日本からの輸出に関する制度

花きの輸入規制、輸入手続き

品目の定義

本ページで定義する花きのHSコード

0601.10:りん茎、塊茎、塊根、球茎、冠根および根茎(休眠しているものに限る)
0601.20:りん茎、塊茎、塊根、球茎、冠根および根茎(生長しまたは花が付いているものに限る)ならびにチコリーおよびその根
0602.10:根を有しない挿穂および接ぎ穂
0602.30:しやくなげ、つつじその他のつつじ属の植物(接ぎ木してあるかないかを問わない)
0602.40:ばら(接ぎ木してあるかないかを問わない)
0602.90:その他の生きている植物(根を含む)挿穂、接ぎ穂およびきのこ菌糸- その他のもの
0603.11:ばら
0603.12:カーネーション
0603.13:らん
0603.14:菊
0603.15:ゆり(リリウム属のもの)
0603.19:その他のもの
0603.90:切り花および花芽- その他のもの

ベトナムの輸入規制

1. 輸入禁止(停止)、制限品目(放射性物質規制等)

調査時点:2021年6月

「外国貿易管理法の施行細則を定める政令69/2018/ND-CP」の別表1のIIにおいて輸入禁止となる物品が列挙されていますが、花きは輸入禁止品目の対象外となっているので、ベトナムに輸入することができます。

2. 施設登録、輸出事業者登録、輸出に必要な書類等(輸出者側で必要な手続き)

調査時点:2021年6月

輸出に必要な書類
ベトナムに花きを輸入する前に、輸出者側は日本の検疫機関において発行された植物検疫証明書を取得する必要があります。
ベトナムに花きを輸入する際は、「通達33/2014/TT-BNNPTNT」の第6条に基づき、日本で発行された植物検疫証明書、検疫登録申請書(所定フォーム)をベトナムの検疫機関に提出して、輸入植物に関する検疫の登録申請手続きを行い、植物検疫証明書の発行を受けます。
輸入事業者の要件
ベトナム企業と外資企業で根拠法令が異なります。ベトナム企業の場合は、特定の規制対象品目を除き、別途輸入許可申請を行うことなく花きを輸入できます。外資企業の場合は、活動許可書(計画投資局からの投資ライセンス)に加え、ベトナムのWTO加盟以降に「輸入・流通業務」の追加手続きがなされていることが条件となります(「外国貿易管理法施行細則を定める政令69/2018/ND-CP」の第3条)。
「外資企業の商品売買活動等に関する商法および外国貿易管理法の細則を定める政令09/2018/ND-CP」の第5条によれば、外資企業は、花きの輸入について事前に商工省から外資企業の営業許可書(輸入)を取得する必要はありません。

3. 動植物検疫の有無

調査時点:2021年6月

植物検疫保護法41/2013/QH13第25条第2項および「農業農村開発省の管理管轄における商品に対するHSコード覧表を定める通達15/2018/TT-BNNPTNT」の付録Iの項目第11号(ベトナムの植物検疫の対象に属する商品のHSコード一覧表)および「植物検疫対象リスト、ベトナムへの輸入前に病虫害分析すべき植物検疫の対象リストを定める通達30/2014/TT-BNNPTNT」第1条第1項および第2項に基づき、花きは、ベトナムに輸入する前に植物検疫および害虫のリスク分析を受ける必要がある物品に該当します。
ベトナムにおける植物検疫では、所定の書式の植物検疫申請書および輸出国の植物検疫機関が発行した植物検疫証明書をベトナムの植物検疫当局に提出する必要があります。植物検疫に合格すると、植物検疫当局により検疫証明書が発行されます。植物検疫申請書類を検討する際、害虫のリスクが発見された場合、当該植物の輸入が許可されず、輸出国の植物検疫機関および関連する組織・個人がベトナムの植物検疫当局から書面による通知を受けます。

ベトナムの食品関連の規制

1. 製品規格

調査時点:2021年6月

なし

2. 残留農薬および動物性薬品

調査時点:2021年6月

なし

3. 重金属および汚染物質

調査時点:2021年6月

なし

4. 食品添加物

調査時点:2021年6月

なし

5. 食品包装規制(食品容器の品質または基準)

調査時点:2021年6月

なし

6. ラベル表示

調査時点:2021年6月

花きのラベル表示は、「商品のラベル表示に関する政令43/2017/ND-CP」により規定されています。
花きのラベルには、次の情報を記載しなければなりません。

  1. 商品名
  2. 商品に対して責任を有する組織または個人の名称と住所(輸入商品の場合は、製造者である組織・個人および輸入する組織・個人の名称と住所)
  3. 原産国(パッケージングが産地と異なる国で行われた場合は、パッケージ国を併記)など

ラベルには、ベトナム語による表記が義務付けられています。また、商品ラベルの表示は「商品のラベル表示に関する政令43/2017/ND-CP」の規定に従わなければなりません。

7. その他

調査時点:2021年6月

なし

ベトナムでの輸入手続き

1. 輸入許可、輸入ライセンス等、商品登録等(輸入者側で必要な手続き)

調査時点:2021年6月

「外資企業の商品売買活動等に関する商法および外国貿易管理法の細則を定める政令09/2018/ND-CP」の第5条によれば、外資企業は、花きの輸入について事前に商工省から外資企業の営業許可書(輸入)を取得する必要はありません。

2. 輸入通関手続き(通関に必要な書類)

調査時点:2021年6月

「財務省通達38/2015/TT-BTC」(同省の通達39/2018/TT-BTCおよび通達81/2019/TT-BTCにより改正)では一般的な通関検査、通関手続きなどを規定しています。
通関申告は通関データ処理システム(VNACCS)を用いてオンラインで行われ、申告書、インボイス、船荷証券、価値申告書、商品証明書といった書類が通関申告の登録のために必要になります。通関申告の登録が承認された場合、VNACCSによって申告番号が付与されます。その後、通関に必要な検査内容(審査・検査なし、書面審査、貨物検査の3レベルがあります)が決定され、VNACCS上で通知されます。また、通関には、植物検疫に合格していること、関税がすべて納付されることが必要となります。

なお、税関職員の裁量と慣行によって、実際には法令とは異なる手続きがなされることがあることにも注意する必要があります。

3. 輸入時の検査・検疫

調査時点:2021年6月

日本から輸入する花きについては、輸入前に検疫検査が行われます。 輸入側は、植物検疫検査局への輸入植物検疫登録の申請書を郵送または公的サービスを通じてオンラインで提出します。

4. 販売許可手続き

調査時点:2021年6月

輸入事業者の要件

ベトナム企業と外資企業で根拠法令が異なります。
ベトナム企業の場合は、特定の規制対象品目を除き、輸入事業を行うためのビジネスライセンスなしで輸入許可申請を行うことなく花きを輸入できます。
外資企業の場合は、活動許可書(計画投資局からの投資ライセンス)に加え、ベトナムのWTO加盟以降「輸入・流通業務」の追加手続きがなされていることが条件となります(「外国貿易管理法の施行細則を定める政令69/2018/ND-CP」の第3条)。
「外資企業の商品売買活動等に関する商法および外国貿易管理法の細則を定める政令09/2018/ND-CP」の第5条によれば、外資企業は、花きの輸入および卸売販売について事前に営業許可書(輸入、卸売販売)を取得する必要はありませんが、小売販売については事前に商工局から外資企業の営業許可書(小売販売)を取得しなければなりません。また、小売店舗を設立する場合は、営業許可書に加え、同政令第22条ないし第29条に基づき、商工局から小売店舗の設立許可証を取得する必要があります。

花きの販売に関し、特定の免許や資格などを取得する必要はありません。

卸売業・小売業でベトナムに進出する場合については、「その他参考情報」の「貿易・投資相談Q&A卸売業・小売業で進出する際の留意点:ベトナム」(ジェトロ)を参照してください。

5. その他

調査時点:2021年6月

なし

ベトナム内の輸入関税等

1. 関税

調査時点:2021年6月

ベトナムに輸入される花きは、関税の対象となります。
「政令122/2016/ND-CPおよび政令125/2017/ND-CPを改正・補足する政令57/2020/ND-CP」に添付される輸入税表に基づく、花きの優遇輸入関税率(最恵国税率(MFN)は次のとおりです。

花きの優遇輸入関税率(最恵国税率(MFN)
HSコード 製品 税率(%)
0601.10 りん茎、塊茎、塊根、球茎、冠根および根茎(休眠しているものに限る) 0
0601.20 りん茎、塊茎、塊根、球茎、冠根および根茎(生長しまたは花が付いているものに限る)ならびにチコリーおよびその根 0
0602.10 根を有しない挿穂および接ぎ穂 0
06.03 花束または装飾に使用される小枝および花の蕾、生で、乾燥され、染色され、漂白され、含侵された、またはほかの方法で処理された小枝および花の蕾
0603.11.00 -ばら 20
0603.12.00 -カーネーション 20
0603.13.00 -らん 20
0603.14.00 -菊 20
0603.15.00 -ゆり 20
0603.19.00 -その他のもの 20

日本から輸入する場合は、日本・ASEAN包括的経済連携協定(AJCEP)、日本・ベトナム経済連携協定(VJEPA)の税率を適用することができます。

1. AJCEPの特別優遇税率

AJCEPの適用を受けるためには、次の条件をすべて満たしている必要があります。

  • 「政令160/2017/ND-CP」に添付される優遇輸入関税の商品リストに記載されていること
  • 輸出国がAJCEPの加盟国であること
  • 商工省が規定する輸出国(AJCEPの加盟国)からベトナムに直接出荷される商品であること
  • 日本・ASEAN包括的経済連携協定の商品の原産地に関する規定を満たし、商工省が定める特定原産地証明書(C/O、AJフォーム)(日本商工会議所発給のものに限る)を取得すること
AJCEPに基づく花きの特別優遇輸入関税率(%)
HSコード 2018年1月1日-2018年3月31日 2018年4月1日-2019年3月31日 2019年4月1日-2020年3月31日 2020年4月1日- 2021年3月31日 2021年4月1日- 2022年3月31日 2022年4月1日- 2023年3月31日
0601.10 0 0 0 0 0 0
0601.20 0 0 0 0 0 0
0602.10 0 0 0 0 0 0
0603.11.00 11 9 8 6 4 2
0603.12.00 11 9 8 6 4 2
0603.13.00 11 9 8 6 4 2
0603.14.00 11 9 8 6 4 2
0603.15.00 11 9 8 6 4 2
0603.19.00 11 9 8 6 4 2
0603.90.00 11 9 8 6 4 2

なお、AJCEPは2002版HSコードで規定されています。

2. VJEPAの特別優遇税率

VJEPAの特別優遇税率の適用を受けるためには、次の条件をすべて満たしている必要があります。

  • 「政令 155/2017/ND-CP」に添付される優遇輸入関税の商品リストに該当すること
  • 日本からベトナムへ輸入されること
  • 日本からベトナムに直接出荷される商品であること
  • VJEPAの商品の原産地に関する規定を満たし、商工省が定める特定原産地証明書(C/O、JVフォーム)(日本商工会議所発給のものに限る)を取得すること

VJEPAの特別優遇税率に従い、日本から輸入する花きに対する輸入関税率は0%になります。
なお、VJEPAは2007年版HSコードで規定されています。

3. CPTPP (TPP11) の特別優遇税率を適用する場合

CPTPP(TPP11)の特別優遇税率の適用を受けるためには、次の条件をすべて満たしている必要があります。

  • 「政令57/2019/ND-CP」に添付される優遇輸入関税の商品リストに該当すること
  • 日本(またはほかの締約国)からベトナムへ輸入されること
  • 日本(またはほかの締約国)からベトナムに直接出荷される商品であること
  • CPTPPの商品の原産地に関する規定を満たし(品目別規則などは「通達03/2019/TT-BCT」(「通達06/2020/TT-BCT」により一部改正)に規定)、生産者または輸出者が自ら原産性を証明すること(※)

※CPTPPは自己申告制度のため、生産者または輸出者が自ら原産地証明書を作成し、ベトナム輸入時に税関に提出します。ベトナムでは輸入者が作成する原産地証明書はまだ認められていません(協定本文第3.20条第1項注2)。また、日本商工会議所の特定原産地証明書の発給は行われません。
※ベトナムから日本に輸入する場合は、商工省管轄の発給機関でCOフォーム(フォームCPTPP)発給を受ける(協定本文 付属書三-A (b))か、または日本の輸入者が自ら作成し、日本輸入時に税関に提出するかのいずれかとなり、日本からベトナムに輸出する場合と手続きが異なります。
CPTPP協定発効時から、日本から輸入する花きに対する輸入関税率は0%になっています。

関連リンク

関係省庁
ベトナム税関総局(ベトナム語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
ベトナム財務省(ベトナム語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
ベトナム商工省(ベトナム語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
関税法54/2014/QH13(ベトナム語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
輸入割当枠を超える輸入量に対する輸入税率および品目、混合税・上限税率および品目、優遇輸入税率表、輸出税率表について規定する政令122/2016/ND-CP(ベトナム語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(12.6MB)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
政令122/2016/ND-CP号を改正・補足する政令125/2017/ND-CP(ベトナム語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
政令122/2016/ND-CPおよび政令125/2017/ND-CPを改正・補足する政令57/2020/ND-CP(ベトナム語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
※当該政令が長いため、全文は全8つのPDFに分けて掲載されています。
VJEPAの特別優遇税率を規定する政令155/2017/ND-CP(ベトナム語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
※税率表(https://trungtamwto.vn/upload/files/fta/174-da-ky-ket/187-viet-nam---nhat-ban/244-van-ban/4%20BieuthueVJEPA-2018-2023.pdf)
AJCEPの特別優遇税率を規定する政令160/2017/ND-CP(ベトナム語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
※税率表(https://trungtamwto.vn/upload/files/fta/174-da-ky-ket/193-asean---nhat-ban/222-van-ban-thuc-thi-cua-/Bi%E1%BB%83u%20thu%E1%BA%BF%20Vi%E1%BB%87t%20Nam%20th%E1%BB%B1c%20hi%E1%BB%87n%20AJCEP%202018-2022.pdf)
CPTPPに基づく2019年~2022年の特別優遇税率を規定する政令57/2019/ND-CP(ベトナム語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(36MB)
※該当の政令が長いため、全文は全8つのPDFに分けて掲載されています。
CPTPPの原産地規則を規定する通達03/2019/TT-BCT(ベトナム語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(5MB)
通達03/2019/TT-BCTを改正・補足する通達06/2020/TT-BCT(ベトナム語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(828KB)
その他参考情報
AJCEP(経済産業省)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
VJEPA(経済産業省)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
ベトナムの輸入関税率CPTTP(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(11MB)
世界各国の関税率(World Tariff)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

2. その他の税

調査時点:2021年6月

「財務省通達83/2014/TT-BTC」の第3条第2項(c)および同通達に添付される付加価値税(VAT)率表に基づく花きのVATは次のとおりです。

  • 輸入段階:課税対象外
  • 販売段階: 5%

3. その他

調査時点:2021年6月

なし

その他

調査時点:2021年6月

なし