知的財産情報(知財関連法律改正の動き) 【法案提出】不正競争防止及び営業秘密保護に関する法律の一部改正法律案(議案番号:2209155)
2025年03月20日
議案番号:2209155
提案日:2025年3月20日
提案者:キム・ドンア議員(共に民主党)外17人
提案理由及び主要内容
現行法は、裁判所が不正競争行為や営業秘密の侵害により営業上利益が侵害された場合、損害額の算定に必要な資料の提出を命ずることができるよう定めている。しかし、資料を保有する当事者が正当な事由がある場合、それを拒むことを認めているため、被害企業が損害額を立証することが難しい現状である。とりわけ、損害額の算定が訴訟において重要な要素になっているにもかかわらず、相手側からの資料提出の拒否により、被害企業が必要な証拠を確保できない問題が持続的に提起されている。このような問題を解決するために、2016年「特許法」及び「実用新案法」等においても営業秘密だとしても侵害事実の立証や損害額の算定のために必ず必要な場合には資料を提出する義務を課す規定を設けたことがある。
従って、損害額の算定及び侵害事実の立証のために必ず必要な資料については資料提出の拒否を正当な事由に認めず、正当な事由なしに資料提出命令に従わない場合、裁判所が当該の資料の記載内容を事実だと認めるようにすることで、資料提出命令制度の実効性を強化し、被害企業がより効果的に権利を保護できるようにする目的である(案第14条の3等)。
不正競争防止及び営業秘密保護に関する法律の一部改正法律案
不正競争防止及び営業秘密保護に関する法律の一部を次のように改正する。
第14条の3の題目外の部分を第1項にし、同条に第2項から第4項までをそれぞれ次のように新設する。
②裁判所は資料の所持者が第1項に基づく提出を拒む正当な理由があると主張する場合には、その主張の当否を判断するために資料の提示を命ずることができる。この場合、裁判所はその資料を他の者に見せてはならない。
③第1項に基づき提出されるべきである資料が営業秘密に該当するが、侵害の証明又は損害額の算定に必ず必要な際には第1項の但し書に基づく正当な理由だと認めない。この場合、裁判所は提出命令の目的内で閲覧できる範囲又は閲覧できる者を指定しなければならない。
④裁判所は第1項に基づく提出命令を受けた者が正当な理由なしにその命令に従わなかった場合、資料の記載に関する申請者の主張を真実なものだと認めることができる。この場合、申請者が資料の記載を具体的に主張するには顕著に困難な事情があり、その資料で証明しようとする事実を他の証拠で証明することを期待することも難しい際には、申請者が資料の記載で証明しようとする事実に関する主張を真実なものだと認めることができる。
第14条の4第1項第1号の中「準備書面又は」を「準備書面」に、「証拠」を「証拠、第14条の3第3項に基づき提出したか提出すべきである資料」に改める。附則
第1条(施行日)この法律は、公布後6月が経過した日から施行する。
第2条(資料の提出に関する適用例)第14条の3の改正規定は同法施行以降訴が提起された訴訟から適用する。
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