知的財産情報(知財関連法律改正の動き) 【法案提出】デザイン保護法の一部改正法律案(議案番号:2209074)

2025年03月19日

議案番号:2209074
提案日:2025年3月19日
提案者:キム・ドンア議員(共に民主党)外13人

提案理由及び主要内容

現行法は、裁判所がデザイン権又は専用実施権の侵害に関連する訴訟において、侵害により発生した損害を算定する上で必要な書類の提出を命ずるよう定めている。但し、書類を保有する者が正当な事由により提出を拒むことを認めているため、被害企業が損害額を立証することが難しい現状である。
とりわけ、被害企業が損害額を正確に算定するために欠かせない資料を確保する必要があるが、相手側が提出を拒む場合、立証することが円滑ではない問題が発生している。従って、2016年に改正された「特許法」及び「実用新案法」においても特許権の侵害又は損害額の算定のために必要な場合、営業秘密であっても資料提出の義務を課す規定を設けた。
このような状況の中で、知的財産にかかる訴訟手続きの一貫性を維持し、資料提出命令制度の実効性を高めるために、裁判所による提出命令の対象を既存の「書類」からより包括的な概念の「資料」に拡大し、類似の制度を現行法に反映する必要性が提起されている。
従って、損害額の算定及び侵害事実の立証のために必ず必要な資料に対しては営業秘密に該当するとしても資料を提出しなくても構わない正当な事由には認めず、正当な事由なしで資料提出命令に従わなかった場合には、裁判所が該当の資料の記載内容を事実として認めるようにすることで資料提出命令制度の実効性を強化し、被害企業がより効果的に権利の保護を受けられるようにする目的である(案第118条等)。

デザイン保護法の一部改正法律案

デザイン保護法の一部を次のように改正する。
第118条の題目の中「書類の」を「資料の」に改め、同条の題目の外の部分を第1項に改め、同条第1項(従前の題目の外の部分)の本文の中「当該の侵害行為による損害を計算する上で必要な書類」を「侵害の証明又は侵害による損害を計算する上で必要な資料」に改め、同項の但し書の中「書類の」をそれぞれ「資料の」に改め、同条に第2項から第4項までをそれぞれ次のように新設する。
②裁判所は資料の所持者が第1項に基づく提出を拒む正当な理由があると主張する場合には、その主張の当否を判断するために資料の提示を命ずることができる。この場合、裁判所はその資料を他人に見せてはならない。
③第1項に基づき提出されるべきである資料が営業秘密(「不正競争防止及び営業秘密保護に関する法律」第2条第2号に基づく営業秘密をいう。以下、同一)に該当するが、侵害の証明又は損害額の算定に必ず必要な際には第1項の但し書による正当な理由だとみなさない。この場合、裁判所は提出命令の目的内で閲覧できる範囲又は閲覧できる者を指定しなければならない。
④裁判所は第1項に基づく提出命令を受けた者が正当な理由なしにその命令に従わなかった場合、資料の記載に対する申請者の主張を真実なものと認めることができる。この場合、申請者が資料の記載を具体的に主張するには謙虚に困難な事情があり、その資料で証明しようとする事実に対し他の証拠で証明することも難しい際には申請者が資料の記載で証明しようとする事実に関する主張を真実なものと認めることができる。
第217条第1項各号の外の部分の本文の中「営業秘密(「不正競争防止及び営業秘密保護に関する法律」第2条第2号に基づく営業秘密をいう。以下、同一)に」を「営業秘密に」に改め、同項第1号の中「準備書面又はすでに調査したか調査すべきである証拠」を「準備書面、すでに調査したか調査すべきである証拠又は第118条第3項に基づき提出したか提出すべきである資料」に改める。

附則

第1条(施行日)この法律は、公布後6月が経過した日から施行する。
第2条(資料の提出及び鑑定事項の説明義務に関する適用例)第118条の改正規定は同法施行以降提起される訴訟から適用する。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

ジェトロ・ソウル事務所 知的財産チームは、韓国の知的財産に関する各種研究、情報の収集・分析・提供、関係者に対する助言や相談、広報啓発活動、取り締まりの支援などを行っています。各種問い合わせ、相談、訪問をご希望の方はご連絡ください。
担当者:大塚、李(イ)、半田(いずれも日本語可)
E-mail:kos-jetroipr@jetro.go.jp
Tel :+82-2-3210-0195