知的財産情報(知財関連法律改正の動き) 【代案】デザイン保護法の一部改正法律案(議案番号:2210293)

2025年04月30日

議案番号:2210293
提案日:2025年4月
提案者:産業通商資源中小ベンチャー企業委員長

1.代案の提案経緯

議案名 議案番号 代表発議者 発議日 審査経過
デザイン保護法の一部改正法律案 2204736 イ・ジェグァン議員 2024.10.16. ‐第422回国会(臨時会)第1次産業通商資源中小ベンチャー企業委員会(2025.2.19.)に上程後、提案説明、検討報告、大体討論を経て小委員会に回付
-第424回国会(臨時会)第2次産業通商資源特許小委員会(2025.4.16.)に上程、逐条審査及び議決(代案反映廃棄)
同上 2206368 キム・ウォニ議員 2024.12.10. 同上
  1. 第424回国会(臨時会)第2次産業通商資源特許小委員会(2025.4.16.)にて上記2件の法律案について審査した結果、各法律案を本会議に付議することなく、各法律案の内容を統合・調整して当委員会の代案を作成することにした。
  2. 第424回国会(臨時会)第2次産業通商資源中小ベンチャー企業委員会(2025.4.23.)にて産業通商資源特許小委員会が審査報告したとおり、上記2件の法律案について各本会議に付議する代わりに、産業通商資源特許小委員会が作成した代案を提案することを議決する。
  3. 2.代案の提案理由

    デザイン保護法は、デザイン登録出願の場合、すべての登録要件について審査してデザイン権を付与する審査主義を原則としているが、ファッション・雑貨等流行に敏感な一部の物品類において、新規性や先願等一部の要件については審査せず迅速に権利を与えるデザイン一部審査登録制度を運営しているが、最近、オンライン上の取引が活性化されるにつれ、デザイン一部審査登録制度を悪用して、既に公知若しくは公用された意匠権を新しいものかのように登録してオンライン上で物品を独占して販売する事例が相次いでいる。
    従って、デザイン一部審査登録出願について、新規性と先願の要件を明確に違反している場合には、審査官が拒絶査定とするよう根拠となる規定を設け、第三者の権利保護のためにデザイン一部審査登録に対する異議申立期間を延長することで、より実効性のあるデザイン一部審査制度を運営する必要がある。
    一方、現行制度のもと、無権利者が特定のデザイン登録出願をしてそのデザインについて登録を受けた場合、正当な権利者は登録無効審判を提起して裁判所から判決を受けてから再度デザイン権について出願しなければならないため、その手続きに長時間がかかるだけではなく費用の負担もあることを考慮して、正当な権利者がより効率的にデザイン権を行使できるよう制度を見直すべきだとの指摘が提起されている。
    従って、特許権の場合のようにデザイン権の正当な権利者が盗用されたデザイン権についてより迅速にその権利を取り戻せるよう「デザイン権移転請求」にかかる法律上根拠を設ける必要がある。

    3.代案の主要内容

    1. デザイン登録出願書上の記載事項の中「デザインの創作内容の要点」を削除する(案第37条第2項第2号)。
    2. デザイン一部審査登録出願が第33条第1項各号に該当するか(新規性違反)、第46条第1項・第2項に基づきデザイン登録を受けることができないことが明確な場合(先願違反)については、デザイン登録拒絶査定をする(案第62条第5項及び第6項)。
    3. デザイン一部審査登録の異議申立に関連して、デザイン権侵害に関する通知を受けた場合は、その通知を受け取った日から3月になる日まで異議申立を申請でき、登録公告日から1年が経過すれば異議申立を申請できない(案第68条第1項)。
    4. 無権利者がデザイン登録を受けた場合、正当な権利者が裁判所にそのデザインの登録の移転を請求してそのデザイン権を取得できるようにする(案第96条の2の新設)。
    5. デザイン権移転請求制度の導入により、デザイン登録証を再発行し、移転登録前の実施について通常実施権を認める一方、正当な権利者に移転されたデザイン権に対し無効審判を請求することはできない(案第89条第3項、第100条の2及び第121条)。
    6. デザイン保護法の一部改正法律案

      デザイン保護法の一部を次のように改正する。
      第37条第2項第2号を次のように改める。
      2.デザインの説明
      第62条第5項を第6項にし、同条に第5項を次のように新設し、同条第6項(従前の第5項)の中「第3項までの規定」を「第5項まで」に改める。
      ⑤審査官はデザイン一部審査登録出願が第33条第1項各号に該当するか、若しくは、第46条第1項・第2項に基づきデザイン登録を受けることができないことが明確な場合には第2項の規定にもかかわらず、デザイン登録拒絶査定をする。
      第68条第1項各号外の部分の前段の中「3月になる日まで」を「3月になる日まで又はデザイン権侵害に関する通知を受けた者はその通知を受け取った日から3月になる日まで」に改め、同項各号外の部分に但し書を次のように新設する。
      但し、そのデザイン権の侵害に関する通知を受けたことを理由に異議申立を申請する場合にはデザイン一部審査登録の公告日から1年が経過すれば異議申立を申請できない。
      第89条に第3項を次のように新設する。
      ③特許庁長は第96条の2第2項に基づきデザイン権が移転登録された場合、新しい登録証を発行しなければならない。
      第96条の2を次のように新設する。
      第96条の2(デザイン権の移転請求)①デザイン登録が第121条第1項第1号本文に該当する場合にデザイン登録を受けることができる権利を持つ者は裁判所にそのデザイン登録の移転(デザイン登録を受けることができる権利が共有の場合にはその持ち分の移転をいう)を請求することができる。
      ②第1項の請求に基づいてデザイン権が移転登録された場合には次の各号の権利はそのデザイン権が設定登録された日から移転登録を受けた者にあることとみなす。
      1.当該のデザイン権
      2.第53条第2項に基づく報償金支給の請求権
      ③第1項の請求に基づき、共有のデザイン権にかかる持ち分を移転する場合には、第96条第2項の規定にもかかわらず、他の共有者の同意を得ていなくてもその持ち分について移転することができる。
      第100条の2を次のように新設する。
      第100条の2(デザイン権の移転請求による移転登録前の実施にかかる通常実施権)①次の各号のいずれかに該当する者が第96条の2第2項に基づくデザイン権の移転登録がある前に当該のデザイン登録が第121条第1項第1号本文に該当することを知らずに国内でそのデザインの実施にかかる事業をしているかそれを準備している場合には、その実施しているか準備をしているデザイン及び事業目的の範囲でそのデザイン権に対し通常実施権を有する。
      1.移転登録されたデザイン登録の原デザイン権者
      2.移転登録されたデザイン権について、移転登録当時に既に専用実施権若しくは通常実施権又はその専用実施権に対する通常実施権を取得し登録を受けた者。但し、第104条第2項に基づく通常実施権を取得した者が登録を必要としない。
      ②第1項に基づき通常実施権を有する者は移転登録されたデザイン権者に相当な対価を支給しなければならない。
      第121条第1項各号外の部分の前段の中「利害関係人」を「利害関係人(第1号本文の場合にはデザイン登録を受けることができる権利を有する者に限る)」に改め、同項第1号の中「同項の但し書に基づきデザイン登録を受けることができない場合」を「第39条を違反した場合。」に改め、同号に但し書を次のように新設する。
      但し、第96条の2第2項に基づき移転登録された場合は除く。
      第121条第1項第2号の中「第27条」を「第3条第1項但し書に基づきデザイン登録を受けることができない場合か、第27条」に、「第35条まで、第39条」を「第35条まで」に改める。
      第181条第3項の中「第37条第2項第2号の中、創作内容の要点及び同条第3項」を「第37条第3項」に改める。

      附則

      第1条(施行日)この法律は公布後6か月が経過した日から施行する。
      第2条(一般的適用例)同法は同法施行以降出願されたデザイン登録出願に適用する。
      第3条(デザイン権の移転請求に関する適用例)第96条の2及び第100条の2の改正規定は同法施行当時設定登録されたデザイン権についても適用する。

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