知的財産情報(知財関連法律改正の動き) 【法案提出】実用新案法の一部改正法律案(議案番号:2211487)
2025年07月15日
議案番号:2211487
提案日:2025年7月15日
提案者:パク・ジへ議員(共に民主党)外10人
提案理由及び主要内容
現行法では、営業秘密侵害訴訟及び不正競争行為に対し裁判所が当事者の申請により損害の証明又は損害額の算定に必要な資料を提出するよう命ずることができると定めている。しかし、実際の訴訟過程において損害の証明や損害額の算定のみならず、侵害行為自体を立証することが難しい場合が多く、実効的な証拠調査手続きが不十分であるため、侵害を立証する証拠の確保に限界があるとの指摘が相次いでいる。
反面、米国では証拠開示制度(Discovery)及び証言録取(Deposition)制度により、侵害事実及び損害額の立証に関する証拠を効果的に確保できるように定めており、ドイツは専門家調査制度(Inspection)を設けて裁判所が指定する専門家が侵害立証又は損害額の算定に必要な証拠について調査するように定めていることから、これらを参考にして証拠確保のための手続きを設ける必要があるとの意見が提起されている。
従って、証拠調査及び証拠保全制度を導入することで、技術紛争に関する実体的真実を確保することにより、特許権者及び専用実施権者の権利保護を強化し、紛争の迅速な解決を図る目的である(案第45条の2等)。
参考事項
同法律案はソン・ジェボン議員が代表発議した「特許法の一部改正法律案」(議案番号第10890号)の議決を前提にするため、同法律案が議決されないか修正議決される場合にはそれに合わせて調整しなければならない。実用新案法の一部改正法律案
実用新案法の一部を次のように改正する。
第30条の中「第128条の2」を「第128条の2から第128条の7まで」にする。
第43条の題目の外の部分を第1項にし、同条に第2項を次のように新設する。
②次の各号のいずれかに該当する者は「刑法」第129条から第132条まで及び「公職者の利害衝突防止法」を適用する際には公務員とみなす。
1.第30条に基づき準用する「特許法」第128条の3第2項に基づき指定された専門家の中公務員ではない者
2.第30条に基づき準用する「特許法」第128条の6第3項に基づき陳述人による陳述を録音又は映像録画する者の中公務員ではない者
3.第33条に基づき準用する「特許法」第154条の2に基づき指定された専門審理委員
第45条の2を次のように新設する。
第45条の2(資料保全命令違反罪)第30条に基づき準用する「特許法」第128条の5第1項に基づく資料保全命令を違反して資料を故意に棄損したか使用させなくした者に対し5年以下の懲役又は1億ウォン以下の罰金に処する。
第47条第2項を第3項にし、同条に第2項を次のように新設する。
②第30条に基づき準用する「特許法」第128条の6第4項に基づき宣誓した当事者ではない陳述者が嘘の陳述をした場合には5年以下の懲役又は1千万ウォン以下の罰金に処する。
第49条の2第1項の中「事由なしに」を「事由なしに第30条に基づき準用する『特許法』第128条の3第4項後段に基づく秘密保持義務又は」にし、同条第2項の中「第1項の罪は」を「第1項の中第44条に基づき準用する『特許法』第224条の3第1項に基づく秘密保持命令違反罪は」に改める。
第52条第1項及び第2項をそれぞれ第2項及び第3項に改め、同条に第1項を次のように新設し、同条第3項(従前の第2項)の中「特許庁長が」を「法院が賦課・徴収し、第2項に基づく過料は大統領令で定めるところにより特許庁長が」に改める。
①正当な理由なしに第30条に基づき準用する「特許法」第128条の3第10項を違反して調査を拒否・妨害又は忌避する場合、法院は決定により次の各号の区分に基づく金額の過料を賦課する。
1.法人の場合:1億ウォン以下
2.法人の役員・従業員とその他利害関係人の場合:5千万ウォン以下附則
第1条(施行日)この法律は、公布後6か月が経過した日から施行する。
第2条(実用新案権又は専用実施権にかかる侵害訴訟等に関する適用例)第30条、第45条の2、第47条第2項及び第49条の2の改正規定は同法施行以降提起される訴訟に適用される。
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