知的財産情報(知財関連法律改正の動き) 【法案提出】発明振興法の一部改正法律案(議案番号:2210503)
2025年05月13日
議案番号:2210503
提案日:2025年5月13日
提案者:クォン・ヒャンヨプ議員(共に民主党)外10人
提案理由及び主要内容
現行法では、法人の役員等が職務に関する発明を活発に行うよう奨励し支援するための施策について定め、従業員等が特許権等権利を使用者等に承継するか、専用実施権を設定した場合、正当な報奨を受けることができるよう定めている。しかし、使用者が正当な報奨をしなくてもそれによる大きな不利益を受けることがなく、職務発明をした従業員は法律上定められた権利が得られないとの指摘がある。とりわけ、裁判所においても職務発明報奨金は事業者に比べて弱い立場にある従業員の権益を保護し発明の振興を図るために認められるものであって、強行規定であるため報奨金に制限のある契約や勤務規定は無効だと判決(ソウル高等法院2009.8.20.宣告2008나119134判決)したことがある。
従って、特許庁長に対し職務発明報奨に関する実態調査を実施するようにし、使用者等が大統領令で定める基準により報奨規定を作成するよう見直す目的である。また、職務発明審議委員会を構成しないか審議を行わない者に対し処される罰金を2千万ウォン以下に引き上げ、産業財産権紛争調停委員会について出席義務を定める改善策を設けることで、職務発明を奨励しその発明について正当な報奨が行われるように見直すことにより、産業技術の競争力を高める目的である(案第11条の3の新設等)。
発明振興法の一部改正法律案
発明振興法の一部を次のように改正する。
第11条の3を次のように新設する。
第11条の3(職務発明報奨に関する実態調査)①特許庁長は第11条第1項に基づく職務発明報奨制度の支援施策の策定・施行のために、毎年職務発明報奨の現況に関する実態調査を実施しなければならない。
②特許庁長は第1項に基づく実態調査のために使用者等に対し職務発明報奨の現況等、大統領令で定める資料の提出や意見の陳述を求めることができる。この場合、使用者等は特別な事由がなければその要請に従わなければならない。
③第1項に基づく実態調査の内容及び方法と第2項に基づく資料及び意見の提出に必要な事項は大統領令で定める。
第15条第2項に後段を次のように新設する。
この場合、使用者等は発明の経済的価値と従業員等の寄与度を考慮する等、大統領令で定める基準に基づき報奨規定を作成しなければならない。
第18条第2項の本文及び但し書の中「30日」をそれぞれ「60日」にする。
第45条第2項を第3項に改め、同条に第2項を次のように新設する。
②調停当事者は正当な事由なしに第1項による出席の要求を拒否してはならない。
第60条第2項及び第3項をそれぞれ第4項及び第5項に改め、同条第1項を第2項に改め、同条に第1項を次のように新設し、同条第2項(従前の第1項)第1号を削除し、同項に第4号の2を次のように新設し、同条に第3項を対木のように新設し、同条第5項(従前の第3項)の中「第1項及び第2項」を「第1項から第4項までに」にする。
①第18条第3項を違反して審議委員会を構成しないか審議を行わない者に対し2千万ウォン以下の罰金を科す。
4の2.第45条第2項を違反して正当な事由なしに出席の要求に従わない者
③第15条第2項前段を違反して報奨規定を従業員等に知らせなかった使用者等に対し500万ウォン以下の過料を科す。附則
第1条(施行日)この法律は、公布後6か月が経過した日から施行する。
第2条(職務発明審議委員会への審議の要求期限に関する適用例)第18条第2項の改正規定は同法施行以降第18条第1項に基づき従業員等が使用者等に対し職務発明審議委員会の審議を要求した場合に適用する。
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