日本からの輸出に関する制度

畜産加工品の輸入規制、輸入手続き

品目の定義

本ページで定義する畜産加工品のHSコード

1.ソーセージ
1601.00:ソーセージその他これに類する物品(肉、くず肉または血から製造したものに限る)およびこれらの物品をもととした調製食料品
2.ハム
1602.41:豚もも肉およびこれを分割したもの
1602.42:豚肩肉およびこれを分割したもの
1602.49:豚その他のもの(混合物を含む)

ベトナムの輸入規制

1. 輸入禁止(停止)、制限品目(放射性物質規制等)

調査時点:2021年10月

日本の産畜産加工品はベトナムに輸出することができます。「外国貿易管理法の施行細則を定める政令69/2018/ND-CP」の別表1のIIに輸入禁止品目が挙げられていますが、畜産加工品は対象外となっています。

東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う輸入規制は既に撤廃されています。

CSF(豚熱)(2018年9月9日)の影響により、ベトナム向け豚肉は次の条件を満たすものについて輸出可能です。最新の情報は、必ず動物検疫所のウェブサイトで確認してください。

  • 一部の国において停止の対象となる地域(日本では、岐阜県、愛知県、滋賀県、長野県、三重県、福井県、埼玉県、山梨県、沖縄県、群馬県、山形県、和歌山県、奈良県、栃木県、神奈川県)以外で生産、処理されたもの。
  • ワクチン接種豚を受け入れていない輸出施設で処理されたもの。

2. 施設登録、輸出事業者登録、輸出に必要な書類等(輸出者側で必要な手続き)

調査時点:2021年10月

製造輸出施設登録
品目の定義にあるHSコードからみると、畜産加工品が加工・包装済み食品であり、「食品安全法の施行細則を定める政令15/2018/ND-CP」第6章によると、畜産加工品の輸出者は、輸出国の所轄機関で生産販売事業所の登録手続きの対象外となります。
なお、保健省が管轄する機能性食品、微量栄養素補助食品、補助食品(supplementary food)、食品添加物、飲用水およびミネラルウオーターに対しては、輸出国で発行された自由販売証明書(Certificate of Free Sale:CFS)の提出が要求されます〔外国貿易管理法の施行細則を定める政令69/2018/ND-CP〕。
「自由販売証明書(Certificate of free sale)」とは、輸出相手先国の通関関係機関などから入手する、輸出された食品が輸出国国内において問題なく流通していることを証明する書類です。同証明書は農林水産省の各地方農政局で発行しています。取得方法については関連リンクの「その他参考情報」の「輸出食品に関する自由販売証明書の発行申請について」(農林水産省)を参照してください。

3. 動植物検疫の有無

調査時点:2021年10月

畜産加工品は、動物検疫の対象となります(農業農村開発省「動物由来食品の検疫を規定する通達25/2016/TT-BNNPTNT」(同省通達35/2018/TT-BNNPTNTによる一部修正)および「農業農村開発省の管轄範囲に属する商品のHSコード一覧表に関する通達15/2018/TT-BNNPTNT」)。輸出国で発行された食品衛生証明書の提出が要求されます。

ベトナム向けに畜産加工品を輸出しようとする際、日本国内の対ベトナム輸出制度はまだありません。対シンガポールやEUの例では、当該食肉の処理を行った登録施設を管轄する食肉衛生検査所に対して原料食肉証明書を食肉製造施設に申請してもらったうえで、保健所に、食肉衛生証明書の発行を申請する必要があります。その後、食肉衛生証明書を添えて動物検疫所で輸出検査を受け、輸出検疫証明書の発行を受ける必要があります。詳細は関連リンクの農林水産省「証明書や施設認定の申請 アジア」からベトナムの「ベトナム向け輸出食肉の取扱要綱」を確認してください。

ベトナムの食品関連の規制

1. 食品規格

調査時点:2021年10月

畜産加工品の規格を定める国家技術基準(「QCVN」)はありませんが、任意に適用する基準であるベトナム基準(「TCVN」)については、科学技術省より次のとおり発布されました。

TCVN 相当するコーデックス規格 定義
缶詰肉の技術規制に関する基準TCVN 7048 : 2002 密閉容器に入れられ、殺菌された加工肉
加熱加工肉の技術規制に関する基準TCVN 7049 : 2002 家畜、家禽、鳥などの肉から加工され、その加工過程において同製品の中心部の温度が70℃を超えるよう加熱する工程があり、使用する前に加熱する必要がないもの
非加熱加工肉の技術要件に関する基準TCVN 7050 : 2009 家畜、家禽、鳥などの肉から加工され、その加工過程において、同製品の中心部の温度が70℃を下回らないよう、加熱する工程がないもの
ランチョンミートに関する基準TCVN 8157 : 2017 CODEX STAN 89-1981, Rev. 3-2015 家畜の肉もしくは家禽の肉または両方の肉から加工され、細かく挽かれ、塩漬けにされたもの、および燻製されたもの
調理チョップドミートに関する基準TCVN 8158 : 2017 CODEX STAN 98-1981, REV.3-2015 家畜の肉もしくは家禽の肉または両方の肉から加工され、塩漬けにされたもの、および燻製されたもの。使用される肉の重量の少なくとも50%は、8 mm以上の直径の穴を通れるひき肉と相当する肉片でなければならず、15 mmを超えるサイズの肉片がない。
加熱調理されたハムに関する基準TCVN 8159 : 2017 CODEX STAN 96-1981, REV. 3-2015 豚の後足であって加工され、すべての骨、軟骨、腱、靭帯を取り除かれ、皮膚および脂肪を除去または保持され、塩漬けにされ(燻製されることもある)、調味料または/および香辛料を付けられたもの
加熱調理された豚肩肉に関する基準TCVN 9669 : 2017 CODEX STAN 97-1981, REV.3-2015 豚肩肉であって加工され、すべての骨、軟骨、腱、靭帯を取り除かれ、皮膚および脂肪を除去または保持され、塩漬けにされ(燻製されることもある)、調味料または/および香辛料を付けられたもの

品質要件として、原材料、感覚的基準、理化学的な基準、汚染物質、食品添加物、衛生、ラベル表示に関する基準が指定されています。

2. 残留農薬および動物用医薬品

調査時点:2021年10月

畜産加工品は、残留農薬規制の対象となります。ベトナムでは使用される農薬についてポジティブリスト制を採用しており、「食品中に含まれる農薬の最大許容量を規定する保健省通達50/2016/TT-BYT」の付録において、農薬および食品の種類ごとに日常許容摂取値(ADI値)および最大残留許容値(MRL値)が定められています。加えて、保健省決定46/2007/QD-BYTを一部修正する保健省通達24/2013/TT-BYTに添付される「食品における動物用薬品の最大残留許容値に関する規制」の第4条において、動物用医薬品の残留についてMRL値の規制が定められています。法令に記載されていない農薬または動物用医薬品の残留は認められていません。

3. 重金属および汚染物質

調査時点:2021年10月

畜産加工品は、重金属および汚染物質規制の対象となります。最大残留基準値(MRL)は、「食品中の重金属の最大残留基準値を規定する国家規格QCVN8-2:2011/BYT」の第2章において、ヒ素、カドミウム、鉛、水銀、メチル水銀、スズについて、食品の種類ごとに定められています。法令に記載されていない重金属の含有は認められていません。

畜産加工品における重金属のMRL値は次のとおりです。

スズ:
スズメッキした缶の缶詰加工肉:200(mg/kg)
スズメッキしない缶の缶詰加工肉:50(mg/kg)

このほか、「食品中にある有毒菌類の最大残留基準値を規定する国家規格QCVN8-1:2011/BYT」にて有毒菌類、「食品中にある微生物の最大残留基準値を規定する国家規格QCVN8-3:2012/BYT」にて微生物、「食品中に含まれる生物的・化学的汚染の最大許容量に関する保健省決定46/2007/QD-BYT」の第7章および「溶媒である製造助剤許容値を規定する国家規格QCVN18-1:2015/BYT」にて食品の製造助剤許容値についても規制をしています。

4. 食品添加物

調査時点:2021年10月

畜産加工品は食品添加物規制の対象となります。
ベトナムで使用可能な食品添加物リストおよび使用対象食品ごとの最大許容値(ML値)は「保健省通達24/2019/TT-BYT」で定められています。ポジティブリスト形式で規定されているため、同リストに記載のない食品添加物の使用、販売、輸出入は認められません。
また、食品添加物は、次の(1)および(2)に該当する場合に限り、使用することができます。

  1. ヒトの健康を損なうおそれがなく、消費者を欺くことなく、必要とされる効果を発揮する。
  2. 次のア~ウの目的を達成するために、より経済的かつ技術的に効果のあるその他の方法がない。
    1. 食品の栄養価値の維持
    2. 食品の品質・安定性維持の強化または感覚刺激性の改善(消費者を欺く性質・品質の変更を伴わないもの)
    3. 食品の製造・輸送の補助(低品質な原材料の使用または不適切な製造・技術により発生する影響を隠す目的ではないもの)

新たな効果がある混合食品添加物、前述のリストに記載のない食品添加物、または前述のリストに記載される使用対象食品以外の食品への食品添加物の使用については、使用または販売する前に、「食品安全法の施行細則を定める政令15/2018/ND-CP」の第6条~第8条による商品公表書登録手続きを行う必要があります。
このほか「食品中に含まれる生物的・化学的汚染の最大許容量に関する保健省決定46/2007/QD-BYT」の第7章および「溶媒である製造助剤許容値を規定する国家規格QCVN 18-1:2015/BYT」にて食品の製造助剤許容値についても規制をしています。

5. 食品包装(食品容器の品質または基準)

調査時点:2021年10月

輸出食品の包装および容器は、「食品と接触する容器・包装に対する安全衛生の国家技術規格を定める通達34/2011/TT-BYT」および「食品に直接接触するガラス、陶磁器などの容器・包装に関する通達35/2015/TT-BYT」に添付の各品質基準に合致することが求められます。合成樹脂、ゴム、金属それぞれの材料により安全衛生の国家技術規格が異なるため注意する必要があります。
また、食品に直接接触するプラスチック容器の場合は、次の基準を満たすことが求められています。

  1. ポリエチレンに関する基準TCVN6514-1:1999 (AS2070-1:1995(E))
  2. ポリ塩化ビニルに関する基準TCVN 6514-2:1999 (AS 2070 – 2 : 1993 (E))
  3. スチレンのプラスチック材料に関する基準TCVN 6514-3:1999 (AS 2070 – 3 : 1993 (E))
  4. アクリロニトリルのプラスチック材料に関する基準TCVN 6514-4:1999 (AS 2070 – 4 : 1993 (E))
  5. ポリプロピレンに関する基準TCVN 6514-5:1999 (AS 2070 – 5 : 1993 (E))
  6. 着色剤に関する基準TCVN 6514-6:1999 (AS 2070 – 6 : 1993 (E))
  7. ポリ塩化ビニリデンに関する基準TCVN 6514-7:1999 (AS 2070 – 7: 1993 (E))
  8. その他の添加剤に関する基準TCVN 6514-8:1999 (AS 2070 – 8: 1992 (E))

なお、食品をベトナムに輸出後に、ベトナムにおいて包装および容器に封入する場合、当該包装および容器は、これらの規定に従うほか、商品自己公表手続きが必要となる場合があります(「食品安全法の施行細則を定める政令15/2018/ND-CP」の第4.1条)。詳細は「輸入手続き_4.販売許可手続き」をご確認下さい。

6. ラベル表示

調査時点:2021年10月

畜産加工品のラベル表示には、「商品のラベル表示に関する政令43/2017/ND-CP」および「食品安全法の施行細則を定める政令15/2018/ND-CP」により規定されています。表示義務項目は次のとおりです。

  1. 商品名
  2. 内容量
  3. 製造年月日
  4. 賞味期限(消費期限)
  5. 商品に責任を持つ組織あるいは個人の名称と住所(輸入食品の場合は、製造者である組織・個人および商品自己公表もしくは商品公表書登録手続きを行った組織・個人の名称と住所)
  6. 原産国
  7. 成分または定量の成分
  8. 衛生安全性に関する情報と警告
  9. 使用方法・保管方法

ラベルには、ベトナム語による表記が義務付けられています。
機能性食品のラベル表示については、「政令15/2018/ND-CP」第24条に規定されています。
また、遺伝子組み換え食品のラベル表示については、「農業農村開発省・科学技術省共同通達45/2015/TTLT-BNNPTNT-BKHCN」に規定されています。なお、遺伝子組換え食品について、それぞれの遺伝子組換え成分が食品の5%以下である場合は表示が免除されています(「遺伝子組み換え生物やそのサンプル・製品の安全性に関する政令69/2010/ND-CP」第43条、「政令15/2018/ND-CP」第10条)。

7. その他

調査時点:2021年10月

「食品安全法の施行細則を定める政令15/2018/ND-CP」の第6章に基づいて、輸入される食品、食材、食品添加物、食品加工助剤、食品包装用具、食品包装材、食品容器など、すべてが検査対象となります。ただし、展示会サンプル用の食品など、検査対象外の場合もあります。
輸入される畜産加工品の検査の方法、手続きは、「輸入手続き」の「3. 輸入時の検査・検疫」を参照してください。

ベトナムでの輸入手続き

1. 輸入許可、輸入ライセンス等、商品登録等(輸入者側で必要な手続き)

調査時点:2021年10月

「外資企業の商品売買活動等に関する商法および外国貿易管理法の細則を定める政令09/2018/ND-CP」の第3条第1項および第5条によれば、日本から畜産加工品を輸入するにあたって、外資企業は事前に商工省から外資企業の営業許可書(輸入)を取得する必要はありません。

2. 輸入通関手続き(通関に必要な書類)

調査時点:2021年10月

「財務省通達38/2015/TT-BTC」(同省通達39/2018/TT-BTCおよび通達81/2019/TT-BTCにより改正)では一般的な通関検査、通関手続きなどを規定しています。
通関申告は通関データ処理システム(VNACCS)を用いてオンラインで行われ、申告書、インボイス、船荷証券、価値申告書、商品証明書といった書類が通関申告の登録のために必要になります。通関申告の登録が承認された場合、VNACCSによって申告番号が付与されます。その後、通関に必要な検査内容(審査・検査なし、書面審査、貨物検査の3レベルがあります)が決定され、VNACCS上で通知されます。また、通関には、動物検疫、食品安全検査などに合格していること、関税がすべて納付されることが必要となります。

なお、税関職員の裁量と慣行によって、実際には法令とは異なる手続きがなされることがあることにも注意する必要があります。

3. 輸入時の検査・検疫

調査時点:2021年10月

検査
「食品安全法の施行細則を定める政令15/2018/ND-CP」第6章および農業農村開発省通達15/2018/TT-BNNPTNT」の付録1第12項目によると、畜産加工品は輸入時の食品安全検査の対象となります。(ただし、商品公表書登録の受取書が発行された商品など、「政令15/2018/ND-CP」第13条に定める場合は、この検査が免除されます)。
検査の方式としては、簡易検査・通常検査および厳重検査があります。原則として通常検査の方式が適用されますが、次に該当する場合は、簡易検査または厳重検査が適用されます。
  1. 簡易検査の適用
    1. ベトナムが加盟している食品安全相互認定に関する国際条約を締結している国の機関、組織により食品安全に関する要求に到達していると認定された場合:ベトナム法令に適合する輸入ロットおよび商品に対する輸出国の権限のある機関による検査結果がある場合。
    2. 12カ月以内に行った通常検査により輸入要件合格通知書を連続で3回取得した商品。
    3. GMP、HACCP、ISO22000、IFS、BRC、FSSC22000の品質管理基準またはそれと同等な基準を適用している事業所で生産された商品。
  2. 厳重検査の適用
    1. 前回の検査における輸入要求レベルに到達していなかった輸入ロットおよび商品。
    2. 前回の監査、検査(ある場合)において基準を満たさなかったロット、商品。
    3. 保健省、農業農村開発省、商工省、省級の人民委員会または権限を有する外国の機関あるいは生産業者からの警告がある場合。
    なお、前述の2.(i)および(ii)について厳重検査を連続3回合格した場合、または前述の2.(iii)について、保健省、農業農村開発省もしくは商工省から厳重検査適用の停止通知書がある場合において、厳重検査から通常検査に変更されます。 食品安全検査を申請する際の書類として、次のものを検査実施機関に提出します(通常検査の場合)。
    1. 食品安全検査申請書(正本)
    2. 商品自己公表書
    3. パッキングリストの写し
    4. 輸出国の所轄機関により発行された食品安全証明書(正本)(なお、ソーセージなどの加工包装済み食品の場合はこれを提出する必要はありません)
    食品安全検査の手段としては、書類検査ですが、厳重な検査の場合はサンプル検査も行われます。
    食品安全検査に合格すると、輸入要件合格通知書が発行されます。輸入者は同通知書を税関当局に提出します。
検疫
「通達25/2016/TT-BNNPTNT」(通達35/2018/TT-BNNPTNTによる一部修正)付録Iおよび「農業農村開発省の管轄範囲に属する商品のHSコード一覧表に関する通達15/2018/TT-BNNPTNT」の付録I第1項目に基づき、輸入される畜産加工品は動物検疫の対象となります。
同通達第9条によると、動物検疫では、ナショナルシングルウインドウまたは郵便の方法、あるいは電子メール・ファックスでスキャンデータを送付してから原本を提出することにより、動物検疫申請書を農業農村開発省獣医局に提出します。同局は輸出国の衛生管理状況などを考慮したうえで動物検疫許可証を発行します。その後、所定の書式の検疫申告書および輸出国が発行した食肉衛生証明書(輸入規制「3.動植物検疫の有無」を参照)を輸出の目的地の港の動物検疫当局に提出し、動物厚生衛生基準を満たしたと判断されると、同局から動物検疫証が発行されます。

4. 販売許可手続き

調査時点:2021年10月

畜産加工品の輸入・販売には次の手続きが必要になります。

1.食品安全要件充足施設証明書
食品安全法(マスタープランに関連する11法律の一部の条項を改正・補足する法律 28/2018/QH14により一部改正)の第34条および「食品安全法の施行細則を定める政令15/2018/ND-CP」の第11条および第12条によれば、包装済み食品に該当する場合などを除き、畜産加工品を製造または販売する企業は、食品安全要件充足施設証明書を取得することが必要です。
同証明書の取得の条件は食品安全法第34条第1項に規定されています。
2.商品自己公表または商品公表書登録
「食品安全法の施行細則を定める政令15/2018/ND-CP」第4条および第5条によると、加工包装済み食品を輸入する企業は、商品自己公表手続きを行う必要があります。商品自己公表に際しては、(i)所定の書式の商品自己公表書、および(ii)商品テスト結果が必要となります。商品テスト結果は12カ月以内に実施されたもので、ベトナム当局が承認するか所定の研究機関が定める技術基準に基づくテストでなければなりません。同手続きは、輸入する前ではなく、販売する前に行う必要であるものなで、製品を輸入次第、ベトナム国内の所定研究機関に依頼しても可能なので、輸入の前にベトナムへのサンプル送付が求められていないと考えられます。
事業者は、これらの書類をマスメディアまたは自己のウェブサイトもしくは所在地において公表し、かつ食品安全に関するアップデートデータ情報システムに公表します。(同システムが設定されていないときは、当局へ直接あるいは郵便で送付します。それを受領した当局は、当局のウェブサイトに事業所名および公表された商品名を掲載します。) ただし、輸出商品の加工もしくは個人・組織内使用のために輸入する商品または原料は、商品自己公表手続きを行う必要はありません。
なお、健康食品、医学的な栄養食品、特別用途食品および36カ月以下の子供用の栄養食品に該当する畜産加工品を輸入する企業は、「政令15/2018/ND-CP」第6条、第7条、第8条によると、保健省(健康食品の場合)または保健局(医学的な栄養食品、特別用途食品および36カ月以下の子供用の栄養食品の場合)において商品公表書登録手続きを行う必要があります。
商品公表書登録に際しては、前述の(i)および(ii)の書類に加え、輸出国の当局により発行された自由販売証明書(Certificate of free sale)もしくは輸出証明書(Certificate of Exportation)あるいは保健証明書(Health Certificate)、公表した製品もしくは製品の構成分の作用を証明する科学的な証拠、適正製造規範(GMP:Good Manufacturing Practice)に適合した施設に発給される食品安全条件充足証明書もしくはそれに相当する証明書(健康食品の場合)を、オンラインパブリックサービスシステムもしくは郵便あるいは直接当局に提出します。当局が審査のうえ、商品公表書登録受取書を発行し、ウェブサイトならびに食品安全に関するデータベースにおいて登録した事業者およびその商品の名称を公開します。
3.輸入事業者の要件
ベトナム企業と外資企業で根拠法令が異なります。
ベトナム企業の場合は、特別な規制の対象品目を除き、輸入事業を行うためのビジネスライセンスなしで輸入許可申請を行うことなく食品を輸入できます。
外資企業の場合は、活動許可書(計画投資局からの投資ライセンス)にベトナムのWTO加盟以降「輸入・流通業務」の追加手続きがなされていることが条件となります(「外国貿易管理法の施行細則を定める政令69/2018/ND-CP」第3条)。
「外資企業の流通関連ビジネスに関する商法施行政令09/2018/ND-CP」の第5条によれば、外資企業は、畜産加工品の輸入および卸売販売について事前に商工省から営業許可書(輸入・卸売販売)を取得する必要はありません。また、小売店舗を設立する場合は、営業許可書に加え、同政令第22条ないし第29条に基づき、商工局から小売店舗の設立許可証を取得する必要があります。
畜産加工品の販売については「食品販売事業所への安全確保の一般条件」に関する内容が「食品安全法」の第4章に定められています。また、小型販売店の場合、「食品安全法」の第22条「小型の食品販売事業所への食品安全の条件」に基づいて、拠点、設備、食品、食品販売担当者などの食品安全条件を順守しなければなりません。
卸売業・小売業でベトナムに進出する場合については、関連リンク「その他参考情報」の「貿易・投資相談Q&Aamp;卸売業・小売業で進出する際の留意点:ベトナム」(ジェトロ)を参照してください。

5. その他

調査時点:2021年10月

なし

ベトナム内の輸入関税等

1. 関税

調査時点:2021年10月

ベトナムに輸入される畜産加工品は、関税の対象となります。
「政令122/2016/ND-CPおよび政令125/2017/ND-CPを改正、補足する政令57/2020/ND-CP」に添付される輸入税表に基づく、畜産加工品の優遇輸入関税率(最恵国税率(MFN))は次のとおりです。

畜産加工品の優遇輸入関税率(最恵国税率(MFN))
HSコード 製品 税率(%)
1601 ソーセージその他これに類する物品、これらの物品をもととした調製食料品 22
1602 その他の調製をし、保存に適する処理をした肉、くず肉、血
1602.41 - もも肉およびこれを分割したもの 22
1602.42 - 肩肉およびこれを分割したもの 22
1602.49 - そのほかのもの(混合物を含む。) 22

日本から輸入する場合は、日本・ASEAN包括的経済連携協定(AJCEP)、日本・ベトナム経済連携協定(VJEPA)の税率を適用することができます。

1. AJCEPの特別優遇税率
AJCEPの適用を受けるためには、次の条件をすべて満たしている必要があります。
  • 「政令160/2017/ND-CP」に添付される優遇輸入関税の商品リストに記載されていること
  • 輸出国がAJCEPの加盟国であること
  • 商工省が規定する輸出国(AJCEPの加盟国)からベトナムに直接出荷される商品であること
  • 日本・ASEAN包括的経済連携協定(AJCEP))の商品の原産地に関する規定を満たし、商工省が定める特定原産地証明書(C/O、AJフォーム)(日本商工会議所発給のものに限る)を取得すること
畜産加工品の特別優遇輸入関税率 AJCEP (%)
HSコード 2018年1月1日-2018年3月31日 2018年4月1日-2019年3月31日 2019年4月1日-2020年3月31日 2020年4月1日- 2021年3月31日 2021年4月1日- 2022年3月31日 2022年4月1日- 2023年3月31日
1601.00.00 15 13 10 8 5 3
1602.41.00 15 13 10 8 5 3
1602.42.00 15 13 10 8 5 3
1602.49.00 15 13 10 8 5 3
なお、AJCEPは2002版HSコードで規定されています。
2. VJEPAの特別優遇税率
VJEPAの特別優遇税率の適用を受けるためには、次の条件をすべて満たしている必要があります。
  • 「政令 155/2017/ND-CP」に添付される優遇輸入関税の商品リストに該当すること
  • 日本からベトナムへ輸入されること
  • 日本からベトナムに直接出荷される商品であること
  • VJEPAの商品の原産地に関する規定を満たし、商工省が定める特定原産地証明書(C/O、JVフォーム)(日本商工会議所発給のものに限る)を取得すること
畜産加工品の特別優遇輸入関税率 VJEPA (%)
HSコード 2018年1月1日-2018年3月31日 2018年4月1日-2019年3月31日 2019年4月1日-2020年3月31日 2020年4月1日- 2021年3月31日 2021年4月1日- 2022年3月31日 2022年4月1日- 2023年3月31日
1601.00.00 17,5 15 12,5 10 7,5 5
1602.41.00 17,5 15 12,5 10 7,5 5
1602.42.00 17,5 15 12,5 10 7,5 5
1602.49.00 17,5 15 12,5 10 7,5 5
なお、VJEPAは2007年版HSコードで規定されています。
3.CPTPP (TPP11) の特別優遇税率を適用する場合
CPTPP(TPP11)の特別優遇税率の適用を受けるためには、次の条件をすべて満たしている必要があります。
  • 「政令57/2019/ND-CP」に添付される優遇輸入関税の商品リストに該当すること
  • 日本(またはほかの締約国)からベトナムへ輸入されること
  • 日本(またはほかの締約国)からベトナムに直接出荷される商品であること
  • CPTPPの商品の原産地に関する規定を満たし(品目別規則などは「通達03/2019/TT-BCT」(「通達06/2020/TT-BCT」により一部改正)に規定)、生産者または輸出者が自ら原産性を証明すること(※)
※CPTPPは自己申告制度のため、生産者または輸出者が自ら原産地証明書を作成し、ベトナム輸入時に税関に提出します。輸入者が作成する原産地証明書はベトナムではまだ認められていません(協定本文 第3.20条第1項注2)。また、日本商工会議所の特定原産地証明書発給は行われません。
※ベトナムから日本に輸入する場合は、商工省管轄の発給機関でCOフォーム(フォームCPTPP)発給を受ける(協定本文 付属書三-A 5項(b))か、または日本の輸入者が自ら作成し、日本輸入時に税関に提出するかのいずれかとなり、日本からベトナムに輸出する場合と手続きが異なります。
CPTPP協定発効後8年目~11年目に、日本から輸入する肉加工品に対する輸入関税率は0%になります(1年目は2019年1月14日~2019年12月31日、2年目以降は暦年)。
豚肉の畜産加工品の特別優遇輸入関税率 CPTPP (%)
HSコード 1年目 2年目 3年目 4年目 5年目 6年目 7年目 8年目 9年目 10年目から
1601.00.00 19.8 17.6 15.4 13.2 11 8.8 6.6 4.4 2.2 0
1602.41.00 19.8 17.6 15.4 13.2 11 8.8 6.6 4.4 2.2 0
1602.42.00 19.8 17.6 15.4 13.2 11 8.8 6.6 4.4 2.2 0
1602.49.11 19.2 16.5 13.7 11 8.2 5.5 2.7 0 0 0
1602.49.19 19.8 17.6 15.4 13.2 11 8.8 6.6 4.4 2.2 0

「政令57/2019/ND-CP」によると、日本から輸入する畜産加工品の各種製品のCPTPPに基づく2021年および2022年の特別優遇輸入関税率は次のとおりです。

HSコード 税率(%)
2021年1月1日 - 2021年12月31日 2022年1月1日 - 2022年12月31日
1601.00.00 13.2 11
1602.41.00 13.2 11
1602.42.00 13.2 11
1602.49.11 11 8.2
1602.49.19 13.2 11

関連リンク

関係省庁
ベトナム税関総局(ベトナム語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
ベトナム財務省(ベトナム語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
ベトナム商工省(ベトナム語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
関税法 54/2014/QH13(ベトナム語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(545KB)
輸入クオータ枠を超える輸入量に対する輸入税率および品目、混合税・上限税率および品目、優遇輸入税率表、輸出税率表について規定する政令122/2016/ND-CP(ベトナム語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(12.1MB)(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(248KB)
政令122/2016/ND-CP号を改正・補足する政令125/2017/ND-CP(ベトナム語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
政令122/2016/ND-CPおよび政令125/2017/ND-CPを改正・補足する政令57/2020/ND-CP(ベトナム語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
※当該政令が長いため、全文は8つのPDFに分けて掲載されています。
VJEPAの特別優遇税率を規定する政令155/2017/ND-CP(ベトナム語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(376KB)
税率表PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(6.4MB)
AJCEPの特別優遇税率を規定する政令160/2017/ND-CP(ベトナム語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(375KB)
税率表PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(18.3MB)
CPTPPに基づく2019年~2022年の特別優遇税率を規定する政令57/2019/ND-CP(ベトナム語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
※該当の政令が長いため、全文は8つのPDFに分けて掲載されています。
CPTPPの原産地規則を規定する通達03/2019/TT-BCT(ベトナム語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
通達03/2019/TT-BCTを改正・補足する通達06/2020/TT-BCT(ベトナム語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
その他参考情報
AJCEPJ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
VJEPA外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
ベトナムの輸入関税率CPTTP(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(11.0MB)
世界各国の関税率(World Tariff)

2. その他の税

調査時点:2021年10月

「財務省通達83/2014/TT-BTC」の第3条第2項(d)および同通達に添付される付加価値税(VAT)率表に基づき、豚肉からの畜産加工品(HS コード: 16.01、16.02)のVATは次のとおりです。

  • 輸入段階:10%
  • 販売段階:10%

3. その他

調査時点:2021年10月

なし

その他

調査時点:2021年10月

なし