知的財産情報(知財関連法律改正の動き) 【法案提出】法院組織法の一部改正法律案(議案番号:2212851)

2025年09月10日

議案番号:2212851
提案日:2025年9月10日
提案者:パク・ボムゲ議員(共に民主党)外11人

提案理由

先端技術の保護が国家安保レベルの課題に昇格されたことにより、技術流出·侵害について専門性のある法院(裁判所)において迅速かつ正確な処理と一貫性のある判決が求められている。しかし、現行の知識財産訴訟の管轄集中は特許権、実用新案権、デザイン権、商標権、品種保護権に関する民事本案訴訟の控訴審事件に限って適用されている。反面、知財権民事仮処分事件、知識財産刑事訴訟と知識財産侵害に対する貿易委の処分及び特許庁行政処分に対する行政訴訟は、特許法院に管轄が集中されておらず、専門的で一貫性のある紛争解決には限界があるとの問題が提起されている。
従って、先端技術の保護体系を強化し、技術流出及び知識財産侵害による被害に対する迅速かつ正確な処理と一貫性のある判決を行うために、知識財産を専門的に取り扱う法院である特許法院が中心となる知財訴訟の控訴審管轄集中等、知財訴訟管轄制度を改善するために「法院組織法」を見直す目的である。

主要内容

イ. 知識財産民事本案訴訟の控訴審、民事仮処分事件の抗告審の管轄を全て特許法院に集中させる一方、民事本案訴訟の控訴審の管轄集中は「民事訴訟法」第24条第1項各号(議案番号2212855、民事訴訟法の一部改正法律案の新設)による「特許法」、「実用新案法」、「デザイン保護法」、「商標法」、「植物新品種保護法」、「半導体集積回路の配置設計に関する法律」、「不正競争防止及び営業秘密保護に関する法律」、「産業技術の流出防止及び保護に関する法律」等、産業財産及び技術安全保障に関する8つの法律の知識財産権等を対象とし、民事仮処分事件の抗告審の管轄集中は、民事執行法第303条第2項(議案番号2212853、民事執行法の一部改正法律案の新設)による事件の抗告事件を対象とする(案第28条、案第28条の4第2号·第3号及び案第32条第2項)。
ロ. 刑事訴訟については「刑事訴訟法」第4条の2各号(議案番号2212854、刑事訴訟法の一部改正法律案の新設)違反事件の控訴又は抗告事件の管轄を特許法院に集中させる一方、「刑事訴訟法¥第4条の2(議案番号2212854、刑事訴訟法の一部改正法律案の新設)による裁判所(重複官割法院であると認められるソウル中央地方法院と大田(テジョン)地方法院)以外の法院(現行「刑事訴訟法」第4条に基づく土地管轄法院)で裁判した事件の控訴又は抗告事件については「刑事訴訟法」第8条第5項(議案番号2212854、刑事訴訟法の一部改正法律案の新設)により被告人の意見を聞いて移送された事件に限り特許法院に集中して処理する(案第28条、案第28条の4第4号及び案第32条第2項)。
ハ. 知識財産に関する行政訴訟であって「不公正貿易行為の調査及び産業被害救済に関する法律」に基づく貿易委員会による知識財産侵害行為に対する調査事件と、「特許法」、「実用新案法」、「デザイン保護法」、「商標法」及びこれらの法律に基づく命令により特許庁長又は特許審判院長がした処分に対する行政訴訟の控訴審についても特許法院に集中して処理する(案第28条、案第28条の4第5号及び第6号、案第32条第2項等)。

参考事項

この法律はパク·ボムゲ議員が代表発議した「民事訴訟法の一部改正法律案」(議案番号第12855号)、キム·ジョンジェ議員が代表発議した「民事執行法の一部改正法律案」(議案番号第12853号)及び「刑事訴訟法の一部改正法律案」(議案番号第12854号)の議決を前提とするものであることから、同法案が議決されないか、修正議決される場合は、これに合わせて調整されるべきである。

法院組織法の一部改正法律案

法院組織法の一部を次のように改正する。
第28条各号外の部分の但し書の中「第28条の4第2号」を「第28条の4第2号から第7号まで」にする。
第28条の3第2項中「第27条第3項」を「第27条第3項及び第4項」にする。
第28条の4第2号の中「第24条第2項及び第3項」を「第24条第1項及び第2項」にし、同条第3号を第7号にし、第3号から第6号までをそれぞれ次のように新設する。
3.「民事執行法」第303条第2項に基づく事件の抗告事件
4.「刑事訴訟法」第4条の2に基づく知識財産権等事件の控訴又は抗告事件(但し、「刑事訴訟法」第4条の2に基づく法院以外の法院で裁判した事件の控訴又は抗告事件は「刑事訴訟法」第8条第5項により移送された事件に限る)
5.「特許庁」、「実用新案法」、「商標法」及び「デザイン保護法」(以下、「産業財産権法」とする)及び産業財産権法に基づく命令により特許庁長又は特許審判院長がした処分に対する行政訴訟事件の控訴事件
6.「不公正貿易行為の調査及び産業被害救済に関する法律」(以下、「不公正貿易調査法」とする)第14条第3項に基づく行政訴訟事件の控訴事件の中、不公正貿易調査法第4条第1項第1号に該当する行為に対する調査事件
第32条第2項但し書の中「第28条の4第2号」を「第28条の4第2号から第7号まで」にする。

附 則

この法律は、公布後6月が経過した日から施行する。

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