ラオスの貿易投資年報
要旨・ポイント
- 経済は堅調に成長、観光・物流・降雨の回復でサービス業と鉱業・製造業に好影響。
- 高インフレと通貨安で実質賃金が低下、外国への就労が増加。
- 対内直接投資は前年比2.2倍の200億ドル超。再生可能エネルギー、鉱業、インフラ、農業関連の大型投資が進展。
- 財政健全化と通貨安・インフレ抑制策を強化、投資環境改善と行政改革が急務。
公開日:2025年8月21日

マクロ経済
サービス業が成長を牽引、2桁台のインフレ続く
アジア開発銀行(ADB)の分析レポートによると、ラオスの2024年の実質GDP成長率は4.0%と引き続き堅調で、前年の3.7%から0.3ポイント上昇した。観光、物流、鉱業、農業、製造業などが成長を支える一方、マクロ経済の不安定さが足かせとなっている。
サービス業は5.2%成長で、主に観光・物流業の回復によるものだった。「2024年ラオス観光年」に伴う観光ビザの免除措置や、ASEAN議長国就任により年間で400以上の会議を主催したことが貢献した。外国人観光客数は新型コロナ禍前の水準(479万人)には届かなかったものの、412万人(前年比20.6%増)となり、国内観光客は330万人(90.0%増)に達した。国際線はハイシーズンを中心に、西双版納(シーサンパンナ)、プノンペン、香港、ヤンゴン、ホーチミンなどへ路線を拡大した。2024年2月にはボケオ国際空港が開港した。また、6月にはラオスで最高層ビルとなるワンダビスタホテル(高さ138メートル、36階建て)が、9月にはASEAN首脳会議(サミット)開催に合わせダブルツリーbyヒルトンが開業するなど、宿泊業の活況が顕著だった。また、中国ラオス鉄道は2024年12月で開業3周年を迎え、ラオス側区間の利用者は377万人(45.0%増)、輸出入貨物は478万トン(16.3%増)に達したとみられる。7月にはタイ国鉄がラオス側に延伸したビエンチャン(カムサワート)駅が完成し、バンコクとの直通列車の運行が開始された。一方、通貨キープ安と高インフレが事業コストを押し上げ、消費低迷を招いたことで、卸売・小売業の売上は伸び悩んだ。
農業は1.7%の成長だった。9月の台風「ヤギ(Yagi)」などの自然災害のほか、労働者不足や資材コストの上昇も影響し、コメの生産量は385万トン(前年比3.4%減)に留まった。一方、キャッサバの生産は作付面積が29万5,000ヘクタール(18.3%増)、生産量は740万トン(18.3%増)に拡大した。ラオス政府は輸入代替と輸出促進を目指し、農産物の生産強化に取り組んでいる。
工業は3.5%成長し、前年の2.4%から加速した。ラオス・エネルギー鉱山省によると、2024年にナムグム4ダム〔240メガワット(MW)〕、ナムサム3ダム(156MW)など計10カ所(計543.7MW)の発電所が稼働を開始し、国内の発電容量1MW以上の発電所は109カ所(水力90カ所、太陽光14カ所、バイオ4カ所、火力1カ所)となり、総発電容量は1万2,236MWに拡大した。また、下半期にはラニーニャ現象により雨量に恵まれ、電力生産量は5万2,945ギガワット時(GWh)(前年比8.7%増)、輸出は4万2,143GWh(12.3%増)に増加した。国内消費も太陽光パネル生産など工業需要の増加で1万2,583GWh(8.6%増)となり、乾季の渇水期を中心に周辺国からの輸入も2,621GWh(48.5%増)に急増した。鉱業ではシリコン、バライトの生産が増加した一方、カリウムや鉄鉱石は振るわなかった。しかし、鉱物全体の生産高は25億8,500万ドル相当で、前年の22億5,000万ドル相当から14.9%増加した。ラオス政府は、今後、砂金やレアアースの採掘など環境負荷が高い事業への監督強化、石炭、鉄、金などの加工度を高めるための法律整備、コンセッション費未払いや生産量過少申告などの課題への対策を強化する方針である。製造業では、太陽光パネルなどの電気・電子部門やタピオカでん粉などが好調だったが、経済的困難から多くの労働者が高賃金を求めて国外へ流出し、労働力不足が顕著となった。これに対し、中国企業を中心にミャンマーから労働力を確保する動きもみられた。
インフレ圧力は緩和されつつも20%超の高水準続く
2024年のインフレ率は23.1%と、前年(31.2%)からは緩和されたものの、3年連続で20%を越え、経済や国民生活に大きな影を落としている。ラオス政府は2024年10月に、法定最低賃金の月額160万キープに加え、月額90万キープの生活支援金の支払いを企業に義務付けた。公務員にも月15万キープの給付金を追加し、最低給与を月額185万キープへと引き上げた。現地通貨キープは、2024年を通して公定レート(対ドル)で5.0%下落、対バーツで15.2%上昇した。当局の取り締まり強化によって、公定レートとブラックマーケットのレート格差は解消されたものの、高インフレ下で実質賃金は減少し、タイや韓国への労働者の移動を後押しした。タイにおけるラオス人正規労働者数は29万人(前年比25.2%増)とコロナ禍前の水準を上回り、韓国への出国者は農業季節労働を中心に5,600人(2.0倍)に達した。
貿易
電力、鉱物、農畜産物の輸出が増加、米国向け輸出が急増
ラオス商工省によると、2024年の輸出額は99億2,600万ドル(前年比18.6%増)、輸入額は83億8,800万ドル(16.7%増)となり、貿易黒字は15億3,800万ドル(30.4%増)となった。内陸国で5カ国と国境を接するラオスでは、通関を介さない国境貿易も広く行われており、とりわけ輸入額は実態としてはさらに多いとみられる。
輸出品目別では、電力が発電所の増加や雨量増加により26億5,500万ドル(前年比11.5%増)だった。ラオス・エネルギー鉱山省によると、輸出量は4万2,143GWh(12.3%増)で、輸出先のうち、タイが3万6,736GWh(13.2%増)、次いでカンボジア2,873GWh(12.0%増)、ベトナム2,435GWh(4.9%増)といずれも拡大した。周辺国の電力需要は増加しており、中でもベトナムは、ラオスからの輸入量を現在の1,000MWから2030年までに9,360MW以上に拡大する計画である。一方で、中国、シンガポール、マレーシア向けの輸出がなかった。これはタイ経由でマレーシアやシンガポール向けに売電する多国間クロスボーダー電力取引(LTMS-PIP)が、第2フェーズの交渉停滞で中断したことによる。
鉱物は25億7,400万ドル(前年比6.2%増)で、内訳をみるとカリウムは8億3,000万ドル(2.1倍)、金は7億4,300万ドル(5.6%増)に増加した。石炭も1億2,600万ドル(14.0%増)と増加し、ベトナムとラオス南部ガルム郡との間に、石炭輸出用ベルトコンベアを建設する計画がある。一方、2023年に大きく伸びた鉄鉱石および鉄鋼は1億9,900万ドル(54.3%減)と、市場価格下落により減少した。
農畜産物は降雨に恵まれ、16億3,900ドル(前年比35.6%増)と好調であった。うち天然ゴムは4億5,000万ドル(45.1%増)、キャッサバは3億7,400万ドル(12.4%増)、バナナは2億4,000万ドル(14.9%増)、コーヒー生豆は1億4,200万ドル(49.8%増)だった。中国ラオス鉄道の活用でキャッサバ、天然ゴム、コメなどの農産物輸出が活性化した。また、生きた牛・水牛はベトナム向け輸出が好調で、1億200万ドル(4.1倍)へと大幅に増加した。生きた牛・水牛は中国政府から50万頭の免税割り当てを受け、ラオス国内の牧場への投資が進んでいる。しかしながら、2023年のランピースキン病の流行による中国向けの輸出停止の影響で、本格的な中国向け輸出は再開されていない。ラオス政府は農畜産物の輸出促進のため増産政策を推進しており、今後、ドリアンなどの熱帯果物や牛など大型家畜の輸出も増加する見通しである。
加工食品は7億2,400万ドル(前年比17.2%増)で、うちサトウキビ由来の砂糖が2億4,200万ドル(9.0%減)、キャッサバ由来のタピオカ澱粉が1億9,500万ドル(78.3%増)だった。ラオス全土にはタピオカ澱粉工場が22カ所あり、年間370万トンのキャッサバ原料を必要としている。木材・木製品・パルプ・紙は7億5,700万ドル(4.3%減)であった。うち溶解パルプやロール紙の輸出は、7億2,800万ドル(3.1%減)だった。工業製品は12億3,200万ドル(2.2倍)と大幅に増加し、電気機械や米国向け太陽光パネル、家具などでラオスへの生産拠点の移転が進んだ。縫製・靴製品は3億4,100万ドル(9.8%減)と労働者不足や需要減退による生産低迷の影響を受けた。
輸出を国・地域別にみると、1位のタイは36億1,300万ドル(前年比25.3%増)で全体の36.4%を占めた。主な品目として、電力22億7,800万ドル(11.4%増)、キャッサバ3億3,800万ドル(18.0%増)、銅鉱石・銅製品3億600万ドル(6.4倍)などがあった。2位は中国で24億1,900万ドル(3.3%減、構成比24.4%)だった。品目では、パルプ・紙が7億1,500万ドル(3.3%減)と減少したが、カリウムが5億3,700万ドル(54.3%増)、バナナが2億2,500万ドル(11.8%増)にそれぞれ増加した。3位のベトナムは21億4,500万ドル(54.3%増、21.6%)と大幅に増加した。天然ゴム(3億700万ドル、51.3%増)、電気機器・同部品(2億9,500万ドル、87.2倍)、カリウム(2億4,300万ドル、前年実績なし)、電力(1億5,800万ドル、23.8%増)、生きた牛・水牛(1億200万ドル、4.1倍)などが大きく伸長した。電気機器・同部品の急増は、ラオス製の太陽光パネルの一部がベトナム経由で米国へ再輸出されているためとみられる。ラオスとベトナムは2024年4月に2国間貿易協定を更新した。
なお、米国向け輸出は2億8,400万ドル(前年比2.5倍)と急増した。内訳は、新設工場で生産が開始した太陽光パネル関連製品が8,500万ドル(28.0倍)、家具量販店向けマットレスなどが8,100万ドル(18.2倍)だった。なお、この金額は米国商務省センサス局の貿易統計が計上する8億300万ドル(前年比2.6倍)とは大きな開きがあるが、ベトナムなど第三国を経由し、米国に再輸出されているためとみられる。
最大の輸入相手国タイを中国が急追、ベトナムも存在感高める
輸入を品目別にみると、機械・電子機器および部品が16億3,300万ドル(前年比16.4%増)と2桁の伸びをみせた。大型投資用の機械類に加え、太陽光パネル製造向け部材の輸入が開始されたことが主因とみられる。化石燃料は14億600万ドル(6.5%増)で、輸入総額の16.8%を占めた。うちディーゼルは10億6,100万ドル(11.4%増)で、燃料ガス協会によると会員16社の輸入量は19億200万リットル(11.4%増)であった。ラオス政府は化石燃料輸入による外貨流出を抑えるために、物品税を低減して電気自動車(EV)の普及を進めており、2024年末時点で二輪を除くEV登録台数は7,500台となった。ラオス政府は2030年までに自動車の30%(50万台)をEVに転換する目標を掲げている。車両および部品は9億3,700万ドル(2.0%増)、農畜産物・食品は9億1,500万ドル(15.0%増)だった。電力は1億7,800万ドル(50.7%増)で、2023年の降雨不足によるダムの貯水不足や工業需要の増加が影響した。
輸入を国・地域別にみると、タイは35億7,800万ドル(前年比7.3%増)で全体の42.7%(前年は46.4%)を占め、最大の相手国であるが、ここ数年シェアが低下傾向にある。主な品目は、化石燃料が12億5,900万ドル(3.7%増)と最も多く、電力の輸入も1億6,500万ドル(52.1%増)と増加した。2位の中国は29億8,100万ドル(24.6%増)、2020年比で2.3倍に急増し、全体の35.5%に達した。インフラ投資や工場建設によって、機械および部品(5億5,100万ドル、29.5%増)や、EVを中心とした自動車(3億8,000万ドル、55.1%増)などが輸入を押し上げた。3位のベトナムも7億1,600万ドル(2.1倍)に急増し、化学製品が1億5,700万ドル(39.0倍)、化石燃料が7,600万ドル(53.8%増)となった。
品目 | 2023年 | 2024年 | ||
---|---|---|---|---|
金額 | 金額 | 構成比 | 伸び率 | |
電力 | 2,382 | 2,655 | 26.7 | 11.5 |
鉱物 | 2,425 | 2,574 | 25.9 | 6.2 |
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401 | 830 | 8.4 | 107.0 |
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703 | 743 | 7.5 | 5.6 |
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482 | 475 | 4.8 | △ 1.6 |
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435 | 199 | 2.0 | △ 54.3 |
農畜産物 | 1,209 | 1,639 | 16.5 | 35.6 |
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310 | 450 | 4.5 | 45.1 |
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333 | 374 | 3.8 | 12.4 |
加工食品 | 618 | 724 | 7.3 | 17.2 |
木材・木製品・パルプ・紙 | 791 | 757 | 7.6 | △ 4.3 |
工業製品 | 565 | 1,232 | 12.4 | 118.1 |
縫製・靴製品 | 378 | 341 | 3.4 | △ 9.8 |
合計(その他含む) | 8,368 | 9,926 | 100.0 | 18.6 |
〔出所〕ラオス商工省輸出入統計
品目 | 2023年 | 2024年 | ||
---|---|---|---|---|
金額 | 金額 | 構成比 | 伸び率 | |
機械・電子機器および部品 | 1,403 | 1,633 | 19.5 | 16.4 |
化石燃料 | 1,320 | 1,406 | 16.8 | 6.5 |
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952 | 1,061 | 12.6 | 11.4 |
車両および部品 | 919 | 937 | 11.2 | 2.0 |
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610 | 718 | 8.6 | 17.6 |
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44 | 66 | 0.8 | 50.2 |
農畜産物 | 796 | 915 | 10.9 | 15.0 |
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223 | 237 | 2.8 | 6.1 |
木材・木製品・パルプ・紙 | 393 | 463 | 5.5 | 17.8 |
鉄および鉄製品 | 558 | 519 | 6.2 | △ 7.0 |
プラスチックおよびその製品 | 231 | 280 | 3.3 | 21.2 |
電力 | 118 | 178 | 2.1 | 50.7 |
その他 | 1,449 | 2,056 | 24.5 | 41.8 |
合計(その他含む) | 7,189 | 8,388 | 100.0 | 16.7 |
〔出所〕ラオス商工省輸出入統計
国・地域 | 輸出(FOB) | 輸入(CIF) | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2023年 | 2024年 | 2023年 | 2024年 | |||||
金額 | 金額 | 構成比 | 伸び率 | 金額 | 金額 | 構成比 | 伸び率 | |
アジア大洋州 | 7,437 | 8,739 | 88.0 | 17.5 | 6,622 | 7,813 | 93.1 | 18.0 |
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104 | 105 | 1.1 | 0.8 | 159 | 151 | 1.8 | △ 5.2 |
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2,503 | 2,419 | 24.4 | △ 3.3 | 2,393 | 2,981 | 35.5 | 24.6 |
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83 | 82 | 0.8 | △ 0.8 | 18 | 18 | 0.2 | 2.3 |
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15 | 26 | 0.3 | 69.8 | 80 | 83 | 1.0 | 4.3 |
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6 | 12 | 0.1 | 103.1 | 17 | 15 | 0.2 | △ 9.2 |
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4,618 | 6,031 | 60.8 | 30.6 | 3,841 | 4,481 | 53.4 | 16.6 |
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2,884 | 3,613 | 36.4 | 25.3 | 3,334 | 3,578 | 42.7 | 7.3 |
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1,391 | 2,145 | 21.6 | 54.3 | 349 | 716 | 8.5 | 105.2 |
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200 | 219 | 2.2 | 9.7 | 5 | 13 | 0.2 | 176.6 |
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2 | 11 | 0.1 | 476.8 | 29 | 39 | 0.5 | 33.3 |
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96 | 8 | 0.1 | △ 91.3 | 86 | 87 | 1.0 | 0.8 |
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2 | 8 | 0.1 | 266.0 | 28 | 36 | 0.4 | 25.2 |
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102 | 51 | 0.5 | △ 49.6 | 27 | 32 | 0.4 | 17.7 |
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385 | 429 | 4.3 | 11.3 | 86 | 51 | 0.6 | △ 40.8 |
ロシア | 0 | 0 | 0.0 | 4.3 | 4 | 6 | 0.1 | 53.4 |
EU27 | 308 | 259 | 2.6 | △ 16.0 | 185 | 171 | 2.0 | △ 7.7 |
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104 | 118 | 1.2 | 12.8 | 32 | 34 | 0.4 | 6.7 |
英国 | 59 | 166 | 1.7 | 182.6 | 52 | 74 | 0.9 | 40.6 |
スイス | 27 | 18 | 0.2 | △ 34.1 | 19 | 20 | 0.2 | 5.9 |
米国 | 114 | 284 | 2.9 | 148.8 | 226 | 242 | 2.9 | 6.7 |
合計(その他含む) | 8,368 | 9,926 | 100.0 | 18.6 | 7,189 | 8,388 | 100.0 | 16.7 |
〔注〕アジア大洋州は、ASEAN+6(日本、中国、韓国、オーストラリア、ニュージーランド、インド)に香港、台湾を加えた合計値。
〔出所〕ラオス商工省輸出入統計
対内直接投資
対内直接投資額が200億ドル超え
ラオス商工省によると、2024年の対内直接投資額(新規企業登録ベース、自国投資含む)は前年比2.2倍の209億6,800万ドルへと大幅に増加した。国・地域別では、ラオス資本による国内投資が108億7,500万ドル(前年比2.4倍)で全体の51.9%を占めた。ラオス資本以外では、中国が44億1,200万ドル(48.6%増)と引き続き最大であるが、新型コロナ感染拡大直前(2020年)の66億2,200万ドルを下回っている。次いで、タイが39億700万ドル(5.8倍)、ベトナムが12億6,700万ドル(54.8%増)であった。
業種別にみると、建設が91億8,700万ドル(10.9倍)と最大で、次いで卸・小売・自動車修理が48億6,400万ドル(39.3%増)だった。そのほか、鉱業が10億9,600万ドル(32.6%増)、農林水産業が10億6,100万ドル(2.4倍)、製造が10億800万ドル(45.9%増)となった。
国・地域 | 対内直接投資 | |||
---|---|---|---|---|
2023年 | 2024年 | |||
金額 | 金額 | 構成比 | 伸び率 | |
アジア大洋州 | 9,387 | 20,873 | 99.5 | 122.4 |
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120 | 59 | 0.3 | △ 51.0 |
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2,969 | 4,412 | 21.0 | 48.6 |
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58 | 148 | 0.7 | 156.6 |
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6,192 | 16,221 | 77.4 | 162.0 |
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4,611 | 10,875 | 51.9 | 135.9 |
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818 | 1,267 | 6.0 | 54.8 |
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675 | 3,907 | 18.6 | 478.5 |
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57 | 89 | 0.4 | 55.9 |
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26 | 60 | 0.3 | 128.4 |
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16 | 12 | 0.1 | △ 26.6 |
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14 | 17 | 0.1 | 19.5 |
欧州 | 37 | 48 | 0.2 | 30.6 |
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37 | 44 | 0.2 | 21.2 |
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30 | 30 | 0.1 | △ 0.2 |
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0 | 2 | 0.0 | 905.9 |
北米 | 15 | 16 | 0.1 | 1.8 |
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9 | 9 | 0.0 | △ 3.5 |
ロシア | 5 | 4 | 0.0 | △ 17.9 |
合計(その他含む) | 9,473 | 20,968 | 100.0 | 121.3 |
〔注1〕アジア大洋州は、ASEAN+6(日本、中国、韓国、オーストラリア、ニュージーランド、インド)に香港、台湾を加えた合計値。
〔注2〕ラオス企業による対内投資を含む。
〔注3〕2023年は1ドル=1万7,881キープ、2024年は1ドル=2万201キープで算出。
〔出所〕ラオス商工省企業登録管理局
業種 | 対内直接投資 | |||
---|---|---|---|---|
2023年 | 2024年 | |||
金額 | 金額 | 構成比 | 伸び率 | |
建設 | 846 | 9,187 | 43.8 | 985.4 |
卸・小売・自動車修理 | 3,493 | 4,864 | 23.2 | 39.3 |
鉱業 | 827 | 1,096 | 5.2 | 32.6 |
農林水産業 | 440 | 1,061 | 5.1 | 141.0 |
製造 | 690 | 1,008 | 4.8 | 45.9 |
金融・保険 | 877 | 789 | 3.8 | △ 10.0 |
電気・ガス | 454 | 678 | 3.2 | 49.2 |
教育 | 12 | 562 | 2.7 | 4,580.5 |
科学技術 | 682 | 361 | 1.7 | △ 47.1 |
ホテル・レストラン | 383 | 337 | 1.6 | △ 11.9 |
運輸・倉庫 | 267 | 244 | 1.2 | △ 8.8 |
不動産 | 239 | 235 | 1.1 | △ 1.4 |
エンターテイメント | 14 | 109 | 0.5 | 698.2 |
健康医療 | 25 | 55 | 0.3 | 120.5 |
情報通信 | 54 | 42 | 0.2 | △ 21.0 |
上下水道、廃棄物処理 | 2 | 11 | 0.1 | 367.4 |
その他 | 160 | 329 | 1.6 | 105.6 |
合計 | 9,473 | 20,968 | 100.0 | 121.3 |
〔注1〕ラオス企業による対内投資を含む。
〔注2〕2023年は1ドル=1万7,881キープ、2024年は1ドル=2万201キープで算出。
〔出所〕ラオス商工省企業登録管理局
ラオス企業による国内投資の主な動きとして、ビエンチャンロジスティックパーク(Vientiane Logistics Park:VLP)によるタナレーンドライポートの第2フェーズや、ボリカムサイ県第5友好橋での税関倉庫開発が挙げられる。また、AIDCグリーンフォレスト(AIDC Green Forest)やチャルーンセコンカーボン(Chaleun Sekong Carbon)などが携わる森林カーボンクレジット事業のMOA調印、リンカムトレーディング(Liankham Trading)によるナムグム1ダムの水上太陽光発電事業の可能性調査、ポーンサックグループ(Phonsack Group)による1,800MWの石炭火力発電所事業の調査なども進んでいる。その他、ラオス財務省とPTLホールディング(PTL Holding)によるブリオンバンク(貴金属取引銀行)の設立、ラオ・ヴーン(Lao Veun)による中国向けの1,700ヘクタール規模のフルーツ農園開発のコンセッション契約の締結、ラオス中央銀行と11銀行の合弁による為替取引会社(LFX)の設立、観光地のバンビエンにあるゴルフコースを含む7億ドルの大規模自然観光開発の開始などが主な投資案件である。また、首都ビエンチャンでは10億ドルを投じて、都市バス交通システムBRTの導入に向けた建設が進められており、中国からEVバス55台を調達した。2025年中にも試験運行が開始される予定である。
太陽光発電や食糧、鉱業分野で中国企業の積極投資が続く
中国からの旺盛な投資も続いている。電源開発では、2024年12月にCGNエナジー(CGN Energy)がラオス北部でクリーンエネルギー事業第1フェーズ(太陽光1,000MW)の建設を開始した。完成後は、EDL-Tが建設する500kV高圧送電線を通じて中国南部へと輸出される予定である。さらに、第2フェーズでも追加で1,000MW規模の太陽光開発が計画されている。農林水産業では、アジアタバコインダストリー(Asia Tobacco Industry Group)がバナナやサトウキビ栽培、搾油・飼料・有機肥料工場の設立など包括的農業投資に関するMOUを締結したほか、メコン漁業工業(Mekong Fishery Pangasius Industrial Park)による南部コング郡での大規模ナマズ養殖施設と水産加工工場の開所があった。さらに、トウモロコシ、ハトムギ、大豆、茶などの比較的大規模な農業投資が進んだ。鉱山開発では、化学肥料に使用されるカリウム鉱山への投資が引き続き活発である。中農鉀肥(Sino-agri Potash)は中部カムアン県で2,000ヘクタールの総合的カリウム工業団地を開発し、設備拡張によって年間300万トン規模のカリウム増産を実現した。加えて、資源再生や臭素開発なども進められている。同地区へのクリーンエネルギー供給を目的に、雲南エナジーインベストメント(Yunnan Energy Investment)は50MWの太陽光発電所を建設している。
製造業分野では、中国雲南省の国営企業が開発するサイセター総合開発区において、中国企業を中心に25社が計4億ドルを投資した。特に、米国によるアンチダンピング税などの課税強化を受けて、カンボジアから移転したインペリアルスターソーラー(Imperial Star Solar)など8社の太陽光パネル生産工場が進出した。一方で、北部ボケオ県のゴールデントライアングル経済特区では、コールセンター詐欺などの犯罪活動が国際的に問題視され、中国政府と共同で一掃作戦が行われた。
ベトナムからの投資は、LCCのベトジェット(Viet Jet)による整備用施設(MRO)の設立、ベトフオン・グループ(Viet Phuong Group)による南部ダクチュン郡での10億ドル規模のボーキサイト採掘加工事業、ホアンアインザライ国際農業(HAGL Agrico)によるアタプー県での天然ゴム、畜産、農業事業の再編、化学大手のビナケム(Vinachem)によるカリウム肥料開発などが挙げられる。タイからの投資は、6億5,000万バーツ(約28億6,000万円、1バーツ=約4.4円)を投資したベタグロ(Vetagro)の飼料工場、エナジー・アブソリュート(Energy Abusolute)と財務省の合弁によるクリーンエネルギー開発事業、コンビニエンスストアのセブンイレブンの全国展開などがあった。その他の国では、韓国のLVMCホールディングス(旧:コーラオグループ)による大規模ショッピングモール開発と積極的なフランチャイズ展開、RWAによるデジタルパーク開発、スタートアップのアクティブキー(ActiBooky)やエドウィル(eduwill)によるデジタル化や教育分野の進出もみられた。
対日関係
日本への製造品輸出が減少、対内投資も半減
2024年のラオスから日本への輸出額は1億500万ドル(前年比0.8%増)で、ラオスの総輸出額の1.1%を占めた。このうち、ラオス国内工場で加工された縫製・靴製品が4,100万ドル(11.2%減)、ケーブルハーネスや電子部品などは1,200万ドル(14.1%減)といずれも減少した。ラオスの労働力不足や需要減退の影響を受けたとみられる。コーヒー豆は100万ドル(11.6%増)だった。日本の財務省統計によると、日本のコーヒー生豆の輸入相手国として、ラオスは数量では1,588トンで11位、金額では12億6,000万円で14位だった。ラオス産コーヒー豆は主にベトナムを経由し、その後日本に再輸出されているとみられる。一方、日本からの輸入は、1億5,100万ドル(5.2%減)で、ラオスの輸入額全体の1.8%であった。このうち自動車が7,200万ドルと、対日輸入額の47.7%を占めている。
品目 | 2023年 | 2024年 | ||
---|---|---|---|---|
金額 | 金額 | 構成比 | 伸び率 | |
縫製・靴製品 | 46,231 | 41,075 | 39.0 | △ 11.2 |
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30,184 | 25,780 | 24.5 | △ 14.6 |
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16,047 | 15,295 | 14.5 | △ 4.7 |
化学品 | 13,388 | 19,302 | 18.3 | 44.2 |
農産物および食品 | 9,777 | 13,863 | 13.2 | 41.8 |
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929 | 1,037 | 1.0 | 11.6 |
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4,783 | 9,281 | 8.8 | 94.1 |
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1,920 | 1,323 | 1.3 | △ 31.1 |
電気製品および部品 | 13,700 | 11,771 | 11.2 | △ 14.1 |
化粧品・香水 | 10,150 | 9,574 | 9.1 | △ 5.7 |
木製品 | 2,002 | 2,144 | 2.0 | 7.1 |
その他 | 9,137 | 7,520 | 7.1 | △ 17.7 |
合計 | 104,385 | 105,251 | 100.0 | 0.8 |
〔出所〕ラオス商工省輸出入統計
品目 | 2023年 | 2024年 | ||
---|---|---|---|---|
金額 | 金額 | 構成比 | 伸び率 | |
車両および部品 | 103,382 | 77,890 | 51.8 | △ 24.7 |
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96,903 | 71,792 | 47.7 | △ 25.9 |
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2,706 | 2,696 | 1.8 | △ 0.4 |
機械・電気機器および部品 | 23,309 | 44,932 | 29.9 | 92.8 |
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4,292 | 5,622 | 3.7 | 31.0 |
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2,675 | 2,003 | 1.3 | △ 25.1 |
縫製・製靴原料 | 15,958 | 12,330 | 8.2 | △ 22.7 |
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4,396 | 3,202 | 2.1 | △ 27.2 |
プラスチック製品 | 2,275 | 1,921 | 1.3 | △ 15.5 |
その他 | 13,867 | 13,437 | 8.9 | △ 3.1 |
合計 | 158,790 | 150,510 | 100.0 | △ 5.2 |
〔出所〕ラオス商工省輸出入統計
日本からの2024年の直接投資額は5,900万ドル(51.0%減)と大きく減少した。ただし、日系企業による投資はタイなどの第三国法人を介して行われることが多く、農業、製造業、保険業、エンターテインメント業などの進出があった。なお、三菱商事などが出資する600MWの東南アジア最大級の風力発電所の建設は順調に進んでおり、2025年中に商業発電を開始する予定である。
投資環境
投資環境改善への取り組みが必須
ラオス政府は財政安定化に向けた重点課題への対応として、2024年5月から付加価値税(VAT)を7%から10%に引き上げるなど徴税を強化した。その結果、ADBの推計によると、2024年の歳入は対GDP比で2023年の17.4%から19.2%に上昇した。歳出は2023年と同水準の16.7%にとどまり、財政黒字は0.7%から2.5%に改善した。トンルン・シースリット国家主席は閣僚に対し、インフレや通貨安の抑制に向けてあらゆる手段を講じるよう強く指示し、輸入依存を最小限に抑え、農業生産やサプライチェーンを強化するなど独立自主経済思想を推進した。ラオス中央銀行は、インフレと強く相関する現地通貨の安定化のため、2024年3月から輸出企業に対し外貨売上の国内口座への送金義務化や、業種別の一定比率での通貨キープへの強制兌換措置を断行した。その結果、輸出売上による外貨の国内還流率は、2023年末の55%から2024年末には71%へと上昇し、外貨準備高も18億ドル(7.3%増)に改善した。他にも、2024年には3度にわたる金融引き締めを行い、短期政策金利を7.5%から10.5%に段階的に引き上げた。また、政府資金を一元化するトレジャリー・シングル・アカウント(TSA)の導入などを進めた結果、キープの下落に一定の歯止めがかかった。
投資環境整備としては、2024年6月に改正投資奨励法を発布し、投資優遇政策の整理を進めた。同法では、国内生産強化のために、環境に優しい工業やクリーン農業の奨励、教育分野への税制優遇の強化が盛り込まれた。同年11月にはサルムサイ・コンマシット副首相兼外務相を首相府常任副首相に任命し、貿易運輸円滑化委員会の委員長として投資環境整備に専念できる環境を整えた。官民対話として、ラオス政府と商工会議所が実施しているラオ・ビジネスフォーラムでは、ライセンス規制の緩和や資金アクセス改善に加え、外国籍トラックの国内走行の規制緩和、ドライポートのコスト削減、不正輸入の対策強化、観光振興などの改善が課題として提案されている。
IMFが2024年10月に作成した債務持続性分析では、ラオスの債務は依然として持続不可能な水準にあると評価されている。世界銀行は、2024年末の公共・公的保証債務残高がGDPの99.2%(前年は116%)と、ASEAN内で最高水準にあると指摘する。また、公的債務の借り換え資金調達において国内の金融機関への依存度が高まる中、中小企業の資金アクセスが圧迫(クラウディングアウト)される懸念が示された。
ラオス政府は、2025年のGDP成長率を4.8%と計画している。また、2025年中に計画投資省と財務省、商工省とエネルギー鉱山省をそれぞれ合併し、行政改革による効率化を図る。成長を牽引している観光業では外国人観光客430万人(2024年比4.4%増)、国内観光客410万人(24.2%増)の受け入れを目標とする。また、エネルギー鉱山省は、電力輸出を28億8,100万ドル(8.5%増)、鉱物輸出を27億6,900万ドル(7.6%増)に拡大する計画である。
基礎的経済指標
項目 | 単位 | 2022年 | 2023年 | 2024年 |
---|---|---|---|---|
実質GDP成長率 | (%) | 2.5 | 3.7 | 4.0 |
1人当たりGDP | (米ドル) | 2,022 | 1,976 | 2,066 |
消費者物価上昇率 | (%) | 23.0 | 31.2 | 23.1 |
失業率 | (%) | 19 | — | — |
貿易収支 | (100万米ドル) | 1,390 | 1,180 | 1,538 |
経常収支 | (GDP比、%) | △ 3.0 | 2.7 | 3.4 |
外貨準備高(グロス) | (100万米ドル) | 1,480 | 1,677 | 1,800 |
公共・公的保証債務残高 | (GDP比、%) | 131 | 116 | 99.2 |
為替レート | (1米ドルにつき、ラオス・キープ、期中平均) | 14,035 | 17,881 | 20,201 |
注
貿易収支:国際収支ベース(財のみ)
出所
実質GDP成長率、外貨準備高(グロス)、為替レート:アジア開発銀行(ADB)
1人当たりGDP、経常収支:IMF
消費者物価上昇率:ラオス計画投資省
失業率:ラオス労働社会福祉省
貿易収支:ラオス商工省
公共・公的保証債務残高:世界銀行