日本からの輸出に関する制度

鶏肉の輸入規制、輸入手続き

品目の定義

本ページで定義する鶏肉のHSコード

0207.11:肉および食用のくず肉 [鶏(ガルルス・ドメスティクス)]-分割していないもの(生鮮のものおよび冷蔵したものに限る)
0207.12:肉および食用のくず肉 [鶏(ガルルス・ドメスティクス)]-分割していないもの(冷凍したものに限る)
0207.13:肉および食用のくず肉 [鶏(ガルルス・ドメスティクス)]-分割したものおよびくずのもの(生鮮のものおよび冷蔵したものに限る)
0207.14:肉および食用のくず肉 [鶏(ガルルス・ドメスティクス)]-分割したものおよびくずのもの(冷凍したものに限る)

ベトナムの輸入規制

1. 輸入禁止(停止)、制限品目(放射性物質規制等)

調査時点:2021年10月

日本産鶏肉はベトナムに輸出することができます。「外国貿易管理法の施行細則を定める政令69/2018/ND-CP」の別表1のIIに輸入禁止品目が挙げられていますが、鶏肉は対象外となっています。

輸出可能な鶏肉には条件があり、対ベトナム輸出食鳥肉取扱施設として登録された施設で製造された生肉およびそのほかの可食部分であって、冷蔵または冷凍のものとされています。

東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う輸入規制は既に撤廃されています。

なお、鳥インフルエンザ発生県からベトナムへの輸出が、次のとおり2021年3月、4月、5月または6月から再開されました(福岡県および兵庫県:3月9日、奈良県および大分県:3月12日、和歌山県および滋賀県:3月15日、広島県および岡山県:3月18日、高知県および香川県:3月29日、岐阜県および鹿児島県:4月19日、富山県:4月30日、徳島県および茨城県:5月17日、宮崎県:5月31日、栃木県および千葉県:6月30日)。

2. 施設登録、輸出事業者登録、輸出に必要な書類等(輸出者側で必要な手続き)

調査時点:2021年10月

施設登録
「食品安全法の施行細則を定める政令15/2018/ND-CP」第6章によると、海外からベトナムに畜産物を輸入する場合、輸出国の所轄機関は、国および生産販売事業所の施設登録手続きを行う必要があります(畜産物が加工・包装済み食品である場合、または同政令第13条に定める輸入食品安全検査の免除対象に該当する場合は除きます)。 当該登録について、日本は、ベトナム農業農村開発省により動物の肉および食肉製品をベトナムへ輸出する国として認定されましたが、生産販売事業所のリストに登録されていない事業所はその施設登録を行う必要があります。詳しくは農林水産省のウェブサイト「証明書や施設認定の申請 アジア」から「ベトナム」を参照してください。

3. 動植物検疫の有無

調査時点:2021年10月

鶏肉は、動物検疫の対象となります(農業農村開発省の「動物由来食品の検疫を規定する通達25/2016/TT-BNNPTNT」(同省通達35/2018/TT-BNNPTNTによる一部修正)および「農業農村開発省の管轄範囲に属する商品のHSコード一覧表に関する通達15/2018/TT-BNNPTNT」付録I第1項目)。輸出国で発行された輸出検疫証明書および食肉衛生証明書の提出が要求されます。
ベトナム向けに鶏肉を輸出しようとする際には、日本国内で当該食肉の処理を行った登録施設を管轄する食肉衛生検査所または保健所に、食肉衛生証明書の発行を申請する必要があります。その後、食肉衛生証明書を添えて動物検疫所で輸出検査を受け、輸出検疫証明書の発行を受ける必要があります。詳細は関連リンクの農林水産省「証明書や施設認定の申請 アジア」からベトナムの「ベトナム向け輸出食鳥肉の取扱要綱」を確認してください。

ベトナムの食品関連の規制

1. 食品規格

調査時点:2021年10月

鶏肉は、ベトナムの国家規格(QCVN)が定められていません。

2. 残留農薬および動物用医薬品

調査時点:2021年10月

鶏肉は、残留農薬規制の対象となります。ベトナムでは使用される農薬についてポジティブリスト制を採用しており、「食品中に含まれる農薬の最大許容量を規定する保健省通達50/2016/TT-BYT」の付録において、農薬および食品の種類ごとに日常許容摂取値(ADI値)および最大残留許容値(MRL値)が定められています。加えて、「保健省決定46/2007/QD-BYTを一部改正する保健省通達24/2013/TT-BYT」に添付される「食品における動物用薬品の最大残留許容値に関する規制」の第4条において、動物用医薬品の残留についてMRL値の規制が定められています。法令に記載されていない農薬または動物用医薬品の残留は認められていません。

3. 重金属および汚染物質

調査時点:2021年10月

鶏肉は、重金属および汚染物質規制の対象となります。最大残留基準値(MRL)は、「食品中の重金属の最大残留基準値を規定する国家規格QCVN8-2:2011/BYT」の第2章において、ヒ素、カドミウム、鉛、水銀、メチル水銀、スズについて、食品の種類ごとに定められています。法令に記載されていない重金属の含有は認められていません。
鶏肉における重金属のMRL値は次のとおりです。

  • カドミウム:0.05(mg/kg)(家禽の肝臓の場合は0.5 mg/kg、腎臓の場合は1.0 mg/kg)
  • 鉛:0.1(mg/kg)(くず肉の場合は0.5 mg/kg)

このほか、「食品中にある有毒菌類の最大残留基準値を規定する国家規格QCVN8-1:2011/BYT」にて有毒菌類、「食品中にある微生物の最大残留基準値を規定する国家規格QCVN8-3:2012/BYT」にて微生物、「食品中に含まれる生物的・化学的汚染の最大許容量に関する保健省決定46/2007/QD-BYT」の第7章および「溶媒である製造助剤許容値を規定する国家規格QCVN18-1:2015/BYT」にて食品の製造助剤許容値についても規制をしています。

4. 食品添加物

調査時点:2021年10月

鶏肉は食品添加物規制の対象となります。 ベトナムで使用可能な食品添加物リストおよび使用対象食品ごとにおけるその最大許容値(ML値)は「保健省通達24/2019/TT-BYT」で定められています。ポジティブリスト形式で規定されているため、同リストに記載のない食品添加物の使用、販売、輸出入は認められません。 また、食品添加物は、次の(1)および(2)に該当する場合に限り、使用することができます。

  1. ヒトの健康を損なうおそれがなく、消費者を欺くことなく、必要とされる効果を発揮する。
  2. 次のア~ウの目的を達成するために、より経済的かつ技術的に効果のあるその他の方法がない。
    1. 食品の栄養価値の維持
    2. 食品の品質・安定性維持の強化または感覚刺激性の改善(消費者を欺く性質・品質の変更を伴わないもの)
    3. 食品の製造・輸送の補助(低品質な原材料の使用または不適切な製造・技術により発生する影響を隠す目的ではないもの)

新たな効果がある混合食品添加物、前述のリストに記載のない食品添加物、または前述のリストに記載される使用対象食品以外の食品への食品添加物の使用については、使用または販売する前に、「食品安全法の施行細則を定める政令15/2018/ND-CP」第6条~第8条による商品公表書登録手続きを行う必要があります。

このほか、「食品中に含まれる生物的・化学的汚染の最大許容量に関する保健省決定46/2007/QD-BYT」の第7章および「溶媒である製造助剤許容値を規定する国家規格QCVN 18-1:2015/BYT」において食品の製造助剤許容値についても規制しています。

5. 食品包装(食品容器の品質または基準)

調査時点:2021年10月

輸出食品の包装および容器は、「食器と接触する容器・包装に対する安全衛生の国家技術規格を定める通達34/2011/TT-BYT」および「食品に直接接触するガラス、陶磁器等の容器・包装に関する通達35/2015/TT-BYT」に添付の各品質基準に合致することが求められます。合成樹脂、ゴム、金属それぞれの材料により安全衛生の国家技術規格が異なるため注意する必要があります。
また、食品に直接接触するプラスチック容器の場合は、次の基準を満たすことが求められています。

  1. ポリエチレンに関する基準TCVN6514-1:1999(AS2070-1:1995(E))
  2. ポリ塩化ビニルに関する基準TCVN 6514-2:1999 (AS 2070 – 2 : 1993 (E))
  3. アクリロニトリルのプラスチック材料に関する基準TCVN 6514-4:1999 (AS 2070 – 4 : 1993 (E))
  4. ポリプロピレンに関する基準TCVN 6514-5:1999 (AS 2070 – 5 : 1993 (E))
  5. 着色剤に関する基準TCVN 6514-6:1999 (AS 2070 – 6 : 1993 (E))
  6. ポリ塩化ビニリデンに関する基準TCVN 6514-7:1999 (AS 2070 – 7: 1993 (E))
  7. その他の添加剤に関する基準TCVN 6514-8:1999 (AS 2070 – 8: 1992 (E))

なお、食品をベトナムに輸出後に、ベトナムにおいて包装および容器に封入する場合、当該包装および容器は、これらの規定に従うほか、商品自己公表手続きが必要となる場合があります(食品安全法の施行細則を定める政令15/2018/ND-CPの第4.1条)。詳細は「輸入手続き_4.販売許可手続き」をご確認下さい。

関連リンク

根拠法等
食品と接触する容器・包装に対する安全衛生の国家技術規格を定める通達34/2011/TT-BYT(ベトナム語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
その他参考情報
食品安全法の施行細則を定める政令15/2018/ND-CP(ベトナム語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(ジェトロ仮訳)PDFファイル(782KB)
食品に直接接触する容器に関する国家規格 QCVN 12-1:2011/BYT(ベトナム語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
食品に直接接触する容器に関する国家規格 QCVN 12-2:2011/BYT(ベトナム語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
食品に直接接触する容器に関する国家規格 QCVN 12-3:2011/BYT(ベトナム語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
食品に直接接触する容器に関する国家規格 QCVN 12-4:2015-BYT(ベトナム語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
食品に直接接触するプラスチック容器(ポリエチレン)に関する基準TCVN6514- 1:1999(ベトナム語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
食品に直接接触するプラスチック容器(ポリ塩化ビニル)に関する基準TCVN6514- 2:1999外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
食品に直接接触するプラスチック容器(スチレンのプラスチック材料)に関する基準TCVN6514- 3:1999(ベトナム語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
食品に直接接触するプラスチック容器(アクリロニトリルのプラスチック材料)に関する基準TCVN6514- 4:1999(ベトナム語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
食品に直接接触するプラスチック容器(ポリプロピレン)に関する基準TCVN6514- 5:1999(ベトナム語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
食品に直接接触するプラスチック容器(着色剤)に関する基準TCVN6514- 6:1999(ベトナム語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
食品に直接接触するプラスチック容器(ポリ塩化ビニリデン)に関する基準TCVN6514- 7:1999(ベトナム語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
食品に直接接触するプラスチック容器(その他の添加剤)に関する基準TCVN6514- 8:1999(ベトナム語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
ジェトロ「海外向け食品の包装制度調査(EU、TPP、米国、中国、韓国、台湾、インド、タイ、インドネシア、GCC、メルコスール)」(2020年3月)

6. ラベル表示

調査時点:2021年10月

鶏肉のラベル表示は、「商品のラベルに関する政令43/2017/ND-CP」および「食品安全法の施行細則を定める政令15/2018/ND-CP」により規定されています。表示義務項目は次のとおりです。

  1. 商品名
  2. 商品に責任を有する組織あるいは個人の名称と住所(輸入食品の場合は、製造者である組織・個人および商品自己公表もしくは商品公表書登録手続きを行った組織・個人の名称と住所)
  3. 原産国
  4. 内容量(正味重量)
  5. 製造年月日
  6. 賞味期限
  7. 成分または定量の成分
  8. 食品安全に関する情報と警告
  9. 使用方法・保管方法

ラベルには、ベトナム語による表記が義務付けられています。
また、遺伝子組み換え食品のラベル表示については、「農業農村開発省・科学技術省共同通達45/2015/TTLT-BNNPTNT-BKHCN」に規定されています。なお、それぞれの遺伝子組換え成分が食品の5%以下である場合は表示が免除されています(政令69/2010/ND-CP第43条、「食品安全法の施行細則を定める政令15/2018/ND-CP」第10条)。

7. その他

調査時点:2021年10月

「食品安全法の施行細則を定める政令15/2018/ND-CP」の第6章に基づいて、輸入される食品、食材、食品添加物、食品加工助剤、食品包装用具、食品包装材、食品容器など、すべてが検査対象となります。ただし、展示会サンプル用の食品など、検査対象外の場合もあります。
輸入される鶏肉の検査の方法、手続きは、「輸入手続き」の「3.輸入時の検査・検疫」を参照してください。

ベトナムでの輸入手続き

1. 輸入許可、輸入ライセンス等、商品登録等(輸入者側で必要な手続き)

調査時点:2021年10月

「外資企業の商品売買活動等に関する商法および外国貿易管理法の細則を定める政令09/2018/ND-CP」の第3条第1項および第5条によれば、日本から鶏肉を輸入するにあたって、外資企業は事前に商工省から外資企業の営業許可書(輸入)を取得する必要はありません。

2. 輸入通関手続き(通関に必要な書類)

調査時点:2021年10月

「財務省通達38/2015/TT-BTC」(「同省通達39/2018/TT-BTC」および「通達81/2019/TT-BTC」により改正)では、一般的な通関検査、通関手続きなどを規定しています。 通関申告は通関データ処理システム(VNACCS)を用いてオンラインで行われ、申告書、インボイス、船荷証券、価値申告書、商品証明書といった書類が通関申告の登録のために必要になります。通関申告の登録が承認された場合、VNACCSによって申告番号が付与されます。その後、通関に必要な検査内容(審査・検査なし、書面審査、貨物検査の3レベルがあります)が決定され、VNACCS上で通知されます。また、通関には、植物検疫、食物安全検査などに合格し、必要な要件をすべて満たしていること、関税などがすべて納付されることが必要となります。
なお、税関職員の裁量と慣行によって、実際には法令とは異なる手続きがなされる場合があることにも注意する必要があります。

3. 輸入時の検査・検疫

調査時点:2021年10月

検査
「食品安全法の施行細則を定める政令15/2018/ND-CP」第6章によると、鶏肉は輸入時の食品安全検査の対象となります(ただし、商品公表書登録の受取書が発行された商品など、「政令15/2018/ND-CP」第13条に定める場合は、この検査が免除されます)。
検査の方式としては、簡易検査・通常検査および厳重な検査があります。原則として通常検査の方式が適用されますが、次に該当する場合は、簡易検査または厳重検査が適用されます。
  1. 簡易検査の適用
    1. ベトナムが加盟している食品安全相互認定に関する国際条約を締結している国の機関、組織により食品安全に関する要求に到達していると認定された場合:ベトナム法令に適合する輸入ロットおよび商品に対する輸出国の権限のある機関による検査結果がある場合。
    2. 12カ月以内に行った通常検査により輸入要件合格通知書を連続で3回取得した商品。
    3. GMP、HACCP、ISO22000、IFS、BRC、FSSC22000の品質管理基準またはそれと同等な基準を適用している事業所で生産された商品。
  2. 厳重検査の適用
    1. 前回の検査における輸入要求レベルに到達していなかった輸入ロットおよび商品。
    2. 前の監査、検査(ある場合)において基準を満たさなかったロット、商品。
    3. 保健省、農業農村開発省、商工省、省級の人民委員会または外国にある権限を有する機関あるいは生産業者からの警告がある場合。

なお、前述の2.の(a)および(b)について厳重検査を連続3回合格した場合、または前述の2.の(c)について、保健省、農業農村開発省もしくは商工省から厳重検査適用の停止通知書がある場合において、厳重検査から通常検査に変更されます。
食品安全検査を申請する際の書類として、次のものを検査実施機関に提出します(通常検査の場合)。

  1. 食品安全検査申請書(正本)
  2. 商品自己公表書
  3. パッキングリストの写し
  4. 輸出国の所轄機関により発行された食品安全証明書(正本)(なお、ソーセージなどの加工包装済み食品の場合はこれを提出する必要はありません)

食品安全検査の手段としては、書類検査ですが、厳重検査の場合はサンプル検査も行われます。
食品安全検査に合格すると、輸入要件合格通知書が発行されます。輸入者は同通知書を税関当局に提出します。

検疫
輸入される鶏肉は動物検疫の対象となります(農業農村開発省の「動物由来食品の検疫を規定する通達25/2016/TT-BNNPTNT」(同省通達35/2018/TT-BNNPTNTによる一部修正)および「農業農村開発省の管轄範囲に属する商品のHSコード一覧表に関する通達15/2018/TT-BNNPTNT」の付録I第1項目)。
「通達25/2016/TT-BNNPTNT」(同省通達35/2018/TT-BNNPTNTによる一部修正)によると、動物検疫では、ナショナルシングルウインドウまたは郵便の方法、あるいは電子メール・ファックスでスキャンデータを送付してから原本を提出することにより、動物検疫申請書を農業農村開発省獣医局に提出します。同局は輸出国の衛生管理状況などを考慮したうえで動物検疫許可証を発行します。その後、所定の書式の検疫申告書および輸出国が発行した食肉衛生証明書(輸入規制「3.動植物検疫の有無」を参照)を輸出の目的地の港の動物検疫当局に提出し、動物厚生衛生基準を満たしたと判断されると、同局から動物検疫証が発行されます。

4. 販売許可手続き

調査時点:2021年10月

鶏肉の輸入・販売には次の手続きが必要になります。

  1. 食品安全要件充足施設証明書
    食品安全法の第34条および「食品安全法の施行細則を定める政令15/2018/ND-CP」の第11条および第12条によれば、包装済み食品に該当する場合などを除き、鶏肉を製造または販売する企業は、食品安全要件充足施設証明書を取得することが必要です。
    同証明書の取得の条件は食品安全法第34条第1項に規定されています。
  2. 商品自己公表または商品公表書登録
    「食品安全法の施行細則を定める政令15/2018/ND-CP」第4条および第5条によると、加工包装済み食品を輸入する企業は、商品自己公表手続きを行う必要があります。商品自己公表に際しては、(i)所定の書式の商品自己公表書、および(ii)商品テスト結果(12カ月以内に実施されたもの。ベトナム当局が承認するか所定の研究機関が定める技術基準に基づくテストであること)が必要となります。事業者は、これらの書類をマスメディアまたは自己のウェブサイトもしくは所在地において公表し、食品安全に関するアップデートデータ情報システムに公表します(同システムが設定されていないときは、当局へ直接あるいは郵便で送付します。それを受領した当局は、当局のウェブサイトに事業所名および公表された商品名を掲載します)。ただし、輸出商品の加工もしくは個人・組織内使用のために輸入する商品または原料は商品自己公表手続きを行う必要はありません。
    なお、遺伝子組み換えがなされた鶏に由来する食肉の場合は、さらに当該遺伝子組み換え動物による製品が食事用条件を満たす証明書を取得する必要があります。当該証明書は政令69/2010/ND-CP(政令108/2011/ND-CPにより改正)に定められます。
  3. 輸入事業者の要件
    ベトナム企業と外資企業で根拠法令が異なります。
    ベトナム企業の場合は、特別な規制の対象品目を除き、輸入事業を行うためのビジネスライセンスなしで輸入許可申請を行うことなく食品を輸入できます。
    外資企業の場合は、活動許可書(計画投資局からの投資ライセンス)にベトナムのWTO加盟以降「輸入・流通業務」の追加手続きがなされていることが条件となります(外国貿易管理法の施行細則を定める政令69/2018/ND-CP第3条)。
    「外資企業の流通関連ビジネスに関する商法施行政令09/2018/ND-CP」の第5条によれば、外資企業は、鶏肉の輸入および卸売販売について事前に営業許可書(輸入、卸売販売)を取得する必要はありませんが、小売販売については事前に商工局から外資企業の営業許可書(小売販売)を取得しなければなりません。

鶏肉の販売に関し、免許や資格などを取得する必要はありません。 鶏肉の販売については「食品販売事業所への安全確保の一般条件」に関する内容が「食品安全法」の第4章に定められています。また、小型販売店の場合、「食品安全法」の第22条「小型の食品販売事業所への食品安全の条件」に基づいて、拠点、設備、食品、食品販売担当者などの食品安全条件を順守しなければなりません。

卸売業・小売業でベトナムに進出する場合については、関連リンク「その他参考情報」の「貿易・投資相談Q&A卸売業・小売業で進出する際の留意点:ベトナム」(ジェトロ)を参照してください。

5. その他

調査時点:2021年10月

なし

ベトナム内の輸入関税等

1. 関税

調査時点:2021年10月

ベトナムに輸入される鶏肉は、関税の対象となります。
政令122/2016/ND-CPおよび政令125/2017/ND-CPを改正、補足する政令57/2020/ND-CPに添付される輸入税表に基づく、鶏肉の優遇輸入関税率(最恵国税率(MFN))は次のとおりです。

鶏肉の優遇輸入関税率最恵国税率(MFN)
HSコード 製品 税率(%)
0207.11 肉および食用のくず肉 [鶏(ガルルス・ドメスティクス)]-分割していないもの(生鮮のものおよび冷蔵したものに限る) 40
0207.12 肉および食用のくず肉 [鶏(ガルルス・ドメスティクス)]-分割していないもの(冷凍したものに限る) 40
0207.13 肉および食用のくず肉 [鶏(ガルルス・ドメスティクス)]-分割したものおよびくずのもの(生鮮のものおよび冷蔵したものに限る) 40
0207.14 肉および食用のくず肉 [鶏(ガルルス・ドメスティクス)]-分割したものおよびくずのもの(冷凍したものに限る) 20

日本から輸入する場合は、日本・ASEAN包括的経済連携協定(AJCEP)、日本・ベトナム経済連携協定(VJEPA)の税率を適用することができます。

1. AJCEPの特別優遇税率

AJCEPの適用を受けるためには、次の条件をすべて満たしている必要があります。

  • 政令160/2017/ND-CPに添付される優遇輸入関税の商品リストに記載されていること
  • 輸出国がAJCEPの加盟国であること
  • 商工省が規定する輸出国(AJCEPの加盟国)からベトナムに直接出荷される商品であること
  • 日本・ASEAN包括的経済連携協定(AJCEP)の商品の原産地に関する規定を満たし、商工省が定める特定原産地証明書(C/O、AJフォーム)(日本商工会議所発給のものに限る)を取得すること
鶏肉の特別優遇輸入関税率 AJCEP (%)
HSコード 2018年1月1日-2018年3月31日 2018年4月1日-2019年3月31日 2019年4月1日-2020年3月31日 2020年4月1日- 2021年3月31日 2021年4月1日- 2022年3月31日 2022年4月1日- 2023年3月31日
0207.11 8 6 5 4 3 1
0207.12 8 6 5 4 3 1
0207.13 8 6 5 4 3 1
0207.14 8 6 5 4 3 1

2. VJEPAの特別優遇税率

VJEPAの特別優遇税率の適用を受けるためには、次の条件をすべて満たしている必要があります。

  • 政令 155/2017/ND-CPに添付される優遇輸入関税の商品リストに該当すること
  • 日本からベトナムへ輸入されること
  • 日本からベトナムに直接出荷される商品であること
  • VJEPAの商品の原産地に関する規定を満たし、商工省が定める特定原産地証明書(C/O、JVフォーム)(日本商工会議所発給のものに限る)を取得すること
鶏肉の特別優遇輸入関税率 VJEPA (%)
HSコード 2018年1月1日-2018年3月31日 2018年4月1日-2019年3月31日 2019年4月1日-2020年3月31日 2020年4月1日- 2021年3月31日 2021年4月1日- 2022年3月31日 2022年4月1日- 2023年3月31日
0207.11 9 7.5 6 5 4 2.5
0207.12 9 7.5 6 5 4 2.5
0207.13 9 7.5 6 5 4 2.5
0207.14 9 7.5 6 5 4 2.5

3.CPTPP (TPP11) の特別優遇税率を適用する場合

CPTPP(TPP11)の特別優遇税率の適用を受けるためには、次の条件をすべて満たしている必要があります。

  • 政令57/2019/ND-CPに添付される優遇輸入関税の商品リストに該当すること
  • 日本(またはほかの締約国)からベトナムへ輸入されること
  • 日本(またはほかの締約国)からベトナムに直接出荷される商品であること
  • CPTPPの商品の原産地に関する規定を満たし(品目別規則などは通達03/2019/TT-BCTに規定)、生産者または輸出者が自ら原産性を証明すること(※)

※CPTPPは自己申告制度のため、生産者または輸出者が自ら原産地証明書を作成し、ベトナム輸入時に税関に提出します。輸入者が作成する原産地証明書はベトナムではまだ認められていません(協定本文 第3.20条第1項注2)。また、日本商工会議所の特定原産地証明書発給は行われません。
※ベトナムから日本に輸入する場合は、商工省管轄の発給機関でCOフォーム(フォームCPTPP)発給を受ける(協定本文 付属書三-A 5項(b))か、または日本の輸入者が自ら作成し、日本輸入時に税関に提出するかのいずれかとなり、日本からベトナムに輸出する場合と手続きが異なります。
CPTPP協定発効後11年目または13年目に、日本から輸入する鶏肉に対する輸入関税率は0%になります(1年目は2019年1月14日-2019年12月31日、2年目以降は暦年)。

鶏肉の特別優遇輸入関税率 CPTPP (%)
HSコード 1年目 2年目 3年目 4年目 5年目 6年目 7年目 8年目 9年目 10年目 11年目 12年目 13年目
0207.11 36.9 33.8 30.7 27.6 24.6 21.5 18.4 15.3 12.3 9.2 6.1 3 0
0207.12 36.9 33.8 30.7 27.6 24.6 21.5 18.4 15.3 12.3 9.2 6.1 3 0
0207.13 36.9 33.8 30.7 27.6 24.6 21.5 18.4 15.3 12.3 9.2 6.1 3 0
0207.14 18.1 16.3 14.5 12.7 10.9 9 7.2 5.4 3.6 1.8 0 0 0

「政令57/2019/ND-CP」によると、日本から輸入する鶏肉のCPTPPに基づく2021年および2022年の特別優遇輸入関税率は次のとおりです。

鶏肉の2021年および2022年の特別優遇輸入関税率
HSコード 税率(%)
2021年1月1日 - 2021年12月31日
税率(%)
2022年1月1日 - 2022年12月31日
0207.11 27.6 24.6
0207.12 27.6 24.6
0207.13 27.6 24.6
0207.14 12.7 10.9

関連リンク

関係省庁
ベトナム税関総局(ベトナム語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
ベトナム商工省(ベトナム語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
関税法54/2014/QH13(ベトナム語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(545KB)
輸入クオータ枠を超える輸入量に対する輸入税率および品目、混合税・上限税率および品目、優遇輸入税率表、輸出税率表について規定する政令122/2016/ND-CP(ベトナム語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(12.1MB)(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(248KB)
政令122/2016/ND-CPを改正、補足する政令125/2017/ND-CP(ベトナム語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
政令122/2016/ND-CPおよび政令125/2017/ND-CPを改正・補足する政令57/2020/ND-CP(ベトナム語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)43.1MB
※当該政令が長いため、全文は8つのPDFに分けて掲載されています。
VJEPAの特別優遇税率(2018年から2023年まで)を規定する政令155/2017/ND-CP(ベトナム語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
※税率表(​​https://trungtamwto.vn/upload/files/fta/174-da-ky-ket/187-viet-nam---nhat-ban/244-van-ban/4%20BieuthueVJEPA-2018-2023.pdf)
AJCEPの特別優遇税率(2018年から2023年まで)を規定する政令160/2017/ND-CP(ベトナム語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
CPTPPに基づく2019年~2022年の特別優遇税率を規定する政令57/2019/ND-CP(ベトナム語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(4,6MB)
※該当の政令が長いため、全文は8つのPDFに分けて掲載されています。
CPTPPの原産地規則を規定する通達03/2019/TT-BCT(ベトナム語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(5MB)
通達03/2019/TT-BCTを改正・補足する通達06/2020/TT-BCT(ベトナム語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(828KB)
その他参考情報
経済産業省 AJCEP外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますJVEPA外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
世界各国の関税率(World Tariff)
ジェトロ「ベトナムにおける関税率」PDFファイル(261KB)
ジェトロ「関税制度」(日本語)

2. その他の税

調査時点:2021年10月

「財務省通達83/2014/TT-BTC」の第3条第2項(c)および同通達に添付される付加価値税(VAT)率表に基づく鶏肉のVATは次のとおりです。

  • 輸入段階:課税対象外
  • 販売段階:5%

3. その他

調査時点:2021年10月

なし

その他

調査時点:2021年10月

なし