日本からの輸出に関する制度

コメ、米粉の輸入規制、輸入手続き

品目の定義

本ページで定義するコメ、米粉のHSコード

調査時点:2022年11月

100620 玄米
100630 精米
110290 米粉

2019年4月1日以降、農食品・獣医庁(AVA)が解体、シンガポール食品庁(SFA)が新設されたことで、AVAが所管していた輸入食品および動植物の管理・検疫業務が三つの組織へ分割移管されました。食品関連はSFAの、非食品関連は国立公園局(NParks)の管轄となり、非食品のうち動物・家畜部門はNParks内の組織である動物・獣医サービス(AVS)が担当となっています。
コメの輸入・国内流通を所管するシンガポール企業庁(Enterprise Singapore:ESG)と、輸入食品の品質・安全管理を所管するシンガポール食品庁(SFA)は、輸入管理品目であるコメや米粉のHSコードをさらに細かく分類した独自の商品コードを規定しており、輸入者は輸入許可申請の際に、HSコードとともにこの商品コードをシンガポール税関およびESGに申告することが求められます。

シンガポールの輸入規制

1. 輸入禁止(停止)、制限品目(放射性物質規制等)

調査時点:2022年11月

シンガポールの法令により輸入が禁止・制限されている品目
シンガポールへ輸出しようとするコメ、米粉は、シンガポール食品規制に規格の記載がないため、SFAに確認したところ国際規格(コーデックス委員会(CODEX)など)を満たしていなければなりません。
なお、これまでコメの食品規格は、食品規制(Food Regulations)の第IV部(食品規格と個別ラベル表示要件)第260項(コメ)に、米粉は第45項(米粉)に記載されていましたが、2022年10月3日に両方の記載が削除されました。
東京電力福島第一原子力発電所事故にかかる輸入規制
2021年5月28日付けで、東京電力福島第一原子力発電所事故にかかる輸入規制はシンガポール政府により撤廃されました。

2. 施設登録、輸出事業者登録、輸出に必要な書類等(輸出者側で必要な手続き)

調査時点:2022年11月

コメ、米粉をシンガポールへ輸出しようとする海外(マレーシアを除く)の食品事業所は、事前にシンガポール食品庁(SFA)の事業所認定を受ける必要はありませんが、SFAの「規制調達先プログラム(Regulated Source Program)」のもと、輸出国の政府管轄機関の適正な監督を受けている、あるいはSFAの認める品質保証体制を導入している事業所でなければなりません。

米粉は加工食品に分類されるため、輸入者はSFAから要請があれば提示できるように、輸出国の食品事業者から工場ライセンス(輸出国・地域の規制当局が発行)、輸出証明書(輸出国または地域の管轄食品または獣医当局が発行)、衛生証明書(輸出国または地域で管轄する食品または獣医当局が発行)や、HACCP認証、GMP認証などのいずれかの書類を事前に取得していることが望ましいです。

また、農林水産省では、販売などの目的でコメを輸出する場合には、事前に地方農政局などへ輸出数量の届け出を行うことを義務付けています。 届け出を行わなかったり、虚偽の届け出によりコメを輸出したりした場合には、20万円以下の過料に処せられることがあるため注意が必要です。詳細は関連リンクの「米麦等を輸出される方へ」(農林水産省)を確認してください。

3. 動植物検疫の有無

調査時点:2022年11月

コメを含む穀類の輸入規制は植物管理法で定められています。同法には、コメを含む植物全般の防疫について規定した植物輸入規定があります。 日本の精米および玄米をシンガポールに輸出する際には、日本の植物検疫証明書を取得する必要はありません。

シンガポールの食品関連の規制

1. 食品規格

調査時点:2022年11月

コメ、米粉の食品規格は、シンガポール食品庁(SFA)が所管する食品規制(Food Regulations)には記載がないため、一般的な国際基準、例えばコーデックス委員会(CODEX)が発行する食品規格「International Food Standards」などを順守する必要があります。

関連リンク

関係省庁
シンガポール食品庁(SFA)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
食品販売法 (Sale of Food Act)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
食品規制 (Food Regulations)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
第IV部(STANDARDS AND PARTICULAR LABELLING REQUIREMENTS FOR FOOD)第260項(Rice)に規格が掲載
その他参考情報
CODEX 食品規格 International Food Standards (英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(313KB)

2. 残留農薬および動物用医薬品

調査時点:2022年11月

シンガポールでは、国内で販売に供される食品全般の残留農薬をはじめ、残留抗生物質、残留エストロゲン、マイコトキシン、3-MCPD、メラミン、混入細菌などの偶発混入成分に関する基準を、食品規制(Food Regulations)に規定しています。

食品規制第9付表では、食品に残留する農薬の種類が列挙され、それぞれの農薬ごとに対象となる食品と使用が認められている農薬の最大残留基準値 (MRL) が明記されています(ポジティブリスト方式)。この残留農薬基準を満たさない食品の輸入、販売、広告などは禁じられています。本規定で明示されていない農薬については、原則として、コーデックス委員会(CODEX)の勧告に準じ、同委員会が設定した基準値を超えてはならないと規定されています。

残留農薬基準は、原則として農産物、水産物、畜産物を対象とするものですが、これらを原材料とする加工食品は、製造・加工の時点で使用された原材料の残留農薬が食品規制で定められた基準値以内としなければなりません。また、2種類以上の農薬が残留している食品については、それぞれの農薬について、実際の残留量を当該農薬の最大残留基準値で割った数値の合計が1を超えてはならないとされています。

関連リンク

関係省庁
シンガポール食品庁(SFA)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
食品規制 (Food Regulations)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
第3部(General Provisions)第29項~35項(Incidental constituents in food)および第9付表(Food with maximum amounts of pesticides)、第11付表(Microbiological standard for food)に農薬、細菌等の最大残留基準値が掲載

3. 重金属および汚染物質

調査時点:2022年11月

シンガポールでは、国内で販売に供される食品全般の重金属をはじめ、残留抗生物質、残留エストロゲン、マイコトキシン、3-MCPD、メラミン、混入細菌などの偶発混入成分に関する基準を、食品規制(Food Regulations)に規定しています。

コメにおける重金属の最大残留基準値は次のとおりです。

ヒ素
1 ppm
無機ヒ素
0.2ppm(精米)
0.35ppm(玄米)
2 ppm
水銀
0.05 ppm
スズ
250 ppm
カドミウム
0.2 ppm
アンチモン
1 ppm

米粉における重金属の最大残留基準値は次のとおりです。

ヒ素
1 ppm
無機ヒ素
0.2ppm
2 ppm
水銀
0.05 ppm
スズ
250 ppm
カドミウム
0.2 ppm
アンチモン
1 ppm

関連リンク

関係省庁
シンガポール食品庁(SFA)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
食品規制 (Food Regulations)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
第3部(General Provisions)第31項(Heavy metals, arsenic, lead)および第10付表(Maximum Amounts of Arsenic, Lead Permitted in Food)に重金属の最大残留基準値が掲載
その他参考情報
シンガポール食品庁(SFA) Commercial Food Imports(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

4. 食品添加物

調査時点:2022年11月

シンガポールでは、食品に使用することが認められる食品添加物は固化防止剤や酸化防止剤など、14 の機能に分類されており、食品規制(Food Regulations)で規定されている水準に従って使用されている場合、食品への使用が認められます。シンガポール食品庁(SFA)では、食品添加物をその使用が原則認められている物質を表示するポジティブリスト形式で規定していますが、風味増強剤など一部については、使用が認められていない物質のネガティブリストとして掲げています。食品規制で明示されていない食品添加物の場合、許可された食品添加物の純度は、国際連合食糧農業機関および世界保健機関(FAO/WHO)による、合同食品添加物専門家委員会が推奨する仕様に適合することが必要です。認可食品添加物および最大使用基準値は食品規制第3~第8付表および第13付表に掲載されています。

関連リンク

5. 食品包装(食品容器の品質または基準)

調査時点:2022年11月

食品に触れる容器包装は食品規制(Food Regulations)に一般規格基準が定められており、その規格基準に適合していなければなりません。個別食品に対する容器包装の規定は特に定められていません。

食品規制では、食品容器包装において、塩化ビニルモノマーの残留限度1 ppm以下を規格とし、塩化ビニルモノマーを0.01ppm以上食品中に溶出させるとみられる容器包装、あるいは発がん性、変異原性、催奇性またはほかの毒性または有害性のある物質であることが知られている化合物を食品中に溶出する可能性のある容器包装の使用を禁じています。

また、食品規制では、食品の貯蔵、準備、調理の段階で、鉛、アンチモン、ヒ素、カドミウム、その他の毒性物質を食品に付与する可能性のある器具、容器、食器の使用を禁じています。

関連リンク

関係省庁
シンガポール食品庁(SFA)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
食品規制 (Food Regulations)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
第3部(General Provisions)第37項(Containers for food)に容器包装・食器の規格が掲載
その他参考情報
シンガポール食品庁(SFA) Good Food Safety Practices(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

6. ラベル表示

調査時点:2022年11月

コメ、米粉をシンガポールで販売する時の表示義務は食品規制(Food Regulations)に規定されています。以前は個別要件がありましたが、2022年10月に削除されたため、食品全般の一般表示義務項目として、包装済み食品のラベルに次の項目を英語で表示することが求められます。1~4については印字の高さが1.5mm以下であってはなりません。

  1. 商品名または一般分類名
  2. 成分(2種類以上の成分からなる食品の場合、重量の大きい順に表示)
  3. 合成着色料名(合成着色料タートラジンなどを含有する食品の場合のみ)
  4. 内容量(正味容量または重量)
  5. 原産国および輸入者(代理人)名と住所
  6. アレルゲン表示(表示義務特定原材料8分類:グルテンを含む穀類、甲殻類、卵・卵製品、魚類・魚類製品、ピーナッツ・大豆類・それらの製品、乳・乳製品(ラクトース含む)、ナッツ類・ナッツ類製品、亜硫酸塩濃度10mg/kg以上の食品)(牛乳・乳製品は表示義務があります)
  7. 人工甘味料アスパルテームを含有する食品の場合の記載(“PHENYLKETONURICS: CONTAINS PHENYLALANINE.”)

一般表示義務項目に加えて、期限表示、ある種の甘味料を含む場合の注意事項、無糖食品や低カロリー食品などの特別目的食品の表示、栄養表示など、追加表示義務に該当する食品があります。

期限表示義務のある食品に関しては、食品規制の第2付表に記載されています。期限表示は次のいずれかの方法によるとされています。日付印は明白に表示しなければならず、文字サイズは3mm以上とされています。なお、食品規制では、消費期限と賞味期限は同義と定義されています。

  • 「消費期限日(USE BY 日・月・年)」
  • 「販売期限日(SELL BY日・月・年)」
  • 「有効期限日(EXPIRY DATE 日・月・年)」
  • 「賞味期限日(BEST BEFORE 日・月・年)」

期限が保存条件に依拠する場合には、その保存条件をラベル上に記載しなければなりません(例:「BEST BEFORE: 31 Dec 17, Store in a cool, dry place」)。すべてのコメは期限表示が義務付けられていませんが、任意で表示することは可能です。

栄養表示/カロリー表示は食品規制第8A項~第9B項および第11項に規定されています。シンガポールでは、エネルギー価(kcalまたはkJ)、タンパク質(g)、炭水化物(g)、脂質(g)、その他の栄養素の含有量(g、ナトリウム、カリウム、コレステロールなどの分量はmcgまたはmg)を、食品規制第12付表で規定された「栄養情報パネル」(nutrition information panel、栄養情報パネルはビタミン、ミネラルの表示には使用できません)を用いたラベル表示をしていない限り、「エネルギー源」、「タンパク質源」、「低カロリー」、「シュガーフリー」などと、当該食品に関する栄養面での強調表示を行うことができません。一方、ビタミンA、B1、B2、B6、B12、C、D、葉酸、ナイアシン、カルシウム、ヨウ素、鉄分、リンなどビタミンおよびミネラルの栄養表示を行う場合には、それぞれの食品に含まれるべきビタミン、ミネラルの含有成分量が1日あたり摂取目安量の6分の1以上含まれていなければならず、ビタミンおよびミネラルの強調表示を行う場合には、含有成分量が1日あたり摂取目安量の50%以上を満たさなければなりません。

包装済みのコメに「全粒(Wholegrain)」とラベル表示するには、食品規制第40A項に規定されている要件を満たす必要があります。

一方、コーデックス委員会(CODEX)によるコメの国際食品基準(International Food Standards)では、第7項にコメの品質規格および個別ラベル表示要件が定められており、コーデックス委員会(CODEX)の包装食品の表示に関する一般規格(General Standard for the Labelling of Prepackaged Foods)(CXS 1-1985)の要件に加え、次の特別規定が適用されます。

  • 商品名(Name of the product)
    ラベルに表示する製品名は、同国際食品基準第2.1 項に示す定義に従うものとする。括弧内に示した代替名称は、現地の慣行に従って使用するものとする。
  • 業務用(non-retail)容器のラベル表示
    業務用容器に表示される情報は、その容器、または添付文書に記載されなければならない。ただし、製品名、ロット番号、製造者または梱包業者の名称と住所は容器に記載される必要がある。

関連リンク

関係省庁
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根拠法等
食品販売法 (Sale of Food Act)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
食品規制 (Food Regulations)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
第3部(General Provisions)第5~12項(General requirements for labelling等)および第2付表(Date-marking of prepacked food)、第12付表(Form for nutrition information panel)に食品全般の一般表示要件が掲載、第4部(Standards and Particular Labelling Requirements For Food)第40A項(Wholegrain)に個別ラベル表示要件が掲載
計量法 (Weights and Measures Act)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
その他参考情報
シンガポール食品庁(SFA) Labelling Guidelines for Food Importers & Manufacturers(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
CODEX 食品規格 International Food Standards (英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(313KB)

7. その他

調査時点:2022年11月

なし

その他

調査時点:2022年11月

有機認証制度
シンガポールには有機農産物、有機加工食品などの法律に基づく有機認証制度または自国の有機認証機関がありません。食品規制では、コーデックス委員会(CODEX)の「有機的に生産される食品の生産、加工、表示および販売にかかるガイドライン」(GL 32-1999)の第6条3項「公的に認められた検査・認証制度」に準拠した認証制度のもとで、「『有機』と認証された食品には『有機』という語句をラベル表示できる」とされています。よって、日本の有機JAS制度による認証を受けた有機農産物および有機農産物加工食品のパッケージなどに有機JASマークを貼付してシンガポールに輸出し、店頭でそのまま有機農産物、有機加工食品として販売することは可能です。

関連リンク

関係省庁
シンガポール食品庁(SFA)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
食品規制 (Food Regulations)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
第3部(General Provisions)第9B項(Limitations on making particular statements or claims on labels)に「有機」ラベル表示の制限が掲載