知的財産情報(知財関連法律改正の動き) 【法案提出】商標法の一部改正法律案(議案番号:2212791)
2025年09月08日
議案番号:2212791
提案日:2025年9月8日
提案者:ソ・ワンジン議員(祖国革新党)外10人
提案理由及び主要内容
最近、いわゆる「コラボ」製品が市場で人気を集めており、商標専用使用権を設定する事例が増えている。しかし、現行の商標法では契約更新に関する規定が不在するため、専用使用権者はあらゆる投資や取り組みにもかかわらず、法律上弱い立場になる恐れがある。国会の国政調査でも「コムピョ(熊標)ビール」の事例が指摘されたことがある。専用事業権者はコラボ製品の価値を高めるために資本やアイデアを投じたが、商標権者が契約を更新しないとし、その過程の中で専用使用権者の営業秘密が第三者に伝われたという疑惑があった。このように商標の共同的発展に寄与した専用使用権者が契約更新を進める中で正当に対抗する権利もなく、交渉力のバランスを取れない問題は制度的に見直す必要がある。
従って、商標権者が一定要件の下、専用使用権者による契約更新の要求を正当な事由なしに拒むことを防ぎ、更新を拒絶した際にはその事由を書面により通知するようにし、更新の要求への応答がない場合には従来の条件と同一な内容で契約が更新されたこととみなすことで、商標の共同的発展に寄与した専用使用権者の地位を一定部分制度的に保護し、バランスの取れた交渉力を図る目的である(案第95条の2の新設)。
商標法の一部改正法律案
商標法の一部を次のように改正する。
第95条の2を次のように新設する。
第95条の2(専用使用権の設定契約の更新)①商標権者は専用使用権者が専用使用権の設定契約の満了前の180日から90日の間に契約の更新を要求する場合、正当な事由なくこれを拒絶してはならない。但し、次の各号のいずれかに該当する場合にはその限りではない。
1.専用使用権者の重大な契約の不履行等により商標権者が専用使用権の設定契約を更新することが難しい場合
2.商標権の専用使用権の設定契約に通常適用される契約条件や営業方針を専用使用権者が受諾しない場合
3.商標権者が契約期間の間、当該商標に関する営業の持続を中断するか、営業方針を変更して専用使用権の設定契約を更新することが難しい場合
4.その他商標権者が専用使用権の設定契約を更新することが難しい事由であって大統領令で定める事由に該当する場合
②第1項に基づく専用使用権者の契約更新要求権は最初の契約期間を含む全体の専用使用権の設定契約期間が6年を超過しない範囲内で行使することができる。
③商標権者は計契約期間6年を超過する専用使用権者が専用使用権の設定契約の更新を要求する場合には専用使用権者の地位保護等を考慮して契約の更新のために努力しなければならない。
④商標権者は第1項に基づく更新の要求を拒絶する場合にはその要求を受けた日から15日以内に専用使用権者に対し拒絶の事由を書いて書面で通知しなければならない。
⑤商標権者が第4項に基づく拒絶の通知をしないか、契約期間の満了前の180日から90日までの間に専用使用権に対し契約条件の変更に関する通知や契約を更新しないとの事実の通知を書面でしなかった場合には、契約満了前の契約と同じ条件で再び契約を締結したこととみなす。但し、専用使用権者が契約が満了する日の60日の前までに異議を申し立てるか、商標権者又は専用使用権に天災地変若しくはその他大統領令で定めるやむを得ない事由があった場合にはその限りではない。附 則
第1条(施行日)この法律は、公布後6月が経過した日から施行する。
第2条(専用使用権の設定契約の更新に関する適用例)第95条の2の改正規定は同法施行以降締結若しくは更新される専用使用権の設定契約に適用する。
ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム
ジェトロ・ソウル事務所 知的財産チームは、韓国の知的財産に関する各種研究、情報の収集・分析・提供、関係者に対する助言や相談、広報啓発活動、取り締まりの支援などを行っています。各種問い合わせ、相談、訪問をご希望の方はご連絡ください。
担当者:大塚、李(イ)、半田(いずれも日本語可)
E-mail:kos-jetroipr@jetro.go.jp
Tel :+82-2-3210-0195