日本からの輸出に関する制度

アルコール飲料の輸入規制、輸入手続き

品目の定義

本ページで定義するアルコール飲料のHSコード

2203:ビール
2204:ぶどう酒(強化ぶどう酒を含むものとし、生鮮のぶどうから製造したものに限る。)およびぶどう搾汁(第20.09項のものを除く。)
2205:ベルモットその他のぶどう酒(生鮮のぶどうから製造したもので、植物または芳香性物質により香味を付けたものに限る。)
2206:その他の発酵酒(例えば、りんご酒、なし酒およびミードおよび清酒)ならびに発酵酒とアルコールを含有しない飲料との混合物および発酵酒の混合物(他の項に該当するものを除く。)
2208:エチルアルコール(変性させてないものでアルコール分が80%未満のものに限る。)および蒸留酒、リキュールその他のアルコール飲料

輸入食品の品質・安全管理を所管するシンガポール食品庁(SFA)は、輸入管理品目である食品のHSコードをさらに細かく分類した独自の商品コードを規定しており、輸入者は輸入許可申請の際に、HSコードとともにこの商品コードをシンガポール税関およびSFAに申告することが求められます。2019年4月1日以降、農食品・獣医庁(AVA)が解体され、シンガポール食品庁(SFA)が新設されたことで、AVAが所管していた輸入食品および動植物の管理・検疫業務が三つの組織へ分割移管されました。食品関連はSFAが、非食品関連は国立公園局(NParks)の管轄となり、非食品のうち動物・家畜部門はNParks内の組織である、動物・獣医サービス(AVS)が担当となっています。
シンガポールの関税法による酒類(Intoxicating Liquor)の定義は、「変性アルコールを含まず、飲料として用いられることを目的とし、摂氏20度で(a) 質量で0.5%超のアルコールを含有するアルコールと他の物質との混合物、あるいは (b) 容量で0.5%超のアルコールを含有するアルコールと水との混合物」とされています。

シンガポールの輸入規制

1. 輸入禁止(停止)、制限品目(放射性物質規制等)

調査時点:2022年11月

シンガポールの法令により輸入が禁止・制限されている品目
アルコール飲料を含む加工食品の輸入は、シンガポール食品庁(SFA)が所管する食品販売法(Sale of Foods Act)により規制されています。シンガポールへ輸出可能なアルコール飲料は、食品販売法の付属法令である食品規制(Food Regulations)にある食品規格を満たした製品でなければなりません。アルコール飲料の食品規格は食品規制の第IV部(食品規格と個別ラベル表示要件)第185項~第210項(アルコール飲料)に記載されています。食品規制では、変性剤の入ったアルコール飲料の輸入を禁止しています。
東京電力福島第一原子力発電所事故にかかる輸入規制
2021年5月28日付けで、東京電力福島第一原子力発電所事故にかかる輸入規制はシンガポール政府により撤廃されました。

2. 施設登録、輸出事業者登録、輸出に必要な書類等(輸出者側で必要な手続き)

調査時点:2022年11月

施設登録
アルコール飲料を含む加工食品をシンガポールへ輸出しようとする海外(マレーシアを除く)の食品事業所は、事前にシンガポール食品庁(SFA)の事業所認定を受ける必要はありませんが、SFAの規制調達先プログラム(Regulated Source Program)のもと、輸出国の政府管轄機関の適正な監督を受けている、あるいはSFAが認める品質保証システムを導入している事業所でなければなりません。
書類の準備
輸入者がSFAから要請があれば提示できるように、輸出国の製造元から工場ライセンス(日本の場合は保健所発行の営業許可が該当すると考えられます)、輸出証明書、衛生証明書、HACCP認証、GMP認証などの書類を事前に輸入者側に提供していることが望まれます。
また、アルコール飲料のうちアブサン(Absinthe)というニガヨモギなどのハーブを混入する薬草系リキュールは検査強化品目に指定されており、これらの輸入に際してはツヨン(thujone)の含有量が明記された、SFAが認定した試験検査機関発行の分析試験検査報告書と、原産国の関係当局が発行した販売許可書(日本の場合は地方農政局などが発行する「自由販売証明書」が該当すると考えられます)が必要となります。

3. 動植物検疫の有無

調査時点:2022年11月

なし

シンガポールの食品関連の規制

1. 食品規格

調査時点:2022年11月

アルコール飲料の食品規格は食品規制の第IV部(食品規格と個別ラベル表示要件)第185項から第210項に記載されていますが、「Rice wine」と示された項目は含まれていません。最も近しいのはCereal grain wine=穀物酒であり、次のように定義されています。

  • 穀物酒、中国酒、”chiew” (“jiu”)または”samsu”は、健全な穀物をアルコール発酵させたものでなければならない。
  • 穀物酒および中国酒は、「酒」の文字の直前に、その原料となる穀物の名称または製品の中国語名を英語で表記しなければ、「酒」の文字を表示してはならない。名称は”wine”の文字の大きさおよび色と同じ文字でなければならない。
  • 穀物酒または中国酒を入れた容器または入れ物には、アルコール含有量を表示したラベルを貼らなければならない。

関連リンク

関係省庁
シンガポール食品庁(SFA)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
食品販売法 (Sale of Food Act)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
食品規制 (Food Regulations)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
第IV部(食品規格と個別ラベル表示要件)第185~210項(アルコール飲料)参照

2. 残留農薬および動物用医薬品

調査時点:2022年11月

シンガポールでは国内販売に供される食品全般の残留農薬をはじめ、残留抗生物質、残留エストロゲン、マイコトキシン、3-MCPD、メラミン(Melamine)、細菌混入などの偶発混入成分に関する基準は、食品規制(Food Regulations)に規定されています。

食品規制第9付表では、食品に残留する農薬の種類が列挙され、農薬ごとに対象となる食品と使用が認められている農薬の最大残留基準値(MRL値)が明記されています(ポジティブリスト方式)。この残留農薬基準を満たさない食品の輸入、販売、広告などは禁じられています。本規定で明示されていない農薬については、原則として、コーデックス委員会(CODEX:国際食品規格委員会)の勧告に準じ、同委員会が設定した基準値を超えてはならないと規定されています。

残留農薬基準は、原則として農産物、水産物、畜産物を対象とするものですが、これらを主原料とする加工食品は、製造・加工の時点で使用された原材料の残留農薬が食品規制で定められた基準値以内としなければなりません。また、2種類以上の農薬が残留している食品については、それぞれの農薬について、実際の残留量を当該農薬の最大残留基準値で割った数値の合計が1を超えてはならないとされています。

関連リンク

関係省庁
シンガポール食品庁(SFA)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
食品規制 (Food Regulations)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
第3部(General Provisions)第29項~35項(Incidental constituents in food)および第9付表(Food with maximum amounts of pesticides)、第11付表(Microbiological standard for food)に農薬、細菌等の最大残留基準値が掲載
その他参考情報
シンガポール食品庁(SFA) Commercial Food Imports(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

3. 重金属および汚染物質

調査時点:2022年11月

アルコール飲料は、重金属規制の対象となります。食品に含まれる重金属の残留基準は、食品規制(Food Regulations)において定められています。アルコール飲料における重金属の最大残留基準値は、次のとおりです。

ヒ素
0.2 ppm
0.2 ppm
水銀
0.05 ppm
スズ
250 ppm
カドミウム
0.2 ppm
アンチモン
1 ppm

関連リンク

関係省庁
シンガポール食品庁(SFA)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
食品規制 (Food Regulations)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
第3部(General Provisions)第31項(Heavy metals, arsenic, lead)および第10付表(Maximum Amounts of Arsenic, Lead Permitted in Food)に重金属の最大残留基準値が掲載

4. 食品添加物

調査時点:2022年11月

シンガポールでは食品に残存することが認められる食品添加物は、固化防止剤や酸化防止剤など、14の機能に分類されており、食品規制(Food Regulations)で規定されている水準に従って使用される場合、食品への使用が認められます。シンガポール食品庁(SFA)では、その使用が原則認められている物質を表示するポジティブリスト方式を採用していますが、香料など一部については、使用が認められていない物質をネガティブリストとして掲げています。食品規制で明示されていない食品添加物の場合、許可された食品添加物の純度は、国際連合食糧農業機関(FAO)および世界保健機関(WHO)による、合同食品添加物専門家委員会が推奨する仕様に適合することが必要です。認可食品添加物および最大使用基準値は食品規制第3~8付表および第13付表に掲載されています。

なお2021年6月30日以降、人工甘味料として、グルコシル化ステビオール配糖体の使用が新たに認められるようになりました。

5. 食品包装(食品容器の品質または基準)

調査時点:2022年11月

食品に触れる容器包装は食品規制(Food Regulations)に一般規格基準が定められており、その規格基準に適合していなければなりません。個別食品に対する容器包装の規定は特に定められていません。

食品規制では、食品容器包装において、塩化ビニルモノマーの残留限度1 ppm以下を規格とし、塩化ビニルモノマーを0.01ppm以上食品中に溶出させるとみられる容器包装、あるいは発がん性、変異原性、催奇性または他の毒性または有害性のある物質であることが知られている化合物を食品中に溶出する可能性のある容器包装の使用を禁じています。

また、食品規制では、食品の貯蔵、準備、調理の段階で、鉛、アンチモン、ヒ素、カドミウム、その他の毒性物質を食品に付与する可能性のある器具、容器、食器の使用を禁じています。

関連リンク

関係省庁
シンガポール食品庁(SFA)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
食品規制 (Food Regulations)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
第3部(General Provisions)第37項(Containers for food)に容器包装・食器の規格が掲載
その他参考情報
シンガポール食品庁(SFA) Good Food Safety Practices(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

6. ラベル表示

調査時点:2022年11月

シンガポールでの販売時の表示義務は、食品規制(Food Regulations)に規定されています。食品規制では、食品全般の一般表示義務項目(オンライン/ECプラットフォームを含む)として、包装済み食品のラベルに次の項目を英語で表示することが求められます。1~4については印字の高さが1.5mm以下であってはなりません。

  1. 商品名または一般分類名(各酒類に関する基準は食品規制を参照)
  2. 成分(酒類の成分表示は不要)
  3. 合成着色料名(合成着色料タートラジンなどを含有する食品の場合のみ)
  4. 内容量(正味容量または重量)
  5. 原産国および輸入者、販売業者または代理店の名称と住所
  6. 個人に対して過敏症を引き起こす可能性のある成分(表示義務特定原材料8分類:グルテンを含む穀類、甲殻類、卵・卵製品、魚介類、ピーナッツ・大豆類、牛乳・乳製品、ナッツ類、硫酸塩濃度10mg/kg以上の食品)
  7. 人工甘味料アスパルテームを含有する食品の場合の記載

これらの一般表示義務項目に加えて、期限表示、無糖食品や低カロリー食品等特別目的食品の表示、栄養表示など、追加表示義務に該当する食品があります。

期限表示義務のある食品に関しては、食品規制第2付表に記載されています。期限表示は次のいずれかの方法によるとされています。日付印は明確に表示しなければならず、文字サイズは3mm以上とされています。なお、食品規制では、消費期限と賞味期限は同義と定義されています。

  • 「消費期限日(USE BY 日・月・年)」
  • 「販売期限日(SELL BY日・月・年)」
  • 「有効期限日(EXPIRY DATE 日・月・年)」
  • 「賞味期限日(BEST BEFORE 日・月・年)」

「要冷蔵」のアルコール飲料については、賞味期限の表示が義務付けられています。賞味期限が保存条件に依拠する場合には、その保存条件をラベル上に記載しなければなりません(例:「BEST BEFORE: 31 Dec 22, Store in a cool, dry place」)。

栄養表記/カロリー表記は食品規制第8A~9B項および第11項に規定されています。シンガポールでは、エネルギー価(kcalまたはkJ)、タンパク質(g)、炭水化物(g)、脂質(g)、その他の栄養素の含有量(g、ナトリウム、カリウム、コレステロールなどの分量はmcgまたはmg)を、食品規制第12付表で規定された「栄養情報パネル」(nutrition information panel、栄養情報パネルはビタミン、ミネラルの表示には使用できません)を用いて、ラベル表示していないかぎり、「エネルギー源」「タンパク質源」「低カロリー」「シュガーフリー」などと、当該食品に関する栄養面での強調表示を行うことができません。一方、ビタミンA、B1、B2、B6、B12、C、D、葉酸、ナイアシン、カルシウム、ヨウ素、鉄分、リンなどビタミンおよびミネラルの栄養表示を行う場合には、それぞれの食品に含まれるべきビタミン、ミネラルの含有成分量が1日当たり摂取目安量(300キロカロリー以上)の6分の1以上含まれていなければならず、ビタミンおよびミネラルの強調表示を行う場合には、含有成分量が1日当たり摂取目安量の50%以上を満たさなければなりません。

アルコール飲料の品目別食品規格および個別ラベル表示要件については、「食品規制」の第4部 第185項~第210項(Alcoholic Drinks)を参照してください。なお、清酒、焼酎、紹興酒、ビールなど穀類由来の酒類の容器には、アルコール度数を表示しなければなりません(食品規制第200項)。薬用性が強調表示されているアルコール飲料は、食品として広告、ラベル表示、販売してはなりません(食品規制第185項)。

7. その他

調査時点:2022年11月

なし

シンガポールでの輸入手続き

1. 輸入許可、輸入ライセンス等、商品登録等(輸入者側で必要な手続き)

調査時点:2022年11月

輸入事業者登録
アルコール飲料の輸入者は、事前にシンガポール食品庁(SFA)に対し加工食品および食品容器の輸入に関する事業者登録が必要となります。
登録に必要となる書類は、(1)会計・法人規制庁(ACRA)に会社を登記した際に発行され、シンガポール税関に登録・有効化された個別企業登録番号(Unique Entity Number、UEN)、(2)輸入許可手数料をSFAが自動引き落としするための銀行口座(GIRO)開設申請書です。輸入事業者登録はSFAのライセンス申請サイトGoBusinessを通じて行います。登録には1営業日を要し、登録費用は無料です。
輸入許可
あらゆる食品の輸入者は、シンガポール税関が所管する輸出入規制法に基づき、貨物がシンガポールに輸入される前に、貿易に関する電子データ交換システム「Networked Trade Platform」内の「トレードネット・システム」を通じて、船積みごとに事前申告を行うことにより、「輸入許可(Import Permit)」を取得しなければなりません。輸入申告には船荷証券(B/L)またはエアウェイビル(AWB)、インボイス、パッキングリスト(P/L)、必要に応じて衛生証明書(Health Certificate)などが必要となります。申告から輸入許可取得まで通常、1営業日を要します。
シンガポール税関と輸入管理品目である食品の輸入許可発給機関であるSFAによって輸入が許可されると、貨物通関許可(CCP)が発行されます。輸入者はCCPをプリントアウトして、通関のチェックポイントで提示することにより貨物を引き取ることができます。輸入者はCCPに特別な条件が付いていないか承認コードをチェックしなければなりません。
何らかの条件が付いていると、貨物は封印され、貨物を開梱して販売に供することができません。例えば、CCPの承認コードがA03となっていると、輸入貨物は政府認定試験所による検査を受けなければなりません。輸入者は政府認定検査・試験所eサービスを通じて検査をオンライン予約して、SFAの検査官によるサンプリングおよび検査を受けます。検査で不合格となれば、輸入業者は輸入した貨物を輸出元へ返送するか廃棄処分しなければなりません。違反した場合はその性質によって、輸出国または輸出国の生産者からの輸入停止措置が取られることもあります。
アルコール飲料を輸入する場合、輸入許可手数料は無料ですが、輸入時点の為替レートで換算し、財・サービス税(GST)をシンガポール税関に支払います。GSTの支払いは、輸入者(代理人)があらかじめシンガポール税関に対し開設している専用口座から自動的に引き落とされます。

2. 輸入通関手続き(通関に必要な書類)

調査時点:2022年11月

アルコール飲料の輸入通関にあたり、船荷証券(B/L)またはエアウェイビル(AWB)、インボイス、パッキングリスト(P/L)に加え、必要に応じて、衛生証明書、輸出証明書、酒齢証明書(ブランデー、ウイスキーの場合)、製造元工場ライセンス(日本の場合は保健所発行の営業許可が該当すると考えられます)、HACCP認証、GMP認証といった書類が求められるケースがあります。

また、アルコール飲料のうちアブサン(Absinthe)というニガヨモギなどのハーブを混入する薬草系リキュールは検査強化品目に指定されており、これらの輸入に際してはツヨン(thujone)の含有量が明記された、SFAが認定した試験検査機関発行の分析試験検査報告書と、原産国の関係当局が発行した販売許可書(日本の場合は地方農政局などが発行する「自由販売証明書」が該当すると考えられます)が必要となります

3. 輸入時の検査・検疫

調査時点:2022年11月

シンガポール食品庁(SFA)により検査強化品目に指定されていない食品(アルコール飲料含む)を輸入する際には、輸出国からの動植物検疫証明書や衛生証明書など書類の提示は必須ではありませんが、SFAは体系的監視プログラムを導入しており、このプログラムのもと、食品安全性試験のための食品のサンプリングに加え、記述内容を含めた表示要件への順守に関する食品の検査を実施しています。

各食品の試験項目は、食品に関連するリスクに応じて異なります。SFAは基本的な試験検査項目として次のリストを公表しています。このリストは網羅的なものではなく、リストに記載されていない追加項目について試験を実施することもあります。

理化学試験検査項目
  • 残留農薬:有機塩素、ピレスロイド、N-メチルカルバメート、ジチオカルバメート、有機リン酸塩
  • 保存料:安息香酸、ホウ酸、ソルビン酸、二酸化硫黄、メチルパラベン、メチル-p-ベンゾエート、プロピルパラベン、プロピル-p-ベンゾエート、ホルムアルデヒド
  • 重金属:ヒ素、アンチモン、カドミウム、銅、鉛、水銀、スズ、セレン、無機ヒ素
  • マイコトキシン:アフラトキシン(B1&2、G1&2)、オクラトキシンA、フモニシン、デオキシニバレノール、ゼアラレノン
  • 着色料:パラレッド、スーダンI、II、III&V、クリソジン、ベーシック黄色
  • 甘味剤:アセスルファム-K、スクラロース、ステビオシド、サッカリン、シクラメート、レバウジオシド
  • その他:ブロメート
微生物試験検査項目
コロニー数/プレート数、大腸菌群、糞便性大腸菌、大腸菌O157、サルモネラ、枯草菌、バチルスエンテロトキシン、クロストリジウムパーフリンジェンス、リステリアモノサイトゲネス、ブドウ球菌、ブドウ球菌エンテロトキシン、クロストリジウムボツリヌス菌

4. 販売許可手続き

調査時点:2022年11月

アルコール飲料をシンガポール国内で小売販売するには、食品販売法(Sale of Food Act)だけではなく、シンガポール警察(SPF)が所管する酒類管理(供給・消費)法の規制を受けます。酒類管理(供給・消費)法では、アルコール飲料を小売販売する店舗(パブ、レストラン、スーパーマーケットなどを含む)のライセンス規定、施設登録、飲酒管理区域や営業時間に関する基準などを定めています。

また、海外旅行者や外航船舶・航空機への販売または第三国への輸出を目的に、アルコール飲料などの保税倉庫や免税店の運営にあたっては、諸税納付の免除を受けることができます。その場合、税関法に基づき、シンガポール税関より保税倉庫ライセンスまたは免税店ライセンスの取得が義務付けられています。

食品小売販売許可
食品小売り販売許可は、以前はシンガポール国家環境庁(NEA)の管理下にありましたが、2019年4月1日以降、管轄がシンガポール食品庁(SFA)に移行しました。
レストラン、カフェ、バーなどの外食店、ケータリング事業者、スーパーマーケットを含む食品小売事業所は、環境公共衛生法(Environmental Public Health Act)のもと、SFAより食品店舗ライセンス(Food Shop Licence)を取得しなければなりません。ライセンスは1年間有効で年間ライセンス料が195 Sドル(シンガポール・ドル)かかります。ライセンス取得までに要する時間は、諸要件を満たすための店内の改装や、規定を順守しているか確認するための事前実地検査、必要書類の準備、ライセンス料金の支払いなど、それぞれにかかる時間によって異なります。
ライセンスはシンガポール政府ライセンス申請サイトGoBusinessを通して申請できます。申請から認可までの流れは次のとおりです。
  1. GoBusiness Licensingのサイトへ、Singpassを用いてログインし、必要な書類をすべて提出すると、SFAからIn-Principle Approval (IPA)が発行される。所要日数は5営業日程度。
  2. 店舗の改装完了の際に、SFA online feedback form外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます経由で、ライセンス取得前査察の日程を予約。査察日の確定までは2営業日程度。
  3. ライセンス要件に完全に準拠していることが確認され、必要な書類を提出すると、SFAからの認可が下りる。3営業日以内にメールおよびGoBusiness経由で通知が届く
申請に必要な書類は次のとおりです。
  • 店舗となる建物や土地を管理する政府機関からの使用許可
  • 賃貸借契約書
    • ライセンスを承認して発行する前の最終段階でのみ必要となるため、承認前の段階では契約しないことが推奨されています。
  • 申請者に関する次のうちのいずれかの情報
    • 個人の場合、国民登録管理カード(NRIC)の両面
    • 会社の場合、会計企業規制庁(ACRA)からの事業構成情報
    • その他の団体の場合、団体登記機関が発行する登録証明書
  • 食品取扱者の食品安全コースレベル 1修了証(SOA)
  • 食品衛生責任者の保有する食品衛生責任者証明書(ケータリング、レストラン、フードコート、食堂事業者のみ)
  • 清掃プログラム
  • 物件のレイアウト図面
  • 認定書(申請がライセンス保有者あるいはライセンスを保有する会社の社員によってなされない場合)
  • げっ歯類、ゴキブリおよびハエなどを対象とした年間ライセンス期間中の駆除契約書。契約の対象となる食料品店の敷地内検査の頻度は、害虫の侵入のいかなる兆候をも検出するために、少なくとも月に1回とする。
  • 営業時間、店舗名、販売品目などに関する補足情報
  • (重要管理項目が特定されている)食品安全管理計画または「WSQ Apply FSMS for Food Service Establishments」コースへの参加申し込み(ケータリング事業者のみ)
  • ケータリング車両の内部と外部を写した写真
  • ケータリング車両の使用権を証明するための借り入れ車両の車両記録カードあるいはテナント契約
  • ケータリング車両の清掃プログラム
これらに加え、販売許可の要件として、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、食品や飲料の販売または販売準備を行うスタッフは、全員マスクもしくは何等かの防護策を講じることが求められるようになりました。違反した場合は、最高5,000Sドルの罰金、または/もしくは営業停止やライセンスのはく奪もありえますので、注意してください。
アルコール飲料販売許可のための要件
アルコール飲料の小売または卸売事業者は、シンガポール警察(SPF)が所管する酒類管理(供給・消費)法のもと、SPFの酒類ライセンス局から酒類販売ライセンスを取得する必要があります。ライセンスは、シンガポール政府ライセンス申請サイトGoBusinessを通じてオンラインで申請します。酒類販売ライセンスには次の種類があります。営業時間はライセンスの有効期間内においては、延長を申請することが可能です。
酒類販売ライセンス一覧
免許クラス 供給酒類 営業時間 消費場所 年間ライセンス料
1A(外食) 酒類全般 06:00~23:59 免許に記載された店舗内 880 Sドル
1B(外食) 酒類全般 06:00~22:00 免許に記載された店舗内 660 Sドル
2A(外食) ビール 06:00~23:59 免許に記載された店舗内 460 Sドル
2B(外食) ビール 免許に記載された時間内 免許に記載された店舗内 285 Sドル
3A(小売) 酒類全般 07:00~22:30 免許に記載された店舗内 110 Sドル
3B(小売) ビール 07:00~22:30 免許に記載された店舗内 110 Sドル
4(卸売) 酒類全般 07:00~22:30 免許に記載された店舗内 110 Sドル
5(イベント、展示会等30日を超えない一時的免許) 22 Sドル/日または44 Sドル/週

また申請にあたっては、次の書類が必要となります。

  • 会社登記簿謄本(Bizfile)
  • 申請者のNRICまたはFIN
  • 土地の管理当局からの認可(出店場所により、HDBやURA/SLAなど異なる)

なお、酒類管理(供給・消費)法の法改正により、2015年4月1日から、シンガポール国内の公共の場(駅、道路、歩道、公園、広場など出入りが自由な場所)における、午後10時30分から午前7時までの飲酒が禁止されました。また、同時間帯の酒類の小売販売も禁止され、スーパーマーケットやコンビニエンス・ストアでの酒類の購入ができなくなりました。ただし、午後10時30分以降であっても、政府から酒類供給の許可を得たバー、レストラン、カフェ、イベント会場などにおいては、許可で認められた時間と場所において酒類の提供(販売)または消費(飲酒)することは可能です。

保税倉庫、免税店の運営許可のための要件
アルコール飲料などの関税・物品税の課税対象品目を旅行者に免税品として販売する事業者は、シンガポール税関が所管する免税店制度のもと、ライセンス(Licence to operate a duty-free shop)を取得し、他の非課税品目の売り場と分離しなければなりません。免税店運営事業者の年間ライセンス料は1店舗当たり一律7万Sドルです。ライセンスの申請先はシンガポール税関ですが、免税店運営事業者はチャンギ空港を運営するチャンギ空港グループ (CAG)およびSingapore Cruise Centre(CSC)やシンガポール警察などの政府機関からも免税店運営の認可を受けなければなりません。
アルコール飲料などの関税・物品税の課税対象品目を第三国への再輸出、あるいは外航船舶や航空機に販売する目的で、保税品として保管する倉庫を運営する事業者は、シンガポール税関が所管するライセンス倉庫制度のもと、シンガポール税関よりライセンスを取得すると、ライセンス倉庫に指定された倉庫に移送・保管される課税対象品目の関税、物品税、GSTの納付は免除されます。年間ライセンス料は、毎月月初めに保管されている商品に対する関税・物品税平均納税予想額に応じて、[1] 2,500 Sドル(納税予想額100万Sドル以下)、[2] 4,000 Sドル(同100万Sドル超1,000万Sドル以下)、[3] 2万1,000 Sドル(同1,000万Sドル超)の3段階に分かれています。 いずれのライセンスもシンガポール税関のライセンス申請サイトを通じてオンライン申請できます。申請に必要な書類は、次のとおりです。
  • 会社登記簿謄本(BizFile)
  • 過去3年間の監査済財務諸表
  • レイアウト図面
  • 賃貸契約書

5. その他

調査時点:2022年11月

施設登録・認定
SFAは2023年1月1日から現行制度に代わり、食品施設に対する新たな食品安全保証ライセンスの枠組みである、食品施設安全保証制度(The Safety Assurance for Food Establishments (SAFE) framework)を導入する予定です。この枠組みの下では、小売および非小売食品施設の双方が、食品安全保証に関して良好な実績を示し(記載された期間を通じて食品安全上大きな問題が生じないなど)、上級食品衛生管理者(Food Hygiene Officer/FHO)や食品安全管理システムなど、より高度な食品安全や衛生基準の確保のため、なんらかのリソースおよびシステムを導入した場合、ライセンス期間の延長やより上位の認証付与の対象とされます。
食品安全リスクの程度によって、A~Cの食品施設に分類、また衛生上大きな問題が生じなかった期間によって、4段階(No Award:1年、 Bronze:3年、Silver:5年、 Gold:10年)に格付け・ライセンス期間の決定がなされます。
またこれに付随し、食品安全コース(FSC)という食品取扱者、FHO、上級FHO向けのトレーニングコースが導入されます。
FSCは四段階にレベル分けされており、すべての食品取扱者がWSQ(Workforce Skills Qualification)食品安全コースレベル1に参加し、合格することが必要となります。また、カテゴリーAに分類されるすべての食品施設は、WSQ食品安全コースレベル3に合格したFHOを任命すること、またGoldを目指す場合はレベル4に合格した上級FHOを任命することが求められます。
衛生管理者などの配置
食品小売り事業所または食品事業所の営業許可を取得するには、食品衛生管理者(Food Hygiene Officer)の資格を持つ者を管理者として1人以上擁していなければなりません。食品衛生管理者は、食品・飲料衛生監査コース(WSQ Conduct Food & Beverage Hygiene Audit Course)に合格しなければなりません。また、すべての食品取扱者は、食品衛生基礎コース(WSQ Basic Food Hygiene Course)の修了証書を取得し、SFAに登録する義務があります。ただし、食品・飲料衛生監査コースに合格した人が食品取扱者になる場合は、食品衛生基礎コースを修了する必要はありません。
ケータリング事業者には、より高度な食品衛生基準が求められ、2019年4月以降、新しく免許を申請するケータリング業者は、食品サービス事業のための食品安全管理システム(Food Safety Management System:FSMS)申請コースに出席する職員を任命し、当該コースに合格する必要があります。加えて、ライセンス発行後3カ月以内にFSMSプランを提出し、それに従う必要があります。また、既存の免許を更新するケータリング業者は、免許更新日の少なくとも3カ月前までにFSMSプランを提出し、それに従う必要があります。更新日までに要件を満たすことができなかった場合、当該ケータリング業者は事業を中止しなければなりません。
食品衛生コースなど職業上の能力・技術を国家資格として認める労働力技能資格(WSQ) 制度は、教育省、労働省、通商産業省傘下のスキルズフューチャー・シンガポール(SSG)が所管しています。

シンガポールの輸入関税等

1. 関税

調査時点:2022年11月

アルコール飲料のうち、スタウト(黒ビール、HS番号2203.00.10)とビール(HS番号2203.00.90)は関税の課税対象となります。課税基準は従量税方式で、アルコール分量1リットル当たり16Sドルとなっています。
ただし、日本からシンガポールへ輸出する場合は、経済連携協定に基づき、無税となります。

2. その他の税

調査時点:2022年11月

物品税
アルコール飲料は物品税の課税対象となります。課税基準は従量税方式で、アルコール分量1リットル当たり60 Sドルまたは88 Sドルとなっています。主な品目の課税基準は次のとおりです。
  • ビール、スタウト、果実酒:アルコール分量1リットル当たり60 Sドル
  • ワイン、日本酒、焼酎、ウイスキー、ブランデー:アルコール分量1リットル当たり88 Sドル
物品税査定のため健康科学庁(HSA)が、抽出サンプル分析を行い、酒類の容量、アルコール強度、等級分類を決めます。また、物品税査定の便宜上、各種標準サイズボトルの容量範囲規定があります。標準サイズ以外の場合、ボトル全数の1%以下のボトルの容量を実測のうえ、平均値を出し、これに基づいて物品税を査定します。
財・サービス税(GST)
あらゆる商品の輸入者は輸入申告の際にCIF価額(FOB価額+保険料+運賃)に関税、物品税、手数料を足した合計に7%の税率をかけた財・サービス税(GST、日本の消費税に相当)をシンガポール税関に納付しなければなりません。なお、GSTは2023年1月から8%に、2024年1月から9%と段階的な引き上げを予定しています。
輸入者は、シンガポール内国歳入局(Inland Revenue Authority of Singapore、IRAS)にGST登録しておくと、3カ月ごとに売上税額(売上時に販売先から回収するGST)と仕入税額(輸入時に税関に支払ったGST)とを相殺し(仕入税額控除)、その差額をIRASに納付することになります。

3. その他

調査時点:2022年11月

なし

その他

調査時点:2022年11月

有機認証制度
シンガポールには有機農産物、有機加工食品などの法律に基づく有機認証制度または自国の有機認証機関がありません。食品規制(Food Regulations)では、コーデックス委員会の「有機的に生産される食品の生産、加工、表示および販売に係るガイドライン」(GL 32-1999)の第6条3項「公的に認められた検査・認証制度」に準拠した認証制度の下で「有機」と認証された食品には「有機」という語句をラベル表示できるとされています。よって、 日本の有機JAS制度による認証を受けた加工食品のパッケージなどに有機JASマークを貼付してシンガポールに輸出し、店頭でそのまま販売することは可能です。

関連リンク

関係省庁
シンガポール食品庁(SFA)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
食品規制 (Food Regulations)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
第3部(General Provisions)第9B項(Limitations on making particular statements or claims on labels)に「有機」ラベル表示の制限が掲載
その他参考情報
農林水産省 有機食品の検査認証制度外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます