知的財産情報(知財関連法律改正の動き) 【法案提出】発明振興法の一部改正法律案(議案番号:2212907)
2025年09月11日
議案番号:2212907
提案日:2025年9月11日
提案者:キム・ジョンミン議員(無所属)外9人
提案理由
韓国における特許出願の8割以上は職務発明によるものであり、現行法は職務発明を奨励するために支援施策を策定するように規定し、従業員が特許権等の権利を使用者に承継するか、専用実施権を設定した場合には正当な報奨を受けるように定めている。しかし、現行法上、職務発明に関する権利承継及び報奨に関する規定が不十分であるため、職務発明の権利承継の有無が確定する前に従業員が第三者に職務発明に関する権利を譲渡するか、使用者が職務発明に対する報奨を回避する等、様々な問題が発生している。また、これによる紛争が増加しているにもかかわらず、従業員が使用者に対し職務発明審議委員会の構成及び審議を要求できる期間が短すぎるため、実効性が低いとの指摘が提起されている。
従って、職務発明に関する規定を補完することで、使用者と従業員との権利関係を明確にし職務発明に対する報奨と紛争解決の実効性を高めて職務発明の活性化を図る目的である。
主要内容
イ.特許庁長に対し職務発明の現況等に関する実態調査を毎年実施するよう規定する(案第11条の3の新設)。ロ.職務発明の権利承継の有無が確定する前に従業員等が職務発明を自分の名義で出願するか、職務発明に対する権利を第三者に譲渡してはならない(案第13条第4項の新設)。
ハ.従業員等が故意又は重大な過失により職務発明が完成したとの事実を使用者等に通知しないか、職務発明の権利承継の有無が確定する前に職務発明を自分の名義で出願又は職務発明に対する権利を第三者に譲渡して使用者等に損害が発生した場合にはその損害に対する賠償責任を負わせる(案第13条の2の新設)。
ニ.使用者等が発明の経済的価値、従業員等の寄与度等を考慮して大統領令で定める基準に基づき報奨規定を作成するようにする(案第15条第2項後段の新設)。
ホ.従業員等が職務発明審議委員会の構成及び審議を要求できる期間を30日から90日に延長する(案第18条第2項)。
発明振興法の一部改正法律案
発明振興法の一部を次のように改正する。
第11条の3を次のように新設する。
第11条の3(職務発明の実態調査)①特許庁長は第11条第1項に基づく支援施策を効率的に策定・施行するために、毎年職務発明の現況等について実態調査を実施しなければならない。
②特許庁長は第1項に基づく実態調査をするために使用者等に職務発明の現況等大統領令で定める資料の提出や意見の陳述を要請することができる。この場合、使用者等は特別な事由がなければその要請に従わなければならない。
③第1項に基づく実態調査の方法及び手続等に必要な事項は大統領令で定める。
第13条に第4項を次のように新設する。
④従業員等は使用者等の承継の有無が確定する前にその職務発明を自分の名義で出願するか、職務発明に対する権利を第三者に譲渡してはならない。
第13条の2を次のように新設する。
第13条の2(損害賠償責任)従業員等が故意又は重大な過失により第12条又は第13条第4項を違反して使用者等に損害が発生した場合にはその損害を賠償する責任を負う。
第15条第2項に後段を次のように新設する。
この場合、使用者等は発明の経済的価値、従業員等の寄与度を考慮する等、大統領令で定める基準に基づき報奨規定を作成しなければならない。
第18条第2項本文及び但し書きの中「30日」をそれぞれ「90日」にする。附 則
第1条(施行日)この法律は、公布後6月が経過した日から施行する。
第2条(職務発明審議委員会への審議の要求期限に関する適用例)第18条第2項の改正規定は同法施行以降第18条第1項に基づき従業員等が使用者等に職務発明審議委員会への審議の要求をした場合に適用する。
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