日本からの輸出に関する制度

コメの輸入規制、輸入手続き

品目の定義

本ページで定義するコメのHSコード

1006.30:精米

メキシコの輸入規制

1. 輸入禁止(停止)、制限品目(放射性物質規制等)

調査時点:2024年7月

メキシコ政府は2023年3月16日、日本産精米の輸入を解禁しました。商業貨物としての輸入のみが認められているため、手荷物などでの輸入はできません。東京電力福島第一原子力発電所事故に関連した規制はありません。精米以外の玄米などは検疫条件が設定されていないため、輸入できません。

2. 施設登録、輸出事業者登録、輸出に必要な書類等(輸出者側で必要な手続き)

調査時点:2024年7月

日本から精米を輸出する場合、輸出者側での精米施設登録、輸出事業者登録、燻蒸処理は不要です。ただし、日本の植物防疫所の植物防疫官による輸出検査を受検後、植物検疫証明書の発行を受ける必要があります。植物検疫証明書は輸入通関する際に必要な書類の一つです。

3. 動植物検疫の有無

調査時点:2024年7月

日本から精米を輸出する場合は、植物防疫所に植物検疫の申請を行い、植物検疫証明書を発行してもらい、輸入通関する際の書類の1つとします。
検査内容は、次の4点で、これらはメキシコへの輸入時に実施される現物検査項目と一致します。

  1. 土壌、雑草種子、および植物残渣(ざんさ)の混入がないこと。
  2. コクヌスト(貯蔵穀物害虫、Tenebroides mauritanicus)が不在であること。
  3. 植物残渣がなく、病害虫がいない清潔なコンテナにより輸出されること。
  4. 新しく清潔な資材によって密閉包装され、会社、原産地およびバッチ番号(製造ロット番号)の表示による識別が可能であること。

メキシコの食品関連の規制

1. 食品規格

調査時点:2024年7月

精米は、定義として籾殻が米粒に付着していないコメとされています。スペイン語ではArroz Pulidoと表記し、検疫条件に基づく学術名はOryza Sativaと定義されています。

2. 残留農薬および動物用医薬品

調査時点:2024年7月

精米は、残留農薬の規制対象ではありません。

3. 重金属および汚染物質

調査時点:2024年7月

精米は、重金属/汚染物質/真菌・毒素・微生物などの規制の対象ではありません。

4. 食品添加物

調査時点:2024年7月

精米は、食品添加物規制の対象ではありません。

5. 食品包装(食品容器の品質または基準)

調査時点:2024年7月

食品用の容器包装は密閉されていなければなりませんが、必ずしも真空パックである必要はありません。容器包装の表面には、消費者がすぐに認識できる位置に所定の記載要件を満たしたスペイン語のラベルが貼付されている必要があります。なお、輸出時の包装として、麻袋や米俵は使用できません。

6. ラベル表示

調査時点:2024年7月

日本から輸入する精米については、メキシコ公式規格(NOM)の食品・非アルコール飲料の情報表示規格(NOM-051-SCFI-2010)の対象となるため、次の項目をスペイン語で表示することが求められます。

  • 品名(Producto)
  • 内容量(Contenido neto)
  • 原産国(País de origen y procedencia)
  • 輸入者名(Nombre del importador)
  • 輸入者登記住所(Dirección del importador)
  • 輸入者の納税者番号(RFC del importador)
  • 原材料(Ingredientes)
  • 輸出用ロット番号(Lote para exportar)
  • 賞味期限(Fecha de caducidad)
  • 開封後の保存方法(Manera de conservación tras abrirse)

日本国内流通時に表示義務がある精米年月日は、メキシコ向け輸出時には表示不要です。

日本では、コメは生鮮食品扱いであるため、賞味期限/消費期限の表示がされていませんが、メキシコ向けの輸出には任意の賞味期限/消費期限を設定する必要があります。また、日本国内の流通時に表示義務がない製造ロット番号は、輸出向けには表示が必須となるため、輸出用に任意のロット番号を決める必要があります。

7. その他

調査時点:2024年7月

なし

メキシコ内の輸入関税等

1. 関税

調査時点:2024年7月

日本から輸入される精米には20%の関税(MFN税率)が課されます。 2018年12月に発効した環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP、通称TPP11)の特恵関税率を利用した場合の税率は、毎年1月1日に段階的に削減されます(2024年は6%、25年は4%、26年は2%、27年以降は0%)。TPP11特恵関税率の適用を受けるには、精米の品目別原産地規則を満たし、それを表明する原産地証明書が必要になります。TPP11の適用に当たり、減税対象となる数量の割り当て(関税割り当て)は設定されていません。

なお、日本とメキシコの間では日本・メキシコ経済連携協定(日墨EPA)も発効していますが、精米(1006.30)を関税削減対象品目に含めていません。

2. その他の税

調査時点:2024年7月

メキシコでは輸入時に、関税に加えて16%の付加価値税(IVA)が課税されますが、食品(牛乳以外の飲料や嗜好品、調理済み食品などを除く)に対する税率はIVA法第2-A条に基づき0%となっており、課税されません。

3. その他

調査時点:2024年7月

輸入者は精米の輸入にあたって、関税だけでなく税関手数料(DTA)を納付する必要があります。TPP11加盟国からの輸入の場合、定額制の1申告当たり425メキシコペソ(約3,655円、2024年時点)が課税されます。非加盟国からの輸入の場合、輸入申告価格(CIF価格)の0.8%で、最低425メキシコペソが課税されます。