日本からの輸出に関する制度

茶の輸入規制、輸入手続き

シンガポールの輸入規制

1. 輸入禁止(停止)、制限品目(放射性物質規制等)

調査時点:2022年10月

シンガポールの法令により輸入が禁止・制限されている品目
茶を含む加工食品の輸入は、シンガポール食品庁(SFA)が所管する食品販売法(Sale of Food Act)により規制されています。シンガポールへ輸出しようとする茶は食品販売法の付属法令である食品規制(Food Regulations)で定められている食品規格を満たしていなければなりません。茶の食品規格は食品規制の第IV部(食品規格と個別ラベル表示要件)第153項~第156項(茶)に記載されています。詳しくは 「食品関連の規制」の「1.食品規格」を参照してください。
東京電力福島第一原子力発電所事故にかかる輸出規制
2021年5月28日付けで、東京電力福島第一原子力発電所事故にかかる輸入規制はシンガポール政府により撤廃されました。

2. 施設登録、輸出事業者登録、輸出に必要な書類等(輸出者側で必要な手続き)

調査時点:2022年10月

茶を含む加工食品をシンガポールへ輸出しようとする海外(マレーシアを除く)の食品事業所は、事前にシンガポール食品庁(SFA)の事業所認定を受ける必要はありませんが、SFAの規制調達先プログラム(Regulated Source Program)のもと、輸出国の政府管轄機関の適正な監督を受けている、あるいはSFAの認める品質保証体制を導入している事業所でなければなりません。

輸入者はSFAから要請があれば提示できるように、輸出国の食品事業者から工場ライセンス(輸出国政府が発行)、輸出証明書(輸出国政府が発行)、衛生証明書(輸出国政府が発行)や、HACCP認証、GMP認証などのいずれかの書類を事前に取得していることが望ましいです。

3. 動植物検疫の有無

調査時点:2022年10月

日本の茶をシンガポールに輸出する際には、植物検疫証明書を取得する必要はありません。

シンガポールの食品関連の規制

1. 食品規格

調査時点:2022年10月

茶の食品規格は食品規制の第IV部(食品規格と個別ラベル表示要件)第153項~第156項(茶)に記載されています。

茶(Tea)は通常の製造工程を経て加工された、あらゆる種類のチャノキ(Camellia sinensis)の葉と芽であり、4%以上7%以下の灰分を含有し、そのうち少なくとも半分は水溶性でなければなりません。また、少なくとも30%の水溶性抽出物を含んでいる必要があります。偽造製品、枯れたあるいは腐敗した製品、カビの生えた葉や茎、または着色・その他の目的のための物質を含んではなりません。

粉茶(Tea dust, tea siftings, and tea fannings)は、塩酸に溶けない灰分が5%以下であること以外の点において、規定された茶の基準に準じていなければなりません。

インスタントティー(Instant tea)は、チャノキのいずれかの品種の健康に良い茶葉を加工した、粉末状のものでなければなりません。インスタントティーは、15%以下の灰分、6%以下の水分、4%以上のカフェイン、7%以上のタンニンを含み、一方で着色料を含んではいけません。またインスタントティーは、沸騰したお湯を注ぎ、適度に攪拌した状態で30秒以内に溶け、淹れたての茶と同じような色、味、風味を有している必要があります。

抽出したお茶(Brewed tea)は、砂糖や牛乳の添加にかかわらず、茶、粉茶、あるいはインスタントティーから作られた飲料であり、着色料を含んではいけません。

関連リンク

関係省庁
シンガポール食品庁(SFA)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
食品販売法 (Sale of Food Act)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
食品規制 (Food Regulations)(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)545 KB
第IV部(食品規格と個別ラベル表示要件)第153~156項(茶)参照

2. 残留農薬および動物用医薬品

調査時点:2022年10月

シンガポールでは、国内で販売に供される食品全般の残留農薬をはじめ、残留抗生物質、残留エストロゲン、マイコトキシン、3-MCPD、メラミン、細菌混入などの偶発混入成分に関する基準を、食品規制に規定しています。

食品規制第9付表では、食品に残留する農薬の種類が列挙され、それぞれの農薬ごとに対象となる食品と使用が認められている農薬の最大残留基準値 (MRL)が明記されています(ポジティブリスト方式)。この残留農薬基準を満たさない食品の輸入、販売、広告などは禁じられています。本規定で明示されていない農薬については、原則として、コーデックス委員会(CODEX)の勧告に準じ、同委員会が設定した基準値を超えてはならないと規定されています。

残留農薬基準は、原則として農産物、水産物、畜産物を対象とするものですが、これらを原材料とする加工食品は、製造・加工の時点で使用された原材料の残留農薬が食品規制で定められた基準値以内としなければなりません。また、2種類以上の農薬が残留している食品については、それぞれの農薬について、実際の残留量を当該農薬の最大残留基準値で割った数値の合計が1を超えてはならないとされています。

関連リンク

関係省庁
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根拠法等
食品規制 (Food Regulations)(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)545 KB
第3部(General Provisions)第29項~35項(Incidental constituents in food)および第9付表(Food with maximum amounts of pesticides)、第11付表(Microbiological standard for food)に農薬、細菌等の最大残留基準値が掲載
その他参考情報
シンガポール食品庁(SFA) Commercial Food Imports(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

3. 重金属および汚染物質

調査時点:2022年10月

シンガポールでは、国内で販売に供される食品全般の重金属をはじめ、残留抗生物質、残留エストロゲン、マイコトキシン、3-MCPD、メラミン、細菌混入などの偶発混入成分に関する基準を、食品規制(Food Regulations)に規定しています。

茶における重金属の最大残留基準値は、次のとおりです。

  • ヒ素:1 ppm
  • 鉛:2ppm
  • 水銀:0.5 ppm
  • スズ:250 ppm
  • カドミウム: 0.2 ppm
  • アンチモン:1 ppm

関連リンク

関係省庁
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根拠法等
食品規制 (Food Regulations)(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)545 KB
第3部(General Provisions)第31項(Heavy metals, arsenic, lead)および第10付表(Maximum Amounts of Arsenic, Lead Permitted in Food)に重金属の最大残留基準値が掲載

4. 食品添加物

調査時点:2022年10月

シンガポールでは食品に残存することが認められる食品添加物は固化防止剤や酸化防止剤等、14 の機能に分類され、食品規制(Food Regulations)で規定されている水準に従って使用される場合、食品への使用が認められます。シンガポール食品庁(SFA)では、その使用が認められている物質を表示するポジティブリスト方式を採用していますが、風味増強剤など一部については、使用が認められていない物質を表示するネガティブリストに掲げています。食品規制で明示されていない食品添加物の場合、許可された食品添加物の純度は、国際連合食糧農業機関(FAO)および世界保健機関(WHO)による、合同食品添加物専門家委員会が推奨する仕様に適合することが必要です。認可食品添加物および最大使用基準値は食品規制第3付表~第8付表および第13付表に掲載されています。

5. 食品包装(食品容器の品質または基準)

調査時点:2022年10月

食品に触れる容器包装は食品規制(Food Regulations)に一般規格基準が定められており、その規格基準に適合していなければなりません。個別食品に対する容器包装の規定は特に定められていません。

食品規制では、食品容器包装において、塩化ビニルモノマーの残留限度1 ppm以下を規格とし、塩化ビニルモノマーを0.01ppm以上食品中に溶出させるとみられる容器包装、あるいは発がん性、変異原性、催奇性またはほかの毒性または有害性のある物質であることが知られている化合物を食品中に溶出する可能性のある容器包装の使用を禁じています。塩化ビニルモノマーの残留限度1 ppmは、2012年9月の食品規制改訂で新たに加えられ、かつ溶出限度は0.05ppmから0.01ppmに引き下げられているため、注意が必要です。

また、食品規制では、食品の貯蔵、準備、調理の段階で、鉛、アンチモン、ヒ素、カドミウム、その他の毒性物質を食品に付与する可能性のある器具、容器、食器の使用を禁じています。

関連リンク

関係省庁
シンガポール食品庁(SFA)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
食品規制 (Food Regulations)(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)545 KB
第3部(General Provisions)第37項(Containers for food)に容器包装・食器の規格が掲載
その他参考情報
シンガポール食品庁(SFA) Good Food Safety Practices(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

6. ラベル表示

調査時点:2022年10月

シンガポールでの販売時の表示義務は食品規制(Food Regulations)に規定されています。食品規制では、食品全般の一般表示義務項目として、包装済食品のラベルに次の項目を英語で表示することが求められます。1~4については印字の高さが1.5mm以下であってはなりません。

  1. 商品名または一般分類名
  2. 成分(2種類以上の成分からなる食品の場合、重量の大きい成分から降順に表示)
  3. 合成着色料名(合成着色料タートラジンなどを含有する食品の場合のみ)
  4. 内容量(正味容量または重量)
  5. 原産国および輸入者(代理人)名と住所
  6. アレルゲン表示(表示義務特定原材料8分類:グルテンを含む穀類、甲殻類、卵・卵製品、魚類・魚類製品、ピーナッツ・大豆類・それらの製品、乳・乳製品(ラクトース含む)、ナッツ類・ナッツ類製品、亜硫酸塩濃度10mg/kg以上の食品)ただし、茶はアレルゲン表示不要。
  7. 人工甘味料アスパルテームを含有する食品の場合の記載(“PHENYLKETONURICS: CONTAINS PHENYLALANINE.”)

これらの一般表示義務項目に加えて、期限表示、ある種の甘味料(アスパルテーム、サッカリン)を含む場合の注意事項、無糖食品や低カロリー食品など特別目的食品の表示、栄養表示など、追加表示義務に該当する食品がありますが、茶に関して追加表示義務はありません。

栄養表示/カロリー表示を行う場合、食品規制第8A~9B項および第11項に規定されています。シンガポールでは、エネルギー価(kcalまたはkJ)、タンパク質(g)、炭水化物(g)、脂質(g)、その他の栄養素の含有量(g、ナトリウム、カリウム、コレステロールなどの分量はmggまたはmg)を、食品規制第12付表で規定された「栄養情報パネル」(nutrition information panel、栄養情報パネルはビタミン、ミネラルの表示には使用できません)を用いたラベル表示をしていない限り、「エネルギー源」「タンパク質源」「低カロリー」「シュガーフリー」などと、当該食品に関する栄養面での強調表示を行うことができません。一方、ビタミンA、B1、B2、B6、B12、C、D、葉酸、ナイアシン、カルシウム、ヨウ素、鉄分、リンなどのビタミンおよびミネラルの栄養表示を行う場合には、それぞれの食品に含まれるべきビタミン、ミネラルの含有成分量が1日あたり摂取目安量の6分の1以上含まれていなければならず、ビタミンおよびミネラルの強調表示を行う場合には、含有成分量が1日あたり摂取目安量の50%以上を満たさなければなりません。

茶の品目別食品規格については、「食品規制」の第IV部 第153項~第156項(茶)を参照してください。

関連リンク

関係省庁
シンガポール食品庁(SFA)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
食品販売法 (Sale of Food Act)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
食品規制 (Food Regulations)(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)545 KB
第3部(General Provisions)第5~12項(General requirements for labelling等)および第2付表(Date-marking of prepacked food)、第12付表(Form for nutrition information panel)に食品全般の一般表示要件、第4部(Standards and Particular Labelling Requirements For Food)第54項(Flour confectionery)、第129項(Frozen confections)、 第152項(Sugar confectionery)、第168項~170項(Chocolate、Milk chocolate、Chocolate confectionery)に個別ラベル表示要件が掲載
計量法 (Weights and Measures Act)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
その他参考情報
シンガポール食品庁(SFA) Labelling Guidelines for Food Importers & Manufacturers(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
シンガポール食品庁(SFA) A Guide to Food Labelling and Advertisement(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)872 KB

7. その他

調査時点:2022年10月

なし

シンガポールでの輸入手続き

1. 輸入許可、輸入ライセンス等、商品登録等(輸入者側で必要な手続き)

調査時点:2022年10月

輸入事業者登録
茶を含む加工食品を輸入する際に、輸入者の輸入ライセンスは不要ですが、事前にシンガポール食品庁(SFA)に対し加工食品および食品容器の輸入に関する事業者登録が必要となります。
登録に必要となる書類は、(1)会計・法人規制庁(ACRA)に会社を登記した際に発行され、シンガポール税関に登録・有効化された個別企業登録番号(Unique Entity Number、UEN)、(2)輸入許可手数料をSFAが自動引き落しするための銀行口座(GIRO)開設申請書です。輸入事業者登録はSFAのライセンス申請サイトGoBusinessを通じて行います。登録には1営業日を要し、登録費用は無料です。
輸入許可
あらゆる食品の輸入者は、シンガポール税関が所管する輸出入規制法に基づき、貨物がシンガポールに輸入される前に、「TradeNet」を通じて、船積みごとに事前申告を行うことにより、「輸入許可(Import Permit)」を取得しなければなりません。輸入申告には船荷証券(B/L)またはエアウェイビル(AWB)、インボイス、パッキングリスト(P/L)、必要に応じて衛生証明書(Health Certificate)などが必要となります。申告から輸入許可取得まで通常、1営業日を要します。
シンガポール税関と輸入管理品目である食品の輸入許可発給機関であるSFAによって輸入が許可されると、貨物通関許可(CCP:Cargo Clearance Permit)が発行されます。輸入者はCCPをプリントアウトして、通関のチェックポイントで提示することにより貨物を引き取ることができます。輸入者はCCPに特別な条件が付いていないか承認コードをチェックしなければなりません。
何らかの条件が付いている場合、貨物は封印され、貨物を開梱して販売に供することができません。例えば、CCPの承認コードがA03となっていると、輸入貨物は政府認定試験所による検査を受けなければなりません。輸入者は政府認定検査・試験所eサービスを通じて検査をオンライン予約して、SFAの検査官によるサンプリングおよび検査を受けます。検査で不合格となれば、輸入業者は輸入した貨物を輸出元へ返送するか廃棄処分しなければなりません。違反した場合はその性質によって、輸出国または輸出国の生産者からの輸入停止措置が取られることもあります。
茶を輸入する場合、輸入許可手数料は無料ですが、輸入時点の為替レートで換算し、財・サービス税(GST)をシンガポール税関に支払います。GSTの支払いは、輸入者(代理人)があらかじめシンガポール税関に対し開設している専用口座から自動的に引き落とされます。

2. 輸入通関手続き(通関に必要な書類)

調査時点:2022年10月

茶の輸入通関にあたり、船荷証券(B/L)またはエアウェイビル(AWB)、インボイス、パッキングリスト(P/L)の提示が求められます。

3. 輸入時の検査・検疫

調査時点:2022年10月

茶を含め、シンガポール食品庁(SFA)により検査強化品目に指定されていない食品を輸入する際には、輸出国からの動植物検疫証明書や試験検査報告書などの書類の提示は求められませんが、SFAが導入している体系的監視プログラムのもと、食品安全性試験のための食品サンプリングに加え、ラベルに記載された栄養表示などの正確性、表示要件への順守に関する検査を実施しています。

各食品の試験項目は、食品に関連するリスクに応じて異なります。SFAは基本的な試験検査項目として次のリストを公表しています。このリストは網羅的なものではなく、SFAはリストに記載されていない追加項目について試験を実施することもあります。

理化学試験検査項目
  1. 残留農薬:有機塩素、ピレスロイド、N-メチルカルバメート、ジチオカルバメート、有機リン酸塩
  2. 保存料:安息香酸、ホウ酸、ソルビン酸、二酸化硫黄、メチルパラベン、メチル-p-ベンゾエート、プロピルパラベン、プロピル-p-ベンゾエート、ホルムアルデヒド
  3. 重金属:ヒ素、アンチモン、カドミウム、銅、鉛、水銀、スズ、セレン、無機ヒ素
  4. マイコトキシン:アフラトキシン(B1&2、G1&2)、オクラトキシンA、フモニシン、デオキシニバレノール、ゼアラレノン
  5. 着色料:パラレッド、スーダンI、II、III&V、クリソジン、ベーシック黄色
  6. 甘味剤:アセスルファム-K、スクラロース、ステビオシド、サッカリン、シクラメート、レバウジオシド
  7. その他:ブロメート
微生物試験検査項目
コロニー数/プレート数、大腸菌群、大腸菌、糞便大腸菌、大腸菌O157、サルモネラ、枯草菌、バチルスエンテロトキシン、クロストリジウムパーフリンジェンス、リステリアモノサイトゲネス、ブドウ球菌、ブドウ球菌エンテロトキシン、クロストリジウムボツリヌス菌
茶は検査強化品目に指定されていません。

4. 販売許可手続き

調査時点:2022年10月

食品小売り販売許可のための要件
食品小売り販売許可は、以前はシンガポール国家環境庁(NEA)の管理下にありましたが、2019年4月1日以降、シンガポール食品庁(SFA)の管轄になりました。2019年3月31日以前にNEAから発行されたライセンスに関しては、当該ライセンスに記載された期日までは有効です。
レストラン、カフェ、バーなどの外食店、ケータリング事業者、スーパーマーケットを含む食品小売り事業所は、環境公共衛生法のもと、SFAから食品店舗ライセンス(Food Shop Licence)を取得しなければなりません。ライセンスは1年間有効で年間ライセンス料が195 Sドル(シンガポール・ドル)かかります。
ライセンス取得までに要する時間は、諸要件を満たすための店内の改装や、規定を順守しているか確認するための事前実地検査、必要書類の準備、ライセンス料金の支払いなど、それぞれにかかる時間によって異なります。 ライセンスはシンガポール政府ライセンス申請サイトGoBusinessを通じて申請できます。申請から認定までの流れは次のとおりです。
  1. GoBusiness Licensingのサイトへ、Singpassを用いてログインし、必要な書類をすべて提出すると、SFAからIn-Principle Approval (IPA)が発行される。所要日数は5営業日程度。
  2. 店舗の改装完了の際に、SFA online feedback form外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます経由で、ライセンス取得前査察の日程を予約。査察日の確定までは2営業日程度。
  3. ライセンス要件に完全に準拠していることが確認され、必要な書類を提出すると、SFAからの認可が下りる。3営業日以内にメールおよびGoBusiness経由で通知が届く。
申請に必要な書類は次のとおりです。
  • 店舗となる建物や土地を管理する政府機関からの使用許可
  • 賃貸借契約書(ライセンスを承認して発行する前の最終段階でのみ必要となるため、承認前の段階では契約しないことが推奨されます)
  • 申請者に関する次のうちのいずれかの情報
    • 個人の場合、国民登録管理カード(NRIC)の両面
    • 会社の場合、会計企業規制庁(ACRA)からの事業構成情報
    • その他の団体の場合、団体登記機関が発行する登録証明書
  • 食品取扱者の保有する基本食品衛生証明書あるいは飲食物衛生証明書
  • 食品衛生責任者の保有する食品衛生責任者証明書(ケータリング、レストラン、フードコート、食堂事業者のみ)
  • 清掃プログラム
  • 物件のレイアウト図面
  • 認定書(申請がライセンス保有者あるいはライセンスを保有する会社の社員によってなされない場合)
  • げっ歯類、ゴキブリおよびはハエなどを対象とした年間ライセンス期間中の駆除契約書。契約の対象となる食料品店の敷地内検査の頻度は、害虫の侵入のいかなる兆候をも検出するために、少なくとも月に1回とする。
  • 営業時間、店舗名、販売品目などに関する補足情報
  • (重要管理項目が特定されている)食品安全管理計画または「WSQ Apply FSMS for Food Service Establishments」コースへの参加申込(ケータリング事業者のみ)
  • ケータリング車両の内部と外部を写した写真
  • ケータリング車両の所有権を証明するための貸し出し車両の車両記録カードあるいはテナント契約
  • ケータリング車両の清掃プログラム

これらに加え、販売許可の要件として、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、食品や飲料の販売または販売準備を行うスタッフは、全員マスクもしくは何等かの防護策を講じることが求められるようになりました。違反した場合は、最高5,000Sドルの罰金、または営業停止やライセンスのはく奪もありえますので、注意してください。

食品加工工場や食品貯蔵・保管施設などの運営許可のための要件
茶を含む食品の卸売りを目的とする食品貯蔵・保管倉庫、食品加工工場(セントラル・キッチン、容器包装の詰め替えを含む)などの食品事業所の設立には、食品販売法(Sale of Foods Act)の下、SFAより食品事業所ライセンス(Food Establishment Licence)を取得しなければなりません。なお、食品貯蔵倉庫(Food Storage Warehouse)はACRAへの登録と施設登録が必要となります。申請から認可までの流れは次のとおりです。
  1. 施設の立地条件の適合性の確認
    食品加工施設、冷蔵倉庫、食肉処理場は、食品ゾーンエリアまたは適合する産業用途があるエリア内に設置する必要がある。
  2. SFAにライセンスの申請
    GoBusiness Licensingのウェブサイトから申請可能。SFAの事前審査には、次の書類が必要。
    1. 施設のレイアウト図面
    2. 食品加工フローチャート
    3. 製品の明細
  3. 最終査察
    SFAライセンスオフィサーに連絡し、最終査察の予約を取ることが必要。最終査察では次の書類が求められる。
    1. 施設メンテナンス・プログラム
    2. 清掃・衛生プログラム
    3. 害虫管理プログラム
    4. 食品衛生責任者の氏名・経歴などの明細
    5. 食品取扱者の氏名などの明細
    6. 施設の賃貸仮契約書
  4. ライセンス承認
    ライセンス申請はGoBusinessライセンスシステムを介して承認され、ライセンス料を支払うと新しいライセンスを印刷できる。
ライセンス申請を行うには、事前にACRAまたは法人登録が必要となり、また申請時に申請手数料(初回のみ)として157.50 Sドルがかかります。年間ライセンス料は次のとおりで、GIROもしくはGoBusiness Licensingのウェブサイトからの支払いが可能です。
  • 食肉・水産物加工工場もしくは保管用冷凍冷蔵倉庫:260Sドル
  • 食肉・水産物以外の食品加工工場の運営ライセンス
    • 敷地面積が200平方メートル未満:180 Sドル
    • 敷地面積が200~750平方メートル未満:360 Sドル
    • 敷地面積が750平方メートル以上:600 Sドル
  • 食肉・水産物保管用冷凍・冷蔵倉庫以外の食品貯蔵・保管倉庫:申請手数料・ライセンス料とも不要

5. その他

調査時点:2022年10月

施設登録・認定
SFAは2023年1月1日から現行制度に代わり、食品施設に対する新たな食品安全保証ライセンスの枠組みである、食品施設安全保証制度(The Safety Assurance for Food Establishments (SAFE) framework)を導入する予定です。この枠組みの下では、小売りおよび非小売り食品施設の双方が、食品安全保証に関して良好な実績を示し(記載された期間を通じて食品安全上大きな問題が生じないなど)、上級食品衛生管理者(Food Hygiene Officer/FHO)や食品安全管理システムなど、より高度な食品安全や衛生基準の確保のため、なんらかのリソースおよびシステムを導入した場合、ライセンス期間の延長やより上位の認証付与の対象とされます。
食品安全リスクの程度によって、A~Cの食品施設に分類、また衛生上大きな問題が生じなかった期間によって、4段階(No Award:1年、 Bronze:3年、Silver:5年、 Gold:10年)に格付け・ライセンス期間の決定がなされます。
またこれに付随し、食品安全コース(FSC)という食品取扱者、FHO、上級FHO向けのトレーニングコースが導入されます。
FSCは四段階にレベル分けされており、すべての食品取扱者がWSQ(Workforce Skills Qualification)食品安全コースレベル1に参加し、合格することが必要となります。また、カテゴリーAに分類されるすべての食品施設は、WSQ食品安全コースレベル3に合格したFHOを任命すること、またGoldを目指す場合はレベル4に合格した上級FHOを任命することが求められます。
衛生管理者などの配置
食品事業所または食品小売り事業所の営業許可を取得するためには、FHOの資格を持つ者を管理者として1人以上擁していなければなりません。FHOは、食品・飲料衛生監査コース(WSQ Conduct Food & Beverage Hygiene Audit course)に合格しなければなりません。また、すべての食品取扱者は、食品衛生基礎コース(WSQ Basic Food Hygiene Course)の修了証書を取得し、SFAに登録する義務があります。ただし、食品・飲料衛生監査コースに合格した人が、食品取扱者になる場合は食品衛生基礎コースを修了する必要はありません。さらに、ケータリング事業者には、より高度な食品衛生基準が求められ、2019年4月以降、新しく免許を申請するケータリング業者は、食品サービス事業のためのFSMS(Food Safety Management System)申請コースに出席する職員を任命し、当該コースに合格する必要があります。加えて、ライセンス発行後3カ月以内にFSMSプランを提出し、それに従う必要があります。また、新たに免許を更新するケータリング業者は、免許更新日の少なくとも3カ月前までにFSMSプランを提出し、それに従う必要があります。更新日までに、要件を満たすことができなかった場合、当該ケータリング業者は事業を中止しなければなりません。
食品衛生コースなどの職業上の能力・技術を国家資格として認める労働力技能資格(WSQ) 制度は、教育省および人材省傘下のスキルズフューチャー・シンガポール(SkillsFuture Singapore、SSG)が所轄しています。

シンガポール内の輸入関税等

1. 関税

調査時点:2022年10月

茶は関税の課税対象品目ではありません。

2. その他の税

調査時点:2022年10月

物品税
茶は物品税の課税対象品目ではありません。
財・サービス税
あらゆる商品の輸入者は輸入申告の際にCIF価額(FOB価額+保険料+運賃)に関税、物品税、手数料を足した合計に7%の税率をかけた財・サービス税(GST、日本の消費税に相当)をシンガポール税関に納付しなければなりません。なお、GSTは2023年1月から8%、2024年1月から9%と、段階的に引き上げの予定です。
輸入者は、シンガポール内国歳入局(IRAS)にGST登録しておくと、3ヶ月ごとに売上税額(売上時に販売先から回収するGST)と仕入税額(輸入時に税関に支払ったGST)とを相殺(仕入税額控除)し、その差額をIRASに納付することになります。

3. その他

調査時点:2022年10月

なし

その他

調査時点:2022年10月

有機認証制度

シンガポールには、有機農産物、有機加工食品などの法律に基づく有機認証制度または自国の有機認証機関がありません。食品規制では、コーデックス委員会(CODEX)の「有機的に生産される食品の生産、加工、表示 および販売に係るガイドライン」(GL 32-1999)の第6条第3項「公的に認められた検査・認証制度」に準拠した認証制度の下で「有機」と認証された食品には「有機」という語句をラベル表示できるとされています。よって、日本の有機JAS制度による認証を受けた有機農産物および有機農産物加工食品のパッケージなどに有機JASマークを貼付してシンガポールに輸出し、店頭でマークを貼付したまま有機農産物、有機加工食品として販売することが可能です。

関連リンク

関係省庁
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農林水産省外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
食品規制 (Food Regulations)(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)545 KB
第3部(General Provisions)第9B項(Limitations on making particular statements or claims on labels)に「有機」ラベル表示の制限が掲載
その他参考情報
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農林水産省 アジア各国等の有機食品に係る表示制度等調査結果外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます