知的財産情報(知財関連法律改正の動き) 【法案提出】不正競争防止及び営業秘密保護に関する法律の一部改正法律案(議案番号:2209436)
2025年03月28日
議案番号:2209436
提案日:2025年3月28日
提案者:キム・ジョンミン議員(無所属)外13人
提案理由及び主要内容
現行法では、裁判所は不正競争行為、営業秘密の侵害行為等による営業上利益の侵害にかかる訴訟において侵害行為による損害額を計算する上で必要な資料の提出を命ずるが、資料の所持者が提出を拒否するような正当な理由がある場合にはその拒否を認めている。しかし、被害企業が必ずしも資料を確保しなければならない現実的な必要性が存在するにもかかわらず、相手側による提出の拒否により損害額の算定等に対する立証が難しい現状である。また、2016年改正「特許法」、「実用新案法」においても特許権等侵害の証明又は損害額の算定のために必要な場合、営業秘密であっても資料提出を義務付ける規定が設けられており、知財訴訟手続きにおいて統一性を図るために、類似の制度を現行法上規定すべきだとの意見が提起されている。
従って、証拠提出の命令が下された場合、裁判官のみが当該の資料を閲覧可能にすることで、営業秘密の流出の恐れを防止するとともに証拠提出制度の実効性を高める一方、裁判所が鑑定を命じた場合に当事者に対し説明義務を課すことで損害額の算定において客観性を高める等、権利者への保護を強化する目的である(案第14条の3及び第14条の8の新設等)。
不正競争防止及び営業秘密保護に関する法律の一部改正法律案
不正競争防止及び営業秘密保護に関する法律の一部を次のように改正する。
第14条の3の題目の外の部分を第1項にし、同条第1項(従前の題目の外の部分)本文の中「侵害行為による損害額を算定する上で」を「侵害の証明又は侵害による損害額の算定に」にし、同条に第2項から第4項までをそれぞれ次のように新設する。
②裁判所は資料の所持者が第1項に基づく提出を拒否するような正当な理由があると主張する場合にはその主張の当否を判断するために資料の提示を命ずることができる。この場合、裁判所はその資料を他の者に見せてはいけない。
③第1項に基づき提出されるべきである資料が営業秘密に該当するが、侵害の証明又は損害額の算定に必ず必要な時には第1項但し書に基づく正当な理由として認めない。この場合、裁判所は提出命令の目的内で閲覧できる範囲又は閲覧できる者を指定しなければならない。
④裁判所は第1項に基づく提出命令を受けた者が正当な理由なしにその命令に従わなかった場合、資料の記載に対する申請者の主張を真実なものだと認めることができる。この場合、申請者が資料の記載について具体的に主張するには顕著に困難な事情があり、その資料で証明しようとする事実について他の証拠で証明すると期待することも難しい際には申請者が資料の記載により証明しようとする事実に関する主張を真実なものだと認めることができる。
第14条の4第1項第1号の中「準備書面又はすでに調査したか調査すべきである証拠」を「準備書面、すでに調査したか調査すべきである証拠、第14条の3第3項に基づき提出されたか提出されるべきである資料」に改める。
第14条の8を次のように新設する。
第14条の8(鑑定事項の説明義務)不正競争行為、第3条の2第1項若しくは第2項を違反した行為又は営業秘密の侵害行為による営業上利益の侵害にかかる訴訟において裁判所が侵害による損害額の算定のために鑑定を命じた時には当事者は鑑定人に対し鑑定に必要な事項を説明しなければならない。附則
第1条(施行日)この法律は、公布後6月が経過した日から施行する。
第2条(資料の提出及び鑑定事項の説明義務に関する適用例)第14条の3及び第14条の8の改正規定は同法施行以降提起される訴訟に適用する。
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