知的財産情報(知財関連法律改正の動き) 【法案提出】商標法の一部改正法律案(議案番号:2209441)
2025年03月28日
議案番号:2209441
提案日:2025年3月28日
提案者:キム・ジョンミン議員(無所属)外12人
提案理由及び主要内容
現行法では、裁判所は商標権又は専用実施権の侵害にかかる訴訟において当該の侵害行為による損害を計算する上で必要な書類を提出するよう命ずるが、書類の所持者が提出を拒否するような正当な理由がある場合にはその拒否を認めている。しかし、被害企業が必ずしも資料を確保しなければならない現実的な必要性が存在するにもかかわらず、相手側による提出の拒否により損害額の算定等に対する立証が難しい現状である。また、2016年改正「特許法」、「実用新案法」においても特許権等侵害の証明又は損害額の算定のために必要な場合、営業秘密であっても資料提出を義務付ける規定が設けられており、知財訴訟手続きにおいて統一性を図るために、裁判所による提出命令の対象を「書類」から包括的な概念である「資料」に見直し、類似の制度を現行法上規定すべきだとの意見が提起されている。
従って、証拠提出の命令が下された場合、裁判官のみが当該の資料を閲覧可能にすることで、営業秘密の流出を防止するとともに証拠提出制度の実効性を高める一方、裁判所が鑑定を命じた場合に当事者に対し説明義務を課すことで損害額の算定において客観性を高める等、権利者への保護を強化する目的である(案第112条の2の新設及び第114条等)。
商標法の一部改正法律案
商標法の一部を次のように改正する。
第111条の2を次のように新設する。
第111条の2(鑑定事項の説明義務)商標権又は専用実施権の侵害にかかる訴訟において裁判所が侵害による損害額の算定のために鑑定を命じた際には、当事者は鑑定人に鑑定に必要な事項について説明しなければならない。
第114条の題目の中「書類の」を「資料の」に改め、同条題目の外の部分を第1項に改め、同条第1項(従前の題目の外の部分)本文の中「侵害行為による損害を計算する上で必要な書類」を「侵害の証明又は侵害による損害を計算する上で必要な資料」に改め、同項但し書の中「書類の」をそれぞれ「資料の」に改め、同条第2項から第4項までをそれぞれ次のように新設する。
②裁判所は資料の所持者が第1項に基づく提出を拒否するような正当な理由があると主張する場合にはその主張の当否を判断するために資料の提示を命ずることができる。この場合、裁判所はその資料を他の者に見せてはいけない。
③第1項に基づき提出されるべきである資料が営業秘密(「不正競争防止及び営業秘密保護に関する法律」第2条第2号に基づく営業秘密をいう。以下、同一)に該当するが、侵害の証明又は損害額の算定に必ず必要な時には第1項但し書に基づく正当な理由として認めない。この場合、裁判所は提出命令の目的内で閲覧できる範囲又は閲覧できる者を指定しなければならない。
④裁判所は第1項に基づく提出命令を受けた者が正当な理由なしにその命令に従わなかった場合、資料の記載に対する申請者の主張を真実なものだと認めることができる。この場合、申請者が資料の記載について具体的に主張するには顕著に困難な事情があり、その資料で証明しようとする事実について他の証拠で証明すると期待することも難しい際には申請者が資料の記載により証明しようとする事実に関する主張を真実なものだと認めることができる。
第227条第1項各号の外の部分の本文の中「営業秘密(「不正競争防止及び営業秘密保護に関する法律」第2条第2号に基づく営業秘密をいう。以下、同一)に」を「営業秘密に」に改め、同項第1号の中「準備書面又はすでに調査したか調査すべきである証拠」を「準備書面、すでに調査したか調査すべきである証拠又は第114条第3項に基づき提出されたか提出されるべきである資料」に改める。附則
第1条(施行日)この法律は、公布後6月が経過した日から施行する。
第2条(資料の提出及び鑑定事項の説明義務に関する適用例)第111条の2及び第114条の改正規定は同法施行以降提起される訴訟に適用する。
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