日本からの輸出に関する制度 水産物の輸入規制、輸入手続き

品目の定義

本ページで定義する水産物のHSコード

0302:
魚(生鮮のものおよび冷蔵したものに限るものとし、第0304項の魚のフィレその他の魚肉を除く)
0303:
魚(生鮮のものおよび冷蔵したものに限るものとし、第0304項の魚のフィレその他の魚肉を除く)
0304:
魚のフィレその他の魚肉(生鮮のものおよび冷蔵しまたは冷凍したものに限るものとし、細かく切り刻んであるかないかを問わない)
0305:
魚(乾燥し、塩蔵しまたは塩水漬けしたものに限る)、くん製した魚(くん製する前にまたはくん製する際に加熱による調理をしてあるかないかを問わない)ならびに魚の粉、ミールおよびペレット(食用に適するものに限る)
0306:
甲殻類(生きているもの、生鮮のものおよび冷蔵し、冷凍し、乾燥し、塩蔵しまたは塩水漬けしたものに限るものとし、殻を除いてあるかないかを問わない)、くん製した甲殻類(殻を除いてあるかないかまたはくん製する前にもしくはくん製する際に加熱による調理をしてあるかないかを問わない)、蒸気または水煮による調理をした殻付きの甲殻類(冷蔵し、冷凍し、乾燥し、塩蔵しまたは塩水漬けしたものであるかないかを問わない)ならびに甲殻類の粉、ミールおよびペレット(食用に適するものに限る)
0307:
軟体動物(生きているもの、生鮮のものおよび冷蔵し、冷凍し、乾燥し、塩蔵しまたは塩水漬けしたものに限るものとし、殻を除いてあるかないかを問わない)、水棲無脊椎動物(生きているもの、生鮮のものおよび冷蔵し、冷凍し、乾燥し、塩蔵しまたは塩水漬けしたものに限るものとし、甲殻類および軟体動物を除く)ならびに水棲無脊椎動物(甲殻類を除く)の粉、ミールおよびペレット(食用に適するものに限る)

ブラジルではメルコスール共通関税番号(NCMコード=Nomenclatura Comum do Mercosul)が輸入手続きに使用されます。製品がNCMと一致しないことが摘発されると過去に遡って追徴金、罰金が課されることがあるので注意が必要です。魚類の学名とブラジルでの一般名のリストは農務省規則第53号・2020年9月1日に記載されています。

ブラジルの輸入規制

1. 輸入禁止(停止)、制限品目(放射性物質規制等)

調査時点:2024年1月

ブラジルの規定により、クロトガリザメ(水産・養殖省、環境省間訓令第8号・2014年11月6日付)、ハチワレ(水産・養殖省、環境省間訓令第5号・2011年4月15日付)、ヨゴレザメ(水産・養殖省、環境省間訓令第1号・2013年3月12日付)の捕獲、船内保持は禁止されているため、輸入できません。これはブラジルが水産資源の国際漁業管理機関の一つであり、主にマグロの管理をしている大西洋まぐろ類保存国際委員会(ICCAT)に加盟していることによる措置です。その他のサメ、エイ、メロの場合は、ブラジル環境・再生可能天然資源院訓令第16号・2015年9月29日付などに記載されている管理手続きを行う必要があります。環境省省令第445号・2014年12月17日付には絶滅種など漁獲が禁止されている魚のリストが記載されています。

東京電力福島第一原子力発電所事故の影響により、福島県産品に求められていた放射性物質検査証明書などは2018年8月21日で提出不要となりました(国家衛生監督庁理事会決議第245号・2018年8月17日付)。

2. 施設登録、輸出事業者登録、輸出に必要な書類等(輸出者側で必要な手続き)

調査時点:2024年1月

ブラジルに水産食品を輸出するためにはブラジル農務省(MAPA)への施設登録、動物由来製品検査部(DIPOAA - Departamento de Inspeção de Produtos de Origem Animal)の連邦検査部情報管理システム(PGA-SIGSIF)でのラベル・製品登録、衛生証明書の発行が必要です。PGA-SIGSIFへの登録、衛生証明書の発行に先立ち、施設の登録番号が必要になりますので、施設登録を最初に行うことになります(法律第1283号・1950年12月18日)。

1. 施設登録
ブラジル向け輸出水産食品を最終加工する施設については、ブラジル農務省(MAPA)への事前登録が求められます(法律第1283号・1950年12月18日)。水産食品の場合、この登録はDIPOAAの技師の訪問審査は行われず、MAPAの認可のもと、日本の厚生労働省が行います(農務省訓令第35号・2018年9月25日)。
登録申請は、メーカー所在地を管轄する厚生労働省の地方厚生局を通じて行います。審査は、食品衛生法や地方条例による営業許可を受けている、食品衛生監視員による監視指導を受けている、HACCP に基づく衛生管理が行われている施設であることなどを条件に、書類審査で行われます。審査に合格後、厚生労働省健康・生活衛生局食品監視安全課がブラジル農務省(MAPA)に認可の公開を要請します。その後、MAPAから認可施設番号が発行され、農林水産省のウェブサイト上で公開されます(農林水産省ブラジル向け輸出水産食品(食品衛生)の取扱要綱(2023年9月14日))。
同手続きは、従来は日本食品検査(JFIC)を通じても行われていましたが、2022年3月に同社はサービスを停止しました。
2. 製品の事前登録
水産食品あるいは水産食品が原料として含まれる製品は、動物由来の製品として事前にブラジル農務省(MAPA)動物由来製品検査部(DIPOA - Departamento de Inspeção de Produtos de Origem Animal)にラベル、製品についての詳しい情報を登録することが義務づけられています(政令第9013号・2017年3月29日付)。2017年1月18日から、登録はMAPAのシステム「PGA-SIGSIF」を通じてのオンライン登録のみになりました(農務省動物原産品検査課通達書・2017年第1号)。システムはすべてポルトガル語となっています。
この登録手続きはインポーターではなく、輸出側のメーカーによって行われますが、登録にあたりMAPAへの施設登録番号が要求されますので、それを最初に行う必要があります。
オンラインでの製品登録のプロセスの概要は次のようになっています(農務省通達第1号・2017年1月11日、農務省省令第558号・2022年3月30日)。
  • ユーザー登録
  • PGA-SIGSIF へアクセスするための登録(企業の定款、代表の個人情報が必要です)。
  • コンサルタントなど登録を代行する業者・個人の登録(委任状が必要です)

登録にあたり求められる主な書類、情報は次のとおりです。

  • 会社定款
  • 代表権のある役員の個人情報(パスポート)
  • コンサルタントなどへの委任状
  • MAPAによって発行された施設登録番号
  • ラベルに表示する商品名
  • カテゴリー(食肉、酪農製品、水産食品、卵・はちみつ)
  • 一般名(DIPOAで使われている製品名を選択)
  • 水産物の場合は学名
  • 原料の入手方法(漁獲、養殖)
  • 食用かどうか
  • 製品属性(選択式)
  • 使用されている成分(選択式)とその量その他
  • 使用されている添加物(選択式)とその量その他
  • 使用されている香料(選択式)とその量その他
  • 製造について(製造工程、品質管理、成分などについて詳しく記入)
  • ラベルの見本
  • パッケージについての情報
3. 衛生証明書発行
ブラジル向け水産食品は、衛生証明書が必要です(法律第1283号・1950年12月18日、農務省規則第34号・2018年9月25日。衛生証明書には、厚生労働省地方厚生局が発行する食品衛生証明(「ブラジル向け輸出水産食品(食品衛生)の取扱要綱・2023年9月1日」)と水産庁都道府県水産部局が発行する動物衛生証明(「農林水産省ブラジル向け輸出水産食品(動物衛生)の取扱要綱・2023年9月14日」)の2種類があり、それぞれの担当部署に発行を申請します。詳細については農林水産省のウェブサイト「中南米|証明書や施設認定の申請」を参照してください。
食品衛生証明は原材料の入手、製造工程など施設での衛生管理を、一方、動物衛生証明は原材料の入手元(漁獲か養殖か)や病気の感染がないことなどを証明するものです。
「農林水産省ブラジル向け輸出水産食品(動物衛生)」の衛生証明書が必要な品目として次のものがあげられています。
  • 天然由来の水産動物(エビおよび生きた動物を除く)およびその加工品
  • 天然または養殖由来の魚油
  • 養殖由来のマダラ属(GADUS)の粉末
  • 天然または養殖由来のパンダルス属(PANDALUS)のエビの粉末
  • 養殖由来のカキ殻の粉末
  • 養殖由来のキャビアおよび魚卵
  • 養殖由来の魚類(内臓を除去したものに限る。)およびその加工品

衛生証明書の取得にあたりメーカーは「品質確認者」(食品衛生責任者の資格を有する等、食品衛生の知識を有する者)を選任し、官能検査を行う必要があります。検査方法、報告書形式は農林水産省「ブラジル向け輸出水産食品(動物衛生)の取扱要綱・2023年9月14日」の別添2を参照してください。

食品衛生の証明書は、地方厚生局が検査の手順、結果を審査したうえで、製品に貼付してある品質表示ラベルの記載内容がブラジル政府向け品質表示ラベル登録申請と一致していることを確認して発行します。

同衛生証明書の発行にあたっては、次の書類が必要です。

  • インボイスの写し。
  • パッキングリストの写し。
  • 船荷証券(BL)または航空貨物運送状(AWB)の写し。
  • 製品に貼付する品質表示ラベルのブラジル政府への登録手続きが完了している旨を示す書類(登録されたラベルの写しを含む。)およびブラジル向け輸出水産食品に貼付された品質表示ラベル。

関連リンク

関係省庁
農林水産省外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
ブラジル財務省(ポルトガル語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
ブラジル農務省(MAPA)(ポルトガル語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
法律第1283号・1950年12月18日付(LEI Nº 1.283, DE 18 DE DEZEMBRO DE 1950)(ポルトガル語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
農務省規則第35号・2018年9月25日付(INSTRUÇÃO NORMATIVA MAPA Nº 35, DE 25 DE SETEMBRO DE 2018)(ポルトガル語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(154KB)
農務省規則第34号・2018年9月25日付(INSTRUÇÃO NORMATIVA MAPA Nº 34, DE 25 DE SETEMBRO DE 2018)(ポルトガル語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(349KB)
政令第9013号・2017年3月29日付)(DECRETO Nº 9.013, DE 29 DE MARÇO DE 2017)(ポルトガル語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
農牧食料供給省動物原産品検査課通達(2017年第1号)(Ofício-Circular nº 1-2017-DIPOA-SDA-SDA-MAPA)(ポルトガル語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(63KB)
農務省省令第558号・2022年3月30日付(PORTARIA SDA Nº 558, DE 30 DE MARÇO DE 2022)(ポルトガル語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
その他参考情報
農林水産省中南米 証明書や施設認定の申請外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
農林水産省ブラジル向け輸出水産食品(食品衛生)の取扱要綱PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(184KB)
MAPA動物由来製品輸入総合解説ページ(ポルトガル語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
MAPA動物由来製品登録ガイドページ(ポルトガル語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
DIPOA動物由来製品登録システム(PGA-SIGSIF)(ポルトガル語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
MAPA漁獲魚および魚製品の輸入に関する公衆衛生の要件(REQUISITOS SANITÁRIOS DE SAÚDE PÚBLICA PARA IMPORTAÇÃO DE PESCADO E DERIVADOS ORIUNDOS DA PESCA EXTRATIVA(2018年2月)(ポルトガル語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(24KB)
PGA – SIGSIFへのユーザー登録マニュアル(管理者登録)(ポルトガル語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(987KB)
PGA – SIGSIFへのユーザー登録マニュアル(委託者登録など)(ポルトガル語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(1.6MB)
PGA – SIGSIFへの製品登録マニュアル(ポルトガル語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(1.7MB)
PGA – SIGSIFへの製品登録マニュアル(ポルトガル語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(2.8MB)

3. 動植物検疫の有無

調査時点:2024年1月

日本からブラジルに水産食品を輸出する場合は、ブラジル政府が自国と同等の基準を持つと認めている、衛生証明書が必要とされています。(農務省訓令第51号・2011年11月4日付、農務省規則第34号・2018年9月25日)。
輸入された水産食品について疑義が生じた場合は再検査となります。再検査は国際農畜産サーベイランス部(Vigiagro - Vigilância Agropecuária Internacional)が担当します。再検査で不適正が確認された製品、メーカーは輸入警告プログラム(RAI - Regime de Alerta de Importação)に登録され、原産国の保健当局に通知され、是正措置が求められます。
ブラジルでの水産食品の衛生関係の情報はMAPAの「食用動物由来製品の輸入要件」のページで国別、主な製品別に整理されています。

ブラジルの食品関連の規制

1. 食品規格

調査時点:2024年1月

動物由来製品についての基本法ともいえる政令第9013号・2017年3月29日付では食品の規格として「動物由来製品の特性と品質に関する技術規則(RTIQ - Regulamentos Técnicos de Identidade e Qualidade)」の順守を求めています。しかし、水産食品で現時点までにRTIQが発表されているのは、エビ(農務省訓令第23号・2019年8月20日付)、イワシの缶詰(農務省規訓令第22号・2021年7月22日付)、魚全般の缶詰(農務省訓令第45号・2011年12月13日付)、マグロ・カツオの缶詰(農務省訓令第46号・2011年12月15日付)、ロブスター(農務省訓令第24号・2019年8月20日付)、冷凍魚(農務省訓令第21号・2017年5月31日付)、鮮魚(農務省省令第185号・1997年5月13日付)、塩漬け魚・乾燥塩漬け魚(農務省訓令第1号・2019年1月15日付)です。RTIQが発表されていない水産食品は、ブラジル農務省(MAPA)動物由来製品検査部(DIPOA - Departamento de Inspeção de Produtos de Origem Animal)へのラベル・製品登録の際に個別に審査されます。
MAPAでは特定の製品について規格が設定されているかどうかを調べるための一覧表(Produto Padronizado atualizado)を用意しています。

関連リンク

関係省庁
ブラジル農務省(MAPA)(ポルトガル語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
政令第9013号・2017年3月29日付(DECRETO Nº 9.013, DE 29 DE MARÇO DE 2017)(ポルトガル語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
農務省訓令第23号・2019年8月20日付(INSTRUÇÃO NORMATIVA Nº 23, DE 20 DE AGOSTO DE 2019)(ポルトガル語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(1.6MB)
農務省訓令第22号・2021年7月22日付(INSTRUÇÃO NORMATIVA MAPA N° 22, DE 11 DE JULHO DE 2011)(ポルトガル語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(123KB)
農務省訓令第45号・2011年12月13日付(INSTRUÇÃO NORMATIVA SDA Nº 45, DE 13 DE DEZEMBRO DE 2011)(ポルトガル語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
農務省訓令第46号・2011年12月15日付(INSTRUÇÃO NORMATIVA Nº 46, DE 15 DE DEZEMBRO DE 2011)(ポルトガル語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
農務省訓令第24号・2019年8月20日付(INSTRUÇÃO NORMATIVA Nº 24, DE 20 DE AGOSTO DE 2019)(ポルトガル語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
農務省訓令第21号・2017年5月31日付(INSTRUÇÃO NORMATIVA N° 21, DE 31 DE MAIO DE 2017)(ポルトガル語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
農務省省令第185号・1997年5月13日付(PORTARIA Nº 185, DE 13 DE MAIO DE 1997)(ポルトガル語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
農務省訓令第1号・2019年1月15日付(INSTRUÇÃO NORMATIVA Nº 1, DE 15 DE JANEIRO DE 2019)(ポルトガル語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
その他参考情報
政令第9013号Q&A(RIISPOA - Regulamento de Inspeção Industrial e Sanitária de Produtos de Origem Animal - PERGUNTAS E RESPOSTAS)(ポルトガル語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(1.2MB)
食品規格一覧(Produto Padronizado atualizado)(ポルトガル語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(4.0MB)

2. 残留農薬および動物用医薬品

調査時点:2024年1月

水産食品は、残留農薬規制の対象ではありません。動物用医薬品の使用規制は、国家衛生監督庁(ANVISA -Agência Nacional de Vigilância Sanitária)によって管轄されており、国家衛生監督庁理事会決議第328号・2019年12月19日付でリスク分析の手法および基準が規定されています。また保健省訓令第51号・2019年12月19日付では、使用が許可されている有効成分の一日当たり許容摂取量(ADI)、急性参照用量(ARfD)、最大残留基準値(MRL)、動物由来の食品に含まれる動物用医薬品のうち、MRLが義務づけられていないもののリスト、推奨されないMRLを有する動物用医薬品のリストが付属書に記載されています。
ANVISAのデータベースでは、動物用医薬品の水産食品を含む動物由来製品の最大残留基準値を製品カテゴリーごとに調べることができます。

3. 重金属および汚染物質

調査時点:2024年1月

水産食品は、重金属規制の対象となります。動物由来製品の重金属その他の汚染物資は農務省(MAPA)と国家衛生監督庁(ANVISA)によって管轄されています。サンプル検査の手法などは魚類残留物資管理プログラム(PCRP - Programa de Controle de Resíduos em Pescado)によって決められています(農務省訓令第42号・1999年12月20日付)。ヒ素、鉛、カドミウム、スズについての最大許容値は国家衛生監督庁理事会決議・2013年8月29日で食品ごとに示されています。原材料が複数ある場合は、原材料の割合により最大残留基準値が変動します。

水産食品については次のように定められています。

ヒ素
カテゴリー カテゴリー(ポルトガル語) 最大許容値(mg/kg)
生・冷凍・冷蔵魚 Peixes crus, congelados ou refrigerados 1.00
頭足類 Moluscos cefalópodos 1.00
二枚貝 Moluscos bivalvos 1.00
甲殻類 Crustáceos 1.00
カテゴリー カテゴリー(ポルトガル語) 最大許容値(mg/kg)
生・冷凍・冷蔵魚 Peixes crus, congelados ou refrigerados 0.1
頭足類 Moluscos cefalópodos 0.3
二枚貝 Moluscos bivalvos 1.00
甲殻類 Crustáceos 0.5
カドミウム
カテゴリー カテゴリー(ポルトガル語) 最大許容値(mg/kg)
生・冷凍・冷蔵魚 Peixes crus, congelados ou refrigerados 0.05。ただし、カツオ、カラフトシシャモ、ウナギ、ボラ、アジ、キンメ、サバ、イワシ、マグロ、ヒラメは0.10、ヒラソウダは0.20、カタクチイワシとメカジキは0.30とする。
頭足類 Moluscos cefalópodos 2.00
二枚貝 Moluscos bivalvos 2.00
甲殻類 Crustáceos 0.5
水銀
カテゴリー カテゴリー(ポルトガル語) 最大許容値(mg/kg)
捕食魚以外の魚 Peixes, exceto predadores 0.5
捕食魚 Peixes predadores 1.00
頭足類 Moluscos cefalópodos 0.5
二枚貝 Moluscos bivalvos 0.5
甲殻類 Crustáceos 0.5

4. 食品添加物

調査時点:2024年1月

ブラジルでは、水産食品を含む食品に使用される食品添加物・加工助剤および食品用酵素は保健省の国家衛生監督庁(ANVISA)の管轄となっています。使用許可についてはポジティブリスト制を採用しています。
食品添加物・加工助剤の総合的な規制は国家衛生監督庁理事会決議第778号・2023年3月1日付で定められており、「人間が食べても安全であること」「使用について正当性がある」「目的とする効果を得るために必要な最低レベルで使用すること」を前提に使用を認めています。最新のポジティブリストは国家衛生監督庁訓令第211号・2023年3月1日に掲載されています。その中で最大使用許可量は食品ごとに決められており、水産食品への使用が許可されている食品添加物・加工助剤は上記訓令の付属書IIIの09.0に記載されています。ANVISAの「食品添加物パネル」で添加物ごとの情報を得ることができます。
一方、酵素および酵素製剤の最新のポジティブリストは国家衛生監督庁理事会決議第728号・2022年7月1日付に掲載されており、酵素とその原料がリスト化されています。FAO/WHO合同専門家会議、食品化学コーデックス、米国食品医薬品局の基準に準拠した措置がとられています。

5. 食品包装(食品容器の品質または基準)

調査時点:2024年1月

食品用の容器についてはブラジル保健省の国家衛生監督庁(ANVISA - Agência Nacional de Vigilância Sanitária)が管轄しています(法律第9782号・1999年1月26日付)。規制は容器に使用される素材ごとに定められており、ポジティブリスト制が採用されています(国家衛生監督庁理事会決議第91号・2001年5月11日付)。鉛とスズの合金の包装材の使用は禁止されています(法令第9832号・1999年9月14日付)。

  • エラストマー(ゴム):国家衛生監督庁理事会決議RDC第123号・2001年6月26日
  • 金属製包装:国家衛生監督庁理事会決議第20号・2007年6月22日付
  • ガラス、セラミック:保健省省令第27号・1996年3月18日付
  • セルロース、再生セルロースフィルム:国家衛生監督庁理事会決議第88号・2016年6月29日付、国家衛生監督庁理事会決議第217号・2002年8月1日付
  • プラスチック:国家衛生監督庁理事会決議第326号・2019年12月3日付、国家衛生監督庁理事会決議第105号・1999年5月19日付、国家衛生監督庁理事会決議第52号・2010年11月26日付、国家衛生監督庁理事会決議第56号・2012年11月16日付

標準化機関であるブラジル技術規格協会(ABNT -Associação Brasileira de Normas Técnicas)でも容器の技術的な規定をしています(ABNT NBR 13177)。

関連リンク

関係省庁
農務省(MAPA)(ポルトガル語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
ブラジル国家衛生監督庁(ANVISA)(ポルトガル語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
ブラジル技術規格協会(ABNT)(ポルトガル語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
法令第9782号・1999年1月26日付(LEI Nº 9.782, DE 26 DE JANEIRO DE 1999)(ポルトガル語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
国家衛生監督庁理事会決議第91号・2001年5月11日付(RESOLUÇÃO DE DIRETORIA COLEGIADA - RDC Nº 91, DE 11 DE MAIO DE 2001)(ポルトガル語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(181KB)
法令第9832号・1999年9月14日付(LEI No 9.832, DE 14 DE SETEMBRO DE 1999)(ポルトガル語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
国家衛生監督庁理事会決議第123号・2001年6月19日付(RESOLUÇÃO – RDC Nº 123, DE 19 DE JUNHO DE 2001)(ポルトガル語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(385KB)
国家衛生監督庁理事会決議第20号・2007年6月22日付(RESOLUÇÃO DA DIRETORIA COLEGIADA - RDC N° 20, DE 22 DE MARÇO DE 2007)(ポルトガル語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(470KB)
保健省省令第27号・1996年3月18日付(PORTARIA Nº 27, DE 18 DE MARÇO DE 1996)(ポルトガル語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
国家衛生監督庁理事会決議第88号・2016年6月29日付(RESOLUÇÃO DA DIRETORIA COLEGIADA – RDC N° 88, DE 29 DE JUNHO DE 2016)(ポルトガル語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(545KB)
国家衛生監督庁理事会決議第217号・2002年8月1日付(RESOLUÇÃO DA DIRETORIA COLEGIADA - RDC Nº 217, DE 1º DE AGOSTO DE 2002)(ポルトガル語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(268KB)
国家衛生監督庁理事会決議第326号・2019年12月3日付(RESOLUÇÃO DA DIRETORIA COLEGIADA - RDC Nº 326, DE 3 DE DEZEMBRO DE 2019)(ポルトガル語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(1,492KB)
国家衛生監督庁理事会決議第105号・1999年5月19日付(RESOLUÇÃO N° 105, DE 19 DE MAIO DE 1999)(ポルトガル語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(886KB)
国家衛生監督庁理事会決議第52号・2010年11月26日付(RESOLUÇÃO DA DIRETORIA COLEGIADA – RDC Nº 52, DE 26 DE NOVEMBRO DE 2010)(ポルトガル語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(213KB)
国家衛生監督庁理事会決議第56号・2012年11月16日付(RESOLUÇÃO DA DIRETORIA COLEGIADA – RDC Nº 56, DE 16 DE NOVEMBRO DE 2012)(ポルトガル語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(967KB)

6. ラベル表示

調査時点:2024年1月

水産食品を含む動物由来製品のラベルは、MAPA(農務省訓令第22号・2005年11月24日)とANVISA(国家衛生監督庁理事会決議第727号・2022年7月1日付)によって規定されています。
ラベルには次のような情報をポルトガル語で記載する必要があります。ラベルのレイアウトは農務省動物由来製品検査部(DIPOA - Departamento de Inspeção de Produtos de Origem Animal)へラベル・製品登録の際に貼付します。

表示内容
MAPAの規制
  • 販売名(名称):
  • 原材料のリスト:量の多い順に記載。添加物についてはその作用、名称およびINS(食品添加物の国際番号システム)番号を記載
  • 内容量
  • 原産地
  • 製造施設の社名または商号および所在地
  • 輸入業者の社名または商号および所在地
  • 製造施設のカテゴリー:施設が農務省動物動物由来製品検査部(DIPOA - Departamento de Inspeção de Produtos de Origem Animal)に登録済みの場合
  • 輸入業者の国家法人登録番号(CNPJ)
  • 製品の保存方法
  • 製品の商標
  • ロット番号
  • 製造年月日
  • 品質保証期限
  • 成分
  • DIPOAへの登録番号
  • 調理および使用法についての指示(必要な場合)

ANVISAの規制

  • 販売名称
  • 原材料のリスト
  • 食物アレルギーの原因となる主な食品に関する警告
  • 乳糖に関する警告
  • 国家衛生監督庁理事会決議第421号・2020年9月1日付に基づく新しい成分構成、またはそれに代わるもの
  • 食品添加物の使用に関する警告
  • 栄養表示
  • 内容量
  • 原産地表示
  • ロット番号
  • 賞味期限
  • 食品の保存、調理および使用に関する指示(必要な場合)
  • 特定の規則により要求されるその他の情報
遺伝子組み換え成分に関する表示
1%を超える遺伝子組換え成分が含まれているすべての水産食品を含む動物由来製品(動物飼料を含む)のパッケージのラベルには「T」マークを表示しなければいけません(政令第4680号・1969年4月24日、農務省省令第2658号・2003年12月22日)。
アレルギーに関する表示

食品のアレルギー表示については国家衛生監督庁理事会決議第727号・2022年7月1日付のセクションIVで規定されています。魚類はアレルギーをおこす可能性のある食品としてリストアップされています(同付属書III)。アレルギーを引き起こす可能性のある物質が含まれる場合、「アレルギー:(食物アレルギーの原因となる食品の一般名)を含む」「アレルギー:(食物アレルギーを引き起こす食品の一般名)の由来物を含む」「アレルギー:(食物アレルギーを引き起こす食品の一般名)およびその由来物を含む」という表現で明記する必要があります。アレルギーを引き起こす物資が含まれないことを保証できないときは、「アレルギー:(食物アレルギーの原因となる食品の一般名)が含まれている可能性がある」とします。甲殻類の場合は「アレルギー性:甲殻類(一般名)を含む」「アレルギー性:甲殻類の派生物を含む(一般名)」「アレルギー性:甲殻類およびその派生物を含む(一般名)」と表記します。グルテンを含む原料を使用している場合はそれを表記します(法令第10674号・2003年5月16日付)。

その他アレルゲンには次のようなものがあります(国家衛生監督庁理事会決議第727号・2022年7月1日付セクションIII)。

  • 小麦、ライ麦、大麦、オート麦およびそれらの交配株
  • 甲殻類
  • ピーナツ
  • 大豆
  • すべての種類の哺乳類の乳
  • アーモンド(Prunus dulcis、sin.:Prunus amygdalus、Amygdalus communis L.)
  • ヘーゼルナッツ(Corylus spp.)
  • カシューナッツ(Anacardium occidentale)
  • ブラジルナッツまたはパラナッツ(Bertholletia excelsa)
  • マカダミア(マカダミア属)
  • クルミ(Juglans spp.)
  • ピーカン(Carya spp.)
  • ピスタチオ(Pistacia spp.)
  • パラナ松の実(Pinus spp.)
  • 栗(カスタネア属)
  • 天然ラテックス
乳糖に関する表示
店頭販売される100グラムまたは100ミリリットル当たり100ミリグラムを超える乳糖を含む食品には、「乳糖を含む」という警告を表示しなければなりません(国家衛生監督庁理事会決議第727号・2022年7月1日付)。
食品添加物
甘味料であるマンニトールが20グラム以上、ソルビトールが50グラム以上、その他のポリオールが90グラム以上含まれる場合に、その食品に「この製品は下剤の効果があるかもしれません」という注意書きを付ける必要があります(国家衛生監督庁理事会決議第727号・2022年7月1日付)。
栄養成分表

食品のラベルへの栄養成分表の記載は義務となっていますが、魚と肉は製品に重要な栄養価を付加する成分を加えていない場合、表示は任意となっています。記載方法は、国家衛生監督庁理事会決議第429号・2020年10月8日付、国家衛生監督庁訓令第75号・2020年10月8日付で改正されましたので注意が必要です。

栄養成分表には次の情報を記載します。

  • エネルギー値
  • 炭水化物
  • 総糖質
  • 加糖
  • タンパク質
  • 総脂肪
  • 飽和脂肪
  • トランス脂肪酸
  • 食物繊維
  • ナトリウム
  • 栄養強調表示、機能性強調表示または健康強調表示の対象となるその他の栄養成分または生理活性物質
  • 国家衛生監督庁理事会決議第714号・2022年7月1日付に従い食品に添加されるその他の必須栄養素で、その量が国家衛生監督庁訓令第75号・2020年10月8日付の付属書IIに規定されるRDAの5%以上であるもの
  • 食品に添加される生物活性物質

2020年の主な変更点は栄養成分表示の表記と、特定の成分を多量に含んでいる場合の表示方法です。

  • 表は背景を白にしてテキストの文字は黒とする。
  • 総糖類量と添加糖類量の表記。(A)
  • 分析単位を固形、半固形の食品については100グラム、液体のものは100ミリリットルに統一する。(B)
  • 推奨される1日当たり摂取量における当食品の割合(%VD)。(C)
  • 複数の商品が梱包されている場合、個数、重量の表記。(D)

栄養表示表

容器包装前面での含有量についてのシンボルの表記

容器包装前面での含有量についてのシンボルの表記

添加糖類、飽和脂肪酸、ナトリウムが基準量以上含む場合、「ALTO」(高含有)と容器包装前面にシンボルで表示することが義務づけられました。シンボルの大きさはパッケージそのもののサイズに応じて決められています。色は黒で背景は白と定められています。

基準量
固形(100g) 液体(100ml)
添加糖類(g) Açúcares adicionados ≥ 15 ≥ 7.5
飽和脂肪酸(g) Gorduras saturadas ≥ 6 ≥ 3
ナトリウム(mg) Sódio ≥ 600 ≥ 300

シンボルデザイン

シンボルデザイン

関連リンク

関係省庁
ブラジル農務省(MAPA)(ポルトガル語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
ブラジル国家衛生監督庁(ANVISA)(ポルトガル語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
農務省規則第22号・2005年11月24日(INSTRUÇÃO NORMATIVA Nº 22, DE 24 DE NOVEMBRO DE 2005)(ポルトガル語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
国家衛生監督庁理事会決議第727号・2022年7月1日付(RESOLUÇÃO DA DIRETORIA COLEGIADA - RDC Nº 727, DE 1° DE JULHO DE 2022)(ポルトガル語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(355KB)
国家衛生監督庁理事会決議第421号・2020年9月1日付(RESOLUÇÃO DA DIRETORIA COLEGIADA - RDC Nº 421, DE 1º DE SETEMBRO DE 2020)(ポルトガル語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(147KB)
政令第4680号・2003年4月24日(DECRETO Nº 4.680, DE 24 DE ABRIL DE 2003)(ポルトガル語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
法務省省令第2658号・2003年12月22日付(Portaria do Ministério da Justiça nº 2658, de 22 de dezembro de 2003)(ポルトガル語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(120KB)
法令第10674号・2003年5月16日付(LEI No 10.674, DE 16 DE MAIO DE 2003)(ポルトガル語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
国家衛生監督庁理事会決議第429号・2020年10月8日付(RESOLUÇÃO DA DIRETORIA COLEGIADA - RDC Nº 429, DE 8 DE OUTUBRO DE 2020)(ポルトガル語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(292KB)
国家衛生監督庁訓令第75号・2020年10月8日付(INSTRUÇÃO NORMATIVA - IN N° 75, DE 8 DE OUTUBRO DE 2020)(ポルトガル語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(1.1MB)
国家衛生監督庁理事会決議第714号・2022年7月1日付(RESOLUÇÃO DA DIRETORIA COLEGIADA - RDC Nº 714, DE 1° DE JULHO DE 2022)(ポルトガル語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(243KB)
その他参考情報
UNIFAL-MG新栄養表示法マニュアル(Nova Rotulagem Nutricional de Alimentos Embalados)(ポルトガル語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
MAPAラベル登録解説ページ(Registro de Produtos - Rotulagem)(ポルトガル語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

7. その他

調査時点:2024年1月

トランス脂肪酸の規制
ブラジル国家衛生監督庁(ANIVISA)は、国家衛生監督庁決議第632号・2022年3月24日付によって食品中のトランス脂肪酸を減らす規制を定めています。2023年1月1日からすべての最終消費者や外食産業向けの食品で、トランス脂肪酸は総脂肪100グラム当たり2グラムを超えることが禁止されています。

ブラジルでの輸入手続き

1. 輸入許可、輸入ライセンス等、商品登録等(輸入者側で必要な手続き)

調査時点:2024年1月

輸入者は水産食品を含む動物由来の製品の輸入ライセンス(LI – Licen;a de Importação)を事前に取得しなければなりません(農務省規制指令第34号・2018年9月25日)。

輸入ライセンスは次の条件を満たす製品に与えられます。

  • DIPOAにより衛生検査制度が審査されたか、または同等と認められた国の製品。
  • ブラジルへの輸出が認証された施設から出荷されたもの(施設登録)。
  • DIPOAに製品・ラベルが登録されているもの。
  • 法令に基づきラベル表示されているもの。
  • 二国間で合意された条件に基づき、原産国の管轄当局が発行した衛生証明書が添付されているもの。

輸入ライセンスの取得は輸入者によって行われます。まず外国貿易を総合的に管理する「外国貿易統合システム」(Siscomex - Sistema Integrado de Comércio Exterior)に登録、その後、ブラジル農務省(MAPA)の輸入認可電子システム(LECOM - Sistema Eletrônico para autorização de Importação de Produtos Origem Animal)で行いますが、施設登録、衛生証明書、レバルのレイアウトなどの情報が求められます。

2. 輸入通関手続き(通関に必要な書類)

調査時点:2024年1月

水産食品を含む動物由来製品の輸入通関手続きには、輸入ライセンス(LI)、メルコスールの関税番号(NCM)が記載されたB/LまたはAWB、インボイス、パッキングリスト、輸入申告書(Declaração de Importação:DI)、衛生証明書、ブラジル到着後の検査・検疫による検疫証明書、分析表を輸入申告書とともに税関に提出します。輸入品の通関については政令6759号・2009年2月5日付で総合的に規定されています。

輸入申告書(Declaração de Importação:DI)の登録
輸入商品が本船から荷卸しされ、港の税関倉庫に納庫されたことが確認されると、税関倉庫会社は財務省連邦国税庁貿易統合システム(SISCOMEX)を通して17桁の「納庫証明番号」(Presença de Carga)を取得します。同番号が取得されるまでは、輸入会社は通関申請ができません。
輸入申告書(DI)の登録に必要な、船積み書類(B/L、LI、インボイス、パッキングリストなど)を基に、輸入取引に関するすべてのデータ〔輸出企業、輸入企業、対象商品のNCM、INCOTERMS、支払条件、価格、通貨の種類、数量、重量(NWとGW)などを入力すると、関税(I.I)、工業製品税(IPI)、社会統合基金(PIS)、社会保険融資負担金(COFINS)、その他支払うべき連邦税が自動的に計算され記録されます。すべてのデータを入力し終わり、「Enter」をクリックするとDI番号が付されます。DI番号は10桁(例:11/1234567-0:最初の2桁が年度を表す)で構成されています。

3. 輸入時の検査・検疫

調査時点:2024年1月

水産食品を含む動物由来製品は輸出国においてMAPAに認可された機関による検査に加え、ブラジルに到着時に再検査が行われます(農務省規則第118号・2021年1月11日、農務省規則第39号・2017年11月27日)。再検査には次の3つのレベルがあります。

  • 物理的検証:輸入された動物由来製品を目視検査して、必要な基準に準拠していることを確認するプロセスを指します。ここでは製品の物理的状態、包装、ラベル、および全体的な外観を確認します。
  • 視覚的な検査:製品の外観や特定の特徴に対する目視による検査を指します。ここでは製品の色合い、形状、表面の異常、損傷、異物の有無などを検査します。
  • サンプル採取:微生物学的、物理化学的、および生物学的な検査が行われます。

4. 販売手続き

調査時点:2024年1月

輸入水産物を含む、ブラジルで販売される水産食品の販売企業は、ブラジル農務省(MAPA)省令に基づいて、保健省の機関に登録する必要があります。

5. その他

調査時点:2024年1月

なし

ブラジルの輸入関税等

1. 関税

調査時点:2024年1月

ブラジルは南米南部共同市場(メルコスール)に加盟しており、関税(I.I)は対外共通関税(TEC - Tarifa Externa Comum)とよばれ域内で統一されています(アスンシオン条約)。関税はメルコスール共通関税番号(NCM - Nomenclatura Comum do Mercosul)ごとに定められています。課税基準は運賃込みのCIF価格が課税対象額となります。関税以外の税金を含めて財務省の「輸入課税シミュレーター」でシミュレーションできます。

2. その他の税

調査時点:2024年1月

水産食品の輸入の際にかかる税には、関税(I.I)のほか、商品流通サービス税(ICMS、州税)があり、さらに社会統合基金(PIS)と社会保険融資負担金(COFINS)という2つの社会負担金がかかります。

商品流通サービス税(ICMS):
ICMSは付加価値税に相当するもので、各州政府により徴収され、商品の流通や通信、運輸サービスなどに適用されます。製品、州によって税率は変わります。ICMSの計算はCIF価格に対してではなく、CIF価格にかかるその他の税、社会負担金などをベースとした累積計算です。
社会統合基金(PIS):
社会統合基金(PIS - Programa de Integracao Social))は社会保障や医療、福祉の財源に充てられる税金です。CIF価格に対して課税されます。輸入者の所得税納税方式(DIRPJ)が「LUCRO REAL」(実質利益を基に納税金額を算出する方式)とよばれる納税方式を適用している場合は会計台帳において還付が可能です。しかし、輸入者の納税方式が「LUCRO PRESUMIDO」(簡易納税方式=みなし利益:一定の売上高に割合により推定利益を求めた納税方式)を採用した会社の場合は、還付操作ができません。財務省の「輸入課税シミュレーター」でシミュレーションできます。
社会保険融資負担金(COFINS):
COFINSの計算方式はCIF価格に対して課税されます。また、COFINS税の還付条件はPISと同様です。財務省の「輸入課税シミュレーター」でシミュレーションできます。

3. その他

調査時点:2024年1月

なし