,535 40.5 8.6 55,098 61,283 27.5 11.2
階層レベル2の項目有機原料・基礎材料 18,016 22,755 8.0 26.3 5,443 5,658 2.5 3.9
精密機械・時計・宝飾品 57,117 55,478 19.6 △ 2.9 21,479 20,498 9.2 △ 4.6
階層レベル2の項目時計 26,748 25,993 9.2 △ 2.8 3,534 3,279 1.5 △ 7.2
階層レベル2の項目精密機械 17,755 17,395 6.1 △ 2.0 8,883 8,733 3.9 △ 1.7
階層レベル2の項目宝飾品・貴金属製品 12,613 12,090 4.3 △ 4.1 9,063 8,485 3.8 △ 6.4
機械および電気・電子機器 32,929 32,074 11.3 △ 2.6 35,144 32,934 14.8 △ 6.3
階層レベル2の項目産業用機械 18,311 17,388 6.1 △ 5.0 13,443 12,855 5.8 △ 4.4
階層レベル2の項目電気・電子機器 12,128 12,283 4.3 1.3 14,196 12,511 5.6 △ 11.9
金属製品 14,451 13,560 4.8 △ 6.2 16,045 14,861 6.7 △ 7.4
農林水産物 10,337 10,513 3.7 1.7 16,947 17,564 7.9 3.6
階層レベル2の項目食品・飲料・たばこ 9,319 9,514 3.4 2.1 12,709 13,441 6.0 5.8
輸送用機器 5,347 5,264 1.9 △ 1.6 21,402 19,987 9.0 △ 6.6
燃料・エネルギー 5,472 4,713 1.7 △ 13.9 13,104 10,221 4.6 △ 22.0
階層レベル2の項目電力 4,678 3,962 1.4 △ 15.3 3,702 2,279 1.0 △ 38.5
階層レベル2の項目原油・石油製品 783 741 0.3 △ 5.4 7,346 6,530 2.9 △ 11.1
階層レベル2の項目ガス 9 9 0.0 △ 8.5 2,008 1,378 0.6 △ 31.4
繊維・衣料製品 4,852 4,671 1.7 △ 3.7 12,092 11,780 5.3 △ 2.6
皮、ゴム、プラスチック 4,762 4,400 1.6 △ 7.6 7,501 7,264 3.3 △ 3.2
紙・紙製品・印刷産業製品 1,329 1,305 0.5 △ 1.8 3,605 3,458 1.6 △ 4.1
楽器・家庭用家具・玩具、スポーツ用具 1,244 1,237 0.4 △ 0.5 6,206 6,041 2.7 △ 2.7
合計(その他含む) 274,107 283,006 100.0 3.2 225,854 222,566 100.0 △ 1.5

〔注〕‌貴金属・宝石、芸術品、骨とう品(貨幣またはその代替品として流通可能なもの)は含まない。
〔出所〕スイス連邦財務省税関・国境警備局(FOCBS)

表3 スイスの主要国・地域別輸出入[通関ベース](単位:100万CHF、%)(△はマイナス値)
国・地域 輸出(FOB) 輸入(CIF)
2023年 2024年 2023年 2024年
金額 金額 構成比 伸び率 金額 金額 構成比 伸び率
EU 137,941 144,396 51.0 4.7 158,107 157,551 70.8 △ 0.4
階層レベル2の項目ユーロ圏 126,751 132,534 46.8 4.6 146,059 144,726 65.0 △ 0.9
階層レベル3の項目ドイツ 42,598 41,635 14.7 △ 2.3 56,302 53,921 24.2 △ 4.2
階層レベル3の項目スロベニア 15,684 26,393 9.3 68.3 12,127 17,947 8.1 48.0
階層レベル3の項目イタリア 21,100 20,414 7.2 △ 3.2 23,134 23,729 10.7 2.6
階層レベル3の項目フランス 14,304 13,536 4.8 △ 5.4 17,978 16,262 7.3 △ 9.5
階層レベル3の項目スペイン 7,680 6,756 2.4 △ 12.0 8,589 6,778 3.0 △ 21.1
階層レベル3の項目オーストリア 7,921 6,667 2.4 △ 15.8 9,548 9,089 4.1 △ 4.8
階層レベル3の項目オランダ 6,207 6,079 2.1 △ 2.1 5,823 6,133 2.8 5.3
階層レベル3の項目ベルギー 4,946 4,717 1.7 △ 4.6 3,314 3,042 1.4 △ 8.2
階層レベル2の項目非ユーロ圏 11,190 11,862 4.2 6.0 12,048 12,825 5.8 6.4
階層レベル3の項目ポーランド 2,940 2,977 1.1 1.3 3,086 3,221 1.4 4.4
階層レベル3の項目ルーマニア 1,617 2,257 0.8 39.6 1,030 1,523 0.7 47.8
米国 48,802 52,659 18.6 7.9 14,556 14,126 6.3 △ 3.0
アジア大洋州 46,569 45,060 15.9 △ 3.2 37,801 35,546 16.0 △ 6.0
階層レベル2の項目中国 15,356 16,222 5.7 5.6 17,923 17,219 7.7 △ 3.9
階層レベル2の項目日本 7,608 8,084 2.9 6.2 4,369 4,629 2.1 6.0
階層レベル2の項目ASEAN 8,572 6,490 2.3 △ 24.3 7,686 7,243 3.3 △ 5.8
階層レベル3の項目シンガポール 5,585 3,480 1.2 △ 37.7 2,956 2,461 1.1 △ 16.8
階層レベル2の項目香港 5,594 4,382 1.5 △ 21.7 1,449 1,068 0.5 △ 26.3
階層レベル2の項目韓国 3,187 3,425 1.2 7.5 2,352 1,706 0.8 △ 27.4
階層レベル2の項目オーストラリア 2,428 2,309 0.8 △ 4.9 227 284 0.1 25.4
階層レベル2の項目インド 1,868 2,029 0.7 8.6 2,345 2,092 0.9 △ 10.8
英国 8,524 8,349 3.0 △ 2.0 3,803 3,719 1.7 △ 2.2
カナダ 3,840 3,531 1.2 △ 8.1 642 779 0.3 21.4
アラブ首長国連邦 3,351 3,359 1.2 0.3 591 592 0.3 0.1
ブラジル 2,810 3,133 1.1 11.5 530 634 0.3 19.5
ロシア 2,586 2,230 0.8 △ 13.8 40 22 0.0 △ 45.2
メキシコ 2,007 2,226 0.8 10.9 792 756 0.3 △ 4.5
サウジアラビア 2,036 2,166 0.8 6.4 324 214 0.1 △ 33.9
トルコ 2,163 2,156 0.8 △ 0.3 1,855 1,816 0.8 △ 2.1
合計(その他含む) 274,107 283,006 100.0 3.2 225,854 222,566 100.0 △ 1.5

〔注〕アジア大洋州は、ASEAN+6(日本、中国、韓国、オーストラリア、ニュージーランド、インド)に香港、台湾を加えた合計値。
〔出所〕スイス連邦財務省税関・国境警備局(FOCBS)

通商政策 
2023年の輸入時の全FTAの特恵関税利用率は62.2%

スイスはEUに加盟していないが、世界各国と個別に、または同国が加盟する欧州自由貿易連合(EFTA)を通じて自由貿易協定(FTA)を締結している。2025年4月1日にEFTAとモルドバとのFTAが発効し、2025年9月1日時点で発効しているFTAは36件で、輸出の75.0%、輸入の88.4%がこれらのFTAでカバーされている。2025年1月22日にEFTAとコソボとのFTA、同月23日にEFTAとタイとのFTA、同年6月23日にEFTAとマレーシアとのFTAが署名された。また、EFTAとインドとのFTAが同年10月1日に発効予定。

スイス連邦経済省経済事務局(SECO)が2025年3月に公表したスイスのFTA活用状況に関する分析レポート「FTAモニター2023」によると、2023年のスイスへの輸入に際し、既存のFTAの活用により合計で約22億2,586万CHF相当の関税が減免され、スイス輸入時の全FTAの特恵関税の利用率(注2)は62.2%だった。最大の貿易相手地域であるEUとの間では、特恵関税利用率はスイスへの輸入で71.2%、EUへの輸出で81.0%だった。日本との貿易における特恵関税利用率は、スイスへの輸入で35.8%、日本への輸出で68.3%だった。日本からスイスへの輸入において、日本・スイス経済連携協定(日スイスEPA)を活用できなかった、もしくはしなかった潜在的な関税節約額が大きい上位10品目のうち7品目は、2022年に引き続き、自動車やバイク、ブレーキなどの自動車部品が占めた。また、8番目には、食品関係として、みそ、インスタントカレー、ウスターソース、マヨネーズ、ドレッシングなどが含まれる関税分類2103.90号が入るが、その特恵関税利用率は22.9%にとどまった。

(注2)
特恵関税の適用対象となり得る品目の輸入額のうち、実際に特恵関税が利用された輸入額の割合。
表4 スイスのFTA発効・署名・交渉状況(単位:%)
FTA 発効日 スイスの貿易に占める構成比(2023年)
往復 輸出 輸入
発効済み EU 1973年1月1日 59.7 51.0 70.8
中国 2014年7月1日 6.6 5.7 7.7
日本 2009年9月1日 2.5 2.9 2.1
英国 2021年1月1日 2.4 3.0 1.7
湾岸協力会議(GCC)諸国 2014年7月1日 1.7 2.7 0.5
シンガポール 2003年1月1日 1.2 1.2 1.1
香港 2012年10月1日 1.1 1.5 0.5
韓国 2006年9月1日 1.0 1.2 0.8
カナダ 2009年7月1日 0.9 1.2 0.3
トルコ 1992年4月1日
(改定協定が2021年10月1日に発効)
0.8 0.8 0.8
メキシコ 2001年7月1日 0.6 0.8 0.3
イスラエル 1993年7月1日 0.3 0.4 0.2
エジプト 2008年9月1日
(2007年8月1日適用開始)
0.2 0.4 0.0
EFTA〔注1〕 1960年5月3日 0.2 0.3 0.2
セルビア 2010年10月1日 0.2 0.2 0.1
南部アフリカ関税同盟(SACU)〔注2〕 2008年5月1日 0.2 0.2 0.1
合計〔注3〕 80.9 75.0 88.4
署名済み インド 署名日 2024年3月10日
発効予定日 2025年10月1日
0.8 0.7 0.9
タイ 署名日 2025年1月23日 0.4 0.3 0.5
マレーシア 署名日 2025年6月23日 0.3 0.3 0.3
コソボ 署名日 2025年1月22日 0.03 0.03 0.04
グアテマラ 署名日 2015年6月22日 0.02 0.02 0.03
合意済み 南米南部共同市場(メルコスール)〔注4〕 合意日 2025年7月2日 1.0 1.4 0.3
交渉中 ベトナム 0.5 0.2 0.9
FTAカバー率(発効、署名済み、合意済み、交渉中の総和) 83.9 78.0 91.4

〔注1〕EFTA:ノルウェー、アイスランドのみ計上(リヒテンシュタインを含まない)。
〔注2〕南部アフリカ関税同盟(SACU)は、ボツワナ、レソト、ナミビア、南アフリカ共和国、エスワティニ(旧スワジランド)。
〔注3〕発効済みの合計値は、表に記載以外のFTA発効済みの以下の国・地域も含めた合計。
インドネシア、コロンビア、モロッコ、中米諸国(コスタリカ、パナマ)、フィリピン、ウクライナ、チュニジア、チリ、ボスニア・ヘルツェゴビナ、ヨルダン、ペルー、エクアドル、レバノン、北マケドニア、ジョージア、アルバニア、モルドバ、パレスチナ自治政府、モンテネグロ、フェロー諸島(往復貿易割合の高い順)。
〔注4〕南米南部共同市場(メルコスール)は、アルゼンチン、ブラジル、パラグアイ、ウルグアイ。
〔注5〕小数点第2位を四捨五入。
〔出所〕スイス連邦経済省経済事務局「FTA一覧」およびスイス連邦財務省税関・国境警備局(FOCBS)貿易統計

対日関係 
進行するスイス・フラン高と円安、対日輸入は過去最高を更新

2024年は前年に引き続きスイス・フラン(CHF)高と円安がさらに進み、スイス国立銀行(SNB)のデータによると、年間の平均為替相場は、1CHF当たり前年比で10.2%高い171.97円となり、前年の記録的なスイス・フラン高・円安水準をさらに更新した。2024年12月の平均為替相場では1CHFが172.42円まで達している。そのような状況下で、2024年の対日貿易は、輸出が前年比6.2%増の80億8,400万CHF、輸入が6.0%増の46億2,900万CHFだった。輸出は統計が入手できる1988年以降で、2022年に次いで2番目に大きく、輸入は過去最大となった。

主な対日輸出品目をみると、最大品目の医薬品(構成比44.1%)が前年比8.0%増だった。続く腕時計(23.5%)が8.4%増、さらに宝飾品(10.8%)が45.0%増で、いずれも過去最大額となり、輸出額全体を押し上げた。輸入をみると、最大品目である医薬品(50.0%)が30.9%増と大きく伸び、過去最高となった前年をさらに更新した。次に構成比が大きい乗用車(11.3%)が21.5%減と大きく後退、続く一般機械(5.3%)が15.6%減となったことから、輸入全体の伸びの抑制要因となった。

表5‐1 スイスの対日主要品目別輸出(FOB)[通関ベース](単位:100万CHF、%)(△はマイナス値)
品目 2023年 2024年
金額 金額 構成比 伸び率
医薬品 3,303 3,567 44.1 8.0
腕時計 1,750 1,897 23.5 8.4
宝飾品 605 877 10.8 45.0
医療機器 456 325 4.0 △ 28.7
一般機械 275 256 3.2 △ 7.0
検査・測定機器 137 127 1.6 △ 7.8
化学原材料 123 105 1.3 △ 14.6
飲料 115 90 1.1 △ 21.9
電気・電子製品 101 86 1.1 △ 14.6
時計・腕時計部品 64 64 0.8 0.1
金属部品 68 62 0.8 △ 7.6
インスタント食品 52 62 0.8 19.6
非電動エンジン 40 58 0.7 42.8
合計(その他含む) 7,608 8,084 100.0 6.2

〔出所〕スイス連邦財務省税関・国境警備局(FOCBS)

表5‐2 スイスの対日主要品目別輸入(CIF)[通関ベース](単位:100万CHF、%)(△はマイナス値)
品目 2023年 2024年
金額 金額 構成比 伸び率
医薬品 1,767 2,313 50.0 30.9
乗用車 664 521 11.3 △ 21.5
一般機械 289 244 5.3 △ 15.6
化学原材料 165 185 4.0 12.4
電気・電子製品 207 171 3.7 △ 17.5
光学機器 122 133 2.9 8.7
宝飾品 141 123 2.7 △ 12.5
未加工プラスチック 96 98 2.1 1.3
腕時計 97 92 2.0 △ 5.8
検査・測定機器 57 58 1.3 2.4
建設機械 70 58 1.3 △ 17.9
医療機器 59 56 1.2 △ 4.8
自動車部品 48 33 0.7 △ 31.1
合計(その他含む) 4,369 4,629 100.0 6.0

〔出所〕スイス連邦財務省税関・国境警備局(FOCBS)

基礎的経済指標

項目 単位 2022年 2023年 2024年
実質GDP成長率 (%) 2.9 1.2 1.0
1人当たりGDP (米ドル) 94,807 101,516 104,523
消費者物価上昇率 (%) 2.8 2.1 1.1
失業率 (%) 2.2 2.0 2.4
貿易収支 (100万スイス・フラン) 42,847 48,253 60,440
経常収支 (100万スイス・フラン) 69,000 42,199 41,784
外貨準備高(グロス) (100万米ドル) 863,028 794,931 822,130
対外債務残高(グロス) (100万スイス・フラン) 2,153,245 1,918,566 1,988,487
為替レート (1米ドルにつき、スイス・フラン、期中平均) 0.95 0.90 0.88


実質GDP成長率:季節、スポーツイベント調整値
貿易収支:通関ベース
出所
実質GDP成長率、失業率:スイス連邦経済省経済事務局
1人当たりGDP、外貨準備高(グロス)、為替レート:IMF
消費者物価上昇率:スイス連邦統計局
貿易収支:スイス連邦財務省税関・国境警備局(FOCBS)
経常収支、対外債務残高(グロス):スイス国立銀行